人狼物語 三日月国


167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】

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視点:


【秘】 金毛の仔猫 ヴェルデ → 家族愛 サルヴァトーレ

さて、少年は口が巧くないから、丸め込むことも簡単だったろうけれど。
あなたはどうやら、応じてくれる様子。
暮れかかる空に似た色の、ずっと高いところにある瞳を見つめる。
少年もまた、唇をかすか、笑みのかたちに歪めた。

「……大袈裟だな」
「食べてみないとわかんないけど、多分、ヘーキ」

そうして、食べかけの串焼きをあなたへ差し出すのだ。
だってきっと、『家族』とは、こんな風に支え合うものなのだろうと、知り始めているから。
愛することも愛されることも知らなかった少年は、あなたの姿に、振る舞いに、それを学んでいるのだから。
(-50) beni 2022/08/26(Fri) 23:51:08

【秘】 金毛の仔猫 ヴェルデ → 家族愛 サルヴァトーレ

誰が口を付けたものであれ、躊躇うことはない。
そう、特に、あなたが相手であれば。

「そんなの忘れるなよ」

呆れたような声。
かたちのよい眉が片側だけ、わずかに歪む。
少年は、あなたが普段、どんな風であるのか知らない。
あなた方マフィアの集まるような場へ顔を出すこともないのだから、少年の前のここにいるあなたしか。
あなたが何であれ、どのような人物であれ。少年にとっては、そういうあなたがすべてだ。
だから少年も、いつもよりすこし、ただのこどもみたいに。
交換したウインナーをかじる。
辛みがじんわりと舌に熱を灯す。

「そお、よかった」
「おれも大丈夫。
でもそうだな、これは喉が渇くかも」

よく叱られる相手と言えば、脳裏をよぎるのは一人だけ。
けれど彼女だって存外、口が悪いことを知っている。
それに、何より。
怒らせたいわけでは勿論ないけれど、彼女に叱られるのはべつに、少年はそんなに嫌ではないのだ。
くす、くす。唇がかすかに、笑声をこぼした。
(-81) beni 2022/08/27(Sat) 22:12:36

【秘】 金毛の仔猫 ヴェルデ → 家族愛 サルヴァトーレ

「そういうところ。
もっと自分のこと気にしろっていうのはさ」

などと言う少年は、やはりあまり表情を変えないから、平気そうに見えるだろう。
ひと口、ふた口と食べ進めるごと、口内が熱くなるのを感じてはいるのだけれど。食べられないほどではなかったから。
撫でられても、瞬くだけで。
けれどそう、嫌ではないのだ。いつも。
言葉を交わしつつ人波の中を歩き、スープの屋台に立ち寄って。
あたたかな液体を啜り、ウインナーも食べきって。
のんびりと食べ歩くふたりは、最初の目的地だったジェラートの屋台へとたどり着く。
そこでもあれやこれやと並んだフレーバーに、少年は悩む姿を見せるのだ。
(-108) beni 2022/08/28(Sun) 22:46:47

【置】 金毛の仔猫 ヴェルデ

>>-17 >>-18 >>-19

うたがきこえる。

おまえなんか生まなければよかった

――Ninna nanna,mio figliuolo!ねんね、ねんね、私の坊や


幸せそうにはにかむ美しいかんばせ。

私を見ないで、その目がいちばん嫌い

――Ninna nanna,occhi ridenti…ねんね、ねんね、かわいい瞳…


石畳の上を踊るステップ。

私を呼ばないで、その声も嫌い

――Canta,canta,rusignolo…歌え、歌え、ナイチンゲール


繋いだ手が揺れる。

おまえも同じ苦しみを知るべきよ

――…che il mio bimbo s'addormenti!私の坊やが眠れるように!
(L14) beni 2022/08/28(Sun) 23:08:22
公開: 2022/08/28(Sun) 23:10:00

【置】 金毛の仔猫 ヴェルデ

>>-17 >>-18 >>-19

あなたはいい育て親ではなかったのかもしれない。
  ――それでも、その細腕は確かに、ゴミ捨て場の命少年をすくい上げた。
あなたは母親ではなかったのだろう。
  ――それでも、その不器用な愛が、人間少年を育てた。

天使アンジェロ自らを生み落とした女母親を見殺しにした。
だれも、それがわるいことだと教えなかったから。
けれど翠眼の少年ヴェルデは、  ビアンカの手を握ったままでいたかった。
自ら考え、選び、そういう未来がほしかった。



おやすみ、■さんビアンカ
死んでしまってごめんなさい。


少年はあなたのことを愛していたし。
――――死にたくなんて、なかった。

ただそれだけの、ことだった。
(L15) beni 2022/08/28(Sun) 23:09:11
公開: 2022/08/28(Sun) 23:15:00

【置】 翠眼の少年 ヴェルデ

>>-17 >>-18 >>-19

確証はないけれど、託したものは何となく、届く気がしている。
裸の紙幣をそのまま渡したのは、残るものは少ない方がいいと思ったからだ。
ただでさえ、部屋に荷物を置いたまま。
そう多くないと言えど、処分するにはやはり、手間もかかるだろう。
思い出してしまうかもしれない。悔いてしまうかもしれない。旅行の約束は守れなかった。


それでもヴェルデは幸せだった。
意識を手放すそのときに思い出した、この歌が。
よく眠れるようにと祈ってくれたから。



願わくば、あなたもよく眠れますように。
(L16) beni 2022/08/28(Sun) 23:09:52
公開: 2022/08/28(Sun) 23:20:00

【秘】 翠眼の少年 ヴェルデ → 家族愛 サルヴァトーレ

二つと聞けば、「そんなに食べられない」と。
三つと聞けば、「なんで増やすんだ」なんて。
そんなことを言って、少年はかすかに笑う。
早く決めてしまおうと目についたものにしようとすれば、他のものを示されたりして。
それはきっと、慌てなくていいことの裏返し。
あなたは少年が選ぶまで待っていてくれるし、きちんと選べば何も言わない。

「……ん。じゃあ、これ」

そうしてたっぷり迷って選ぶのは、紫色のぶどう味。
結局また支払いはさせてもらえないから、困ったような、呆れたような顔で。
なんでもない普通の親子のような、或いは兄弟のような気安い距離で。
ひんやりと甘いジェラートを食べ、祭りの喧騒を楽しんだ。

迷子の仔猫みたいに所在なく立ち尽くしていた少年は、確かに。
あなたに誘われて、この騒がしさを楽しむことができたのだ。
(-132) beni 2022/08/29(Mon) 13:54:19