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【墓】 掃除屋 ダーレン「手伝うって言ったのは俺だからな」 魔女らしく箒で上がってくる姿が目に入る。 赤と白のポインセチアを束ねたスワッグが、柱に提げられる。 祝福を意味する花らしい。男にはよくわからなかったが。 「は……自分のことばっかり考えてるから、天罰でも食らったんだろ」 「まあ……大魔女様の仕返しなんて恐ろしいものが回避できたことこそ、祝福であったというべきなのかもな」 祝福だなんて、それこそ受ける資格はない。 だからこそ、皮肉と自嘲交じりにそう言い返してやって。 相変わらず前向きな姿を前にすれば、まだ自分はそうなれないだろうなと思いつつ。 「そこまで言うなら…誰よりも、楽しめよ」 「誰よりもいい恰好で、いい顔で」 そこまでされたのなら、燻っている自分も前をようやく向けるような気がするから。 ここまで来てなお、我儘を言ってやるのだ。 (+7) otomizu 2024/02/09(Fri) 2:49:46 |
【人】 遊蕩 ディルク>>5 エミール 小動物の威嚇する声。 耳に届けばふと笑い、胸元の笛を引き寄せる。 人の耳には凡そ届かない音が響き、蟲達はざわめきを止めた。 かさかさと、どこからともなくやってきて。 どこへともなく消えていく。 「…路地裏に用があるっていうよりは、そうだな。 まるで光らないことを憐れむ視線が面倒でね」 視線跳ね除けいつも通りに振る舞えばいいとして、 それでも面倒なものは面倒だ。 棒付きのキャンディを新たに取り出し口に含んで、転がす。 「男2人の遊びってのは華やかさが足りないけど。 僕としては大歓迎、……どうせ暇だからね」 光っていない人間も残り少ない。 いっそ残された人間で広場でパーティも悪くないかも。 祝福されない人間も、決して不幸ではないのだと。 (6) sinorit 2024/02/09(Fri) 8:55:41 |
【秘】 宝石集め カリナ → 仕立て屋 エリー「もしかして慰めながら口説いてくれてる? ふふ、ありがとね」 なんだかあなたに対しては、同じ感覚を持っていそうなところが不思議であり、少し怖くもある。 だってここには痣を光らせられる存在が居るっていうじゃない。あなたを疑っているわけではないのだけれど。 でもちょっと弾んだような内緒話は楽しくて愚痴といっただけに気は緩んでいる。 「ん? えっ!? そんなすごいステータス生きて目にすると思わなかったわ? 生まれもってなら相当じゃない、訓練したって言われても正直信じがたいけど……」 「うん? ……あら逃走に奔走色々あったのね。 ええと……うーーん……悪用だなんて、持って手に入れた才でいい生活を送るのは自然だと思うけど、泥棒?それとも……あー、もったいぶらずに教えて頂戴! どうせココだけの話になるわよ」 (-38) toumi_ 2024/02/09(Fri) 16:02:41 |
【秘】 仕立て屋 エリー → 宝石集め カリナ「そう思ってくれて構わないよ? 同じ痣持ち同士、仲良くしたいしさ」 痣を光らせるような相手がいるとは聞く。 実際、研究の副産物で光らせることができる毒はできてしまった。 ……まぁ、それは痣を光らせる不届き者以外に使う気はないけれど。 それよりも、結果である他人の痣を非活性化できる毒の方が重要だ。痣の魔力にアテられる前に、誰かに使ってあげたいものだ。 「えー……いいけど引かないでよ? 依頼者とかブッキング以外ではカリナにしか言ってないから」 周りの様子を見てからあなたの手に触れて、レアスキルの『認識阻害』を発動する。 自分から発せられる物事の解像度が一段階落ちるというスキルだ。 発動時に触れあっている相手も対象となる。 これで盗み聞きされる心配はない。 「今使ったスキルで多少察したかもしれないけど、暗殺とかしてなんとか生計立ててたんだよ。 十つくらいの子供が一人で生きていくためだったから…… ……やっぱり引いた?」 (-39) akoris 2024/02/09(Fri) 17:37:08 |
【秘】 白昼夢 ファリエ → 薄荷 アンジュ「たっ、試すだけですから! その言葉は薬がちゃんと完成してからにしてください……」 居心地悪そうに両手を胸の前でぶんぶん振ってかけられた言葉をお返し。 孤児院で人生の殆どを費やした女は商売はもちろん、単純な駆け引きというものに疎くなっていた。 なればこそあなたの瞳に溜まった雫をきっとそうだと思い込んで疑わなかった。 信じたかった"救う"という言葉をも嘘にしたくなかった。 痣にかける思いも、この薬に託す願いも。 こんなにもどうしようもなくすれ違ったままに取引は成立してしまった。 「では帰ってからで構いませんか? 飲むだけなら自分でできると思いますし」 (-40) shionsou 2024/02/09(Fri) 20:03:13 |
【墓】 白昼夢 ファリエ>>4:20 エミール 「はあ。釈然としませんけどその通りみたいです」 否定するのも無駄な努力だと分かっている。 今回はこちらの負け。 してやったりと得意げに笑う顔は、あなたらしからぬ雰囲気を覚える。 それでもあなたを朴念仁だとは思っていない。 今まで見たことが無かったというだけであなたの一面なのだろう。 拗ねるように頬を膨らませている自身の子供っぽいところもまた、同じような一面なのだろう。 可能性なんて昨日に忘れてきてしまったように思い込んでいた。 もしかすると見えていなかったのか、もしくは見ようとしていなかっただけなのかもしれない。 「……好きにしたら良いじゃないですか」 痣に対する考え方と、それから突拍子もない提案に対して告げた。 座ったまま背を丸めて手慰みに指を絡ませながら、覗き込むように顔だけ横を向く。 分からないだらけの現状でも不思議と答えは決まっていた。 「これが祝福かどうか、エミールの答えを待っていますから」 (+8) shionsou 2024/02/09(Fri) 20:16:27 |
【秘】 白昼夢 ファリエ → 聖女 リッカ「そんなに?よかったね。 確かに私もあんな風にお祭りを回ったのは初めてだったかも」 孤児の世話をするのと一見同じように見えた時間は、女の予想に反していた。 姉妹ごっこという、たったそれだけの違い。 ラベルを張り間違えた同じ飲み物を口にしたら口当たりが違うように、確かにあの時間は未知の体験だった。 楽くなかったと言えば嘘になる。 「じゃあリッカにとってはあれが一番なんだ」 だのに口から漏れ出る声音は一向に晴れない。 幸せを拒絶するように。 楽しさを否定するように。 祝福を享受できない。 一度暴れだしそうになった感情に鞭打つように歯噛してから、うなじを覆っていた手を下ろす。 ぼんやりと下から照らされた女の顔は、やつれていて幽鬼のようにも見えたかもしれない。 (-41) shionsou 2024/02/09(Fri) 20:45:11 |
【秘】 白昼夢 ファリエ → 聖女 リッカ「…………もう知ってるんでしょ。 私はもう、願いを叶えられないんだって。 本当はそれがあるから、楽しそうに笑ってられるんじゃないの?」 飾り気のない顔が醜く歪むのが自分でもわかった。 「滑稽だった?結局は 聖女様 の掌の上。箱庭で踊る愚かな道化みたいに、楽しませられたかな」 「何が──祝福だって?本当に笑っちゃう」 聖女が何かなんて知らない。 守り神でも、創造神でも、奇妙な子供でも、何も変わらない。 もう元の世界に帰ることができないという事実は覆らない。 他ならぬあなたが決めたルールであなたが刻んだ 呪い だ。「いつまでもいい子ぶってないでさ、本音を言ってよ。 帰ってほしくないんでしょ? 自分は何も関係ないみたいに、無邪気に笑ってるの見てたらどうにかなっちゃいそう。 私達はあなたを喜ばせる人形なんかじゃないんだよ」 (-42) shionsou 2024/02/09(Fri) 20:47:08 |
【人】 寡黙 エミール>>6 ディルク 何だ同じかと。 少しだけ呆気にとられて、きょとり。 最初の軽薄なイメージ同様、もっと明るく賑やかな事を好むのだと思っていたけれど、どうやら少し違う人物像を持っているようだ。 「……奇遇だな。 俺も街の人達の視線が億劫に思っていたところだ」 とはいえ、食事や遊びとなれば街に戻らなければならないし、光らない痣がふたつも揃えば余計に視線を集めてしまうだろう。 それならば少し、喧騒を離れた静かな場所でのんびりするくらいがちょうど良いだろうかと思案する。 「……そもそも華やかな場所に戻るのは面倒だろう、お互い……。 高台にでも昇って町並みでも眺めてみるか?」 デートに似合いの場所を提案するものの、ようするに。 人気のないところのほうがお互いマシだろうという意見だ。 「それか、いっそ楽しくしてるところを見せつけてみるか」 男としては、どちらでも構わない。 (7) eve_1224 2024/02/09(Fri) 21:41:54 |
【人】 遊蕩 ディルク>>7 エミール 「あ、今僕に対して偏見持ってたでしょ」 表情で分かると言いながら気にはしていなさそう。 からかいでもするような軽い口調だ。慣れているのだろう。 「僕も人間だからね、面倒なものは面倒。 そりゃ賑やかなのは嫌いじゃないけどさ。 別に人の中心に立って注目を浴びたい訳じゃないって」 楽しく気ままにやりたいように、なりたいように。 許される範囲でふらふらと生きていきたいだけ。 「…高台か、いいね。足りない華やかさが追加されるかも。 見せつけるのも悪くないけど今はその気分じゃないかな」 そうと決まれば向かおうかと、影から出て貴方の近くに。 …今なら、向かう途中空に舞う花びらは見られるだろうか。 あの魔女は今、何を思うのだろう。 (8) sinorit 2024/02/09(Fri) 22:28:46 |
【秘】 掃除屋 ダーレン → 寡黙 エミール「別に」 「仕事もないし、祭りの雰囲気は肌に合わないし」 「楽しんでそうな奴にちょっかい掛けてるだけだ」 嘘ではない。 つい先ほどまでも、花の魔女に会ってきたところだった。 モップを肘に立てかけて、ぱっと手を開いて見せる。 煙草の香りがする以外には、変わったところもないのだった。 「何もなけりゃこのまま、酒でも飲みに行くつもりだけど」 「お前は尾行が趣味なのか?」 これまでもやってたのか?そんなニュアンス。 自己紹介の場にはいなかったが、テイマーであることは聞いていた。だが、それくらいなもので。 あなたの事は何も知らないのだ。 (-44) otomizu 2024/02/09(Fri) 22:40:23 |
【墓】 栄枯 プリシラ「言われるまでもないわ」 そう言い残し、次の目的地へと飛ぶ──その前に。 身体を大きく使って揺らめき、 花吹雪を纏った腕を広げて広場を見下ろしたかと思えば。 「あなた達にも、華やかさがまだ足りないわね!」 天高くに掲げたフィンガースナップが響くと、 街の人々の頭上目掛けて赤いポインセチアが落ちていく。 いつか昔にやった子供だましの手品ではない、 与えられた命に宿った、こんなにも素敵な魔法。 一番見せたい相手はいないけれど、それでも。 抱えきれないほどの幸運は、確かにこの胸にあるのだから! 驚き、喜びの声、自分の笑い声、 それらを置き去りにどこかへと一直線に。 (+9) backador 2024/02/09(Fri) 23:59:35 |
プリシラは、白いポインセチアを三つ編みに挿して、またおかしそうに笑った。 (c8) backador 2024/02/10(Sat) 0:00:06 |
【秘】 薄荷 アンジュ → 白昼夢 ファリエ「お、おぉぉ……そうですね……。気が早かったです」 興奮冷めやらぬ気持ちを押さえて、間延びした声と共に深く深呼吸。 ……この祭りで痣が光らなかった者は忽然と消えるという噂があった。 その理由も、どういった人間が消えるかも薄々理解してはいるのだけど。 あなたはそうなのかもしれないし、そうでないのかもしれないけれど。 どちらにせよ自分にとって、あなたたちは真に救うべき存在だ。 目を潤ませる雫も、あなたに渡した努力の結晶もすべては本意だし、本気で取り組んだからこそだ。 ゆえに致命的な嘘を隠すのは容易くなる。 ……己が伸ばした救いの手は、真に救う薬どころか、刻まれた痣を光らせる毒に過ぎないのだけど。 「もちろんです。しっかり暖かくして寝てくださいね。ご体調になにか変化あれば遠慮なく仰ってくださいね」 (-45) eiya 2024/02/10(Sat) 0:04:14 |
【墓】 栄枯 プリシラ>>+11 エリー 「ええ、頼みたいことがあって…… ……って、あなた、もしかして怪我してるの!?」 ふわり流れるように箒から舞い降りて、 肩口に覗く包帯を見れば慌てたように駆け寄っていく。 「処置、はちゃんとしてるみたいだけど、 無理しないでね。してほしくないですし」 身体を心配する様はいつも通りの表情で、 まるで何事もなかったかのようにそこにある。 掲示も、祝福も、決して気のせいではないというのに。 「……パーティを開くつもりで、 そのためのドレスがほしかったの! 痣のある場所──背中を曝けるような物がどうしても。 勿論エリーさんも誘うつもりなのだけど……」 怪我のことも、痣についてのことも考えて、 やはり無理はしなくていいという心情が滲み、言い淀む。 ドレスのことだって、今は頼むのを迷っているくらいだ。 (+12) backador 2024/02/10(Sat) 1:25:50 |
【人】 寡黙 エミール>>8 ディルク 「まぁ少し………」 嘘はつかないが言葉は濁した。 明確にこう思ったとは言わない。だがまぁ、大体予想はつくはずだ。 「ふぅん……まぁ、よく見たら案外アンタ」 ひとつ、間をおいて。 「……笑わないんだな」 ぽつりと言う。 正確に言えば笑うことは出来るんだろうけれど、目が笑ってないようにみえるというか。 心から笑ってるように見えないと言うか、そんなところで。 「じゃあ行くか、高台」 男同士の逃避行と言った所。 ここからなら、街中をあまり通らないでも済む。 ずっと寄り添っていた猫に別れを告げ、二人で高台へと向かうだろう。 (10) eve_1224 2024/02/10(Sat) 2:04:09 |
【秘】 寡黙 エミール → 掃除屋 ダーレン「……なるほど」 確かにあまり喧騒などが好きそうには見えないが。 とはいえ、いい趣味してるなとは思う。 ……趣味。 「いや……、そんな趣味はないが。 ただ……この祭の間やることもあるからな」 その結果ストーカーまがいのことをしているわけで、疑問に思われるのは至極最もである。 「本当に酒を飲むだけなら良いがな……。 痣を光らそうとするやつもいるようだし……どういうことか、俺は知っておきたい……から、気になったものを見ておくお事にした」 (-46) eve_1224 2024/02/10(Sat) 2:15:56 |
【人】 遊蕩 ディルク>>10 エミール 正直すぎるのは玉に瑕だが、正直者は好ましい。 寧ろそう見えているなら結構結構。 評価もイメージも何ら間違いではない。 今回はたまたま、こうであっただけだ。 「……おー、指摘しちゃう?いいけどね」 「笑顔って心からじゃなくても出来るもんだよ。 そりゃ楽しい時はちゃんと笑ってるけど」 よく見てるんだなという印象。 しかしここで長話もなんだから、それじゃあ向かおう高台へ。 向かう途中は適当な話を続けただろう。 例えば、今日は何を食べたか。例えば、昨日は何を食べたか。 そもそも食欲あった?よく寝れた?行き道で何か買ってく? その程度の、適当な話。 高台周囲は街とは異なり静かで、 逃避成功だねと男は笑って街を見下ろしていた。 (11) sinorit 2024/02/10(Sat) 6:04:56 |
【墓】 栄枯 プリシラ>>+13 エリー 「大したことないあれこれを気にしちゃう性分で。 ……何もないようならそれでいいんですけど」 癒しに造詣が深いわけじゃなし、 適切な処置がされているならそれでいい。 自分を棚に上げて、他人ばかりを気にしている。 そちらの問い、表情を窺って、 何か考え込む様子を見せては、軽く息を吸った。 「……あたしね。わかってるの。 なんで祝福を受けた皆が萎れていくのか。 お話で嘉すべきとされる素敵な出来事が、 どうして当事者の笑顔を枯らしていくのか」 「早く、この夢から醒めたかったのよね」 だいたいの人にとっては悪夢と呼ぶだろうが。 それこそが紛れもない現実として焼き付いてしまうのは、 耐えがたいことに違いない。魔女はなぞらえて。 「それでも……誇りたいと思ったから。 どんな状況でもこうべを上げて咲くように。 あたしは本当に、現実に置き忘れたもの沢山あるけど、 それでもこの夢に精一杯生きて…… 夢見た魔女で居られて、とっても楽しかったの!」 (+14) backador 2024/02/10(Sat) 8:00:22 |
【墓】 栄枯 プリシラ>>+13 >>+14 エリー 魔女は両手を合わせて、ただ微笑む。 能天気に何もかもを受け入れたわけじゃない。 苦悩して、譲歩して、その先に浮かんだ答がこれなのだ。 「だから、強く悲しんだりして否定したくなかった。 ……誰かが祝福したからじゃない。 あたしが皆の分までこの夢を望むから、 光る痣を晒して、皆の為のパーティを開きたい」 誰も参加しなかろうと、ただ独りでもそこに立つだろう。 深い事情も知らぬままどこまでも独善的に咲き誇って、 現在を肯定して、いつか踏み出すための土壌を作る。 「なんであいつは平然と受け止められるんだって、 痣を持った誰かから疎ましく思われるくらいでいい。 ずっと先のいつか、他の皆の心がまた芽吹くとき、 憎たらしい大魔女の姿を絶対に思い浮かばせるわ。 それぐらい──綺麗なドレスを、あたしに纏わせて」 葉と蔦のストールを靡かせて、えらく抽象的なイメージを。 大魔女の希望することは、それだけの大きな野望だった。 (+15) backador 2024/02/10(Sat) 8:03:00 |
【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエ祭りの喧騒は、遥か遠く。 何も変わっていないはずなのに、ただぼんやりと光るあなたのうなじだけ、確かな変化を示している。 本来、聖女にとってその変化は喜ばしいことのはずだ。 この世界からあなたたちは―――あなたは、出て行かずにいてくれる。 でも、光らずにいてくれても、よかったのだ。 ううん。光らない方が良いのだと、聖女は知っていた。 あなたはそれを、望んでいるんだって。 (-47) oO832mk 2024/02/10(Sat) 10:31:29 |
【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエ「 ………… 」 だから。 あなたの言葉には、ほんの一瞬、言葉を失って。 微かに下がった眉尻。それでも、すぐに力なく、笑って。 ……―――"やっぱり"。 どうしても。そう浮かぶことだけは、止められない。 (-48) oO832mk 2024/02/10(Sat) 10:33:45 |
【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエ「 ――― ええ そう。 ファリエの いうとおり 」 あのときと同じ、諦めを帯びたかお。 「 帰って ほしく なかったわ。 ずっと。 みんな。 ……誰も 」 何年も。何十年も。何百年も。 聖女祭りが繰り返される毎、いなくなってゆくひとたちの顔は今も忘れない。 誰もがみんな、帰りたいって願っていた。 あなたと、おんなじ。だから、だから聖女は、 (-49) oO832mk 2024/02/10(Sat) 10:36:35 |
【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエルールを決めたのは、確かに自分。 決して誰かに強制されたわけじゃない。 すべて、自分の意思。 ううん、本当はひとつだけ、"例外"は確かにあったけれど。 「 でも みんな 帰りたいのよね 。 みんなは この世界が きらいなの 」 「 …… だから それなら、 もっともっと、いい世界にしないと 」 光った痣を、"聖女の祝福"にしてしまって。 みんなから「おめでとう」って言ってもらえたら、悪くないなって思ってくれるかしら。 手伝ってくれる人達の願いを叶えれば、今よりもっと住み良い世界になってゆくかしら。 帰らなくてもいいって、思ってくれるかしら。 「 ――――…… でないと 」 (-50) oO832mk 2024/02/10(Sat) 10:37:57 |
【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエ―――ねえ、ファリエ。 それでも、わたしはやさしいかしら。 みんながほんとうに帰りたいってこと、知っているのよ。 だって行かないで、って言っても、誰もここにいてくれないの。 ……わかってるの。わかっているのに。 わたしは、このお祭りを失くしてしまうことができないの。 そうやって、みんなの願いを潰えさせてきたの。 (-52) oO832mk 2024/02/10(Sat) 10:42:34 |