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【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 小夜啼鳥 ビアンカ/* ご連絡ありがとうございます。 >>1:G34 ですが、間を開けすぎたのでどうしたものかと迷っていました。もっと早くご連絡すべきでしたね。すみません。続けていいなら秘話でさせていただければ……と思いますが、どうでしょうか? (-15) rik_kr 2022/08/14(Sun) 21:49:22 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 小夜啼鳥 ビアンカ>>1:G34 【アルバアジト】 「徒歩? 勿論構わないよ。いいのかい」 「君の声を長く聞いていられるのはとても光栄だけど」 冷ややかな視線を朗らかな笑みで受け止めて返す。本来と逆転した身長差だ、やや上目遣いのようになるだろうか。 愛想ない物言いにむしろ男は安心していた。色々と様変わりするこの世界で、もっとも入れ替わりが激しいのが娼館界隈である。一般の客を取り、その上人を商品にする業界だから、表立ったトラブルも多い。君ももう入ったばかりではない。そういったことにいちいち参るような繊細さは失ってしまったかもしれないが。 いつもどおりだ、と心の中で安堵する。ならきっと、そう酷いことは起こっていないのだろう。 ────仕事を除いて。 (-25) rik_kr 2022/08/14(Sun) 22:52:49 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 家族愛 サルヴァトーレ【アルバアジト】 「金とってやろうかな…」 ふ、と口許を歪ませる。 なんとも馬鹿にしたような笑みだが、 そこには気やすさと、どこか甘えるような含みがあった。 「あなたこそ、いいの。 のろのろ歩いているくらい暇なら、べつにいいけれど」 彼女は今日も商品価値がある程度には美しく、整った服を身に着けている。 その布の下は、わからないけれど。 (-29) gt 2022/08/14(Sun) 23:13:01 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 花で語るは ソニー「……どーも」 雑踏の中を歩くあなたに、声がかかる。 振り返れば、あるいはそちらに意識を向ければ、なじみの娼婦が壁に背をもたれてたっていた。 先日、あなたが声をかけるなり、面倒そうな顔をしてさっさと立ち去ったつれない女だ。 いつもよりしっかりとしたメイクは、それでも目許の疲労を隠しきれていない。 「こないだからフラフラと。 今大変だと思うけど。 暇なの?」 ふらふら、としているのは、この女の方だった。 祭りなんて、彼女のような職業にとってはかきいれどきだ。 店にいるべきだったし、あなたならそれを叱責することもできるだろう。 /*更新にともなうもろもろあると思いますので、よきタイミングで! (-30) gt 2022/08/14(Sun) 23:16:32 |
【秘】 花で語るは ソニー → 小夜啼鳥 ビアンカ「ビアンカ。よかった、元気してた? それどころじゃないみたいだったから、心配でさ。 オレは花屋も繁盛してるけど、休めないほどじゃないよ」 相手の姿を見れば、嬉しそうに。どこか浮かれているような表情、そう見える。 街中にある男の顔はあくまで"花屋のソニー"であって、仕事仲間ではない。 さしずめそれなりの階級のある娼婦かコールレディに入れ込んだ、愚かな若者。 そう見えるように、やたらと構いすぎるくらいの前のめり具合で駆け寄った。 「お店戻るのしんどい? オレ同伴しようか。 それともどっか気の紛れるところにいこうか?」 おそらくは店が開いていておかしくない時間なのだろう。 相手の事情なんかは全く知らないふうに振る舞いつつ、合わせられるようにとさりげなく様子は伺う。 (-39) redhaguki 2022/08/15(Mon) 0:22:17 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 花で語るは ソニー「………元気。 商売できるくらいには。 あなたほどじゃない」 駆けよってきた男の気遣いを全くの無碍にするではなく、 けれどそれほど尊重するでもなく、ゆるゆると言葉を返す。 つまりは今は、商売外だということのようだ。 「今日は……いい。 少し、気になることが……」 長い睫毛が、ぱち、ぱち。 二度三度と上下して。 「……静かで、誰もいないところなら、行きたいけど」 あなたの目をじ、と見た。 (-44) gt 2022/08/15(Mon) 0:45:43 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ”昼行灯” テンゴ「……あの、」 その後に続くことばは、こんにちはだったろうか、 それともこんばんはだっただろうか。 あなたの営む駄菓子屋の店先から──店なんて開いている時間がなかったのなら、道を歩くあなたの前に歩み出て──ひとりの女が声をかけてくる。 そいつは、ノッテ・ファミリーとまさに一触即発の状態にあるはずの、アルバの傘下にある娼婦であった。 それをあなたが知っているかは、わからないけれど。 (-59) gt 2022/08/15(Mon) 1:52:29 |
【秘】 ”昼行灯” テンゴ → 小夜啼鳥 ビアンカ男の店は何時だって開いている。 例え、親しい人が、ボスが死んだとしても、だ。 とてもではないが妙な格好をしていると言わざるをえない店主は、店に据えられた椅子に腰掛けた状態で、貴方の声にゆるりと顔を向ける。 「おっと。いらっしゃい、お嬢さん。」 「何か菓子でも入り用かな?」 男は知らない。 貴方が娼婦であり、アルバの人間であることを。 (-75) ぴんじぃ 2022/08/15(Mon) 3:24:41 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ”昼行灯” テンゴ「お菓子」 そう聞いて、何か言おうとしていた口を一度閉じて店内を見回す。 お菓子。 その言葉には、ちょっと興味がある、ようだった。 けれどすぐに、その長い睫毛と眸を伏せる。 もう一度双眸をあげた時には、そこにはあなたの顔、しか映っていなくて。 その形のよい、つうと流れるように朱がひかれた唇を小さく開ける。 「……ええと。 …………ノッテ、……という、マフィアのファミリーについて…… 何か、ご存じ、 です、よね?」 ――その口から零れたのは、そんな言葉。 あなたについて何も知らない、けれど、知っている言葉だった。 ▽ (-77) gt 2022/08/15(Mon) 4:18:10 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ”昼行灯” テンゴ/ * あなたがノッテ・ファミリーになにかしら関係するものであることを、客の誰かから聞いた…という想定です。 (コンシリエーレであることや、裏の顔については知りません。 むしろ、ちょっと低い身分の者ではないかと思っています) 情報について問題ありそうでしたら、ただの根拠のない噂話ということにしますので…! 既知相談なしで申し訳ございませんが、ふうわりとご確認いただけましたら幸いです。 ※ランダムに導かれてやってきました (-78) gt 2022/08/15(Mon) 4:19:16 |
【秘】 ”昼行灯” テンゴ → 小夜啼鳥 ビアンカ「ふむ…」 その言葉に、どう答えたものか、と考える間があり。 「知っていたとして、先ずはそちらの名と所属を名乗るのが筋ではないかね?」 ノッテではないことは間違いない。 であれば、男とて慎重になるのだ。 (-81) ぴんじぃ 2022/08/15(Mon) 8:16:25 |
【秘】 ”昼行灯” テンゴ → 小夜啼鳥 ビアンカ/* ご連絡ありがとうございます! 諸々承知しましたので、その体でよろしくお願いします。 ぷう (-82) ぴんじぃ 2022/08/15(Mon) 8:22:30 |
【秘】 花で語るは ソニー → 小夜啼鳥 ビアンカ「そっか……祭りのせい、それとも、別のこと? なにかあったなら、オレは話聞くけれど」 気遣わしげに、ほんのすこしだけ下にある目を覗き込む瞳の奥はいつも通りだ。 ジェイドの瞳の奥底にはいつも、冷えたアイスブルーが埋まっている。 見た目のままに、おろおろと案じているわけではないということだ。 「――」 ごく微かに、目の動きだけで周りの様子を確認した。人並みの気配一つ一つを検分する。 状況が状況、どこに何を見とがめる者があるかもわからない。 ほんの一瞬の動きのあと、改めて相手に目を合わせた。 「いいよ、どこか移動しようか。 街の方は人通りが多いから、海のほうに出る? レンタカーとってくるよ」 配達車はアシがつく。近くのレンタリースに電話をかけて、一番安い車を取った。 大きな幹線道路に出る道は監視されているかもしれないから、使わない。 そう時間のかからないうちに車は準備される。繋ぎではあるが、他人に聞かれるようなことはない。 (-85) redhaguki 2022/08/15(Mon) 8:39:14 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ”昼行灯” テンゴ「――……失礼しました。 ビアンカ。 ビアンカ・ロッカ。 【Pollo Nero】… ああ、……ナイト・バーの従業員です。 場所代は、アルバさんのほうに」 ばつが悪そうに、けれど目を逸らさない姿からは、 自らの間違いを認めたがらないような強情さと、 きちんと礼を尽くすことを基本としたような教育を感じさせる。 そうして、どこか曖昧とした言い方の中で、 彼女は自らの所属を語る。 正式な構成員ではないにしろ、アルバ・ファミリーの傘下にあるものだということだ。 (-105) gt 2022/08/15(Mon) 12:49:49 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 花で語るは ソニー瞳を合わせるだけで、どこかひんやりと体の奥が冷えていくよう。 肌を合わせればとうぜん、誰だって暖かいのに、 そのアイス・ブルーを暖めることはどうしたってできはしない。 「……お祭り騒ぎのせい、かな」 合わせていた目を逸らすと、 細く美しい筆で流れるように朱をひいたような、 可憐な唇を小さく開ける。 筋肉と緊張がもたらす強張りが、その美しさをいささか損なってはいたけれど。 それでも、彼女は化粧を怠ってはいなかった。 ホルスターに銃を差すように。 それが、自らの武器であるかというように。 「ええ。 お願い。 ……危ないところはいやだからね。 誰かをつれてくるなんて、デリカシーのないこともやめてね。 今日は、そういうプレイの気分じゃないの」 それでもその冗談めかした答えにどれだけ白粉をはたいても、 恐怖の色を隠すことはできていなかった。 あなたが車を用意するなら、文句も言わず──そしてどこか当然のような慣れた態度で、助手席へと誘われるのを待つだろう。 (-106) gt 2022/08/15(Mon) 12:56:25 |
【秘】 花で語るは ソニー → 小夜啼鳥 ビアンカ歩かなくともいい位置に車を寄せ、助手席の扉を開けきちんとエスコートするまでが仕事。 扉を閉めて、運転席に乗り込む。表情はそう大きく変わらないが、目線は落ち着いた。 市街に駐車場のあるホテルはあまり多くない。市民も使うようなふつうの手段だ。 やがて車は走り出し、周りの車に合わせた速度で道を征く。 「……しんどい? 今の状況。 ビアンカの立場からしてみたら、自分の力だけで身を守れないことに、 無理やり首突っ込まされたような感じだから……あんまり気が気じゃないかもな」 直接的には、あれこれとは口端にのぼらせて言ったりはしない。 けれども表通りの賑々しさと裏腹にひりついた裏通りの様子に、 相手が多少なりとも神経をすり減らしているのだろう、と推測して。 たかだかのメイドマンにあれこれと口を出す権利があるわけではない。 けれども講じれる手段を考えるくらいは、出来ないわけじゃない。 島から出ていけたらいいのだろうけど、そはできない。 「土地の店やってる人間のところはどうしてもどっちの息が掛かってるかわからないよ。 市外か、国外のチェーン経営しているところに籠もったほうがまだ信用できる。 幹線に繋げそうなところのホテルにでも運ぶよ。店にはオレが言っておく」 (-115) redhaguki 2022/08/15(Mon) 16:54:02 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 花で語るは ソニーエスコートされるがままに助手席に乗り込んで、ふわりとはしたなく広がりたがるスカートを掌でそっとたしなめる。 バックミラーを視界の端に捉えながら、視線はわずかに斜め前。 するすると動き出した風景を縫い留めようとするかのように、 どこでもない一点を見つめるだけだ。 「……楽、ではない。こういうとき、私達みたいなものは…… 関係者として狙われたって、おかしくないし、けれど表立って抵抗もできない。 何されたって、どんな死に方をしたって、誰もが『ああ、やっぱりね』と形だけ悼んで、どこの花屋がつくったかもしれない気取った花束を投げるだけ」 その言葉には、確かに体の奥底まで染み付いた血と、炎のにおいがするようだった。 ――アルバとノッテは、つい、ここ最近まで表向きはうまくやっていた。 まだ年若い彼女が、マフィア同士の抗争を骨の奥まで刷り込まれるようなことはなかったはずだ。 だからそれはきっと、ここではないどこかのことなのだろう。 そうして、ホテル、といわれれば、ゆるゆると首を横にふる。 「……ううん、ちょっとだけ……ちょっとだけでいい。話がしたいだけなの。 あなたと。…あなたじゃなくてもいいんだけど。 夜には、お店には、戻らないと。あいつらも……あの子もいるし」 あいつら、というのなら、彼女の同僚であり部下でもあるような娼婦たちのことだろう。 彼女は娼婦たちから上納金を巻き上げるような立場ではあったが、それにふさわしい庇護をファミリーに押し付けてきた。 つまりは、それが情によるものか、商売としての必要性かはともかく、ビアンカにとって娼婦たちは守るべき存在であるということだ。 ――あの子、というのは、ビアンカが自分の部屋に住まわせている男娼の少年のことだ。 それをあなたが知っているかどうかは、わからないけど。 がたん、と。タイヤが路面のなにかを踏んだのか、彼女の髪がほんの少し跳ねて。 ▽ (-117) gt 2022/08/15(Mon) 17:36:09 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 花で語るは ソニー▽ 「ソニー。……この街の外に逃がすなら、何人まで頼める?」 彼女は、窓の外を向いていたから。 そう言った時、どんな顔だったのかは、硝子に映ったさかしまの顔でしかわからない。 (-118) gt 2022/08/15(Mon) 17:36:58 |
ビアンカは、本当にいいたいことなんて何一つ言わない。 (a8) gt 2022/08/15(Mon) 17:38:55 |
【人】 小夜啼鳥 ビアンカ>>25 ヴェルデ【街中】 あなたが人の波をかきわけ、屋台であれこれと会話をする姿を、 ビアンカはゆるく腕を組み、両足を確りと石畳に打ち付けるようにしてただ、見ていた。 それは日本語に堪能なものは、この街には少ないのだから、その表現が使われることはあまりないのだけれど──仁王立ちというにふさわしいような姿だった。 「ん」 あなたが釣銭を持ってきたのなら、またよろしい、と頷いて、それを受け取る。 それをどこかしら、おそらくは服の隙間に拵えられた隠しポケットの類──にひょいと放り込めば、 掌を空にしたままであなたの先を歩きだした。 「行くよ」 ふうわり、と、スカートが膨らみ、踊る。 細く長い足が、かつかつとまた音を奏でだす。 あなたはさきほど、人波を縫うように歩いたけど。 彼女は人並みの真ん中を、相手が退くのが当然といわんばかりに歩くのだ。 (27) gt 2022/08/15(Mon) 20:43:21 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 小夜啼鳥 ビアンカ「いいとも。何が欲しい?」 残念ながらそういう嫌味────或いは冗談、軽口────は、この男には通用しないらしい。君がそれを知って口にしたのか、うっかり忘れていたのかは定かではないが。 男は嬉々として立ち上がるだろう。長い脚が大股に地を蹴って、君の斜め前へと立つ。進路は塞がず、エスコートの位置。 「君はそんな心配しなくていい、可愛い人。君より優先しないといけないことなんてあるはずないだろう?」 「新しいドレスを買うかい。それとも靴? そういえば、新しいパスティチェリアが出来たのを知ってる? タルトが絶品なんだ」 モノトーンでまとめたいつもの君のコーディネート。 きっと男が派手なものを勧めても断るのだろうけど。 (-134) rik_kr 2022/08/15(Mon) 22:14:49 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 家族愛 サルヴァトーレ「もらうならちゃんとした仕事で貰うよ」 ち、と舌打ち。 まぁ、いつものことだ。 つんと顎先をあげて、自分のペースで歩く。 好きに歩けば、好きに合わせてくるだろう。 いつものように。 「そう。 私には、私より優先することがたくさんあるけれど」 「ドレスも靴も間に合ってるわ。 これ以上、私の衣装棚をぎゅうぎゅうづめにしないで。 ……──……、 ……タルトね」 すげなく言葉を返しながら、あなたを従えるように雑踏の中を歩いていく。 かつ、かつ、かつ。 靴底が鳴る音に合わせて、すげなくかけられる言葉を切り捨てて。 ――……菓子の名が出て、少し言葉に詰まった。 「…………どこにできたの?」 それまでそんなことはしなかったのに。 つい、とわざとらしく目を逸らす。 (-136) gt 2022/08/15(Mon) 22:38:22 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 小夜啼鳥 ビアンカ「それもいいね。空いてるの、今日は」 世間話の温度で都合を問う。当然がっついているわけはなく、あくまで選択肢のひとつ。君が勤勉でよく客を取り、予定が詰まりがちなことも男はよく心得ていた。立場や財力を振りかざして無理強いをしたりすることは当然ない。 余裕綽々、口調も歩様も。 「そう。じゃあ尚更僕が見ておかなくちゃ」 突っぱねられても、愛想なく澄まされても男は気にしない。そうあると君は知っていてそうするのだから、ある種信頼があると言い替えてもいいだろう。そういうことがわかるくらいの仲ではある。 わかるから、男もそうするのだ。逸れる視線に笑みが零れた。 「五番通りの右から三つ目。ほら、以前アンティーク・ショップが入ってた」 「カフェも併設しててね、なかなかいい雰囲気のところだ。あのあたりは道がカーブしてるから、車も音を立てて走らないしね」 (-144) rik_kr 2022/08/16(Tue) 0:03:18 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 家族愛 サルヴァトーレ「……予約は入ってないけど」 本当に立場が上なのはどちらなのか、わからないわけじゃない。 それでも、自分の"商品価値"を損なうことはできないし、したくはなかった。 ――だからこんな時でもいつものように、あなたが整えたようにふるまう。 それは別に苦ではなかったし、むしろ気安さの表れでもあった。 「ま、いいでしょう。見て楽しいものには、しているつもりだから」 あなたの視界の中で、自分が一番のものである。 そう信じているかのように背を伸ばして、商売女は歩いていく。 たとえ、その胸のうちがどうであろうとも。 「ああ、あそこ──……ふうん。 なかなか、よさそうな場所」 「……今度、一緒にいってあげてもいいよ」 よっぽど気になるのだろう。いつもはめったに言わない、そんな露骨なことを言って、つんと顎をあげた。 (-149) gt 2022/08/16(Tue) 2:02:25 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 小夜啼鳥 ビアンカ「へえ? それは珍しいね。みんな聖母にうつつを抜かしてるってわけだ」 「僕には君の方が魅力的だけど。お邪魔しても?」 男は誰に対しても親しげに接する。立場の差なんてないもののように、しんから対等であるかのように声をかける。 それでもやはり肩書きの力というものは大きくて、遠慮がちに接してくる者の方が多いのだ。 だからこそ君の遠慮ない態度を嬉しく思う。それが仕事柄の振る舞いの一環だとしても────それだけではないように、なんとなく思っているのだ。口にはしないが。 「もちろん。飽きやしないさ、君は見る度に新しく美しいしね」 世辞のようですらある、しかし本心だ。こちらは恥ずかしげもなく口にした。 「そうだろう?」 同意の言葉には軽く返答。続く言葉には、やはり笑みを保って答えるだろう。 「本当? 嬉しいよ、ビアンカ」 「その日は車で迎えに行っていいかい、お姫様。それともやっぱり、歩いて行く?」 君が甘いものを好むことは知っているのだけど、こうすんなり快諾してくれるとは思わなかった。今日は運がいいのかもな、なんて心の中で呟いた。 (-154) rik_kr 2022/08/16(Tue) 2:44:26 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 家族愛 サルヴァトーレ「そう? うれしい。 ……あなたにも、ちゃんときれいに見えている? 少しでも、好きになってもらえるかんじなら、いいんだけど――…?」 くるり、と表情がかわる。 はりついたような笑顔。はりつけたような笑顔。 わざとらしいまでに商売用の顔に切り替えてから、ぱ、とその色を消した。 ベッド・サイドのランプ・シェードのように、かち、と引けば一瞬だ。 「……世界中の誉め言葉を集めたって、あなたのそのひとことにかないやしないよ。きっと。 聞いてて、悪い気はしないけどさ」 ありがとう、と。それが本心かどうかはわからないお礼を、艶のある唇に乗せる。 ほんの少し歩幅を広く、早くして、あなたの言葉を置いてきぼりにしようとするかのよう。 「まあ、落ち着いたらね。車は──…… 嫌」 そう言うと、こつ、と。一際高く、靴音を立てて。 ――……一瞬だけ。あなたの靴に、ちらりと目を落とした。 「私は石畳を踏む、この靴の音が好きなの。あなたの靴音も、まあまあね」 意味不明だ。けれどその言葉を、まるで数学の公式のように当たり前のものとして語る。 彼女はそういう女だった。うそと意地ばかりはって、 本心なんて、一言たりとも口にはしないのだ。 ▽ (-160) gt 2022/08/16(Tue) 4:45:05 |
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