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【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バットあなたが考える間、ずっと手は重ねられていた。 その下にある温度を直接は感じられないままで。 二人で参考書とノートを囲んで、小さな授業を開いているときを思い出す空気。 噛み砕いているのを待つのは嫌いじゃない。 きっと青年が動物と戯れているときに感じる安らぎと同じだと信じている。 交わす言葉の中で、青年の心の一端に触れた。 ほんの少しだけ絡んだ指先。 そこにあるのは期待なのではないかと思った。 思いたかった。 上からもう一度大きな手を掴まえる。 大きさが違いすぎて、此方が縋るみたいに見えてしまったけれど。 ぐっと、下から真っ直ぐに深い色の眼差しが見上げる。 『一緒に行けないと思っているから』 『外には行けないと思っているから』 『神隠しが起こる森に、近づいているんですか』 (-123) dome 2022/05/01(Sun) 21:01:01 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット「――君は」 ギムナジウムで、君に対する正しい治療は行われてこなかった。 素人でもわかる、早く密接に話し、確かめれば良かった。 だが一体何ができただろう。 「君たちは、数多く居る"普通の子"とは違います。 それは、"病気の子"というひとくくりにして語るにはあまりに難しいです。 治らない子は居たんですよ。 医学やまじないでどうにもならなかった、 体の体質から、異常がでていた子が」 「だから私から見て、 君が"病気のこども"かどうかは――わかりません!」 病気という言葉は悪い言葉ではない。 しかし、君に対して"病気のこども"という言葉は、 深く鈍く重りのように積み重なっているように見えた。 (-125) toumi_ 2022/05/01(Sun) 21:44:02 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット「人は、"病気"となんでもかんでも一つの言葉に納め過ぎですよ〜。 君の保護者の方も、金銭面や心情にゆとりがあれば、 もう少し優しい言葉をかけてくれたと思います。 ここに送ったのは、解決方法がわからなかっただけなのです」 君が夜眠れないのなら、その手を引いて一緒に歩きます。 一度学業は休んで、昼間は眠って貰って。 徐々に時間をずらせば、皆と同じように過ごせるのかも。 一日か二日ぐらい、私がなんとかしてみせます。 「起きられるようになっても、 朝日や日光を浴びて体調が悪くなる体質もあるようです。 そうなれば簡単に解消できる問題ではなく、 ……君の言う"病気のこども"、ということになるでしょうか。 だから、今はわかりません。 君の病を、正しく知りたい。 これから私に、向き合わせてくれませんか」 そっと右の手を君のどこか悲しそうな顔に伸ばす。 幼い子供に降りかかり続けた悪意。 正しい生活リズムという形で治り続けなかったものが、歪みを見せている。 もう少し気付くのが早ければ、しっかりとその手を掴んでいれば。 何かが急速に変わることもなく、緩やかに君を見続けられていたのだろうか (-127) toumi_ 2022/05/01(Sun) 21:48:40 |
【秘】 神経質 フィウクス → 雷鳴 バットまるで何か後ろめたい事をしているような慌てよう。 それから、なんともばつの悪そうな様子を見て。 やっぱりそれが特別気に障ったようではないけれど、 ほんの少しだけ、眉を顰めはした。 「…何もお前に難癖を付けに来たわけじゃない」 溜息混じり、前置き一つ。 あなたの事は、あまり気の強い人種ではないと認識していて。 恐らくは、自分が話し掛けたという事そのものが。 あなたにある程度の圧を与えているのだろうと思って。 「 俺はたまたま通り掛かっただけだ 。そこでお前が何を隠していようと。 そこでお前が何を── うっかりぼろを出そうと 。俺にとってはどちらも関係のない事だ。」 皆ならば一人ぼっちのあなたにどうするだろう。 フィウクスは歩み寄ったりはしない。物理的にも、心でも。 あなたが距離を取りたがるなら追わないし、 あなたができない事を頼る事に苛立ちを覚えはしない。 どっちつかずが一番嫌いだ。それが一番気に障る。 「お前のしたいようにしていればいい。 だが──ああ、これは難癖だ。」 (-130) unforg00 2022/05/01(Sun) 22:32:02 |
【秘】 神経質 フィウクス → 雷鳴 バット「お前は居る時も居ない時も目立つんだよ。 隠し事をしたいならもっと上手くやれ。」 「一人じゃ上手くやれないなら、せめて誰かを頼るんだな」 それは自分も同じ事なのだけど。 とはいえ自分はそれなりに上手くやっている。 だから今は棚上げだ。 (-132) unforg00 2022/05/01(Sun) 22:33:34 |
【秘】 充溢 バレンタイン → 雷鳴 バット◇ 時は過ぎて今日の夜更け。 相変わらず重力に負けてしまいそうな歩き方で、 ゆるりと森の近くまでやってくる人影ひとつ。 先生と出くわしたときとか、いざというときに、 謝罪とか反省の言葉一つも言えないと 申し訳が立たないと思ったので、 薬の量を抑え、最低限の眠気で済ませてきている。 それでも仕草はどうも眠たげではあったが。 「……」 去り際に言われた言葉は気にかかったが、 心当たりはまるでなかった。 それで構わないのかもしれない。 少し見晴らしのいい、森と庭の境に立ち、 ここにいるだろう先達の姿を探し始めた。 (-185) backador 2022/05/02(Mon) 13:33:41 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス小さな貴方を慈しむ時間は、優しい。 大きな貴方を仰ぐ時間は、心地よい。 それが何かと重なるのであれば、きっと―― 絡んだ指に返すように掬い上げて、力を掛け返す。 潰してしまわないように柔く包むだけ、黒い指が重なるだけ。 けれども決して貴方を拒絶したいわけではないのだと、 この距離感を大切にしていることは決して嘘偽りではないのだ。 「……それは」「違う理由」 「ラピスが心配すること」「じゃ、ないよ」 小さな貴方は青年よりもずっとしっかりしていた年上だ。 だから言葉でそうして遮ったところで無理からぬことなのだろう。 ごまかすように肩を寄せて、ほんのすこしだけ体重を預けた。 「病気を治すこと」「あんまり考えてなかったな」 「いつか、どうすればいいのかなんて」「なんにも思いつかなかった」 「……ラピスの疑問に」「うまく答えられた?」 (-210) redhaguki 2022/05/02(Mon) 19:19:31 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット「………………」 こくり。 未だ話さなければならないことはきっとあるのだけれど。 青年にも考える時間が必要だとわかっていたから、今は頷いた。 ゆるく絡んだ指と肩に掛かる重みの分くらいは、青年を支えられていると思って。 いつだって自分を傷つけないように思い遣ってくれる青年が、報われる日が来てほしかった。 『これからたくさん考えましょう』 『一緒に、たくさん悩みましょう』 『バットくんが納得できる"いつか"を見つけましょう』 ゆっくり、あなたの歩む速度で構わないから。 あの森で起こることは、"神隠し"ではないことを少女は知っていた。 今日誰が居なくなるのかも、少女は知っている。 そういう役目を持っているから。 私はわかっているのに、それを止めてあげられない。 ▼ (-214) dome 2022/05/02(Mon) 19:56:38 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット離れがたい手をゆるりと解いて、立ち上がる。 座っているあなたとはこれで丁度目線が合うくらい。 いつもより困った顔を少しでも誤魔化したくて、日に背を向ける。 日差しが顔に影を落とした。 『森は危ないから気をつけてください』 『今日は、特に。』 胸のあたりに掲げた黒板。 それだけしか、文字にはできなかった。 (-215) dome 2022/05/02(Mon) 19:57:38 |
【秘】 雷鳴 バット → 月鏡 アオツキどうだろう、或いは適切な治療なんてのは誰にも出来なかったのかもしれない。 ギムナジウムは万能ではない。無能でもない。決して実績がないわけではない。 それでも出来ることに限りはあるものだ。 人間の頭にはどうしたって測り間違いがあるものなのだから。 ぱち、ぱちと目を瞬かせたのは貴方の言葉に驚いたからなのかもしれない。 自分の意見がそんなふうな貴方の態度を引き出すことになるだなんて、 青年のほうは少しも思いはしなかったのだろう。 ちょっとだけ怯んだ様子なのは、自分の状況を意識的には酷だと思っていなかったからだろう。 無意識的には悲鳴をあげているからにこそ、こうして挙げたのだろうけど。 「……」「ごめん」 「困らせたかったわけじゃ」「なくて」 「そういうことが」「知りたいのかと、思った」 青年の拙い頭でどれだけ貴方の言葉と、その裏にある想像を理解できたか、 それは青年自身にもはかれないことではあるけれど。 話せないことがあるのを加味した上で、貴方の伸べる手に答えたかった。 頷いて、きちんと確かに貴方の目を見る。 「わかった」「少し、考えてみる」 「全部聞くことは出来ないだろうけど」 「ツキが俺に掛けてくれる言葉とか」「気持ちとか」 「ちゃんと受け止めて」「返せたらいいと思うから」 ころ、と傾いだ頭は貴方の手の中に収まるように。 高いところに据わった重しを、果実の落ちるように預けてみた。 (-218) redhaguki 2022/05/02(Mon) 20:10:54 |
【秘】 不遜 リアン → 雷鳴 バット「……… 本当に羽でも生えてると思っていたのか……?」 見た目以上に抜けているところがあるのだろうか。 毎度このような面を見る度に驚かされる。 未だに慣れないな。 「いや、いつでも声をかけてもらって構わない。 クラスだって理由あって分けられているわけでもないだろう。 僕は困っている人間を見捨てる事はしない。それも王の役目だからな。 羽の心当たり、必要なら僕も探ってやる」 取り巻きと言えど、リアンに盲目に従っているわけでなく。 どちらかといえば好きに世話を焼いているだけの、友人と言った方が近いのかもしれない。 だから、この場でも取り巻き同士で話していたりするのだけれど。 委縮させないようそう声をかけて、君が望むのなら捜索も請け負うことだろう。 (-227) otomizu 2022/05/02(Mon) 20:54:50 |
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