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![]() | 【赤】 会社員 雷恩[指さしに反応して僅か首が動く。 キッチンのインテリアによく調和したシュガーポット。 その中身を聞いて込み上げる吐き気に歯を鳴らす。] ぅそ、 だろ、 [身体の自由を奪うと聞いて真っ先に思い浮かぶのは 睡眠薬だが、自分には意識はある。 その時点でメジャーなはたらきを持つ薬ではないと言えるのに 人体に無害だなんて到底信じられなかった。 だがそれを指摘したところで状況は変わらない。 現実問題、上手く身体に命令が行き渡らない感覚がある。] (*18) Ellie 2024/05/07(Tue) 23:18:08 |
![]() | 【秘】 会社員 雷恩 → 従業員 ルミ[頬に触れる手を、首を振って弾くことも出来ないまま。 自分がこうなってしまった訳を突き付けられた。] (-12) Ellie 2024/05/07(Tue) 23:18:34 |
![]() | 【赤】 会社員 雷恩[自分の中では「薄れていった関係」でも、 彼女にとっては「切られた関係」だったのか。 ここに至るまでも、彼女は自分の解釈を大事にしていた。 今、口が上手く動かせて何か理由を言ったところで 彼女は納得しないだろう。 クラス替えで疎遠になる友達もいる、 SNSでフォローしあった頃には頻繁にリプを送っていても 1年も経てば日常ツイートはスルーするようになる、 そんな一般的な話をしたところで、 「雷恩お兄さんがルミを捨てた」とルミが結論づけているなら 何も変わらない。] (*19) Ellie 2024/05/07(Tue) 23:18:56 |
![]() | 【赤】 会社員 雷恩[きっとこの再会も仕組まれていたのだと漸く合点する。 そんなにも恨まれていたとは知らず、のこのこついて来て―― 殺される、のだろうか。 胃液が内臓を巡る音も聞こえるのに、上手く吐けない。 仰向けに寝かされているから、今吐いても 吐瀉物が喉に詰まって窒息死間違いなしだろうが。] (*20) Ellie 2024/05/07(Tue) 23:19:25 |
![]() | 【赤】 会社員 雷恩る、 み、 [それは果たして恋なのか。 ルミが思うならそうなのだろう。 言葉の通じる相手ではないなら、言葉の自由を 奪われていて好都合だったかもしれない。 対話を試みて絶望することはないから。 麻酔と異なり、触覚は残っているようで、 ベルトを外す時に一旦締められる苦しさに 顔を顰めた。――感覚では。] (*21) Ellie 2024/05/07(Tue) 23:20:15 |
![]() | 【赤】 会社員 雷恩[外気に晒された下着は濡れシミもなければその下の形が はっきり見える訳でもないのに、羞恥で思わず目を閉じた。 意識的に閉じてしまえば二度と目が開かなくなる気がしたが、 初めて味わう屈辱的な状況に、もう耐えていられなかった。 ルミは甘ったるく言葉を紡ぐ。 別れた彼女が同僚だったことまで知っているとは。 どこでどうやって知ったかは知らないが] ス、ススストー、k、 [ストーカーは彼女自身だったのだろう。 わかったところでもうどうしようもないが。 ただ祈るしかできない。 上手く動かせない身体が、これから行われるだろう ストーカー女の愛撫に反応しないことを。*] (*22) Ellie 2024/05/07(Tue) 23:21:12 |
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![]() | 【秘】 従業員 ルミ → 会社員 雷恩お兄さん、あのね、これあげるっ いつもアイスとか半分こしてくれるけど ……ルミはなにもわたせないから…… これね、おはなのゆびわ! たんぽぽ、きれいに咲いてたの! [ あの時一度だけ渡した小さな指輪は、 きっと薬指なんかには入らないくらい大きくて 不格好で、きれいではなかったけれど。 受け取ってくれるといいな、と願って編んだ。 彼に何かを返したかった。 ──今はもう遠い純粋だった春のころ。 ] (-14) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 0:01:24 |
![]() | 【秘】 従業員 ルミ → 会社員 雷恩このまえねぇ、お兄さんのママがおしえてくれたよ お兄さんが言ってたどーぶつ! かっこいいのとおなじお名前なんだねぇ。 みんな、かっこいいからやきもちやいたのかな? ルミもひつじさんとかがよかったなー。 [ でもあんなに大きかったら遊べないから、 お兄さんがお兄さんで良かったーと笑った。 子ども特有の拙い言葉で好き勝手に喋っても、 怒られない環境が嬉しくて、鳥の様に囀って。 ] (-15) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 0:02:15 |
![]() | 【赤】 会社員 雷恩[殺さない、なんてのは、ニュースで知る殺人犯の 「殺すつもりはなかった」と同じ意味だろう。 歌舞伎町で出回るような、身体の自由を奪う薬が 臓器にも作用したら人体は簡単に生命活動を止める。 心臓や脳のバックアップは存在しないのだから。 泣くことも震えることも罵倒することも出来ない。 だが意識を手放すことも出来ない。 とんだ地獄だ。] (*30) Ellie 2024/05/08(Wed) 0:50:37 |
![]() | 【赤】 会社員 雷恩[持っている物差しが違えば、 同じ事象を測っても異なる結果が出る。 ルミにとって一般論が響かないこと同様に、 男には一般論がよく理解出来た。 当時やさしくしたのが自分だったから恋したと 聞けば、それはインプリンティングではないかと 答えたくなる。 だが自分もよく知る恋に堕ちる理由だって、 最初は「やさしくしてくれた」とか 「一緒にいて楽しかったから」とかなのだ。 インプリンティングだから恋ではないと 断じることは出来ない。 口が利けたとして、彼女の恋心を否定しなかっただろう。] (*31) Ellie 2024/05/08(Wed) 0:51:23 |
![]() | 【秘】 会社員 雷恩 → 従業員 ルミえー、俺があげたいからあげてるだけなのに。 でも「もらう」のって嬉しいからありがとう! ルミって器用なんだなー。 これ茎?どーやって編んでんの? よく折れないな。 [大きさを踏まえて親指に嵌めた。 「指輪」は「指に嵌めるやつ」という知識しかなかった。 生花で出来た指輪は花瓶に生けたものよりも 寿命が短いのだと聞いて、親のガラケーで写真を撮って貰った。 もう少し昔なら、写真は全部現像していただろう。 もう少し最近なら、スマホデータはクラウド上に保存してあるだろう。 過渡期に撮ったガラケーのデータはどこにあるのか知らない。 指輪が枯れた時はとてもショックだったが、 写真は撮ってもらったからと安心しきって管理を怠った。 罪の記憶が蘇る。] (-17) Ellie 2024/05/08(Wed) 0:52:21 |
![]() | 【秘】 会社員 雷恩 → 従業員 ルミ[ライオンを認識したと聞いた時には恥ずかしさでどうにか なってしまいそうだった。 ルミが帰った後に家族に当たり散らした。] ルミは「ルミ」でいーんだよ!! 俺は「お兄さん」って呼んでもらえるからいーけど、 ルミが「ひつじ」って名前で呼ばれたくなかったら どう呼んでいいかわかんないからな?! いいかっ! 変えるの禁止だからな! 俺が!「ルミ」って呼ぶから! [いつも以上に大きな声を出してしまった気がする。 今も「雷恩」まで呼ばれるのを厭うから、 彼女にも「ライ」と呼んでもらっていた。 別れた理由に、「そんな小さいことにこだわるなんて」と いうのがあったことも、ルミは把握しているのだろうか。] (-18) Ellie 2024/05/08(Wed) 0:52:55 |
![]() | 【赤】 会社員 雷恩[ストーカー呼ばわりで怒らせても、 今度は許しを乞わなかった。 訂正をする気はない。 その「好き」は、自分が思っているものとは違う。] (*32) Ellie 2024/05/08(Wed) 0:53:22 |
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![]() | 【赤】 会社員 雷恩[目が開けられないというのは自己催眠かもしれないが 実際に瞼は強く閉じられてしまった。 衣擦れの音や陰茎に触れられる感触で恐怖が煽られる。 何度か擦られたがそこは芯を持たないままだ。] ル、ミ………… [首を横に振って否定したかったのは何か 自分でもわからなくなっていた。 先端に爪が食い込むと痛みを感じる。 動けないのに痛覚は通っているのか。理不尽だ。 それとも薬は本当に効果が人体に害とならないように 濃度は抑えられていて、下肢に感覚が戻り始めているのか。] (*34) Ellie 2024/05/08(Wed) 0:54:13 |
![]() | 【赤】 会社員 雷恩ルミ、 [そのまま続けて、行為が可能な形を作ったとして、 ルミはそこに跨るのだろうか。 もしかすると、それが命に繋がるかもしれないのに。 望まれないで生まれてしまう命がどうなるのか ルミが一番よく知っているのに、 自分と繋がることだけを目的としているから、 そのリスクは考えていないのか 何れにせよ、本懐を遂げられてしまうのだろうとは思う。 頭ではどんなに拒否していても、身体は少しずつ 生理的反応を見せてしまっている。**] (*35) Ellie 2024/05/08(Wed) 0:55:05 |
![]() | 【赤】 会社員 雷恩[白雪姫は毒林檎から救ってくれた王子に惚れた。 殺害を命じられても、自らが罰を受けるかもしれないのに 見逃してくれた狩人でもなく、 森の中で出会った自分の何倍も大きな姫に 衣食住を提供してくれた小人たちでもなく。 恋とはそういうものなのだろう。 ルミの人生で、自分と過ごした時間よりも 長く見知った顔もあったかもしれないが 恋をしたのは自分だった。 それ自体には何の罪もないが、 そこから王子は白雪姫の手を取ったのに対し 自分はルミの手を握ったままでいられなかったから 物語は誤った方向に進んでしまったのだ。] (*48) Ellie 2024/05/08(Wed) 17:23:58 |
![]() | 【赤】 会社員 雷恩[過去には自分がたくさん呼んでやると言った名前を この10数年で口にしたことはあっただろうか。 自分の名前程人名として珍しい訳でもないが 親しくした中に同じ名前の女性はいなかった。 別の人間を「ルミ」と呼ぶことを 無意識に忌避していたのかもしれないが、 そんなことは目の前の「ルミ」の気持ちの慰めにも ならないだろう。] ……っ、 [ああ彼女は痛かったのか。 他に誰も彼女の痛みを手当てする人間はいなかったから 自分にとって「思い出」とカテゴライズされた日々は 彼女にとってはまだ鮮明な「今」なのかもしれない。] (*49) Ellie 2024/05/08(Wed) 17:24:24 |
![]() | 【赤】 会社員 雷恩…………………うん [きっと後にも先にもその呼称を許すのは彼女にだけだ。 甥が喋るようになっても「おじさん」と呼ばせる心算だから。 「お兄さん」が後ろにつくなら名前も平気な気がした。 実際には、ルミにとって初めて触れた「らいおん」が 自分の名前だったから許せただけかもしれないが。] (*50) Ellie 2024/05/08(Wed) 17:24:47 |
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![]() | 【赤】 会社員 雷恩[生理的反応でも嬉しいものなのか。 この手は彼女を抱き締めることはなく 瞳も閉じられたままなのに。] …………ゃめ、 [そんなことをしなくても、 1人の男と女として知り合っていれば、 今ならば思い出を今に出来たのに。] (*52) Ellie 2024/05/08(Wed) 17:25:54 |
![]() | 【赤】 会社員 雷恩[弱弱しい声だけの抵抗も空しく陰茎に圧がかかる。 引き攣れるような圧迫が痛くて歯軋りした。 恋ゆえに繋がりたいなら、何故その裡は愛液で 満たされていないのか。 摩擦で生じる滑りは自分の勃起と同じ生理的反応で、 まるで自らも痛むことを課しているようだ。] ………………な、 ぃて、ンの、か、 [掠れながらも口を動かして声を発する。 力を込めれば手も動かせることに気づいた。 その手を使って虚を突けば、彼女の強姦行為を 辞めさせることが出来るかもしれないが。] (*53) Ellie 2024/05/08(Wed) 17:26:22 |
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![]() | 【赤】 会社員 雷恩[ルミの言葉はまるで本心を誤魔化すような印象を受けた。 あいしてると言いながら、相手からそう思われないことが 自分でもわかっているかのような。] なでられ、ンのと、 …一人でっづけ、 ンの、 どっち、 [このまま騎乗位を続けていれば、徐々に感覚を取り戻している 下肢が身体的本能で放熱することは免れない。 それを阻止しようという計算からの問いではない。 ルミ自身が欲しいのは、セックスしたという事実ではないと ルミが気づいたのではないか。 ただ、泣いている子を撫でたかった。 そしてそれを彼女にも望んでほしかった。 それだけ。**] (*54) Ellie 2024/05/08(Wed) 17:27:20 |
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![]() | 【秘】 従業員 ルミ → 会社員 雷恩──────……、 は……? [ 虚空を撫ぜて落ちる手を見届けながら わたしは水面を波打たせるように声を震わせる。 ] (-22) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 20:03:14 |
![]() | 【秘】 従業員 ルミ → 会社員 雷恩[ この期に及んでわたしは、 思い出として留めるべき過去を捨てられなかった。 昔の幻影に現在を重ねる。 ──ただ行為から逃れるための計算の色が、 彼にないことくらい分かっていた。 ] (-23) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 20:04:00 |
![]() | 【赤】 会社員 雷恩[人は忘却の生き物だ。 覚えようとして取り組んだことさえ、1時間後に50%、 24時間後に70%、1か月後には殆どを忘れるという。 自分が忘れていることを詳細に覚えている彼女は、 毎日自分といた日々を思い出して記憶を定着させたのだろうか。 つきあっていた相手だって、毎日自分のことを想ってくれていた とは限らないのに。 10数年会わない間毎日。 それはどれだけの労力だっただろう。 忘れてしまうことへの恐怖もあったかもしれない。 覚えていなくても咎める人なんていないのに、 「忘れたくない」と思ってくれていたのか。] (*62) Ellie 2024/05/08(Wed) 22:12:03 |
![]() | 【赤】 会社員 雷恩[片や、そんな労力も払わず思い出そうとしなかった 自分にも残っている記憶がある。 強く意識しなくても残っていたということは、 それだけ自分にとっても既に深い部分に 根付いていたということだ。 これから彼女が補完してくれれば、 ]もっと取り戻せる思い出もあるかもしれない。 (*63) Ellie 2024/05/08(Wed) 22:12:30 |
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