【人】 救急救命医 サキ[佐木くんだ、と同じように本名で返されれば、 やはり間違いではないことがわかった。 思わぬところで知り合いとの遭遇。 街中だったり、店の中だったりならまだしも、 ここであることが問題なのだ。] ……せ、 瀬名原くんも、 このマッチングに応募していたの? [はは、と笑いを張り付けたまま、そう尋ねる。 返答が返ってくる間に考えを頭に巡らせる。 どうしよう、職場にバレるかな。 ゲイばれまでしたら最悪だ。 彼には申し訳ないが、帰るのもありか? いや、ここにいるということは ─── ] (325) haito 2021/07/05(Mon) 1:58:49 |
【人】 救急救命医 サキ[そう考えると、次第に笑いがこみ上げてくる。 こんな近くに俺の願いを叶えてくれる人がいたなんて。 それも、男で。 瀬名原くんはタイプとかそういうのではなかったけれど、 近くにいたというだけでも嬉しい。 ぽんぽんと叩かれたソファーに素直に座り、 荷物を床に置いて瀬名原くんを見る。 彼がいつも浮かべている笑みに、自然とこちらも笑みになって。] ……今日はよろしくお願いします? [なんて言ったりして。]* (327) haito 2021/07/05(Mon) 1:59:17 |
【人】 救急救命医 サキ[このマッチングサイトに対して 真剣な思いだったかどうかと聞かれたら、 わりと真剣な方だった。 メールを送った時には恋人との関係は冷めきっていて、 受け取った時には別れていたから、 人肌が恋しかったのもある。 ともかく、飢えていたのだ。] そっか、 してくれるんだ [ぽつりと、嬉しそうに呟く。 隣に腰掛けると触れ合う脚から体温が伝わってきて、 飢えていたからこそ、もっとと求めてしまう。 でも、相手がどういう気でここに来たかを もっと計ってからではないと、と 無駄な自制心が働いて、無意識にストップをかけてしまう。] (346) haito 2021/07/05(Mon) 15:21:03 |
【人】 救急救命医 サキ面白そうだったから、か。 じゃあ、好奇心? [瀬名原くんはいつもにこにことしていて、 そのせいか感情が読み取りづらい印象があった。 横を向いて瀬名原くんと目を合わせ、 その表情を窺おうとする。 どれほど深くまで踏み込んでいいのか、 どこまでしていいのか。] たしかに、 こんなの気になっちゃうもんね。 [自分の願望を叶えてくれるマッチングサイト。 願望がどのようなものであれ、唆られるものがある。 願望が無くてもそうだし、あれば尚更。 それがどれほど強いものなのか、どれほどの熱量をかけたものなのか。 その目をじ、っと見て、計る。] (347) haito 2021/07/05(Mon) 15:21:34 |
【人】 救急救命医 サキ[見つめていると手が伸びてきて、 俺の適度にセットしている髪に触れてきた。 梳くように撫でるその手は温かくて、 まさに俺が求めていたものだった。 子どもにやるように撫でられても、 それでよかった。それがよかった。 思わず目を細めて、頬が緩む。 先程までの、何かを計ろうとしていた自分が 馬鹿馬鹿しくなってきて、 撫でられるだけでこうなる自分、ちょろいな、なんて 心の中で笑った。] うん…… 本当に、なんでも言っていいの? [瀬名原くんの膝に手を置いて、 細めたままの目で問いかける。 その言葉が甘い毒のように身体に染みて、 とろんと脳が溶けた。] (348) haito 2021/07/05(Mon) 15:22:23 |
【人】 救急救命医 サキ[ちょろいのだ、飢えていたのだ。 そう言い訳しながら、瀬名原くんに凭れかかった。] じゃあ、 抱きしめてほしいな [近くなった瀬名原くんの、その肩口に額を当てて、 すぅ、と呼吸をした。 もうすぐ夏だというのに汗臭くはなくて、いい匂いがした。]* (349) haito 2021/07/05(Mon) 15:22:47 |
【人】 救急救命医 サキ麻酔科…… たしかにのんびりしているもんね [走り回っている救急救命科と違って、 麻酔科の人たちはいつも廊下を歩いているイメージ。 だからかもしれない、こんなに余裕があるのは。 その余裕に甘えようと撫でてくる手にすり寄っていると、 小さな笑い声が聞こえた。] ……やっぱり、 俺がこういうのだって知って、 笑う? [緩んでいた表情を少しだけ、 眉根を下げて八の字にした。 笑わないで、なんて我儘を言えるほど幼くなくて、 笑っていることを受け入れられるほど、 彼との距離は近くはなかった。] (366) haito 2021/07/05(Mon) 20:32:07 |
【人】 救急救命医 サキ[だから抱きしめてほしい、というお願いも 恐る恐るになってしまったかもしれない。 肩口に額を当てたのはその表情を見られたくなかったから。 または、彼の表情を見たくなかったから。 でも、返ってきた返事にぱっと顔を上げて、 表情に嬉しさをまた滲ませた。 ぽんぽんと叩いたその足を見て、 乗ればいいのかと考えてその上に跨る。 見つめ合う形になれば、 ちょっと目つきの悪い彼の瞳をじっと見てから抱きしめる。 躊躇いは、少しだけあった。 相手は職場の人間だし、 それにまだお仲間かどうかもわからない。 それでも、飢えの方が勝ったのだ。] (367) haito 2021/07/05(Mon) 20:32:27 |
【人】 救急救命医 サキ[ぎゅう〜、なんて軽い調子の彼に 重たい気持ちを吸い取ってもらうように、 抱きしめて体温を求める。 冷房がきいているからか、俺の体温が低かったからか、 彼がやけに温かく感じた。 頬をすり、と擦って、彼と触れ合う。] ……瀬名原くんは、さ [名前を呼んで、少しだけ身体を離す。 次の言葉まで間が空いてしまう。 その間は俺の、気持ちの重さ。] (368) haito 2021/07/05(Mon) 20:32:41 |
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