届けてくれていたのだから




　
　

［　いつもと違う視点
　　　　　　　　　　　　　


　　いつもと違う君の瞳


　
　

　　宵稚、その瞳
　　……俺を見ていた……の？
　　

　　


　　映して、その瞳に閉じ込めて
　　もっと、もっと


　

［　その瞳の中にいたかった。
　　そこにいたのは俺だった。
　　これだけ近付けばわかるよ。君の瞳。
　　その表情。まるで光が当たってるみたいに。



　　その瞳に、瞼に唇を寄せて。
　　でも君の唇が退屈しないように
　　俺からも何度も重ねていくんだ。

　　俺の目から流れるものは
　　だから。　］

　

［　宵稚の顔に触れていると
　　君の手が重なる。

　　導かれるまま、手の先に触れる
　　輪郭をなぞって、顔を寄せて。　］


　　……ん、足りない
　　もっと、
　　　　　　まだ、
　　　　　　　　　宵稚！




　

　好きだよ
　もっと沢山伝えたい


　　　　　　


　君が欲しかった


　　　　　　


　優しい想いじゃなかった
　強すぎる想いを君にぶつけてた


　　　　　　

　

　　


［　体が震える。
　　知らない、知らないよ
　　こんなに体の奥が痺れるような感覚を
　　口の中が君の味になる
　　甘噛みされた部分が熱を持って
　　「欲」が引き出される
　　隠していたものが露わにされる。　］

　

　


　

　　



　
　

［　呼吸が足りなくなれば
　　君の呼吸を奪うように吸って、
　　絡めた舌は離さないように
　　君の「欲」も引き出すように
　　愛を送るように、動いた。　］

　

　君からの愛を貰って良いの？
　俺にくれるの？

　欲しかった、愛して欲しかった
　俺の愛を受け取ってもらいたかった



　もっと、もっと幸せになって
　俺に愛されて？

　君からの幸せを頂戴

　好き、好きなんだ
　

　

［　俺はずっと君を愛し続けるよ。
　　この瞬間を俺は忘れない。　］

　

　　　　　　　　ずっと一緒に

　

　


　　
［　俺の声は君に届いた──────？　］*

　

　　かい、…
　　ん……ッ！
　
　　ぁ、　うん、海音
　　もっ　



[触れる首筋から、伸ばした腕で触れる背から、
抱きしめあって寄せ合う心から、あらゆる脈から、
あの時の、>>0:90 聞き覚えのある音が聞こえる。

コイツが好きなんだと頭で理解してから、
安い言葉を使えば、ときめきなんていう心音。

でも、もっと複雑で、不規則で、激しい音。]

[未知のリズムは、口づけで止められて。
息継ぎが出来なくて、何度も助けを求めてた。

今までのお前なら、手を伸ばしてくれてただけ。
でも、今のお前は──余計に沈めようとしてくる。

閉ざされていた唇は、いつの間にか開いていて、
どろりと溶けるような熱さに息を吸おうにも、
それを奪うのも、お前だった。

見たこと無い表情、

感じたことのない甘さ、

隠されていた、「欲」
]

[海音はずっと泣いていた。
でも、それは喜悦に溢れていて。
俺の言葉がそんなに伝わるなら、
どうしてもっと早く伝えられなかったんだろうって。

漸く伝えられた嬉しさがあるはずなのに。



俺の中で、寂しさと悔しさと怒りが収まらない。
2人で、全部の感情を全部流して、流して。

俺たちの「涙>>D25」の量で、
海が出来るんじゃないかってくらい。>>D42
もう人生で一生流せないだろうって位、泣いた。]