［　つっかえたり声が震えたりはしなかった。
　　でも、手の震えは止められなくて
　　それを隠すように、後ろで手を組んで。

　　怖かった。君との時間が楽しかったからこそ。
　　だって、何も言わずに、
　　友達のまま、君と話し続けることだって
　　きっとできたはずだから。　］

　　まさか君の脳内にも似たようなこと言ってる
　　私がいるとは思いもしなかったけどね。　　　］

聞かなくても、わかる。」

　　多分普通ならダメって言われるんだと思う。
　　両親がダメって言わないのは
　　きっと私を一人にしていることが
　　後ろめたくて、代わりに自由をくれてるんだ。

　　だから、君の家のキッチン、
　　いつの間にか私が使いやすいような
　　調味料の配置になってたりとかさ。
　　そんな変化だってあったかもしれないね。　］

［　誰も祝福しない道でも
　　私と君が幸せなら、それでいいんじゃないかな。

　　私は、そう思っていたんだ。

［　冷凍食品っぽい唐揚げと、卵焼きが入った
　　簡素なお弁当に、何も思わなかったわけじゃない。

　　でも、その時は忙しかったのかな、とかさ。
　　いい方に理由付けして、突っ込まなかった。>>170
　　そこまで聞けるほどの関係じゃなかったし。

　　君に分けたサンドイッチが
　　君の心を少しでも温かくしたのなら
　　それだけで私は嬉しくなるんだ。　　］

［　これが普通になっちゃいけないって感覚
　　この時の私には、まだあったんだ。

　　今日みたいな日は、
　　真面目な日常にたまに混ざる
　　不真面目な非日常くらいでちょうどいい。

　　でもそれは、私だけじゃなくて、
　　
　　私だけの話じゃない。>>171　］

［　この一幕に唯一不幸せなことがあるとすれば
　　君の心を私は理解していなかったこと。>>174

　　そして、仮に言葉にされたとして
　　よくわからない、ってことなんだ。

　　人の価値、なんて関わる人によって違うのに。
　　私は、君と関わりたいと思って近づいたのに。

　　無価値なわけ、ないのにな。