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【墓】 規律 ユス>>4:+27 薬局 沢山の色が混ざった笑みを見る。 やはり自分と違うと思った。他人に寄り添える、名残さえも大切にしてくれる人。 「……。寂しいという気持ちは分かりませんが」 馬鹿正直に答えながら無色透明な硝子にも似た眼差しを向ける。痕跡に触れても、自分の心に降ってくるのはただの事実だけだった。 「全部綺麗にしてしまったらわからなくなるという点は同意します。 何もかも元通りになってしまえば、生きている者は今まで通り何事もなくその場を生きた証で上塗りし続ける。事情を知らない人間からすれば存在していないもほぼ同然。その人の人らしさなどどこにも無い。 存在していないものに何かを思うことなど、出来ませんから」 滔々と語ったのち「喋りすぎましたね」とモップの柄を握り直し、掃除を始めるべく踵を返した。 (+3) もちぱい 2022/03/05(Sat) 14:01:19 |
【墓】 規律 ユス 合議の時間は裁判場の傍聴席にいた。自分にはもう投票権が無いから、静かに成り行きを見守っている。 「……そうか」 始まる前に結果を見た。一緒に生きて帰ると話した者が選ばれていた。にも拘らず、眉一つ動かさず事実を受け止める。自分で投票先を選んだ時のような動揺すら無い。 (後で印見せてもらうか) 呑気にそんな事を考えながら、話し合いに意識を向けた。 (+4) もちぱい 2022/03/05(Sat) 14:11:06 |
【秘】 規律 ユス → 剣道 ツルギ『今行く』 それだけを送って貴方の元へ向かう。無理ではないので当然行くし、無理だったとしても是が非でも行くつもりだった。貴方以外に優先するものなんてないから。 「……ツルギ。俺だ。いるか?」 暫くして貴方の部屋の扉を叩くノックと共に、淡々とした様子の声が扉の向こうから飛んでくる。 (-35) もちぱい 2022/03/05(Sat) 14:14:48 |
【秘】 規律 ユス → 剣道 ツルギ 動けない? 眉を僅かに顰めながら扉を開ける。 血痕の付いたシーツ。乱れた衣服。平穏さとはかけ離れた要素ばかりが転がっているのに、貴方は笑っている。 ……その笑みはあまり、心が動かない。 「……その様子だと、誰かに襲われたというわけではないんだな?」 そもそも誰かに襲われたのなら貴方のことだから返り討ちにしていそうだと場違いな感想をこぼしつつ。 「どうしてこんな状況になったのかは後で聞こう。止血が先だ」 周りを見れば貴方が出した道具が散らばっているだろうか。どちらにせよガーゼが見当たらないから、ガーゼをはじめ必要そうなものを出していく。 (-39) もちぱい 2022/03/05(Sat) 15:01:38 |
【秘】 規律 ユス → 剣道 ツルギ「そうか」 女の持ち物。鮮やかなルージュ。それで書かれたような印。それはまるで、未だこの青年に母と妹が纏わり付いているようで。どこまで行っても、こんな紛い物の空間にいても、呪いはいつまでも続いていると知らしめられているような気がして。 「……」 腹の底に、何かどろりとしたものが渦巻く。 死んだ者が、俺たち生者にいつまでも纏わりつくなんて。 ……ああ、これは。W嫌だW。 「ツルギ」 淡々とした声が吐き出される。普段通りに近い。けれど、ほんの少し低い声。 「すぐに止血して手当を行う。手当するのに触れてほしくないならそれにも従う」 「だから、もし、許されるなら。嫌なら断ってくれて構わないから。 その前に一度だけ」 「傷の周りを噛みたい」 (-46) もちぱい 2022/03/05(Sat) 16:03:57 |
【墓】 規律 ユス>>+5 薬局 困ったように笑う人の声を聞いた。 やはり自分と違うと思った。他人に寄り添える、名残さえも大切にしてくれる人。 ……だから、難儀な人だとも思った。痕跡に安心感を得ながら、同時に胸を痛めるなど。なんだかやめるにやめられない、中毒者のようだとも僅かながらに思ってしまった。 「……」 痕跡を消し始める前に、地面に落とした視線をもう一度だけ上げた。 「……そうですね。死人に口なし。死者に出来ることは痕跡を残すことだけ。 事実を歪めるのも、代弁だとさも当然のように死者になったつもりで何かを語るのも」 柄を握る拳に力が込められる。何故だか心臓が妙に痛い気がした。 「全て生者のエゴだ」 吐き捨てた言葉を血痕と共にモップで乱雑に拭った。それきり、青年は黙々と作業に徹するのだった。 成る程、覚えておきます。手はしっかり洗うことにします。 でも、カミクズさん。 その参考にする歌、誰が言い出したのでしょうね。皮肉だなと思いました。 死んだ人間の、僅かに残された痕跡を綺麗に片付け後なのに。 Wお誕生日おめでとうWと言うなんて。 (+6) もちぱい 2022/03/05(Sat) 16:29:24 |
ユスは、妹と弟の分はよく歌ったなと思いながらバースデーソングを口ずさんだ。 (c7) もちぱい 2022/03/05(Sat) 17:06:05 |
【墓】 規律 ユス「アクタ。話し合う者たちの集中力が乱れたらどうする。 もう少し静かに」 一瞥し、それだけ冷静に言った。 態度が最悪なのは特に気にしなかった。傍聴席来る人間、限られてるし……スペースは自由に使うといい。 (+8) もちぱい 2022/03/05(Sat) 18:22:17 |
ユスは、静かに行く末を見守っている。 (c10) もちぱい 2022/03/05(Sat) 18:25:51 |
【秘】 規律 ユス → 剣道 ツルギ 自覚してしまえば止まらなかった。皮膚の破れたところからじわじわ流れ出す血のように、重く濁った何かが胸の底を濡らしていく。 「まるで呪いみたいだ。俺のような落書きじみた印であれば、何も……いや、何も思わないことなんてないな。 ただの印であっても、妙に落ち着かない」 貴方の指が摘んでも引っ掻いても取れなかった自分の鎖骨の印を思い出す。 きっと内腿に付けられた印も同じように取れないのだろう。 「悪趣味だ。反吐が出る。お前を縛る人間は死んだ。もうお前は夫でも父でも、なんでもない筈なのに、こんな形で女の残り香がお前に付くのは」 淡々と紡ぐ言葉に滲んだ感情は、もう隠し切れない。 「俺が嫌だ」 それは砕けた硝子の破片のように。刃物のような鋭さで、忌々しげに布の下にある印を見つめた。 ▼ (-62) もちぱい 2022/03/05(Sat) 18:56:06 |
【秘】 規律 ユス → 剣道 ツルギ「なんで? そう言われてもな、跡を付けたくなった。だから噛みたい。俺の跡を残したい」 「……一成は俺のものなのに」 待ては出来る。断られれば噛むのをやめるつもりだ。どれだけ濁った何かが胸に溜まっていようとも。 ただ、声も、視線も、纏う空気でさえも最早隠そうとしない。隠せない。 貴方を追いかけるような呪いへの嫌悪が、もう過去のものになったはずの二人への嫉妬が、確かに積もり積もっていく。 跪いて、内腿へ視線を注いで、肌を押さえるガーゼを触れるか触れないかの加減でそっと触れた。 「……麻痺していると思ったが、こんなにもよくない感情が止まらないとは思わなかった。せめて、楽しいだとか明るいものも出てきてくれればよかったのに」 (-63) もちぱい 2022/03/05(Sat) 18:58:16 |
【墓】 規律 ユス「……」 一つため息。 「W上演中はお静かにW。 ……舞台などてんで分からない俺でも知っている注意事項だが」 「脚本家は裏方にいすぎて、それも聞いたことないのか?」 人差し指を一つ立て、自分の唇に持っていった。騒ぐ子供にするような仕草をアクタに見せる。 ここでは必死に覚えた世間一般的な反応を真似てもあまり良い反応されない。開き直って取り繕わない事にしたが、それにしても妙に性格が悪かった。麻痺が薄れてきたからか、人間味が出てきたのかも。 (+10) もちぱい 2022/03/05(Sat) 19:10:56 |
【墓】 規律 ユス「……。気に食わないか?」 もう一度アクタを見る。 「なら舞台に上がるといい。聞きたいことを聞いて、言いたいことを言え。脚本家ではなく、登場人物として。 少なくとも今この裁判場は、お前の出番ではないから。お前の出るべき場所でな」 「言わないのなら、存在しないのと同じだ」 (+13) もちぱい 2022/03/05(Sat) 19:45:15 |
【墓】 規律 ユス「そうか。それならちゃんと見届けてやれ」 それだけ呟いた。意地を張り続ける奴だな、と呑気に思う。きっと前を歩くにはそうする必要があるんだろうなとぼんやり思いながら。 「いじめたつもりはなかったんだがな。悪いと思わないから謝らない」 最初の顔合わせでも似たようなやりとりをしたなと思いながら、それでも最初とは違う態度と答えを返して前を向いた。 「 。」 前を向いて一人の人間が一つの決断をした瞬間を見届けた。 思うところはあったが、自分は傍聴席。喝采もブーイングもする気のない、必要ないと思っている観客の一人。 だから、口を閉じて見守り続ける。 やっぱり、理解は出来そうになかった。 (+17) もちぱい 2022/03/05(Sat) 20:43:51 |
【独】 規律 ユスカミクズ好きすぎるのでめちゃくちゃなる フカワとカミクズ、どんなやりとりしたんやろな…… フカワはどうしてその選択したんやろな……ログ見るの楽しみ (-94) もちぱい 2022/03/06(Sun) 4:10:04 |
【秘】 ユス → 剣道 ツルギ 生者は過去に手が出せない。生者は死者に手が出せない。それなのにあいつらは記憶の至る所に隠れ潜んで、一生こちらを追いかけて、一方的にこちらを侵し蝕んでくる。 その事に気付いて苦虫を噛み潰したような心地になる。呪いは伝染する。貴方を想い、貴方を自分のものだと主張する限り、己もまた苦しみ続ける。記憶を失わない限り、死ぬまで。 「……」 W俺 も Wと聞けば、ほんの少し溜飲が下がった。貴方が背けていた顔を戻せばそこにあるのは一人の青年の双眸。 感情も意思も無く、無色透明だった筈の瞳は。 どろりとした濁りを抱えたまま細められていた。 淡白であった人間は、確かに、誰かによって染まりつつある。それは不可逆の変質。 一度何かの色に染まってしまえば、もう── ▼ (-118) もちぱい 2022/03/06(Sun) 14:11:15 |
【秘】 ユス → 剣道 ツルギ「ああ。好きにする。 ──噛むことも、よくない感情を向けることも」 己と貴方の関係は何と言うのだろう。恋というにはあまりに濁っている。向ける感情が正しいかすらも分からない。 けれど、それでいい。貴方が許してくれるから。 シーツもガーゼも、隠すものは一度全てこの手で剥ぎ取る。眼前に現れた印を改めてしっかりと目に焼き付ければ、心が酷くざわつき始めて煩かった。 もう部屋の外のことなんて何も考えられなかった。紛い物の箱庭の、狭い世界で貴方を独り占めしているよう。 ──もっと所有したい。己のものだと、伝えたい。 音もなく開かれた口腔から白い歯が覗く。間もおかずそれは貴方の内腿へ。柔らかな、けれど無駄などない青年の肉へ牙を突き立てる。 決して強い痛みは無いけれど、暫く消えない赤い跡が着くように。 鉄錆の匂いを吸い込みながら、一度。貴方を喰んだ。 (-119) もちぱい 2022/03/06(Sun) 14:12:41 |
【秘】 ユス → 剣道 ツルギ 貴方が注いだ相手は貴方と同じ顔をしていない。剣城一成の面影など何処にもない。 ああ、でも、この濁りは紛れもなく自分には無かったもの。貴方から注がれて生まれたもの。 誰かが自分と貴方を似ていると思っていたらしいけれど。まさかこんな部分まで似るだなんて、いったい誰が予想できただろう。 口の中にも血の味が広がる。こくりと喉を小さく鳴らしながら貴方のいのちを飲み干して、肌に残った血とも口紅とも違う赤色が日の当たらない場所に残ったことを目に焼き付けた。少しだけ、満足した。 欲しいものすら浮かばないと少し前まで思っていたはずなのに、こんなにも自分が欲深かったなんて思わなかった。 ……それすら、貴方のせいにしてしまおうか。 「……ん、ああ」 視線を持ち上げ、寛げた場所からルージュが覗いているのを捉える。それが投票と二回目の者による選択で生まれた偶然だということは、頭では分かっている。 ……それなのに、歪み始めた頭ではW妻だけでなく娘の分まであるのかWだなんて思い始めるのだからもう手遅れだ。 「する」 許されているようで、受け入れられているようで、誘われているようで。どこか、胸の奥に仄暗い熱で炙られているような心地になる。 ▼ (-137) もちぱい 2022/03/06(Sun) 17:21:14 |
【秘】 ユス → 剣道 ツルギ もっと付けたい。もっとあげたい。 内腿に噛み付く為に丸めていた背はまっすぐ伸びて膝立ちに。 両の腕で貴方の肩をそっと掴み固定して、貴方の血でてらりと濡れる唇をルージュに寄せた。 「……っ、ふ……」 口付けだなんて、キスマークだなんて生やさしいものではなくて。噛み付いて所有の印を刻む為の行為。呪いを汚泥で塗り潰すような見苦しいと言われかねない行為。 同じように一度噛み付く。引っ掻いたような形跡はあるけれど、こちらは大きな傷はないことに気付く。 貴方がもし拒まないのなら。 そのまま続けて痕を刻み続けるだろう。少し体重をかけて、逃げないように。 二度、三度、四度、五度。 何度も何度も何度も何度も。 (-138) もちぱい 2022/03/06(Sun) 17:22:07 |
【墓】 規律 ユス 裁判場を後にするアクタを一瞥した。 死んでほしくない人がいるという気持ちは漸く分かってきた。けれど、皆の話がどうしても遠いもののように感じてしまう。何故あんなにも悩んでいるのかと。 死は取り消せない。死だけは作り物ではない。否、死だけじゃない。感情だって本物だ。 自分の胸の内にはその感情と呼べるものの死骸ばかりが転がり腐れ果てていたけれど。 「……貴方なら、どう思っていたのでしょうね」 他人に寄り添う優しすぎる青年の姿が脳裏によぎった。名残すらも大切に、心を痛める清掃員ならこの現状に何を思うのかと。 「……」 周囲を見渡す。 漸く、彼が裁判場に来ていない事に気付く。余程のことがない限り、傍聴席で参加者の話を聞いていた彼の姿がない。 そんな日もあるだろう。でも、掃除で無理をしてしまったんじゃないだろうか。 後で彼の様子を見てみようか。そんなことをぼんやりと頭の片隅で考えていた。 (+24) もちぱい 2022/03/06(Sun) 18:24:57 |
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