……閑話休題《なにはともあれ》。
　大筋では間違っておりませんよ、先代躯体《ﾑｰﾝｽﾄｰﾝ》。
　中枢《ボク》は敗北も、喪失も望んでおりませんので。
　
　世界に対する統帥権を得るならば、《世界柱》を得ることは理にかなう選択です。
　一《イシ》なる全《イシ》により、全《イシ》を一《イシ》に。
　その先にこそ、統合知による和合の世がある──

　　
　　　　
　
　合議の結果を力で覆そうというその行為は実に悲しいことですが……
　ボクの徒《ボク》も、中枢《ボク》も、は看過できません。
　ゆえに、我らイシは。

.

［徒《ボク》の、そしてイシたちのイシの発露と共に異変は始まる。
初手は──月の使徒。

迫りくるアスファルトの断崖に際し、笑みを浮かべつつ帽子を片手に、その中へと逆の手を差し入れる］

　起きなさい、月の子《ﾑｰﾝﾁﾙﾄﾞﾚﾝ》よ。
　晶子は臨界へ──芽生え《ｸﾞﾛｳｱｯﾌﾟ》なさい。

　　

［ポン、と無造作に投げ上げられたのはやはり紅の水晶。
ひと際、輝いたかと思えば突如としてそれは水晶を生やし、
岸壁を支える支え棒が如くに膨張し──

徒《ボク》がその場を歩いて離れるまでの刻を稼いで、する］

　さて、先だって既に聴かせていただいております。
　である限り、抗えぬ──でしたか。

　　

　イシが戻ったことを鑑みるに。
　その言が信じるに値するなら器《イシ》に対してのものと見ました。
　ですので──

　──怠慢への憤りは、同じく月の子《ﾑｰﾝﾁﾙﾄﾞﾚﾝ》に謳っていただこうかと。
　
［次の間に。
同じく、月の使徒の両脇の地面が爆ぜ──
雷光を纏った大角を有する、紅水晶製の一角獣《ﾍﾞﾋｽﾄｰﾝ・ﾕﾆｺｰﾇｽ》たちが獲物目掛けて疾走を開始する］

　　

　月の素材から生る月の子《ﾑｰﾝﾁﾙﾄﾞﾚﾝ》
　──この星由来でないものへの干渉権はお持ちですか？
　
［問いを投げつつ、白手袋に包まれた左の手のひらを高く掲げて──］

　折角ですので、器《イシ》の英知をお楽しみください。

　　　　　

［ビルの窓という窓が、内側から弾け割れた。
そして、次々と中から飛び出していくのは──同じく紅水晶を器《イシ》とする、紛い物の、しかし生命《イシ》ある凶鳥。
地からの滑走、空からの絨毯爆撃を以て、月の使徒へのご挨拶《ｲﾝﾋﾞﾃｰｼｮﾝ・ｺｰﾄﾞ》代わりの白手袋といたしましょう**］

　って、知らずに皆さんを誘導してたんですかー！？

[さすがに予想外で叫んでしまいますが、>>199
　力の供給は休んでいません。>>173
　少しでも隙を作るために、と、
　大地と舞台を突き破る黒い水晶を(7)^1d20本、..｡o○☆○o。..:*ﾟスピカ*:..｡o○☆○o。《ｽﾋﾟｶ·ｼｬｲﾆﾝｸﾞｽﾀｧ·ﾊﾞｰﾆﾝｸﾞﾊｰﾄ》さんに向けて伸ばします！*]

知らん。
余は一時の同盟者として、宣伝広告の任を預かったまでである。
それに、滅ぶ世界の方舟としては変わらぬな。

あの女、己の意志に賛同すれば恐らく配下に加える故、そう少なくない数は生き残ろう。

[紛れもない死と、死と変わらぬ生。
ならば後者の方があとでどうにでもなろう。
あのイシとやらもいれば尚更のこと。]

笑止！
余の神殿は堅牢強固たる戦艦！！
生半な攻撃で貫かれてなど……

　死ぬのと同じ生自体が、滅びだっていうのに――！

[鷹揚というか、わたしに突っ込まれるのって相当ですよ？
　それにしても、これでもノーダメというなら――]

[――ステージを変えてあげましょう！
　ふわりと。
　夜色ノ外套《ﾅﾊﾄﾑｼﾞｰｸ》が舞い広がる――だけでは済みません。
　明らかに布地の限界を超えて、急速に広がり続けます。
　それは地を這い、宙を舞い、二人と..｡o○☆○o。..:*ﾟスピカ*:..｡o○☆○o。《ｽﾋﾟｶ·ｼｬｲﾆﾝｸﾞｽﾀｧ·ﾊﾞｰﾆﾝｸﾞﾊｰﾄ》さんを包みます。
　――まるで闇そのものが溶けたような、
　夜《ﾖﾙ》が世界に降り沈むのです]

[――なんかやっぱりわたし達の方が悪役っぽいセリフじゃないです？
　なんて「わたし」の思いなど関係なく、声と同時、様々な人間や獣の形をした星座が、..｡o○☆○o。..:*ﾟスピカ*:..｡o○☆○o。《ｽﾋﾟｶ·ｼｬｲﾆﾝｸﾞｽﾀｧ·ﾊﾞｰﾆﾝｸﾞﾊｰﾄ》さんに襲いかかります！
　矢が脚を狙い、剣が細い首を、毒喰らわせようと蠍の一撃も閃きます！*]

そもそもだ。
そもそもの仕組みからこの世界は誤っていたのだ。

その過ちを享受し、今まで背を向けてきた滅びに向き合う刻が来たまでのこと。

星継ぎの儀の聲が聴こえたであろう！
あれを存続させようとするイシ、それこそが瑕瑾である！！

[初めから間違えていて、初めから壊れていた。
今、その罅が割れそうな刻なのだ、と。
そう吼えて]

本来すべて消え去るものを、そうならずに済むというのだ。
慈悲深いというものだろう。

ほう、これが外套《ﾅﾊﾄﾑｼﾞｰｸ》の力か。

[覆われる闇。
その中にあっても、神殿は煌びやかに輝く。
輝き続ける。]

余が？貴様らに？
ふふん

[得意げに笑う。
その真意はまだ明かさぬまま]

ぬかせ、世界には光と闇の眷属に分かれる。
己が双極星《ﾃﾞｭｱﾙ·ｽﾃｨｸﾞﾏ》だとでも嘯くつもりか。

女神アストライアの天秤よ！
地上に残りし最後の女神よ！
その秤にて重きを量り、




[相殺しきれない？
ならば、均等にしてしまえ。
降り注ぐ星座、その半数を女神の天秤は二人へと返す。]

……損傷、中。
継戦可能。続行。

[呟く声は小さく。
ステージの輝きはまだ褪せない。]

［戦闘中にも、イシは絶えず連携を取っている。さて、それでは中枢《ボク》におけるイシ疎通の一例を見てみよう］