人狼物語 三日月国


42 【突発完全RP村】実になりてこそ、恋ひまさりけれ【誰歓】R18

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


【独】 マリィ  

/*
無事に就任した!!!!
三└(┐卍 ՞ਊ ՞)卍ドゥルルルルル
(-0) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 7:05:17

【人】 マリィ  


  本当は、太ったっていいの。
  明日のことなんか何も考えないで
  この夜と朝の狭間に
  二人でずっと囚われていたい。


 例えあなたにそう言ったって、太陽は登る。
 「普通」の人達の、日常のための時間になる。

 星なんか見えない、美しい濃紺の空が
 じわじわ悪趣味なペールブルーに変わっていって
 やがて、眩しい太陽が端から顔を出す。
                    ]
(2) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 14:26:14

【人】 マリィ  

[アタシはあなたに一度だって
 「美味しい」なんて言ったことは無い。

 でも、知ってる?
 冷蔵庫に取ってある唐揚げとかコロッケは
 お店の子達にすごく人気なの。
 コンビニでロールパンを買ってきて
 あなたが余り物と呼ぶこれを、挟んで食べてる。
 台風の日にコロッケが売り切れた時なんか
 そりゃあもうテンションだだ下がり。

 逆に揚げ物が多めに余った日のこと
 お店の子は「パーリナイの日」
 って勝手に呼んでる。


 ……時々アタシが持ち帰ってくる
 ちょっと良いフルーツの秘密は、そういうこと。]
(3) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 14:26:40

【人】 マリィ  

[いつもの問いかけにいつもの答え>>0:115
 すっかりメイクも落として
 ただの男になったアタシは、
 眠りに落ちるまでの間だけ
 何もかも忘れられる。


 とっくに読まなくなって
 ソファの下に挟まっていた
 物件情報雑誌とか、
 今日空にしたグラスの個数。

 乱暴に組み敷かれた時の記憶。
 客の無神経な言葉に、愛想笑いを返した苦い味。]
(4) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 14:29:14

【人】 橋本 雅治  


[今だけ全部忘れてしまって……
 腕の中の温もりを、ただ抱きしめるだけ。

 そうして、俺の一日は終わる。]
 
(5) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 14:30:55

【人】 マリィ  

[けど、この生活の終わりは
 ある日突然にやってくるの─────]


  ……シェアハウス?


[お客さん切り出された話に
 アタシはつけまつげを盛った瞳をぱちくりさせる。
 LGBT向け不動産の営業マンだという彼は
 こくりと頷くと、カウンターの上に
 ばさりと資料を広げてみせる。]


  「ゲイセクシュアルだというだけで
   入居を断られるケースって多くって
   うちで扱ってるのはそういう方に特化した
   ジェンダーフレンドリー物件なんです」


[カタカナ語の多い彼の言うことには
 シェアハウス用の物件にゲイを集めて
 雑な言い方すれば、「ゲイ同士よろしくやれ」
 って感じな家らしい。
 近くに幼稚園や学校もないし
 新しい住宅街だから干渉してくるご近所もいない。]
(6) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 14:31:47

【人】 マリィ  



  「……どう?いい情報でしょ」


[営業マンを連れてきてくれた、
 膝に落書きしたみたいなのっぺりしたブスは
 そう得意げに笑ってみせた。

 アタシの鉄板ネタを真剣に捉えて
 真面目に解決策を出してくれた子を
 邪険にするわけにもいかなくて
 アタシは曖昧に微笑んでみせるの。
 アタシの今の居候について知っている
 お店の子達は、何か言いたそうな顔で
 じっと此方を見ていたけれど、
 結局、何も言えやしない。]


  ……そうね、橋の下で暮らすより
  安全そうな物件ね。
  ありがとう、考えとくわ。


[営業マンの名刺と、間取り図内覧写真その他諸々
 茶封筒に仕舞って─────それっきり。]
(7) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 14:32:20

【人】 マリィ  

[次の物件が見つかるまで。
 だけど、帰ればご飯があって
 朝でも夜でも無い昏い時間を分かつ人がいる
 ……それよりいい物件なんか、ない。


 結局、シェアハウスの情報の詰まった茶封筒は
 本棚の片隅に隠したまんま、二週間。
 アタシは今日も由人の「余り物」を食べる。]
(8) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 14:32:43

【人】 マリィ  

[そんな罰当たりなオカマにも
 今日はひとついい事があったの。

 お店が休みだったから、ふらふらと
 近所の商店街を歩いていたんだけど
 たまたま福引で一等当てちゃったのよ!
 (福引ってポケットティッシュ交換所じゃないのね)


 「北海道ペア旅行券2泊3日」


 喜び勇んで本屋に駆け込んで
 ガイドブックまで買っちゃった。
 お互い休みなのって、年末年始くらいだし
 冬の北海道は死ぬほど寒いかもしれないけど。]
(9) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 14:33:11

【人】 マリィ  

[でも、もし一緒に旅行に行けたなら────

 二人で「普通」に観光名所巡ったり
 こっちじゃ食べられないようなものに
 舌鼓を打ったり……

 冬の北海道なのに「寒いね」なんて言って
 手とか、繋いじゃったりして……

 アタシ達を誰も知らない場所で
 二人「普通」にデート出来るなら

 それってとっても最高だと思わない?]*
(10) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 14:33:41
マリィ  は、メモを貼った。
(a3) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 14:37:11

【独】 マリィ  

/*
わぁお……(じっとみつめる)
(-8) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 19:37:36

【独】 マリィ  

/*
見ちゃったか
(-10) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 20:50:26

【独】 マリィ  

/*
ていうか甘々じゃないですか

美味しい、なんて言葉を言われたことはない。
いつだってその口からこぼれるのは
恨み言みたいな形をしていて───
それでも、構わなかった。
その言葉の裏に隠されたものは
空っぽになった器に現れていたから。

「言えや!」って言っていいんですよ……
もう、とっちめてくれ……
(-11) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 20:51:52

【独】 マリィ  

/*
色々悶えポイントはあるんだけど>>44>>44>>44

オア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙
(-12) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 20:53:49

【独】 マリィ  

/*
ぎゃあああああああああレックスくん大丈夫か!!!救急車ァァァァ!!!救急車ァァァァ!!!(よべない)
(-14) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 23:04:01

【人】 マリィ  

[何度も確認するみたいに
 ちらちらアタシを見るものだから
 思わず、ぷっと噴き出して]


  あんた以外に誰がいるのよ。


[そう、真ん丸お目目が見えやすいように
 前髪を優しく梳いたでしょう。
 お店の子たったひとりだけを
 連れてくなんて無理だし
 友達と呼べる人もいないし
 恋人だって、いない。

 今、たった二人で孤独を分け合える
 あなたくらいしか、一緒に行きたい人はいないの。]
(49) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 23:04:24

【赤】 橋本 雅治  

[…………いや、言えたら良かったんだけどさ。


 
笑われたら、すごい凹むじゃん。
(*0) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 23:04:55

【人】 マリィ  

[それから、前髪を梳いた指を
 ぎこちない笑みの浮かんだ頬へ>>41
 する、と滑らせる。]


  約束よ。


[約束を破ってるのはアタシのくせに。

 暁天に温もりを分かつだけの
 名前のない関係の由人を繋ぎ止めて、
 恋人ぶってみせてる。]
(50) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 23:05:27

【人】 マリィ  




  あのね、調べたんだけど……
  空港からこの、……読めない、何コレ?
  のぼるべつ?なんか、温泉があるんだって。
  ここ。このホテル!
  色んな種類のお湯があって面白そう。


[お誘いしたからには、って
 調べてはガイドブックを広げて
 食事の合間にもお話したかしら。
 ホテルはどこにしよう、とか
 観光するなら何処がいいか……とか。

 アタシばっかりはしゃいでるのかなって
 最初こそ不安だったんだけど、
 本棚に新しいガイドブック見つけたりすれば
 いつものあの仏頂面の裏の感情を知って
 思わずにっこりしちゃうのね。

 ああ、良かった。
 この人も楽しみにしてくれてたんだ、って。]
(51) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 23:05:51

【人】 マリィ  

[オクラや胡瓜の時期が終わって
 栗ご飯の美味しい季節。

 ある日の食卓は相変わらず美味しかったのに
 何だか、由人の様子がおかしかった>>43
 いつも以上に表情がない、というか
 由人の仮面を、何かが被ってる感じ。]


  ……この里芋とイカの煮物、
  なんかおばあちゃんちで食べた感じ。

  アタシ、中学で両親に勘当されてから
  ちょっとだけおばあちゃんちで暮らしてたの。
  ……懐かしいわ。


[珍しく、料理にポジティブめなこと(当社比)
 言ったりしたけど、どうだったかしら。

 ああ、これは何かおかしい、って
 気が付いたのはラジオが終わった辺り>>44
(52) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 23:06:19

【人】 マリィ  




  ……眠れないの?


[問いかけるより先に出た答えに
 アタシは少し眉を顰めるでしょう。

 
そんなに、寂しいことがあったの?


 話を聞いてあげるのは出来るけど
 この口下手君に果たしてそれが有効かどうか。
 居候を初めた当初に思ったよりも
 由人は自分の殻に籠りやすい性質みたいで
 ……結局、語るより、共に居てあげた方が
 彼の心は癒されるんじゃないか、って。]
(53) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 23:07:11

【人】 マリィ  




  一緒に寝るだけじゃ、ダメなのかしら。


[じっと由人の目を覗き込んで
 アタシは確かめるように尋ねたの。
 この意味が分からない程、子供じゃないでしょう。]*
(54) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 23:07:43

【赤】 マリィ  



  もっと、近くに感じたら……安心出来る?


[親指の腹でそっと由人の唇をなぞりながら
 アタシはまた質問を重ねる。
 恋人でもない人とキスするのは嫌って人
 結構多いから、そのつもりで。

 唇を重ねてもいいなら
 孤独を分かつ者同士、おっかなびっくり
 触れるだけのキスをするの。
 唇の形が分かったなら、もう少し深く。
 温もりを確かめるように
 舌先同士を擦り合わせて。

 ダメ、と言われたならそれはそれ。
 いつも通りハグをしながら
 狭いベッドで眠りにつくでしょう。]
(*1) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 23:08:22

【秘】 橋本 雅治   → 環 由人

[もし、それでも足りなかったら─────

 俺、馬鹿だから、それよりもっと
 誰かを近くに感じる方法なんか
 ひとつしか思いつかないと思う。
 キスより深くて、人の体温を直に感じて
 とろっと溶け合うような感覚なのってさ。

 いろんなものを夜の帳に隠したまんま
 事に及ぶのは、卑怯かもしれないけれど……]


  お願い、今だけマリィじゃなくて
  雅治って呼んで。俺の名前。


[そう、由人に懇願しただろうか。]*
(-15) シュレッダー 2020/09/12(Sat) 23:09:22

【秘】 環 由人 → 橋本 雅治  




[ 特別なんだよな、って 思う 

 ぜったい、言わないけど ]



 
(-22) ななと 2020/09/13(Sun) 0:45:28

【秘】 環 由人 → 橋本 雅治  



[ ───眠れないといったから?

ここで体を重ねてくれようとするのは、
己がそう求めたから、なのだろうか。

そこに彼の意思はあるのか、
同居人、だから居候、だから、
なにかを返そうとしてくれて
いるわけではないのだろうか。

───もしも、愛してしまったら
それは彼にとって、あのカウンター越しに
その髪を掬って笑っていた
社長と同じにはならないのだろうか。]

 
(-23) ななと 2020/09/13(Sun) 0:56:42

【秘】 環 由人 → 橋本 雅治  



[ だって、期待してる自分がいる。
知りたいと、その奥底の深いところまで
触れ合って、溶け合ってしまいたいと。


だけど、熱を知って、後悔しないだろうか。]


 
(-24) ななと 2020/09/13(Sun) 0:57:35

【秘】 環 由人 → 橋本 雅治  




[ これ以上先に進んで自分は───


またあの孤独に耐えられるだろうか。]


(-25) ななと 2020/09/13(Sun) 0:58:28

【秘】 環 由人 → 橋本 雅治  



[ 知ってる、一人だけ、勘違いして
蓋を開けたらなんでもなくて、
そのときの虚しさも、痛みも、
諦めも、なにもかも知ってるから。]

 
(-26) ななと 2020/09/13(Sun) 0:59:28

【秘】 環 由人 → 橋本 雅治  




  これを、知っては、

  悟られてはいけない気がした。


(-27) ななと 2020/09/13(Sun) 1:01:18

【独】 橋本 雅治  

/*
朝からころされる……
(-31) シュレッダー 2020/09/13(Sun) 6:33:41

【独】 橋本 雅治  

/*
そして落とした漫画を『レベルE』と迷ったのを告白しておこう。食人鬼編がバッドエンドすぎてやめたけど。
(-36) シュレッダー 2020/09/13(Sun) 9:10:52

【赤】 橋本 雅治  

[重ねた唇は、多分同じ歯磨き粉の味。
 だけど、思ったよりも高い粘膜の温度とか、
 少しだけかさついた唇の感触とか、
 また知らない由人が見えてくるみたいで。

 腕の中に抱きすくめて、
 舌先で歯列を割ると、中はもっと柔らかくて熱い。
 ミントの清涼感なんかよりよっぽど強い、
 生々しい味蕾の粒の感触。

 ああ、この舌が「美味しい」と思ったもの
 アタシは毎日一緒に食べてるのかな、なんて。
 そう思ったら、もっと深く知りたくなった。]
(*4) シュレッダー 2020/09/13(Sun) 13:03:28

【赤】 橋本 雅治  

[乾いた由人の声が、“俺”を呼んでくれた。
 初めて、呼んでくれた!]


  ゆうと。


[少しだけ甘えるみたいな口調で
 口の中で由人の名前を転がすと
 なんだかとっても安心する。
 ふと目があったから俺は「大丈夫だよ」って
 慈しむような目を向けただろう。

 由人の目の前にいるのは
 いつもの化粧もなく、
 ありのままの男の顔した俺。]
(*5) シュレッダー 2020/09/13(Sun) 13:03:50

【秘】 橋本 雅治   → 環 由人

[だって、俺本当に馬鹿だから。

 “登別”だって読めなかったし
 読めないからそもそも本だって読まない。
 本当に、他の生き方が選べたら、って
 後悔しない日はない。

 俺が俺じゃなくなったまま
 このままぽっくり死ぬまで……?
 じゃあいつ死ぬのかって、明日?今日?
 終わりも見えない夜の道。]
(-39) シュレッダー 2020/09/13(Sun) 13:05:03

【秘】 橋本 雅治   → 環 由人

[だけど、一緒に生きてくれるかもしれない人が
 今、ようやくここに居る。
 ここで手を離したら多分もう次はない。

 きっかけが「眠れない」って一言だったとしても
 「もっとずっと一緒にいたい」ってこと
 ちゃんと伝えられるかなって、思って……]
(-40) シュレッダー 2020/09/13(Sun) 13:05:55

【人】 橋本 雅治  



  あ、


[ぐ、と胸を押しのけられて
 俺は微かに揺らめいた>>61
 抱き竦めていた腕が離れて
 あんなに近かった体温が、もうこんなに遠い。

 待ってよ、とか、どうして、とか
 言葉らしい言葉が何も出ない内に
 由人は部屋から出ていってしまう。

 さっきまでの空気が嘘みたいに
 真っ暗な部屋にぽつん、と一人残されて
 口の周りを汚す唾液が冷めていくのだけが
 今しがたの熱の左証だった。]
(84) シュレッダー 2020/09/13(Sun) 13:06:24

【人】 マリィ  

[一番拒まれたくない人に去られた衝撃は
 ゆっくりじわじわ、ざわつく心に染みていって]


  ─────は、


[自嘲の笑みが、零れた。

 由人が帰ってきた頃には、ソファーの上に
 でかい図体を丸めて寝ているアタシがいるでしょう。
 寝るには狭い座面に、
 人と分け合える空間なんかない。


 だけど朝が来れば由人は何事もなく
 お店に立つでしょうし、アタシも同じ。
 家に帰れば何も無かったみたいに
 「まあ相変わらず茶色い食卓ね!」なんて
 褒めもせずにご相伴預かるのよ。]
(85) シュレッダー 2020/09/13(Sun) 13:07:15

【人】 マリィ  

[結局、シェアハウスの話をしに
 営業マンは時折店に顔を出すから
 毎回曖昧に答えて終わる。

 いっそ「じゃあ機会があれば……」って
 引いてくれてもいいのに。

 それを見たお店の子にも
 「ママ、これ今誰も幸せにならないパターンよ」って
 目も合わせずそっと囁き落とされたりして。

 アタシは聞こえないふりして
 OLちゃんの愚痴に相槌を打つの。]
(86) シュレッダー 2020/09/13(Sun) 13:07:44

【人】 マリィ  

[例えば─────

 「美味しい」って言っちゃったら
 由人はきっと嬉しいでしょう?
 あの無愛想な顔に笑みっぽいのを浮かべて
 耳の端とかちょっと染めちゃったり、ね。

 それを毎日言って、
 ある日突然アタシが消えてしまったら
 その後どうやって生きていくのよ。

 「愛してる」って言っちゃったら
 由人はなんて言うかしら?
 キスは受け入れてくれたけど
 結局、ダメだったじゃない。

 アタシは何言われても平気。
 そう、言い聞かせているうちは。
 ……だけど、人間だから傷付くし血も出るわ。

 もし「無理」って言われたら
 アタシこの先どうやって生きていけばいいのよ。]
(87) シュレッダー 2020/09/13(Sun) 13:08:45

【人】 マリィ  

[そんなことを言ってるうちに
 栗の季節は過ぎて、
 白菜とかネギの美味しい時期になった。
 コロッケのラインナップに
 カニクリームコロッケが入ったり
 ハンバーグのソースもきのこから
 デミグラスに変わっていく。

 飛行機もホテルも予約して、
 ガイドブックも付箋だらけになった。
 北海道旅行の日程は、指折り数えられる程
 ぐっと近くなっていたでしょう。


 アタシは結局、来年までシェアハウスの話を
 ずるずる持ち越す気でいたし、
 あれからアタシから由人を求めることも無かった。
 「何も無かった」みたいなフリするのだけは
 アタシ、とっても慣れっこなんだもの。]*
(88) シュレッダー 2020/09/13(Sun) 13:13:04

【秘】 環 由人 → マリィ  


[ ただひとつ違うのは───]



   おやすみ、


   ───明日、楽しみ、だな



[ ほんのすこし眉を下げて
笑ったことくらいだろう。]

 
(-47) ななと 2020/09/13(Sun) 19:19:52

【人】 マリィ  

[ベッドで一緒に寝なくなって
 「眠れそう?」って聞かなくなって……
 でもそれ以外はいつも通り。

 旅行の話もするし、料理も食べる。
 相変わらず家にも置いてもらえてる。

 だけど、見えないどこかに
 亀裂でも入ってやしないか
 アタシは内心気が気じゃなくて。

 …………本当に、惨めで。]
(151) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 11:40:05

【人】 マリィ  



  ……なぁによ。


[旅行の前日、本も読まずに
 アタシのことじっと見つめる由人に
 さすがに気まずくなって口を尖らせるの。

 つくねのしゃりしゃりふわふわした食感に
 そっと目を細めていた矢先のことだったもの。
 うっかり目が合っちゃって
 耳までかぁっと熱くなる。]


  見蕩れてたなら、そう言っていいのよ。


[誤魔化すみたいに、ウィンクひとつ。
 「別に」なんて気のない答えが返ってきても
 「照れ屋なのね」って笑うだけ。]
(152) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 11:40:37

【秘】 マリィ   → 環 由人

[そうして寝る前に
 久しぶりに声をかけてもらったなら]


  ─────楽しみで眠れない、なんて
  こどもみたいなこと言わないでよね。


[そう微笑み返して、ソファーの上で丸まるの。]
(-56) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 11:41:02

【人】 マリィ  

[そうして、生まれて初めて
 北の大地に降り立ったアタシの第一声───]


  さっむ!!
  てか思ってたより都会!!



[空港と商業施設とホテルとが合体した
 広い空港を前に、うっかり声が出てしまう。
 外は晴れてはいるものの、
 日の温もりなんてものは感じない。

 さくさくひとりで受付まで
 歩いていこうとする由人を追って
 はぐれないように手を繋ごうとするの。


 普段の化粧も衣装もない、
 ありのままの男の姿で
 今アタシはあなたの隣に並んで立ってる。]
(153) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 11:41:31

【人】 マリィ  

[寒さから逃げるように
 真っ青なレンタカーの助手席に逃げ込むと
 ほわ……と暖かな風が車内を温めてくれる。]


  チーズ作ったり、ピザ作ったりできる
  工房だったっけ……?
  いいじゃない。暖かいもの食べたいもの。


[その提案に小さく頷くと
 そっと白銀の景色からの景色に
 視線を向けるでしょう。

 もしかしたら「旅行もやめよう」って
 言われたらどうしよう、って思ってた。
 だけど今この凍るように寒い場所に
 由人と二人きりでいられている。]


  安全運転よろしくね。


[そう言ってアタシは笑ったけど
 もしこのまま事故で二人とも死んでも
 それはそれでいい終わり方な気もして。]
(154) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 11:42:00

【人】 マリィ  

  ー 富良野のチーズ工房 ー

[ラベンダーの季節はとっくにすぎて
 夏には一面紫で染まった丘陵も
 今は一面の銀世界。
 目的の工房はそんな真っ白な世界の中の
 白樺で囲まれた林の中にあったでしよう。

 絵本の中の1ページみたいな
 何だか可愛いお店の中に入ってみると
 正面にどどん、と等身大の牛のオブジェが
 お出迎えしてくれる。
 ここでは手作りのチーズやアイス
 釜で焼くピッツァが作れるらしく、
 受付のお姉さんは男ふたりの客に
 嫌な顔もしないで色々説明してくれた。]


  ねえ、由人ピザ作るのやってみてよ。


[そう悪戯っぽくおねだりしたら
 どういう反応が返ってきたかしら。
 カッコイイじゃない、ピザ生地回すの。]
(155) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 11:42:25

【人】 マリィ  

[一緒にやろう、って言われたら
 なんて答えようかしら……。]


  由人が作ったのが、食べたいの。


[って普段絶対言わないこと
 口を滑らせちゃうかしら。
 だってアタシ、普段より静かだけど
 心の中はそれはもう大はしゃぎなんだもの!]*
(156) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 11:43:03

【人】 マリィ  



  はいはい、最初は怖いかもしれないけど
  案外痛くも怖くもないものよ。


[困ったように笑う由人にアタシはけらりと笑ってみせるの。
 旅行に来てまで何か作るの、嫌かもしれないけど
 由人はそれでも、アタシのわがままを聞いてくれた。


 本当は、ね。恥ずかしいから言わないけど
 あんたがアタシのために作ってくれたご飯が
 「余り物」じゃないご飯が食べてみたかったのよ。



 文句言ってたくせに、工房で他の観光客のパパに交じって
 粉をこねる姿は、正直とっても様になってて
 ハンドトスは……まあ、ちょっと失敗してたけど
 真剣に生地をこねてまあるいピザを作る姿を
 アタシは工房の外からじっと見ていたの。]
(172) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 15:55:15

【人】 マリィ  

[……なんで工房の外からかって言うと、
 アタシはピザ作りに参加しなかったから。
 見てるだけのつもりだったのに、受付のお姉さんに

 「お連れ様が作っている間、こちらに参加してはどうですか」

 ……って、半ば強制的に「バター作り」のコーナーに
 移動させられてしまって。
 キッズに並んで図体のデカいオネエが一人、
 気が付いたら搾りたてのミルクの入った瓶を片手に
 口をあんぐり、お姉さんの説明を聞く羽目になっていたの。]


  10分これを振り続けるの……?


[オナホサイズの小さい瓶に怪訝な視線を向けて。
 そもそもバターって作れるものなんだ……とか
 そんな簡単に作れるなら、帰ってからも作ってみようかとか
 色んな考えが頭をよぎったけれど……

 ―――3分後には、全部どうでもよくなっていた。]
(173) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 15:55:28

【人】 マリィ  




  ちょっとォ!手が!!手がもげる!!
  まだ出来ないの?!



[アタシの悲鳴をよそに、周りのガキどもは笑い転げているし
 お姉さんも「まだですねー」なんてのんきに笑っている。

 プラスチックの小さい瓶とはいえ、ずっと振り続けるのは
 想像したよりハードなお仕事だった。
 着込んだコートも熱くなったからと脱ぎ捨てて]



  う、うおおおおおおッッ!!!




[ついでにオカマの仮面も脱ぎ捨てドス声出したら
 キッズのひとりが「ゴリラ!」と笑う。
 うっせえっての!誰がゴリラよ!
 ……なんて怒鳴り返せば、笑い声が返ってくる。

 ああ、でも、なんかこの空間は、嫌いじゃない。]
(174) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 15:55:53

【人】 マリィ  

[10分間、汗だくになって振り続けたミルクが
 こっくりした黄色のバターになる頃には
 由人作のピザが焼きあがった頃でしょう。

 こんがり焼けた小麦の匂いが、疲れた脳髄に
 じんと染み渡って、今にもよだれが垂れてしまいそう。]


  ……?二枚作ったの?


[素人目に、どっちがピザ職人のものか分からなくって
 何にも考えずにそう聞いちゃった。
 言われてみれば、チーズピザの方が薄く均一かもしれないけれど
 もっちり耳のマルゲリータも、なかなか愛嬌があると思う。]


  ……ッ、あっつ!あは、ホント、熱い!


[熱がる由人を見て、気を付けていたはずなのに
 手に持った焼き立てピザは熱くて、でも一口食べると
 フレッシュなトマトとミルキーなチーズの香りがふんわり
 舌の上で弾けるようで……]
(175) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 15:56:09

【人】 マリィ  





  うふ、ほんとだ。うンめ……


[笑みとともに自然に零れた言葉。
 何かを「作る」ことの大変さを知った後だから
 余計にすんなり出てきてしまったの。]
(176) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 15:56:33

【人】 マリィ  

[二人でピザを完食した後、さっき作ったバターを受け取った。
 努力の末に出来たバターは、ココット一つ分。
 じゃがバター推定2個分、パンに塗れば4、5回分くらい。

 初めて作ったバターは、アタシから由人へプレゼント。

 料理と違って、誰が作っても同じかもしれないけれど
 ……でも由人に食べてほしいって思ったの。
 お店の子からのプレゼントを渡すだけじゃなくって
 これはちゃんと、アタシが作ったものなんだから。]


  これの味は、帰ってからのお楽しみってことで。


[そう言って、自宅へ送るクール便の中に
 小さなココットを入れさせてもらって。]
(177) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 15:56:48

【赤】 マリィ  

[バターを手渡した時、ちょっと思っちゃった。


 「これ食べて、由人、なんて言うのかな」なんて。

 この先、生きていく気もなかったくせにね。]
(*6) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 15:57:00

【人】 マリィ  

[次の目的地へと滑り出す車の中、
 寝ててもいい、ってサジェストには首を横に振るの。
 二人きりの時間を寝て過ごしたらもったいないわ。]


  それより聞いてよ、さっきのバター作りの話!


[口調だけは怒った感じ、そのくせ口元に笑みを浮かべて
 アタシはキッズの人気者になってしまった話をするでしょう。
 「ゴリラねえさん」だの「ドンキーコングオネエ」だの
 悪意のないあだ名をつけられて、「みて!」とせがまれるまま
 ひとりひとりの具合を確かめた、あの忙しいひと時のこと。]


  アタシ、こどもって嫌いだったの。
  どう接していいかわからなかったし、
  そもそも親御さん達が嫌がるだろうし、
  ……欲しいって思っても、苦しくなるだけだし。


[相変わらず、車窓からの風景は真っ白。
 だけれど、ぽつぽつ、遠くに人の営みが見える。]


  でも、さっきまでの時間は、嫌いじゃなかった。


[ふう、と吐息を吹きつけると、窓ガラスが白く曇る。
 そこにハートを書きながら、アタシは小さく喉を鳴らすの。]
(178) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 15:59:12

【赤】 マリィ  

[また来たいわ。


 ……なんて、言ったら笑われちゃうかしら。
 いいえ、アタシ自分で笑っちゃうわね。]
(*7) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 16:00:20

【人】 マリィ  

[取り留めのない話をしながら、
 アタシは描いたばかりのハートを袖口で拭ってしまう。]


  ステンドグラス美術館なら、さすがに
  こどもも少なくて見やすいかしらね。


[まだ見ぬ到着地を思い描きながら
 アタシは真っすぐ前を見つめる由人の横顔を
 睫毛の隙間からじっと見つめていたでしょう。]*
(179) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 16:08:45

【独】 マリィ  

/*
>>164>>165の食べ方がかわいくって無邪気すぎて
脳内イェイイェイヲウヲウパーリナイなんですが。
美味しそうに食べる(文章で)って技量がいるよね。
はぁぁぁ……(拝む
(-59) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 16:12:45

【独】 マリィ  

/*
私はもうちょっとしっとりしたオネエさんのつもりだったのに、どうしてこうなったのかな。ちょっと後で体育館裏に来ようか。
(-60) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 16:14:32

【独】 マリィ  

/*
楽しそうなオネエぶりで言えば山本氏の方が上というアレ。
(-61) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 16:15:27

【独】 マリィ  

/*
>>225
ママのとこ来なさい、抱き締めてあげる
(-72) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 22:44:24

【独】 マリィ  

/*
ちょっとそこのトラックの運ちゃん、ケツだしな


え、急にシリアス展開……
どきどき……
(-75) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 22:53:03

【人】 マリィ  



  そりゃあ、アタシは“ママ”だもの。


[隣から聞こえた褒め言葉に>>182
 当たり前よ、と肩を竦めるの。]


  年齢も性別もセクシャリティも関係ない、
  話聞いて欲しいとか、誰かに甘えたいとか
  誰もが持ってる欲望の受け止め先。

  明日を向いて生きるためにね。


[そのくせ、自分が自分であるための場所を
 見つけるのに必死で、由人に嘘を吐き続けてる。
 聖母なんかじゃない、ただの汚い男。

 
でもあんたをアタシのママにしたいんじゃない、
 絞り出すみたいに寂しさを吐き出した
 あんたの隣にいたいんだよ。
(236) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 22:53:19

【人】 マリィ  

[楽しかった、って言葉に
 そうね、って返すくせに
 どっちも「また来よう」を言わないまんま。
 少し歪な空気のまま、車は芸術村へ
 するりと滑り込むでしょう。

 いよいよ日も陰り、夜の時間の近付く頃。
 人影もまばらな美術館へ入れば
 途端に、眩しい色彩が目を焼いた。]


  ………………、


[四面を取り囲むように聳え立つ
 天使や聖なる御子、聖母を象ったステンドグラス。
 正面にどんと構えていたのは、
 磔刑に処されるキリスト像だった。]
(237) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 22:53:50

【人】 マリィ  

[ステンドグラスとは、識字率が低かった昔
 阿呆んダラでも分かるように、聖書の内容を
 噛み砕いて図にしたもの……
 そう、ガイドブックに書いてあった。

 アタシは神様仏様を信じてないけど
 流石に聖書のあらすじくらいは知ってる。
 聖母マリアから生まれたイエス・キリストは
 人の咎を負って磔刑に処されるの。
 聖書には、同性愛も罪のひとつとして
 数えられているのも、知ってる。

 隣で聴こえた吐息と正反対に、
 アタシは、もう息が出来なくなった。

 荘厳な雰囲気の中、死んだ目をしたキリストが
 じっとアタシを見下ろしている。
 「美味しい」の代わりの軽口に
 笑ってみせてくれる由人より厳格な
 全部お見通しの顔をして。

 怖い。怖い。もう、逃げ出したい。
 全部かなぐり捨てて、ひれ伏して、
 泣きながら地に頭を擦り付けて謝りたい。]
(238) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 22:54:37

【人】 マリィ  



  
ごめんなさい……



[そう呟いたのと、由人の手が
 アタシの手を取ったのは同時くらい。

 続いて落とされる由人の呟きに
 視線を彼の横顔へと移すと、
 硝子越しに差し込んだ光が
 彼の睫毛へ影を落としていて……]
(239) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 22:56:04

【人】 マリィ  



  …………そう、だね。


[アタシは、由人の横顔に視線を向けたまま
 漸く手を握り返せたの。

 相変わらず息苦しくて
 射抜くような視線を上から四方から感じてたけど
 今、アタシはひとりじゃないもの。
 ……情けないこの手の震えが、
 由人に伝わりませんように。]
(240) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 22:56:21

【赤】 橋本 雅治  

[─────ああ、神様。

 俺は許されたい。

 あなたが許してくれなくってもいい。

 地獄に落ちて焼かれたっていい。

 けど、せめてこの地上で生きる間だけ

 この人のそばに居たいんだって

 この人に伝える勇気をください。]
(*10) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 22:56:58

【人】 橋本 雅治  

[由人の視線が空を彷徨って
 何か噛み締めるように唇が数回動いて───

 漸く、俺の方を見てくれた。


 ……そうして切り出された言葉に>>191
 俺はまた少しだけ息を飲んで、
 泣きそうな顔で笑うんだ。]
(241) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 22:57:21

【人】 橋本 雅治  




  ─────同じこと、言おうと思ってた。


 
(242) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 22:57:43

【人】 マリィ  

[そうしてアール・ヌーヴォー美術館の方へ
 足を運んだけれど……
 正直、「良さげなツボとか皿」以外の
 感想が思い付かなくって
 多分アタシはずっと黙ってたと思う。

 ガイドブックの「小樽」も読めなくて
 何度も由人に聞いたもの。

 もう少し、頭が良くなりたかった。
 ……いいえ、頭が良いとか悪いとかじゃなく
 もっとちゃんと勉強すれば
 今日はもっと楽しかったかもしれない。

 由人と暮らすまで豚肉と牛肉の違いすら
 正直よく分からなかったし、
 興味もそんなに持ってなかった。
 もっとよく分かっていれば
 ちゃんと「美味しい」って言う時に
 気の利いた感想が言えるかもしれない。

 振り返っても、後悔ばっかり。
 今更禊をしたところで
 払いきれる穢れじゃないかもしれない。]
(243) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 22:58:19

【秘】 橋本 雅治   → 環 由人


[でも、今日由人にちゃんと話さないと、
 俺は多分一生後悔する。]
 
(-76) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 22:59:04

【人】 マリィ  

[ホテルに着いた頃には
 随分辺りは暗かったでしょう。

 古い歴史ある造りの玄関の上に
 近未来的な造形の客室がドッキングした
 何だか奇妙な感じの宿だったけれど
 客室温泉はあるし
 海の幸溢れる夕食が絶品!とかなんとか。

 でも正直、お夕飯をすぐに楽しめそうな
 心持ちじゃあなくって。

 通された部屋はダブル。
 お行儀よく並んだふたつのベッド。
 分厚いカーテンは寒さ避けのためか
 全て固く閉ざされている。

 アタシは手持ちのボストンバッグを、
 どさり、とベッドに放り捨てると]


  ……ねえ、お夕飯の前に話しちゃわない?


[少し、震える声で切り出した。
 「どうせなら、美味しく食べたいじゃない?」
 なんて笑おうとしたけど、
 うまく、口角が上げられなかった。]*
(244) シュレッダー 2020/09/14(Mon) 22:59:38
 




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