181 忘却の前奏曲、消失の1ページ
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| [ これを言うと誤解されそうで言えないけど ボクは太陽が羨ましいと思ったこともあるし 劣等感を持ったりだってする。 ボクはそう思うし、その時のボクもきっとそう。 例えば気恥ずかしさに負けて 彼女を太陽と呼んでしまったことが発端なら その呪いを解くのがボクの役目で、 ボクにしか出来ない役割だ。] (4) 西 2022/11/04(Fri) 0:27:46 |
| [ 涙をこぼす彼女にボクは静かに頷く。 >>-4 太陽がなければ人は生きていけないなんていうのは 共同幻想と同調圧力が織り成す戯言だから。 望まない太陽が無くても ボクも、彼女も、死んだりなんてしない。 奇しくもボクによって願いが叶えられた彼女は しがらみを抜け出し、唄が生誕を告げる。 >>1 聞き馴染みのないメロディーは 不思議なくらい心地よくて。 知らないはずの歌なのに なんだか懐かしく思えてしまう。 >>D1] (5) 西 2022/11/04(Fri) 0:28:15 |
| [ そう。懐かしいんだ。 >>D2 何処かでボクは誰かに言ったことがある。 それでいて、その誰かが彼女だって ボクはその夢を何処かで見たことがあるから。] (D3) 西 2022/11/04(Fri) 0:28:56 |
| キミは独りじゃないって。 ボクなら、言いそうだ。 [ 一人だと不安になるという彼女に >>2 ボクは自分の想像を口にするけれど この想像は恐ろしいくらいに練度が高い。 それがまるで正解だと ボク自身が知っているような気さえする。] (6) 西 2022/11/04(Fri) 0:29:38 |
| [ 自分の中にボクが二人いるような感覚がして ボクは病室を後にしたらその感覚の正体を 突き止めようとしていたけれど。 不意に抱きつかれてしまうと ボクはほのかに顔を赤く染めてしまって。 >>3] えっ、えっと… さすがに恥ずかしい、 んだけど…… [ 冷静でいられないから少しだけ離れてと そう伝えたら聞き入れてくれるだろうか? 聞き入れられなかったら諦めてそのままだけど。
ボクは彼女の提案にいいことを思いついた。] (-6) 西 2022/11/04(Fri) 0:30:37 |
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なら、頼みが、あるんだ。
(-7) 西 2022/11/04(Fri) 0:31:27 |
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ハツナさんが思い出深いって 思う場所に行ってみたい。
そうしたら何か、思い出すきっかけを もらえるかもしれないから。
(-8) 西 2022/11/04(Fri) 0:31:52 |
| 二人きりでサボろう。 >>-5 ハツナさんならボクはいい。 (-9) 西 2022/11/04(Fri) 0:32:28 |
| [ 日はまだ高く外は太陽が出て明るいまま。 ボクの家か、学校の屋上が脳裏をよぎるのは なんとも不思議な感覚だ。
片や過労で、片や交通事故で。 本来無許可外出なんて出来ない立場なのに。 ボクは彼女の手を引いて。 途中廊下でばったり会い、 どこに行くのかと心配そうな先生に向かって。] (7) 西 2022/11/04(Fri) 0:34:44 |
| (8) 西 2022/11/04(Fri) 0:35:13 |
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[ ボクにしては割と大きめな声で言い切ると そのまま脱走するように病院を抜け出した。 もちろんハツナさんの手を離したりはせずに。
後ろで看護婦さん達の 黄色い声が聞こえたけれど
そんなこともお構い無しに ボクは彼女の言う場所へと向かうんだ。]
(9) 西 2022/11/04(Fri) 0:36:41 |
| [ ボクがデカデカと宣言したせいで、先生と看護婦どころか病院内の全員に 認知された熱々カップルとして広く名が知れ渡ってしまったことに ボクが知るのは当分先のこと。でもハツナさんは此処に来る度に言われるかもしれないね。
「アツアツでいいわねぇ。」
って。**] (-10) 西 2022/11/04(Fri) 0:43:07 |
| [ これが学校だったらどうなっただろう。 >>13 きっと彼女の考えたことは正解で でもひとつ違うとしたら 許せないのはボクのことだけじゃない事だろうか。 きっと別の理由で学校を停学になってしまうかも しれない。 目には目を、歯には歯を、暴力には暴力を。 もっともボクは彼女が平和に過ごせるというのなら そうなってしまってもいいと思えるんだけど それはそれでまた彼女を泣かせてしまいそうだから その時はボクも手を考えることになるんだろうね。] (21) 西 2022/11/05(Sat) 20:08:08 |
| [ ボクの思い出深い場所はどこか。 本当ならその答えはボクが知っているはずなんだ。 他の誰を信じたりはせず、自分だけ信じていればいい。 けどそれが出来ないから誰かの言うことを 信じるしか選択肢はないはずだというのに。 彼女だから、安心して信じられる。 >>-16>>-17] …………ボクってそんなズボラなの? [ とはいえ衝撃的だったものだから 自分の事なのに自分のことに思えなくて。 つい聞き返してしまった。 カップラーメンにコンビニ弁当 >>12 ボクは自炊一つやらないダメ男らしい。 しかもハツナさんの強固な態度は…… さてはボク、前科一犯だったりする? ] (22) 西 2022/11/05(Sat) 20:08:45 |
| [ 自分の杜撰な生活に恐怖を覚えながら 彼女の手を引いてボクは家へと向かう。 病室を抜け出す前、 ハツナさんが顔を赤くしていた気がして。 >>16 ボクは彼女の声に思わず首を傾げてしまった。 >>15 それが交際宣言と同義だって、 考えが及んでいなかったせいだ。 ] (23) 西 2022/11/05(Sat) 20:09:18 |
| [ 不思議なことに忘れてしまったはずの家の場所が 彼女に案内される内に分かるようになる。 >>18 まるで、ボクの身体もそれを覚えているかのように。 途中スーパーに寄りたいと言われれば >>17 その意図を理解してボクは頷いてみせたし カレーが食べたいなんてリクエストもしたっけ。] (24) 西 2022/11/05(Sat) 20:09:45 |
| [ でも彼女のことをよく見ていたから 見てしまっていたから。 >>18 家へと向かう途中 彼女の表情が曇ってしまったのもすぐに分かって。] どうかしたの? [ 心配だと言いたげに ボクは思わず聞いてしまったんだ。 ] (25) 西 2022/11/05(Sat) 20:10:14 |
| [ あぁどうやらボクはやっぱり前科一犯だったらしい。 何度も二人で夜ご飯を食べていたのだとしたら そのきっかけはもう流石に想像がついた。 >>19] その節はどうも……… 多分、ボクのズボラな生活を 心配して 此処に通ってくれてたってことだよね? [ 確認するように彼女に尋ねながら ボクは彼女の提案に頷いて。 >>20 すると突然ズキっと頭が痛みを訴えて 思わず顔を顰めてこめかみを押さえた。 ] (26) 西 2022/11/05(Sat) 20:11:03 |
| ここに両親はいない。 広い家にはボク、独りだけ。
ここは安全だ。 誰の目にも止まらず。 誰に干渉されることもなく。
ボクにとっては唯一の───。
(-20) 西 2022/11/05(Sat) 20:11:30 |
| (-21) 西 2022/11/05(Sat) 20:11:55 |
| (-22) 西 2022/11/05(Sat) 20:12:13 |
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ハツナさんは……
ここに泊まったことが……?
ボクに、泊まっていけってねだられて……?
(-23) 西 2022/11/05(Sat) 20:12:33 |
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[ ボクは確認するように 恐る恐る、彼女へ問い掛けた。]*
(-24) 西 2022/11/05(Sat) 20:13:20 |
| [ ボクは事故にあった怪我人だけど、 彼女は倒れてしまった病人だ。 出来る限り手伝うと言おうとして 先手を打たれた時には思わずつられてしまう。
きっとわかってるんだろう。 ボクが病人を連れ回していることに 多少なりとも罪悪感があることに。 >>28] (34) 西 2022/11/07(Mon) 2:40:57 |
| [ そんな心境でいたから。 なんでもない、という不器用な元気に >>29 まだボクに話せないようなことが あったなんてと驚いてしまった。 もっとも、すぐにその理由を >>30 彼女が教えてくれたから不安は無く。] (35) 西 2022/11/07(Mon) 2:42:00 |
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分かった。
ハツナさんが話してくれるのを、 ボクは待ってるよ。
(-32) 西 2022/11/07(Mon) 2:42:52 |
| [ ボクは彼女に向かってただそれだけ。 今は言いたくない理由があるのだとして それがやましい事だったとしても 相応の事情があるんだろうと 彼女のことなら信じられるから。 ボクはこの事を 頭の隅に留めておこうと決めた。 水に流すのではなく、留めようと。 ]** (36) 西 2022/11/07(Mon) 2:43:48 |
| [ ボクの身をあんじてくれるその裏で 独りで夜を過ごすことへの抵抗感に シンパシーを覚えてしまった。 >>32 だからボクは彼女に太陽を求めず 彼女はボク似ていると、そう思ったんだ。 >>33 だんだんと視界が晴れていく気がして その過程で現れる頭痛は仕方がないことだから 心配そうな彼女には、大丈夫だ、と そう伝えてあげることにしただろう。] (37) 西 2022/11/07(Mon) 2:46:29 |
| [ 人を斥け続けたであろうボクが どうして惜別ハツナという人だけには 気を許して、惹かれていたのか。 >>-25 完成していたミルク色のパズルが たった一つピースだけを残して全て 記憶という名の色彩に染められて。 その答え合わせが成されると >>-28>>-29 ボクは彼女の前で目を丸くしたんだ。 >>-30] (38) 西 2022/11/07(Mon) 2:47:48 |
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