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【独】 XIV『節制』 シトラ/* かみさまーーーーーーーーーーーー!!!ウ・・・━━(。・ω・)ウワ━(。-ω-)ァァ━・゚・(。>ω<)・゚・━━ン!! ところで結構いっぱい書いてたろるが箱の暴動で全部消えてしまってショックが大きいです ちょっと寝てきます………… (-1) rinto 2022/12/20(Tue) 0:14:13 |
【教】 XIV『節制』 シトラ[ 『節制』は、箱庭を愛していました。 世界を生み出した神様を愛していました。 自分と同じように箱庭に生み出された子らを、 それぞれに大切に想っていました。 相反する性質を持つ者たちの集う箱庭では 諍いが度々起こりました。 彼らが諍いで互いを傷付けすぎてしまうことのないよう、 一たび争いごとが起きたなら駆け付け 仲介役を進んで買っていました。 神様が『節制』へ贈った贈り物は「虹」 相反する二つの性質の間に立ち、 それらを結び付けることの出来る贈り物でした。 特別安らげるのは、親友である『隠者』の傍。 『隠者』は思慮深く、慎重で、思い遣りに満ち 誰よりも『節制』の性質を理解してくれます。 『節制』もまた『隠者』を誰よりも大切に想っていました。 晴れた空の下、よく二人だけのお茶会を開きました。 湖畔で涼やかな水音を聴きながら アイリスの花を眺めるのがいっとう好きでした。] (/28) rinto 2022/12/20(Tue) 14:45:40 |
【教】 XIV『節制』 シトラ[『節制』は規律を重んじ、節度を弁え 慈愛を尽くすためならば自己犠牲をも厭いません。 東に呼ぶ声あれば飛び、西に呼ぶ声あれば駆け 求められれば求められるがままに献身し、 皆の幸せを心から願っていました。 最初はきっと興味本位で始められたのでしょう 『運命の輪』の手による幸運と不運の流転。>>/70 やがてどちらをも楽しむようになってしまった>>/71 『運命の輪』のことを、その勝気な奔放さを 『節制』はどうしても理解できません。 初めこそ純粋に心配をしていましたが、 徐々に苛立ちを覚えるようになってしまいました。 『節制』が戒律し、己を戒めていましめて とても出来ずにいるようなことをも 無邪気に成し遂げてしまうから。 羨望の色を孕んだ、醜く身勝手な苛立ちでした。 『節制』は自分が『運命の輪』を嗜められる気がしません。 『正義』に任せて、距離を置くことにしました。] (/29) rinto 2022/12/20(Tue) 14:46:23 |
【教】 XIV『節制』 シトラ[ わたしは神様を愛しているのに 神様の創りたもうた子に苛立つなんて! 『節制』は自分の中に生まれた矛盾に苦しみました。 こんな自分は『隠者』にだけは知られたくない。 ひとり苦しむうちに、ぽきり、と何かが折れました。 どんなに仲介役を続けても ただその場では丸く収まるというだけ。 争いの火種がそれぞれの個性に在る限り 諍いが完全に絶えることはありません。 ……つかれたな。 ふとそう思いました。 仲人役を務めることが虚しくなってきましたし 自分の存在は箱庭に必要がないような気もしてきました。] (/30) rinto 2022/12/20(Tue) 14:46:35 |
【教】 XIV『節制』 シトラ[ やがて思いました。 わたしが間に立とうと、立つまいと さして結果は変わらないのではないか? 愛する神様からの贈り物を使いこなせない己に 『節制』は、失望しました。 必要がないのなら、わたしが生み出された理由は何だ。 「わたしは、神様から愛されていないのではないか?」 奇しくも『運命の輪』と真逆の発想に至りました。] (/31) rinto 2022/12/20(Tue) 14:46:58 |
【教】 XIV『節制』 シトラ[ 神様を、箱庭を愛するがゆえに積み重ねてきた 丁寧な暮らしが荒れるようになりました。 箱庭の何処かで諍いが起こっても 知らぬ存ぜぬを貫きました。 昼夜は逆転し、好きなだけ酒を煽り、殻に閉じこもり 美しかった紅い翼はぼさぼさになってしまいました。 そんな情けない自分を誰にも見られたくなくて 『隠者』には特別見られたくなくて もしも『隠者』が自分の元を訪ねてきてくれても ひとりにしてほしい、と拒んでしまいました。 そんなある日のことでした。 『悪魔』が、『愚者』を殺しました。 どんなに諍いが続いても殺し合いに発展することはないと 『節制』は心の何処かで油断していました。 だからこそ見て見ぬふりをしていました。 ──取り返しのつかないことが起きてしまった。 わたしが間に入ったとて 止められはしなかったかもしれない。 だが、『愚者』の死は防げたのではないか? ] (/32) rinto 2022/12/20(Tue) 14:47:31 |
【教】 XIV『節制』 シトラ[ 自責の念に駆られた『節制』は我に返りました。 神様が愛した、穏やかな箱庭を取り戻すために。 混乱に陥った箱庭を鎮めようと 『節制』は、再び諍いを仲介し始めました。 そのうちに誰かが刃を持ち出しました。] ──いけません わたしたちがわたしたち同士で 傷付け合ってはなりません……!! [『節制』は仲立ちを試みながら どうにかして刃を奪い取ろうとしました。 力任せに奪い取ろうとしたその弾みで 『節制』の身体は場外へと投げ出され、 掌の中の刃は──── ]** (/34) rinto 2022/12/20(Tue) 14:47:50 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ こうしてふたりこの場所で座っていると いよいよいつもと変わらない気がした。 世界の崩壊も、突きつけられた残酷な選択肢も すべてが悪い夢だったような気分になってくる。 けれどこうしている今も、世界のどこかで この洋館の中でも泣いているひとがいる。 他のみんなは、ヒナギクさんの元に集まっただろうか。 クロさんも広間へ向かっただろうか。 エーリクさんは、……別れ際 わたしに何か言おうとしていた気がしたけれど>>2:254 あれから誰かとお話できただろうか。 アリスさんは、クリスタベルさんは、 カルクさんは大丈夫だろうか。 少なくともチェレスタさんとフォルスさんは きっと現状に胸を傷めてるんじゃないか。 フォルスさんが悲しめば シャルレーヌさんもきっと悲しむ。 こんな状況下でもアリアちゃんは いつも通りに落ち着いて冷静に見えた。>>393 いつだって余裕のないわたしは彼女の そういうところに幾度となく救われていて、 そういうところも安らぎを覚える一因なのだと思う。 そう在るように努めてくれている、ようにも感じる。 ] (63) rinto 2022/12/20(Tue) 15:14:13 |
【人】 XIV『節制』 シトラ……わたしさえ、わたし自身のことが 時々わからなくなってしまうのに すごいね、アリアちゃんは わたしよりも、わたしのことを よくわかってくれてる……気が、する。 [ 誰よりも一番の理解者であろうとしてくれている。 理解しようと努めてくれている。 そして、 彼女の一番の理解者でありたいと願うわたしもまた 彼女が詭弁と称するその選択を>>394 薄々予想してしまっていた。] ……………………、 ……わたし、 (64) rinto 2022/12/20(Tue) 15:14:22 |
【人】 XIV『節制』 シトラわたしも、……アリアちゃんは アリアちゃんだけは、 きっと、わたしがどんな選択をしても そう、言って…………くれるんじゃ、ないかって 傍にいて、くれるんじゃ…………ないか、って …………思って、しまって、 ……て。 [ 世界とともに果てる運命が待ち受けているとしても 世界が存続したとして、もしも この洋館に居られなくなったとしても。 アリアちゃんだけは、きっと傍に居てくれる。 最後までわたしの傍に居てほしい。 ──……なんて。] (65) rinto 2022/12/20(Tue) 15:14:31 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 彼女には彼女の人生があって 彼女はわたしより聡明でずっと慕われていて 彼女を失いたくないひとは他にも大勢居るはずで 誰よりわたしが彼女を失いたくない。 世界に滅んで欲しくないと語りながら あなたと終えられる世界ならきっと幸せだろうなんて、 おぞましい思考に及ぼうとするわたしが怖かった。 厳重に鍵を掛けて心の奥底にしまい込むべきだ。 声に出せば今隣にいる資格さえ失ってしまう。 そう怯えていたわたしに彼女は まるでいつものお茶会の延長線かのように さも当然とでも言うように、あっさりと口にする。] アリアちゃんはいつもわたしを 守ろうとして、くれるけど…… わたしも、……わたしだって アリアちゃんを護りたいんだよ。 (66) rinto 2022/12/20(Tue) 15:15:00 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ そうしたいと思ってくれているのは 本当にアリアちゃんだろうか。>>3:395 彼女を苦しませたくないと、 わたしとともに居て欲しいと 願うのは『節制』じゃなくシトラだろうか。 わたしは、アリアちゃんを── そう思うわたしを、信じたい。 それは……気にするよ だって、……だって アリアちゃんまで 死んじゃうかもしれないんだよ…………! [ あなたが、わたしの希望なのに。 じわりと滲みはじめた涙を袖で拭った。 しゃきっとするって、クロさんと約束したばかりだ。] (67) rinto 2022/12/20(Tue) 15:15:19 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 彼女の答えを聴いても、わたしの選択は変わらない。 この世界を叩き壊してまで行く箱庭に、 わたしも幸せはないと思う。 聴くだけじゃいまいち実感が湧いてこない、 そう語る彼女の気持ちもわかる。>>396 わたしの知る世界もひどく狭くて 生まれ故郷と、この洋館と 近くの街くらいしかまだ知らない。 こくん、と小さく頷いて ] あとで、……わたしも、中継機、一緒に見る。 見て気持ちの良いものでは、ぜったいに、ないけれど [ 廊下を走っている間に広間から聴こえてきた悲鳴。 それがもっと惨い形で映し出されるのかと思うと、] それでも、目を背けたくても ……背けちゃいけない、って……思う、から [ わたしたちの選択が世界の存続に関わっていて たった一票でもわたしの意志が反映されてしまうなら、 わたしは否応なしに、もう第三者では居られない。 ] (68) rinto 2022/12/20(Tue) 15:15:31 |
【人】 XIV『節制』 シトラ…… 世界を、変えられる…………? [『ただ、』と前置く彼女の周りを 取り巻く空気の流れが変わった気がした。>>397 どういうことだろう。 続きを促せば、] 区別されない、世界………… [ 証持ちかそうでないかで区別されることのない世界。>>399 それは、わたしも常々考えてはいて かといって何か実現の為の妙案が浮かぶ訳でもなくて 誰にも話さず胸の底深くにしまっていた想いだった。] (69) rinto 2022/12/20(Tue) 15:15:42 |
【人】 XIV『節制』 シトラ借り物…… 誰か、そう話していたひとがいる ……って、こと…………? [ 固唾を呑んで聴き入って ] ………………!! [ 弾かれたように、顔を上げた。] (70) rinto 2022/12/20(Tue) 15:15:50 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ アリアちゃんが言った『新しい宗教』と フォルスさんに最初に興味を示した意味、 わたしの中、一本の糸でぴんと繋がる。] もしかして、もしかして 二十二人が揃っても、世界が滅びなくて 教典の内容が覆せれば 証持ちは怖い存在じゃない……って わかってもらえるかも、しれない…………!? [ すぐには難しいかもしれない。 それでも、時間が掛かっても少しづつ説いてゆければ。] すごい…… [ 世界が変えられるかもしれない。 わたしたちの生きているうちには無理だったとしても 遠い未来に、もしもまた 次の代の証持ちたちが生まれてくるのなら その子たちが生きる世界は、 今よりは優しいものになるかもしれない。 ] (71) rinto 2022/12/20(Tue) 15:16:01 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[それは、これ以上ない希望のように思えた。 ] わたしも……この洋館での暮らしは、 すきだし すごく、感謝も……、してる、よ。 [ 清潔なベッドと着心地のいい服、広い部屋 あたたかい食事に熱いお湯、お風呂 蔑まれる恐怖に怯えずにいられる平穏な暮らし。 洋館での暮らしはそれまでに比べればずっと快適で 故郷にいた頃よりずっと自由だった。 あまりにも幸せで、 辛かった過去をも忘れてしまいそうで 決して忘れてはいけないと叫ぶように 何度も繰り返し悪夢に魘された。 守ってくれるひとたちがいて、 やりたいことを見守ってくれるひとたちがいて 学問を与えてくれるひとたちがいて 一緒に食事をしてくれるひとたちがいて、 淋しい時には、傍に居てくれるひとがいた。] (72) rinto 2022/12/20(Tue) 15:16:40 |
【人】 XIV『節制』 シトラ……うん 今のままの世界じゃ 叶えることは、できないと……思う。 近くの街にただ、遊びに行くだけでも 細心の注意を払って、身分を、隠して 職員さんやお世話係さんにも 心配をかけないと、行けなくて…… 帰省……したく、ても わたしを、望まないひとも……いる、から そう思ったら、簡単には……帰れなくて。 お墓参りしたいだけなのに、 お手伝いに行きたいだけでも 何をするにも、証持ちだってことを 隠さなきゃいけなくて ……石や物を、投げるひとも 平気で暴言を吐くひともいて 守ろうとしてくれたひとたちにまで 悲しい想いをさせて、しまう [ 今のまま変わらないなら、わたしの夢は永遠に叶わない。 それだけははっきりしていた。>>400 ] (73) rinto 2022/12/20(Tue) 15:16:53 |
【人】 XIV『節制』 シトラ……そうだね、 何かとお世話に、なってる。 わたしに文字や、地理や、いろんな知識を 教えてくれたのはフォルスさんだし 世界に興味を持たせてくれたのも、 主には、その二人だったから あの空の向こうには どんな世界が広がっているのかな……って。 [ 他のみんながどんな環境に置かれてきたか わたしはあまり、詳しくは知らない。 みんなの方から語られたなら聴いたけれど、 わたしの方から敢えて尋ねたことはなかった。 自分の置かれてきた環境は どちらかといえば恵まれていた方なのだと思ってきたし、 ともすれば、相手もわたしも辛い記憶を 呼び覚ましてしまうかもしれないと思ったから。 けれど全く迫害されずに生きてこられたひとは おそらく少数派、なのでしょう。 何冊かの教典を読んで、そう感じた。] (74) rinto 2022/12/20(Tue) 15:17:33 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ ヒナギクさんだって世界を見てはいるはずで、 だからこそいま崩壊を悲しんでいるのだと思うけれど アリアちゃんは名前を挙げなかった。 きっと何か考えがあってのことだろうと思った。 笑顔で居られるときばかりではないだろう、と思う。 太陽だって時には雲に隠れるし、 日が暮れれば沈んでしまう。 笑顔で居続けられるくらい護られているか 笑顔を保ち続けられる強さがあるか 辛苦を包み隠して笑ってくれているのか わたしには判別が付かなかったけれど、 やっぱりヒナギクさんは眩しくて すごいなって、わたしは思ってしまうんだ。] (75) rinto 2022/12/20(Tue) 15:18:25 |
【人】 XIV『節制』 シトラうん、……ふふ メルロン、美味しいよね フォルスさんの売店、すきだよ 美味しいものや、楽しいもの どきどきしたり、わくわくしたりするものが たくさん……置いて、あるもの。 [ 最初は苦みと塩味ばかり感じていたレインボードロップ。 甘みや旨味をよく感じるようになったのは いつからだったかな。 虹色に光るしゃぼん玉が綺麗で、よく遊んだ。 値札の数字を読めるようになって お金の価値がそれなり理解できるようになって それまで何気なく出されていたお茶菓子の高価さに驚いて、 わたしとしては珍しい大声を上げてしまった日もあった。 アリアちゃんが薬を売っている話を聴いていたから お手伝いの対価はアリアちゃんにと、お願いしたのだ。 本人には内緒でしたお願いを、 おそらくフォルスさんはちゃんと叶えてくれている。 けれどそれは巡り巡って、わたしの元にやってくる。] (76) rinto 2022/12/20(Tue) 15:18:33 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ わたしの毛織物は、売り物になりますか? フォルスさんに思いきってそう尋ねられたのは、 本当につい最近のことだ。 カルクさんに振る舞う紅茶の底に ホリックゼリーを沈める案があったのを思い出した。 アリアちゃんは激辛にも平気な顔をしているけれど、 わたしは初めて引き当てた激辛が忘れられない。 万が一のことを考えて没にしたんだった。] …………、 [ お茶会で、チェレスタさんがわたしに テオブロマの作り方を教えて欲しいって>>2:239 言ってくれたのは、すごく嬉しかったな。 教わるばかりだったわたしに、 教えられる何かが出来るなんて。 うまく教えられるかはわからないけれど、頑張ります。 一緒に美味しいチョコレート、作りましょうね。って、 約束したのもついこの間のことだ。 取り留めもなく広がってゆく回想を一度、止める。 走馬灯にはまだ早い。 ] (77) rinto 2022/12/20(Tue) 15:19:25 |
【人】 XIV『節制』 シトラ……そっか …………、 話してくれて、ありがとう アリアちゃん。 [ わたしの見える世界は、まだひどく狭い。 同じ景色を眺めていても、 フォルスさんやチェレスタさんの瞳には 違う景色が映って見えるのかもしれない。 もし世界をよく知る彼が 勝算はないと言ったらどうするんだろう。 希望はないと、言い切ったら。 それでもわたしは答えを変えることはできないし アリアちゃんも、答えを変えようとはしないのだろう。 ] …………わたし、 アリアちゃんには、幸せでいて欲しいんだ すこしでも永く、生きて欲しい わたしの我儘に巻き込みたく……、ない (78) rinto 2022/12/20(Tue) 15:19:36 |
【人】 XIV『節制』 シトラアリアちゃんは、 わたしに付き合うんじゃ……なく、て アリアちゃん自身が、 一番良いと思う道を……選ぶべきだ、って ──そう思う、のに これから先も、ずっと わたしの傍に……居ても、 欲しくて………… [ ぱたぱたと、足元の薬草に雨が降った。 彼女にしては珍しい類の話をしたからか アリアちゃんの視線は面映ゆげに逸らされている。 それを良いことに、雨は地面を濡らしてゆく。] もし、世界が壊れることになってしまっても わたしは、この世界に残る ……よ [ 箱庭には、行けない。そうはっきりと口にする。] (79) rinto 2022/12/20(Tue) 15:19:50 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 本当にいいの? 後悔はないの? どうしてそこまでしようとしてくれるの。 それを改めて問う勇気はわたしにはなくて わたしは臆病で、狡くて、淋しがりで ] ──最後まで 傍に居て、欲しい、の。 [ あなたを開放すべきなのに解放してあげられない。 あなたが拒まないのならば、 その手は、神様にだって譲れない。]** (80) rinto 2022/12/20(Tue) 15:20:29 |
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。 (a21) rinto 2022/12/20(Tue) 15:34:58 |
【人】 XIV『節制』 シトラ── 選択の時 [ どうしても寝付けずに、わたしは日記帳を取り出した。 文字と文章の練習を兼ねて書き始めた日記帳は 早数冊目になっていた。 日付が新しくなる毎に字が整い、文は長くなり アリアちゃん記録で埋め尽くされていた日記に 記されるひとの名前が増えてゆく。 編み上がったセーターを、 フォルスさんに見せに行ったときのこと。 売店奥のスペースで あまいカフェオレをいただいたこと。 タナトスさんに、字を綺麗に書くには どうすればいいか尋ねてみた日のこと。 マドカさんとユグさんに、おすすめの本を 教えてもらいに行ったときのこと。 エーリクさんに初めて会った日のこと。 キュリアさんに、編み物以外の お裁縫を教わりに行ったときのこと。 カルクさんに慰めてもらった夜のこと。] (85) rinto 2022/12/20(Tue) 16:56:33 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 植木鉢を運ぼうとして落としてしまったこと、 包丁で手を切ってしまったこと、 クッキーを焼こうとして焦がしてしまったこと、 お皿を洗おうとして割ってしまったこと。 話そうとしてくれた誰かが居たのに、 泣き出してしまってうまく話せなかったこと。 失敗も後悔も懺悔も詰め込まれたそのノートは 同じくらい楽しかったこともすべて呑み込んでいる。 言わば成長の記録。眺めていると少し落ち着く。 不意に、窓を開けてはいないのに カーテンの裾が揺れたような気がした。 窓の外を見上げれば冴え冴えとした月が 柔らかな光を放って、こちらを照らしていた。 ……もしかしたら、誰か起きているかもしれないし この景色を見るのも最後になってしまうかもしれないし 夜の散歩に、出かけてみようかな。 そのひとの後姿を見つけたのは 廊下を歩き始めて、すぐのことだった。>>3:3] (86) rinto 2022/12/20(Tue) 16:56:36 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 悲しむひとが少しでも少ない方がいい。 そう思った時点で、答えは出ていたのかもしれない。 わたしの選択は最初からほとんど決まっていたし 神様を前にしたいまも、答えは変わらない。 けれど、 わたしはきっと、いまから このひとを悲しませてしまう。 悲しませたくなかったはずの、このひとを。 襟を正し、長い上着の裾をぎゅっと握った。] …………、 わ わたし、 ……わたしは──── ** (87) rinto 2022/12/20(Tue) 16:56:42 |
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