怒られなさそうな雰囲気に安心し、ウェイウェ〜イとなった。もうだめだ。

「またね〜！」
と見送るが、次にこの部屋に来た時。カストルを運び込んだ時には、ベッド下に隠した部屋の散らかり度は戻っていただろう……。
/*ギリギリで送信して次の日に入ったら大変だものね！回収ありがとうございましたですわよ！わたくしも頃合いを見まくりますわ！

『もしもし！占…………』

『……あっ違うじゃん！忘れて！』
急にかけたのは、間違い通信だった。

『もしも〜し、ラサルハグが人間〜って占いのさ〜結果言っていい？』
もう言っている。

まずは箱を見つけて、わ〜いクッキー！になった。
そしてメッセージを読み。
「……おんせん？ごめいわく？キファ……温泉……温……キ……」


呼んだというよりは、叫んだ。探しもするけれども、近くにいるのならおそらくあなたが叫びに気づくほうが早い。逃げたら逃げられるくらいには。

『よかった〜！占った人に言うんじゃないもんね、次は間違えない！じゃ！』
気遣いをわりと台無しにして通信を切った。ピッ。

「…………………あっ！！！またミス！」
またとか言ってる。

なにもごまかせないので、「え〜と……よろしく〜……！」とか言って逃げた。

「ヌンキ〜……ヌンキいる〜？」
そこそこの声量であなたを呼んで探している。
が、追いかけたのはあなたが去ってすぐではなく、時間が経ってからだ。
どこへ行ったのか、あちこち闇雲に走るだけなので、見つけられないかもしれない。
見つかるまでしばらくは探し続けるが。

「ヌンキ！」
あなたの顔を見れば嬉しさを隠しもせず出す。

「お腹空いてるかもと思って、持ってきた！」
まず渡そうとするのはマフィンだ。もしかしたらあなたが用意したものかもしれない。

「……大丈夫？あの、さっきさ……ケンカになっちゃったっしょ？」

『なんで？』
反射的に送られたのか、まず短い返事。

『バーナードは助けてくれたと思うけど』

『バーナードはあれやるの嫌じゃなかったってこと？』
思いついた順に送っている。

「ヌンキ働き者の気配するよ！たまには休んでいいよ〜」
軽めの調子でそう返してから、うつむき気味に。

「テレベルムも心配だけど……でも、後で言いに行くよ。ヌンキは心配してくれただけだって。
そしたら許してくれるかもしれないし……ごめん、みんなもだけどさ、オレもヌンキにすごい心配かけちゃったよな〜……だからああいうこと言ったのかなと思って、それだったら大丈夫って言わないとと思って」

「……大丈夫ではないかもだけど。オレもなんでこういうことするのかまだわかんないし……」

「……それもまだ『かも』、だし。まだわかんなくても……そうしたかったわけじゃないように、オレには見えるよ。
許してくれなかったら反省会してチャレンジしよう、手伝うよ。ほら……オレ優しさも天才だから！」
少し明るさを取り戻した声を出して、それから、あなたの質問への答えを考え始めた。
少しだけ、あるいは長い間。どちらに感じるか、丁度中間くらい。

「……生きたい、って思うために、続けるのかな。それがわかったら終わりでいいのかな？」
質問へ質問を、というよりは自分への問いに近い。

「オレは参加する前から、多分なんとなく生きたかった気がする、けど……でも参加する前は死ぬのが大変だって分かってなかった。
でもシャトの……見て、ハマル……、やるまでもわかんなかったし、どういうことかも分かんなかった。
……分かんなかったから始めちゃっただけ、だからやめられないだけ、かもしれないけど……」

ふ、と何か思いついた顔をして、視線だけがそちらを向いた。
「……分かんない人がまだいるから、かも。みんな分かったからっていなくなったら、一人じゃ、きっと分かりたくても解れないよ」

『おれも』

「オレも！」
文字だけが送られたあと、すぐに通信が入る。録音されるか、直接聞いてもらえるかは分からないまま喋る。

「オレも参加するまで、分かんなかった！みんな普通に参加してて、普通にできることなんだ〜って」

「でも全然違ってて、びっくりしたよね」

「だからさ〜……なんか、オレはイヤなこと押し付けられたみたいには、思ってないよ。
やんなきゃいけないって決めたのはバーナードじゃないし、やんなきゃいけないのを手伝ってくれただけで……だから、ありがとう！」

「そういうバーナードはめちゃくちゃかっこ悪くなってる〜……」
ふざけ返したが、ぐずぐずのうちぐずくらいが伝染ってきた。

「がんばれ〜、オレは……あんま頑張れないかもしれないけど……投票もまだ、だし……」

「じゃあバーナードにたのむ……」
すっすっ。流れるように委任した。

「優しいのは知ってるけどさぁ〜〜……よ〜く考えたら、丸投げしちゃいけないのくらいわかるし……」

「…………許すかどうかはテレベルムによるかも……無視して逃げられちゃったら、おわり」

「でもそしたらオレ回り込んで止めるよ！任せて！その間に話して！」
嫌な可能性も言う。そして行動がモンスターに近い。

「……あっ、違うのかな？う〜ん……」と、こちらに関しては言い分けた自覚はなく。意識していない部分で違う、と思っているからか。

待つ側になると長く感じるような、けれども小さくなった声が最後まで聞こえるまで待って。
「やった！じゃ、もしかしたら答えに近い……かも！近づいてたりしないかなぁ……？」
これだ、と言い切ることはしない。
だってまだ考え続けるべきことなのだ。

「」
うるさい！カッコがついてこないくらいうるさい。

「え〜と……え〜〜〜〜………ありがとう！！！」
まずはクッキーのお礼から攻め込んだ。クッキーありがとう。クッキー大好き。

「あの、なんか、なんか、全然、見てないからね！ほんとに！
ほん……なんで謝ってるんだよぉ〜！？謝るのこっちじゃ……ない！？」

「あっ……てる……そうだ〜、そのとおりに投票するよって言いに行かなきゃ……あ〜あといっぱいはなしすすんでる〜……あ〜〜あ〜」

アーになった。

「バーナードいまから役交換して」
無理なこと分かっていってる。

羨ーにもなった。

「何だよ甘やかすって〜宿題全部やってくれるとか？」
そんなにあるのかというと、ある。

「ア〜……らくができない……」
カストルは、かなしんだ。

「オレそんな……ち〜ちゃい子供じゃないし！
う〜〜ん………………考えとく！またあとで！」
今はあんまり思いつかなかったので、もういい時間だし、と通信を切った。きっとすぐロビーででも会うことになるだろうが。