263 【ペアソロRP】配信のその先に【R18/R18G】
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[夢見るような心地だった。
他人の旋律をなぞるのと違って
想いを込めて弾くピアノは
こんなに気分が良いものなのだ。
……そうして興奮冷めやらぬまま
彼女のアカウントにDMを送信したのだが
気分は一転、頭から冷水を掛けられたようだった。]
返事が無い……既読にもならない
何か設定を間違えてる……?
[ソワソワと落ち着かない様子で
スマートフォンとノートPCを操作した。
新たに捨て垢を作成してそこにDMを送る。
……届いた。間違っていない。
彼女の身に何かあったのだろうか?]
[ホーム画面での投稿もリプライも無い。
暁ソウマアカウントの投稿にいいねもつかない。
いつもならまだ少し起きている筈なのに。
そう言えば……、毎週生配信の時は
投げ銭つきも通常コメントももっとくれるのに
昨日もらったのは最初のひとつだけだった。]
普段と変わらない時間に帰ってきて……
うん、そう、配信に間に合うよう
帰ってきてくれて……
それから現在までも家を出た様子はない……
[密かに仕込んだ遠隔カメラの録画を確認しても
安心は得られなかった。
誰かが侵入した形跡もなかったけれど、
死角はあるし、
部屋の中の様子までは見られないのだ。]
明かりがついたまま……?
[何事もなければ良いのだけれど
彼女は一人暮らしだから……、
もしも倒れていたら?
誰かに襲われていたら?
胸が騒ぐ。]
|
僕が……———の言うことを きかなかったから、 罰が当たったの……?
[深夜消え入りそうな声の問いに返事は無かった。*] (15) 2024/05/19(Sun) 13:21:57 |
……いかなきゃ、
[押し潰されそうな心を押して、自宅を飛び出した。
タクシーを手配して向かうよりは走った方が早い。
SNSに上げられる写真のほんの僅かな写り込みから
住処を特定できたのだが、そこそこな近所で良かった。
地球の裏側だって、自分はきっと向かったけれど。]
はっ、はぁっ、……生きてる……?
[息を切らして飛び込んだのは彼女が住む部屋の隣──、
カメラを仕込んでいるのもここの玄関とベランダだ。
土足のまま上がり込むと、
彼女の部屋側の壁に耳を当てた。
────どうか無事でいて。]
[学生向けの建物は壁も薄いし
生まれつき耳が人より良かった。
それらに感謝する。]
……、寝息……?
ただ寝てるだけなのかな……?
[壁越しに微かな息遣いが聴こえて。
……息を長く吐き出した。
彼女は生きている。
緊張が一気に解けて、
壁に手を当てたまま重力に従って座り込む。
規則正しい音を暫く聴いて。
そのまま寝てしまった……。]
| ── 今朝 ── [バタンッ DM >>13の送信ボタンが押されて数秒後。 隣の部屋、薄い壁の向こうで 何かが落ちる音がした。] (16) 2024/05/19(Sun) 14:00:31 |
……しまった、あのまま寝てしまっ……
!!!!
[ジーンズのポケットが震えて目が覚めて、
ぼーっとしたまま取り出したスマートフォン。
「ハツナさんからメッセージが届いてます。」
……の通知に驚いて、端末を落としてしまった。
立ち所に目が覚めて、そぉ……っと、
それ以上物音をたてないよう拾い上げる。]
[拾い上げるとすぐさまDMの返事に既読をつけた。]
(返事……嬉しい。凄く丁寧だ。
一応警戒されているけど……)
[思い遣りの感じられる文面に口許が緩む。
疑われるのは覚悟の上だった。
だけど本人だと感じ取ってくれたのだろうか?
自分がそうであって欲しいと願うから
そんな風に考えてしまうのかも知れないけれど。]
| ────────────────── @Johann_Christoph_S お返事ありがとうございますハツナさん。 光栄なのはこちらこそです。 私が本人であることの証明ですが、 次にお送りする画像で足りるでしょうか? 視聴者の方と個人的な連絡をするのは 初めてのため勝手を理解していません。 もし不足でしたらハツナさんから 具体的に指定して頂けると幸いです。 私に出来ることなら何でも致します。 < どうぞよろしくお願い致します。 ────────────────── (17) 2024/05/19(Sun) 14:33:18 |
| [そんな文面のメッセージからややあって、 DMで送られるのは一枚の画像。 昨日の生配信の時の衣装そのままの 暁ソウマの自撮り画像だ。 たったいま撮られたばかりのもので……。 撮るのが慣れていないのもあるが 壁や天井が写り込まないよう 矢鱈とドアップのものであった。 勿論どこにも公開したことはない。 因みにシャッター音は鳴らないように改造済み。 *] (18) 2024/05/19(Sun) 14:33:55 |
[フォローリクエストは
許可も拒否もせず宙ぶらりん。
だってとても見せられたものじゃない……。*]
[髪を梳かしながら部屋に戻り、
ソファ兼用のベッドに腰を下ろす。
──そういえば、
泣きながら寝落ちたから
昨日の配信、途中までしか観れてないな。
配信の最中に寝てしまうなんて失態、
ソウマくんを好きになってから初のことだった。
三日月Tubeのメンバーシップには
当然の如く加入しているし、
コメントだって、いつもなら
もっとたくさん送っている。投げ銭も。
配信が終わった後も大抵、すぐには寝付けずに
冷めやらぬ興奮をSNSで延々と書き連ねたり
公式アカウントにリプライを送ったりしてきた。
そのまま過去の動画を巡回し始めて
気付いたら夜が明けていた、
なんてことも数知れない。
毎週欠かさずにずっとあったものが
突然なくなったら、ソウマくんも
淋しい、って思ってくれたりするのかな。]
[……まあ
10万のうちの1人が居なくなったところで
普通気付きもしないわよね、きっと。
さっきのメッセージだって
ソウマくん本人からなわけがないんだから──]
[絶叫が耳に届くが早いか
背中を預けていた壁から衝撃が伝わる。
]
(びっっっっ、くりした……)
[それはもう驚いたが……、
寸での所で声を上げずに済んだ。
こんなに勢いよくぶつけて相当痛いだろう。
きみには怪我をしてほしくない。
ああだけど、そんな風に反応して貰えて
嬉しいとも感じてしまっている。
自分はなんてやつだろうか。]
(好きだって……)
[聞いたのは何もこれ
が初めてじゃない。
朝目覚めた時など
部屋内のどこか一点に向けて
語り掛けてくれているのを
息を潜めて何度盗み聴きしてきたことか。
それでも、何度聴いても胸は高鳴るのだった。
それが秋月壮真に向けられたものではなく
暁ソウマ宛のものだったとしても。
悔やまれるのは
彼女の反応でやっと自覚したことだが
昨日と全く同じ服を着ている点。
二日連続で着続ける不潔なやつだと思われたくない。
そこには気付かないでくれると良いのだけれど。]
[またスマートフォンが震えた。
先ほど自撮りに梃子摺っている時に
早いと指摘されていたから
少し置いてから確認しようとして……、
結局一分と保たずに開いた。
自分はこんなに堪え性のない男だったのか。]
| ────────────────── @Johann_Christoph_S 無礼だなんて思っていません。 信じて頂けて嬉しいです。 ありがとうございます。 早速ですが今夜はご都合いかがですか? 場所は面箕駅から程近い「のうえ」 < というお店を考えています。 ────────────────── (29) 2024/05/19(Sun) 22:26:15 |
[送ってからしまったな、と少し冷静になる。
つい一度隣駅、と打ってしまったのを消して
正式な駅名に打ち直したのはよかったものの、
昨日の今日は早すぎるだろうか。
今朝DMを開封した彼女にとっては今日の今日だ。
でも、壁を隔てずに早く逢いたいから……。
冷静になっても、今日が良いという結論になる。
勿論彼女が別日を望むなら従う次第。]
[店は、何度も利用している
一見さんお断りの高級料理店だ。
顔が利くから
彼女の好きなものを
特別に用意して貰うことができるし、
……それ以外のことも。*]
| [DMを送ってから暫く。 お隣さんは今日も誰とも遭遇しないように 建物から去って行くのだった。**] (30) 2024/05/19(Sun) 22:34:45 |
[汚れを気にするどころか
自分の身を案じてくれる彼女は
なんて優しいのだろう。
彼女が向けてくれる言動の一つ一つが
自分にとってどれほど嬉しいことか
言葉で表すことは難しい。]
(ああ、華音……)
[心の中で呼ぶ名はHNではなく本名の方。
郵便受けからはみ出していた手紙を
悪いことだとは思いつつ手に取って知った。
それ以降、彼女が同じ名の曲を
リクエストしてくれることを
可愛らしく感じている。]
[ご近所さん、と言い当てられれば
ドキッとして壁越しに肩を震わせた。
休学中だが一応学生の身分であるため
借りられたこの部屋も自宅もそう遠くない。
だからこそこの出逢いは運命なのだと
思わざるを得ないのだけれど。]
(また後で、華音……)
[向こう側に彼女がいるあたりの壁を
大きな手でそっと撫でてから……、
部屋を後にした。
早く貴方に触れたいよ。]
| [自宅に向かって走っているとき。]
……へくしゅっ ?
[昨夜は汗をかいたまま寝てしまったから 冷えたのかもしれない。自業自得だ。
今夜の約束には影響ないだろう。 何事にも変え難いとても大事な約束だ。
一応今朝はシャワーだけでなく 湯船に浸かってしっかり温まることにするが。] (40) 2024/05/21(Tue) 9:35:29 |
[しかし────]
……、人がそこそこいるな……
[普段のランニングより遅い時間なので仕方がない。
昨夜は慌てて飛び出したからキャップもなかった。
足元の地面を睨むような目つきで帰路を急いだ。
今夜も周りに人はいるだろうから、慣れる他ない。]
| ・ ・ ・ (41) 2024/05/21(Tue) 9:36:02 |
| (う、わあ……!!) [店の方角から駅に歩いてきて……、驚いた。 約束の時刻までまだ結構あるのに その姿が見えたから……。 楽しみな気持ちの表れのようで嬉しくなるけれど 心の準備ができていなかった。 絶対自分の方が早いと思ったのに。 幸運にも時刻の確認でもしようとしていたのか スマートフォンに視線を向けていた タイミングだったので >>38 気づかれていないのを良いことに 自動販売機の影に隠れて衣服を整える。] (42) 2024/05/21(Tue) 10:13:40 |
| [とは言え薄紫色のシャツの襟を ささっと整えるくらいものだが……。
ドレスコードがない店だとは言え 日頃着ているパーカーはそぐわない。 黒のジャケットとパンツは クリーニングの袋から出したばかりだし 購入時に磨いて貰った革靴は下ろしたて。
整髪料で後ろに流した長めの前髪も 下手に触らないほうが良いだろう。] (43) 2024/05/21(Tue) 10:14:20 |