人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ

「ねー」

電話番の、ゆるりとした時間。
相変わらずの気怠い声が、書類仕事に向き合うあなたに投げられた。

「署長代理?さん、ニーノくんお話とかしたあ?」
「どんな人だろおねえ」

たかだか巡査の身の上で、ご挨拶という立場でもない。
何やら漏れ聞こえる噂を聞くに、新たな法令を敷こうとしていることくらいしか、女は知り得ていなかった。

…とまあ、つまり。
いつも通り、暇を持て余しての雑談のようだ。
(-63) oO832mk 2023/09/12(Tue) 20:50:54

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

「こんにちはー。」

仕事帰りのジェラート店。
この日注文したものはカップのピスタッキオだった。
いつもはコーンだけれど、こういう日がたまに存在する。

「いただきまあーす。」

スプーンでジェラートをひとすくい。
女の、たまの楽しみのひとつだ。
(74) oO832mk 2023/09/12(Tue) 22:08:17

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

店員を通して、この日の女の注文があなたへと伝わる。
カップの注文は、『待ち合わせ』を意味していた。
味の数だけ綿密に決められた待ち合わせ場所。
あとはあなたから時間の指定さえあれば、その日時落ち合う運びとなる。
(-67) oO832mk 2023/09/12(Tue) 22:09:07

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ

「ええー?やだよお。もちろんー。」
「だって、仕事増えそうだしい。」

眉根を寄せての即答だ。
散らかり果てたデスクの上で、書類も気にせず頬杖をつく。
どうせもういらないものが殆どなのだから、問題ないらしい。

そんなデスクだというのに、同じ仕事を2度も3度もやりたくない女の作る書類にはいつも抜けがない。
それでいて何故かきっちり時間には帰る準備を整えているのは女の特技だ。

「ニーノくんはあ、賛成ー?」

雑談を投げてきたのもどうやら、己の仕事を終えたためらしい。
あとは、後輩の眉間の皺を見ての息抜きの提案か。
(-73) oO832mk 2023/09/12(Tue) 22:38:15

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

今日の指定は、或るマンションの地下駐車場。
白い明かりが天井から、打ちっぱなしの壁を照らす。
あなたの車が現れるのと同じ頃、女もその姿を見せた。
車の傍へと近付いて、乱視のレンズの向こうから、黒いレンズのその奥を映す。

後部座席のドアを開け、乗り込む。
ふうと息をついた女は、まず軽口を叩いた。

「喫茶店、開けてる時間じゃないんですかあ」

知りませんよおなんて続けて。
膝の上に、鞄を載せる。
(-80) oO832mk 2023/09/12(Tue) 23:21:17

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

>>79 ニコロ

「ほんとおですかあ?やったあ。」
「それじゃあまたの機会を楽しみにしてますねえ。」

立ち上がり、口元緩く。

「美味しいピザと素敵な演奏、ありがとうございましたあ、市民さん。」
「また何かお困りのことがありましたらあ、本官にお気兼ねなくご相談ください〜」

…どうやらこの演技、気に入ったらしい。
ふふ、と笑いながら最後に軽く手を振って。

「また明日。お会いしましょうねえ。」

その『明日』、女が非番であることも度々あるのだが、そんなことは些細だと言わんばかり。
いつもとおんなじ挨拶を残して、その場を立ち去っていく。

#街中 #公園
(83) oO832mk 2023/09/12(Tue) 23:29:32

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ

「そりゃそうだよお。」
「それよりお菓子とか食べてたいしい。」

けたけたと控えめに笑う。
足をゆらゆらと揺らしたせいか、椅子が軋むような音を立てた。

「んー。事情かあ〜。」
「でもお、一応世間的には悪い人なんだよお。」
「ニーノくんは、事情があったら悪いことしてもいいって思う〜?」

頬杖の手で頬を押し潰しながら。質問の内容の割に声色は軽い。
本当に世間話の延長の、素朴な疑問であるらしかった。
(-95) oO832mk 2023/09/13(Wed) 0:38:39

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

「知りませんよお。」
「ちょっとサボってる間にい、コーヒー入れるの下手になってもお。」

せっかくこの間は美味しかったのに、なんて。
そこまで言いはしないものの、多分にその意図は滲んでいる。

そんな女は小柄という程でもないが、決して大柄でもない。
そもそもそれ以前、狭い狭くないを気にする必要もなくこの車に乗るのは好きだった。
そう口に出したことはこれまで一度もなかったし、今後の予定にもないけれど。

「海辺にドライブですかあ。いいですよお。」
「あたしでよければ何なりと。お付き合いしますよお。」

だから本当は、その提案に見かけよりも喜んでいる。
それを素知らぬ様子に変換する、ひねくれた女であるだけで。
もしかしたらそれすら、あなたには筒抜けなのかもしれないけれど。
(-100) oO832mk 2023/09/13(Wed) 1:26:17

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

「あたしも困りますう。」
「…楽しみにしてるんですからねえ、
マスター
。」

後部座席で、微かに口元が緩む。
無意識のそれはすぐに引きしめて、窓の外を向いた。

初めてこの車に乗った時、同じ疑問を抱いたことがある。
けれど女は訊ねなかった。
理由は至って単純だったが、お陰で今も訊けずにいる。

「まだでえす。」
「カルツォーネくらいつまもうとは思ったんですけどお。」
「…そおいうアレッサンドロさんこそ、ちゃんと食べてますかあ?」

するりと連想されたのは、半分ほどのホットドッグ。ソーセージなし。
元来の女は、表向きの顔ほど食に執着がない。
それでもその顔のお陰でしっかりと食べている部類にあった。

「…大変な時期なんですから、倒れないでくださいよお?」

部下としての思いを微かに乗り越えたお節介は、口にすると逆に胸の中が濁るようだった。
これに関しては今言うべきではなかったかもしれない。
少なくとも表の自分のときに言えば、そんなことも考えずに済んだのだが。
(-105) oO832mk 2023/09/13(Wed) 5:32:38

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

流れる景色を眺めつつ、時たまちらりと運転席の後頭部に視線を向ける。
今のあなたしか知らない女は、母の言っていた昔の姿を想像もできやしない。
時折それに寂寥を抱くことがある。それもまた、いつまでも口にしないことのひとつ。

仰せのままにSignorsì 。」

前述通りの女であるから、寄る先がどこでも何を買うでも文句は出ない。
短い返事で食事については切り上げて、濁った胸の中身を押し出すように吐息を落とした。

「んー。まあ大変は大変ですよお。」
「まだまだ下っ端ですからあ、大した仕事はありませんけどお、その分別の仕事もありますしい?」
「…
そっち
については、今のところ、ニーノ・サヴィアがあんまり善く思っていないことしか、調べもついていませんけどお。」

進捗は芳しくないらしい。
無意識に口を尖らせると、そんな自分の顔が窓ガラスに映り込む。
(-153) oO832mk 2023/09/13(Wed) 15:32:32

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ

「そりゃあだってえ。おいしいし〜?」

さも当然と宣って。
そんな話をしていると、口寂しくもなってきたらしい。
引き出しを開け個包装のミニドーナツを取り出して、包みを開けて、ぱくり。
咀嚼のさなかあなたの言葉を聞いていた女は、同じくん〜と難しそうな声を上げる。

「変じゃないと思うけどお。」
「…ニーノくん、苦労しそお。」

これでも言葉を選ぼうとしたのだが、結局選びきれなかったような気がする。
指先についたシュガーの粒をごみ箱に払い落とす、そのしぐさに合わせて小指のエナメルがゆら、ゆら揺れて。

「……どんな事情があっても、悪いことは悪いことだよお」
「悪いことしたって事実はなくならないしい。」
「被害に遭った人に、『仕方なかったんです』なんて、通じないよお。」

「あたしたちは警察なんだから、それくらいでいいんじゃないかなあ。」
「…と、ダニエラ先輩は思うわけでしたあー。」

冗談めいた口調で締めて席を立つ。
個包装をひとつ、あなたのデスクにお裾分けした。
(-157) oO832mk 2023/09/13(Wed) 16:24:08

【念】 日差しにまどろむ ダニエラ

エナメルを剥がし終えた手を保湿する。
そうして漸く視線が上がった。鮮やかなミントブルー。

「…倒れませんよお。」
「そんな暇、ありませんしい?」

声に、多少の笑みが乗る。
お金のためであったとしても、その言葉は少し嬉しかった。
それでもその笑みに寂寥が乗ったのはきっと、続いたボヤきを聞いたからだ。
瞬きとともにその寂寥も、塗り潰して消えてしまったけれど。

「そお。あたしたちの可愛い後輩クン。」

さすが、名前くらいは知ってるんだねえと。
続いたその声は、少し明るい。

「新人だから、御しやすいとかあ。」
「同じことを署長代理お上も思ってるかもしれないとかあ。」

「…いろいろあるけど、1番は」
「ちょっと、個人的な事情。って、ことでえ。」

それに巻き込まれるあの子は本当に不憫だ。
だけど、煙が立つ前に日は消さねばならなかった。
(!8) oO832mk 2023/09/13(Wed) 17:02:26

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

>>104 テオドロ

背後の声に振り返る。
見知った黒髪を認めると、へらり。

「テオドロさんじゃないですかあ。」
「ふふー。そちらを選ぶとはお目が高い〜。」
「あたしも大好きなんですよお。ぜひぜひご賞味くださいませえ。」

実際に、暫く同じ味ばかりを注文していたらしい。
そんな女も最近はイチゴfragolaに浮気しがちだったりする。

「今日はお休みでしたかあ?」
「それとも、休憩中でしょうかあ。」

そのどちらとも違う、ピスタッキオを戴きながら。
こういうことを聞いてくる時は、女のだる絡みの予兆である。
仕事中だと巻き込みにくいあなたのことも、オフなら巻き込めてしまうのではと、狙いを定めようとしている。
(109) oO832mk 2023/09/13(Wed) 17:41:34

【独】 日差しにまどろむ ダニエラ

/*
ミネちゃん♡♡♡♡
いや拷問部屋訪れる旧友見てハート飛ばすやつ明らかにやばいな
(-162) oO832mk 2023/09/13(Wed) 17:52:30

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

>>112 テオドロ

「ええー。そんなあ。」
「冷たいのはジェラートだけで充分ですよお。」

大袈裟に嘆くような物言いで、その実けらけらと笑っている。
あなたの反応から察しはしたのだろうが、しっかりだる絡みは開始されていそうだ。
多分、当社比、軽度。

「そんなこと言わずう、ぜひぜひ常連さんデビューしましょうよお。」
「おいしいものって元気が出ますよお。」
「実際に毎日おいしい物食べてるあたしは、こんなにも元気ですしい〜。」

日々気怠そうに業務にあたる女を当然あなたは知っているだろう。
女が元気なのは、休憩時間と定時の間際くらいのものだ。
(114) oO832mk 2023/09/13(Wed) 20:00:12

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ

「んふふ。どおいたしましてえ。」

伸びた声は、つい今まで真面目そうな話をしていた人とは思えないほど。
左手でそっとあなたの背中をたたく。いつもの練習の延長線。

「ええー。聞いちゃうう?」
「……んー。」

小首を傾げ、数拍。
やおらにその口元が柔らかく緩む。

「………今は、秘密う。」

転がすように囁いて、その瞳はあなたを映し細められる。
するりと傍を離れると、自分の席にもう一度座った。
ぎし…と同時に、軋む音。

「ちょっとお、恥ずかしいしい…?」
「でもお、…いつか、教えたげるよお。」
「…約束う」

ゆら、ゆら。足をまた揺らす。
頬杖をつく、元の姿勢に戻ったならば、「それでいい?」とまた、間延びした声。
(-172) oO832mk 2023/09/13(Wed) 20:31:05

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

その声を受け、外へ向いていた視線は不思議と車内へ向いた。
まず映ったのはフロントガラスの向こうに広がる景色。
開けた道とその先の海。同じくらいに広い空。

そして。

「…ほんとお」
「きれーですねえ、」

やおらに、女の表情が移り変わる。
頬が緩んで、それを隠してツンと澄ますまで緩やかに。
この車に乗るのは、好きなのだ。
たとえ狭くて窮屈だとしても。…そしてもしかしたら、それすらも。

「いじめなんてありませんよお。」
「アレッサンドロさんの部下は優秀ですから、ちゃあんと、上手くやってるんですう。」

くすくすと、ささやかに笑う。
口元に当てた左手に、小指のエナメルが煌めいた。

「だから、安心しておまかせくださあい。」
「お時間は、その分いただきますけどねえー。」

歌うように言って、また外を見た。
別に目新しくもない見慣れた海辺だ。
だけど窓ガラスに映った顔は、どこか楽しそうな色を浮かべていた。
(-183) oO832mk 2023/09/13(Wed) 21:30:52

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

>>118 テオドロ

「そんなこと言うと、真に受けますよお。」
「仕事中においしいもの食べてもいいってえ。」

嫌味についても、からころと控えめな笑い声。
ひとすくいしたジェラートを口に運びながら、もちろん冗談であるのは言うまでもなかろうと思っている。

「ふふー。さすがテオドロさん。正解ですう。」
「楽しいですよお。だからその楽しいを、お裾分けできたらあって思ったんですけどお」

振られちゃいましたあ〜だなんて、やはり言葉だけは大袈裟だろう。

「じゃー通いつめなくってもいいですからあ、お疲れの時にでもまた食べに来てくださあい」
「ほら、最近っていろいろ大変じゃないですかあ。そしたら2度目はすぐ近く…だったり、しません〜?」

…推し活に余念はなさそうだ。
もしくはこれもただのだる絡みの一環かもしれない。
(131) oO832mk 2023/09/13(Wed) 23:24:45

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ

あなたの言葉に、女は静かに微笑んだ。
遅れてひとつ、ゆるりと首肯する。

「…うん、やくそくう」

言葉と共に、へらへらと口を歪め。
少なくともあなたの“ほんと”を女が気にした風はない。
どちらかというと気にしたのは。

「んむー?どおいう意味かなあ。」
「あるよお、恥ずかしいことくらい〜。」

こちらの方らしい。
むすりと口を尖らせて、けれどもそれもすぐ収まる。

「なあんて。いいよお。」
「ふふー。そろそろニーノくんの定時が怪しくなってきちゃうかなあ。」
「…邪魔したお詫びに、ちょっとくらいなら書類見てあげて、いいよお。」

添削というやつ。

「それともやる気百倍のニーノくんには必要ないかなあ〜。」
(-204) oO832mk 2023/09/13(Wed) 23:42:50

【影】 日差しにまどろむ ダニエラ

“いつか”はこない。
破られることがわかっている約束を交わす。
それに罪悪感を抱く必要なんてないはずで。
それでも一瞬、確かに良心と呼ばれるものがずきりと痛んだ。
(&2) oO832mk 2023/09/13(Wed) 23:49:00

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

その声色にまたうっすらと頬を緩め。
ひねくれもののあなたの部下は、

「及第点ですう」

それでも声音の喜色は隠そうとしないまま。
また表情だけをすまさせた。

「大丈夫ですってえ、もお。」

どれだけ重ねられても信用がないだなんて受け取らずに済む程度の自負はある。
そしてそれはきっと自負だけに所以しない。…幸福なことだと思う。

(1/2)
(-214) oO832mk 2023/09/14(Thu) 1:33:14

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

「まあ、そうですねえ。」

受け取ったフリットラをひとかじり。
色気がない、には同意しかなく、苦笑する。
そのまま色気のある車内食というものについて思いを馳せようとしていたとき。

「…ふふ。はあい。」

静かな首肯。
すぐ茶化してしまうより、多少は誠実さを残したかった。

「さすが、“港”の“黒眼鏡”さんは言うことが違いますねえ。」

直後には茶化してしまうわけだが。
そうやって久し振りに口にした呼称に、ひとりでまたくすりと笑い、遠くの海を見つめていた。

(2/2)
(-215) oO832mk 2023/09/14(Thu) 1:34:08

【独】 日差しにまどろむ ダニエラ

――黒眼鏡さん。

そう呼んでいた幼い日、こうして彼と
デート
するなど、誰が想像しただろう。
その頃から重なった縁を思えば、恩を返したいし、期待に報いたいと思うのは自然なことだろうと思う。

そのために、リスクを負わないということも大事なことだけれど。
リスクを負う、ということも。今は、必要なことだと感じていた。
(-216) oO832mk 2023/09/14(Thu) 1:35:00

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

「えー?」
「そんなこと言ってるとお、すぐおじいちゃんになりますよお」

肩を竦めて、既に年寄りくささある言葉を笑っていなす。
成人して3年のまごうことなき若者にはそれこそ響かない。
だけど、きっと、それでも女は忘れることはないのだろう。

「ご随意にい。」
「ダニエラ巡査はあ、ミルクfior di latteがおいしいって言ってましたよお。」

そればっかり食べていただけだ。
署長の入院まではほぼ、そうして『異常なし』が届けられていた。
最近は、『警戒』のイチゴfragolaの頻度が多くなっていることだって、当然あなたは知っているだろう。

(1/2)
(-236) oO832mk 2023/09/14(Thu) 6:40:30

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

早くはない速度で食べ進めながら、色移りゆく景色を眺めている。
早くはないだけで遅いわけでもなかったが、食べ終えても包み紙だけはまだ手の中だ。
停車の折にでもと考えていただけだが、運転席の気配に気づき振り向いた際それは乾いた音を立てた。

「…何ですかあ、もお。」

ひねくれものは反射的に、文句のようなものを漏らしている。
だけど確かに一瞬見せた、面映ゆそうなへにゃりとした笑顔が、その本心を映し出していた。

多分それは、親に頭を撫でられる幼子の姿によく似ている。
そして、隠そうとしたところで満更でもなさそうなわけだから、きっと大して隠れてもいないのだ。

(2/2)
(-237) oO832mk 2023/09/14(Thu) 6:43:30

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

似合うと思うのにい、とくすくす笑った。
そんな女が浮かべたのは、派手なシャツにサングラスのまま釣り糸を垂らすあなたの姿だったりする。
…でも、せめてそれよりはあの喫茶店で車を弄りながらコーヒーを振る舞っている方が、なんてこれは取り留めもない話。

「21、ですよお。」
「…いけないんだあ。女の子に年齢聞くなんてえ。」

宣いながら、指先が前髪を整える。
そのまま滑るように、するりするりと横髪を弄んだ。
(-265) oO832mk 2023/09/14(Thu) 12:57:39

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

母が亡くなり拾われた日から5年。
それ以前の付き合いも含めれば、もっと。
子供が大人を見て年月を想うのは、その姿に老いを見た時だけだから。
紛れた声が聴こえたとして、きっと共感なんて、できやしない。

「そうですかあ…?」

つまり、ただ、懐疑的な声が続く。というか当然、信じてない。
他に聞くべきことはいくらでもあろうに、聞いたのが年齢という辺りが特に。
そういえば女はあなたの年齢を詳しく覚えていない。
出会った時から大人だったあなたは、ただ“大人”であり続けている。

「……」

窓越しの海を、ぼんやりと。
あなたの大嘘に対する自分の意見を述べようとしたが、何故かこの時に限り言葉がまとまることはなかった。
そうする間に道が移り、デートの終わりを女も悟る。
(-270) oO832mk 2023/09/14(Thu) 16:46:01

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

>147 テオドロ

「ええ。そおですう?」
「どおせ食べるんならあ、楽しくておいしい方がいいのにい」

まあ無理強いするものでもない。
そう今のところは諦めたのか、それ以上の言及もない。
ただだる絡みと同じように、いつかおいしい食べ物づけにしてみたいと思った。密かに。

「ふむう、おすすめえ。」
「よくぞ聞いてくれましたともお。」

そして、そのチャンスはすぐに来た。
何がいいかなあと脳内を辿り。

「甘いものならあ、あそこのお店のマリトッツォ〜」
「おかず系ならサンドイッチでしょおかあ。あとはベーカリいー」

どうやら自分の他にも行きつけにしている人がいるらしいというのは最近になって知った話。
あなたがどちらか分からないけれど、あのベーカリーなら胸を張っておすすめできるらしい。

他にもゆるゆる、指折って。
多分、終わらない。どこかで止めた方がいい。
(150) oO832mk 2023/09/14(Thu) 18:04:21

【念】 日差しにまどろむ ダニエラ

「でしょおー。」

へらりと口許が笑みを形づくる。
わかりやすい。確かにそうだ。
女もそう思ったからこそ、言わずともいいことまで口にした。
それこそ信頼関係云々の話もあるが、
話せないこと
に比べれば、それくらいは易いものだった。

「あたしも、良心的な情報屋さんに巡り会えて果報者ですよお。」
「…だから、その辺は安心してくださあい。」

少なくとも女の命令で、あなたが身内を調査対象にすることはないだろう。
…あなたから言い出した場合は、別だろうが。
しかしその場合女が色を乗せねばならない義務もない。
(!11) oO832mk 2023/09/14(Thu) 20:11:18

【念】 日差しにまどろむ ダニエラ

「…ふうーん」

保湿も終え、15mlのボトルの蓋をとる。
ベースコートを筆につけて反対の小指に滑らせた。
あなたの胸中など、当然女は知りもしない。

「イレネオさんかあ。」
「いいと思うー。」

呑気そうに首肯して。
依頼主としての、きっと最初の責務だろう。

「じゃー。前金は送っとくからあ」
「イレネオさんのこと、よろしくねえ。」

事実として、前金として不自然ないだけの金額が後日には送られているはずだ。
(!12) oO832mk 2023/09/14(Thu) 20:11:53