【秘】 迷子 メレフ → 小さな心臓の サルガス君を探している。 君の怪我のこと、そろそろちゃんと練習の約束をしようと。 寮の部屋の前に訪れている。 いつものようにお茶を出してくれるのだろうか。 そうだとしたら、無理のない範囲で一緒に貰おうと 何かに使えるかもしれないので、君にもらったはちみつを手にしている。 少年は君の事情を知らなかった。 (-308) otomizu 2021/06/01(Tue) 14:29:29 |
【秘】 小さな心臓の サルガス → 迷子 メレフ まだ、夕方に差し掛かった頃だろうか。決められた刻限よりは少し手前。 まるで時間が過ぎていくのだけをじっと耐え忍んで待つようにして。 だからそれよりもあまりに早くの他社の来訪には、珍しく気づきが遅れた。 「……はい?」 訝しむような声。それもそのはずだ。だってまだ、大人の迎えの時間には早い。 身支度を整えしっかりとケープの前を閉めて、背筋を伸ばして扉を開いた。 「……あれ、メレフ……? どう、したの?」 "いなくなった人"にはもう気づいている。けれどそれ以上に、自身の方に後ろ暗さがあった。 いつものように訪ねてきてくれた、それだけなのに、なぜだか声音は強張った。 "見ないふり"にしては、体は硬直し真直ぐに貴方を見つめて、じわじわと焦りが息を荒くする。 (-315) redhaguki 2021/06/01(Tue) 15:04:22 |
【秘】 迷子 メレフ → 小さな心臓の サルガス「……?あ、ああ。サルガス、どこかに行くところだったのか」 身支度を整えた様子の君を見て、少し間が悪かったかと思う。 出直した方がいいか?と聞こうと口を開いて。 様子がおかしい君を見て、首を傾げる。 「どうした?まだ調子が悪いんじゃないのか」 怪我だけではなく、持病まで悪くなっているのではないか と顔を近付ける。 メレフに気分の悪そうな様子は、今は見られない。 (-322) otomizu 2021/06/01(Tue) 15:36:14 |
【秘】 小さな心臓の サルガス → 迷子 メレフ「ううん、あとで……あとで、ひとと約束をしてるから。 ばんごはんの、あとなんだけど……だから、ずいぶん早いんだなって、かんちがいしちゃった」 どことなくぎこちなく、しかし浮ついた様子でもなく。嘘を付くのも誤魔化すのも下手だ。 けれども適切に貴方を追い払う言い訳の内容も理由もなくて。 また、いつものように扉を少し開けるだけは、してみせた。あいた隙間からは退かないのに。 「調子は、だいじょうぶだよ。きょうはむちゃもしてないし、ほんとうに……。 ……ああ、そうだ。あのね、シェルタンが、"戻って"来たんだ。もう、会いに行った?」 うまい話題も思いつかず、口を開けばボロが出そうだ。 窮してしまって、ぱっと共通の友人のことをあげた。目先を逸らすかのように。 (-328) redhaguki 2021/06/01(Tue) 15:48:58 |
【秘】 迷子 メレフ → 小さな心臓の サルガス「そうか……済まないな、手紙でも出せばよかったか。 夕飯の後なら、まだ時間はあるだろうが……」 部屋に入るかどうかも、計りかねている。 いつものように、入っていいものか。そういう素振りはないものだから、不器用な少年は戸惑っていて。 「……朝食の時は、少しふらついていただろう。傍目でしか見られなかったが……本当に大丈夫か? ああ、知っている。少しだけ話をしてきたところだ。 戻ってきたとはいえ、あまりにもいつも通りで……あいつも同じ目に遭ったのにな」 お前にだけは行ってほしくないな、と。 身近な人間が何人も―――自分も含めて、連れていかれたものだから。 ぽろりと弱音がこぼれてしまった。 (-333) otomizu 2021/06/01(Tue) 16:13:56 |
【秘】 小さな心臓の サルガス → 迷子 メレフ「、そっか。もう、おはなししたんだ。なんだかへんな言い回しだけど、ふたりとも、げんき? ふたりの間になにがあったかは、知らないけれど……しんぱいしてたみたいだったから」 ほっとしたのも半分、話を逸らしきれずに動揺しがちになってしまったのが半分。 少ししどろもどろでうつむきがちな話しぶりは、普段の様子からはかけ離れている。 相手を戸惑わせてしまっているのはわかっているだろうに、勇気が出ず、脇をあけられない。 そも、"大丈夫"なんてことはないのだ。子供の回復力であっても、一日二日で満足に動くなんて。 どれほどの心を砕いて心配しているのかも、伝わっているからにこそ振り払い難く。 「――だいじょうぶだよ! ぼく、なにも、とがめられるようなことしていないもの!」 だから貴方を悲しませたくなくて、つい、嘘が口をついて出た。 (-335) redhaguki 2021/06/01(Tue) 16:41:43 |
【秘】 迷子 メレフ → 小さな心臓の サルガス「元気…かどうかは、どうだろうな。 少なくとも、あいつは元気そうだった。前向きにもなっていたしな。 ……サルガス、入ってもいいか?」 やはり、様子がおかしいのが気にかかって。 何かを隠したいんだろう 言いたくはないんだろうとはわかっても。 もう、逃げたくはなくて。 ここで何もしなければ、後悔すると思ったのだ。 ドアを、こちらからも 開けようとするだろう。 「咎められること?ぼくは、そんな話をしてない―――何か、あったんじゃないのか」 サルガス、と優しく。 少しだけ不安げに。 (-340) otomizu 2021/06/01(Tue) 17:04:55 |
【秘】 小さな心臓の サルガス → 迷子 メレフ「い。い、よ」 がたりと腕が扉を揺らした。断りきれず、いいや正確には断るべきかもわからず。 中へ入ることをゆるしてしまった。……本当にそれでいいのだろうか? 一度"治療"が成されたとはいえ、それが一度きりでは済まないかもしれないのに? そんな混迷が頭を占めているさなかで、貴方の問いが聞こえて。 「ぼくはっ、ぼく、は……メレフ、ごめんね。だめなんだ、こっちに来ちゃだめだ。 ぼくは、きみとも、シェルタンとも、みんなとも。もう、おはなししちゃいけない。 ぼくは……おとなに、よばれてしまった、から。ぼくと仲間だと、おもわれちゃいけない」 弾けるように言葉が口をついて出る。それが"治療"を伴うものかはわからないけれど。 頭を通り越して向こう側、いつかはお菓子の置かれていたテーブルには、 "大人"からのものであることを示す通告書が封をひらかれている。 (-342) redhaguki 2021/06/01(Tue) 17:15:33 |
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