人狼物語 三日月国


87 【身内】時数えの田舎村【R18G】

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視点:


卯波! 今日がお前の命日だ!

 
 あまり手の入っていない、雑木林の中を分け入って少し。
 今はもう、誰も参る事の無い、寂れた神社。

 昔もお婆ちゃんっ子やお爺ちゃんっ子でもなければ
 この場所の存在は殆ど誰も知らなくて。
 だからここは、今も昔も二人だけの秘密基地だった。

「みんなは来てくれるかなあ」

 月日に埋もれる事も無く、今も形を保ったままの石畳を踏んで
 一人ぼっちの王様は、ここじゃなくてもいいやと笑う。

「来ないってことは、
 他にもっといい場所があるってことだものね」

「ひとりじめなんてずるいから、それなら探しに行こうかな」

「だってみんなの秘密基地は、一つだけじゃつまらない!」
 

 
「──ようこそ!」

一人ぼっちの王様は、待ちわびたとばかりに来訪者を出迎えた。

「いいよ、いいよ、一緒にいつまでも遊んでいよう。」

迷夢の中に、甘い肯定を投げ掛けて

「遊び相手だって、遊び場だって、いくらでもあるんだから」

「みんなもきっと、みんなの居るこの村が好きなはず」

どこまでも、幼気な夢を謳う。

「ずうっとここに居たいはず!」

きっと、皆がそうなのだと信じて疑う事も無く。

「だからみんなでずっと、遊んでいよう?」
 

 
秘密基地は、みんなの国。

一人きりの王様は、ある時不意に、二人の迷い子に呼び掛けた。

「ねえ、みんな!」

みんなは誰と遊びたい?


「アタシ達、きっと二人が連れて来てほしい人を連れて来るよ」

「一番に遊びたい人を呼んで、それからいろんな事をして遊ぼう」

「──いつまでも!」
 

/*
という事で墓下のお二人に次回襲撃先のアンケートなのじゃ!

とは言っても妾、黙狼どのの襲撃先は本当に自由にしてほしいと思っておるからの
だから絶対に連れて来る事ができるとは言えないのじゃけど、
妾一人で決めてしまうのも勿体無いから是非お聞かせ願いたいのじゃ!

あくまでも参考にしたい程度のものじゃから
ロール的にはこの人が居てくれたら嬉しいな、くらいで
あまり気負わず答えてくれると嬉しいなのじゃ!
いずれはみなを連れて来たいの……のじゃ……のののじゃ…

 
 寂れた社に背を向けて、
 下草に埋もれかけた階段を下りて行く。

 
みんなを呼びに行かなければ。


 次は誰を迎えに行こう、そう考えて
 みんなは誰と遊びたい?そんな問いの答えを思い返す。

 編笠。

 青嵐。

 涼風。

 髪置。

 鬼走。
 
 その内の一人は、何れ来るだろう。
 そんな漠然とした確信があった。

 そして、その内の一人は──
 

【人】 学生 涼風

【三日目 丑三つ時】

 目が覚めた。
 草木も眠る丑三つ時。生きる全てが眠りについて夢を見て、傍にある時計の針を進める音だけが部屋を満たしている。
 秒針が進む音が今だけどうしてか怖くてたまらない。

 暑さで少し乱れた寝巻き代わりの浴衣の襟や裾を整えて、広がる黒に慣れた目で辺りを見回す。眠れないのなら、眠くなるまで何かしていればいいかもしれない。

「……そうだ。呼子さんへ出す連絡、絵葉書にしたら楽しいかな。
 こっちの村に着いたよって連絡は電話で簡単にして、楽しい話はモモと一緒に葉書に書こう」

 ふと連絡を取り合っていた同い年の友人を思い出す。帰省の話になった時、小さな弟分を泊めたいと申し出たのは自分だ。
 無事に到着した連絡くらいは済ませたほうが姉もきっと安心する筈。ただちょっと趣向を凝らして、帰省する前の連絡方法とは違うものを──。

「……。……?」

 文机に伸ばした手がぽすりと自分の膝の上に落ちた。

 何か、引っかかる。何故だろう?
(21) 2021/08/13(Fri) 3:42:44
 
本当は、二人がここに居るの、知ってるよね?


 根拠なんて何処にも無いけれど、やはり確信じみたものがある。
 たとえば、夢の中で、無根拠にそうなのだと思うように。

 にんまりと笑って、一人呟いた。

「いじわるしないで遊びに来てあげればいいのに。
 それとももしかして、恥ずかしがりやなのかなあ?」

「まあ、どっちでもいいか。
 そうだなあ、アタシが呼ぶのはあの人にしようかな。
 だって誘わないと来てくれなそうだもん」

 脳裏に浮かぶのは、いつも寡黙でどこか顰めっ面の大人の人。
 それでも優しいあの人は、自分達が待っていると言えば
 きっと、この場所にも来てくれるだろう。
 

【人】 学生 涼風



【三日目 丑四つ時】

 気を取り直して葉書を探す。泊まりに来てくれている百千鳥を起こさないように、極力音を立てないよう浴衣の端をそっと持ち上げて押し入れへ。
 そっと押入れの戸を滑らせれば、かすかな埃と古くなった紙の匂いが鼻をくすぐった。

 使わなくなった葉書を探す。用箪笥を開ける。小学生の頃のテスト用紙が出てきた。日舞のお稽古に使う扇子も見つかった。夕凪や夜凪に貸したすり減ったクレヨンもあるし、呼子鳥や百千鳥と一緒に触った幼児用のヘアゴムも姿を現した。髪置について行く時に持っていった虫かごの破片も取ってある。捨てられなかったのだろう。

 押入れにしまった物を出しては思い出に浸っていたものの。途中で我に返って時計を見た。長針がそれなりに進んでいる。脱線しすぎだ。

「……あれ」

 慌てて用箪笥の別の引き出しを開ければ、いくつもの古びたノートが飛び出した。
 恐る恐る指先でめくれば、色褪せた紙の上に鉛筆で描いた世界が載っていた。

 これはたしか、星を授業で習った時。森に囲まれた学校で、皆でお泊まりしながら星を見上げたら楽しいなと思って作った物語。

 こちらはたしか、テレビで豪華客船を知った時。見た事のない煌びやかな世界に憧れて、大きな船で遊ぶ旅人の物語。

 まだ無邪気に夢を見ていた頃の欠片が、手の中に納まっている。

【→】
(25) 2021/08/13(Fri) 3:55:50

【人】 学生 涼風

>>25

 いくつも物語を書いてきた。小さな子供の見る世界なんてとても狭かったから、周りの人間がモデルとなることもしばしばあった。

 コートを着た冷静沈着な警察官が、昔からいる老婆と話を進めて不思議な事件を解決して行く話。

 都会に憧れる村娘が、村を飛び出して都会を巡り、素敵な男性と出会う話。

 大人しい青年が動物たちのために森の中でレストランを開く話。

 金髪の青年と黒髪の青年が喧嘩をしながらも世界に音楽の魔法を届ける話。

 ピアスが似合う金髪の青年が夜の街を駆けて悪い奴をやっつける話。

 嘘つきな女の子が病気の子供のために優しい嘘と魔法をかけてあげる話。

 わんぱくな男の子二人と元気な女の子の三人組が、小さい体ながらも大冒険する話。

 無邪気な少年が小さくなって、森の中で虫たちと友達になりながら沢山遊ぶ話。

 元気な姉と弟が、移動する服屋さんを開いてみんなをおしゃれにしていく話。

 写真好きの少年が、触れた写真の中に飛び込んで色んな世界を見て回る話。

 双子の姉弟が、色の無い世界をクレヨンで彩って救って行く話。

【→】
(26) 2021/08/13(Fri) 4:43:13

【人】 学生 涼風

>>26

 モデルとなった人物の中にはきちんと話した事のない人もいる。母や父、祖母から噂を聞いていたり、遠巻きにこっそり見ていたり。
 百千鳥のように誰にでも無邪気に声をかけてみたかったが、幼い自分にその勇気はなかったようだ。

「……」

 無邪気に好きな世界を空想していたあの頃。
 忘れていた思い出が泡のように揺らめいては弾けて消えていく。

 振り切るように頭を左右に振った。
 都会に出て、色んなことがあって、決めたはずだ。夢を見るのは諦めようと。
 諦めようと──

W……ここにいる間だけとかでもいいのよ。W


「…………」

 ここにいる間だけなら、夢を見ていられる?

 ここにずっといられたら、ずっとずっと……いつまでも夢をみていられる?


【→】
(27) 2021/08/13(Fri) 4:45:31

【人】 学生 涼風

>>27

「……私はいったい何を」

 ため息を吐き出す。ずっといられる筈がない。眠る間に見る夢はいつか必ず終わるもの。胸に抱く夢は諦めるか叶えるか、二つに一つの終着点にたどり着くもの。
 少年はそう考える。そう結論付けてしまった。
何のために?誰のために?


 友人へ送る葉書を探すのはまた今度にしよう。夜だからこんなに色んなことを考えてしまうんだ。
 自分に言い聞かせ、数冊のノートを綺麗に揃えようと重ねて文机にトンと置く。その時だった。

 ノートの端から、何かが見える。
 おもむろに摘んだそれは……

「…………ぁ」

……夕凪と夜凪に描いてもらった物語の挿絵だった。
 自分が物語を書いて、二人に絵をつけてもらう。そうして遊んでいた。

「………………」

 引き出しの中にしまわれたあの頃の記憶。
 挿絵の描かれた紙を握りしめ、少年は暫くそのままだった。

 かち、こち。かち、こち。
 時計の針だけが、ずっと響き続けている。
 時計の針は、決して止まることなどない。

(28) 2021/08/13(Fri) 5:01:39

【人】 学生 涼風

 三日目。蝉の声と共に夏の日差しが勢いづき始める頃。少年はきりりと冷やした麦茶を水筒に入れ、塩飴の袋や細々としたものを小さな鞄に詰め込んで家を出た。

 写真好きなあの子はどこにいるだろうか。百千鳥が色んな人に海へ行こうと誘う姿を見ていた。もしかしたらあの子も声をかけられているかもしれない。

「海で遊んで、疲れたら海の家で写真を見る……というのも楽しそうだね」

 想像して思わずくすりと笑みをこぼした。期待を胸に抱いてちょっとだけ足取りが軽くなってしまうのは、きっと仕方のない事だ。
(40) 2021/08/13(Fri) 16:27:55
学生 涼風は、メモを貼った。
(a22) 2021/08/13(Fri) 17:02:28

この窓どうやって使えばいいかわからない ぽんぽこいっとけばいい?

ぽんぽこぽーーん

【人】 学生 涼風

 眩い日差しを集めて固めて、それから振り撒いたような輝きが広がる夏の海。
 同じ色をした髪が潮風に連れられて大きく広がるのも気にせずに砂を踏みしめる。ぎゅ、ぎゅ、とサンダルを履いた足が柔らかく沈み、砂が吸い込んでいた熱気が肌をくすぐった。

 しばらく歩いて、むき出しの岩が連なる場所に出た。よじ登って座れば足元で波が何度も岩にぶつかっている様子が視界に映る。
 そうっと真白の足を差し込めば、たちまち肌が纏っていた熱気が波に攫われていく。両脚を軽く前後に揺らし、踊る波と戯れる。ぱしゃんぱしゃんと水を跳ね上げる軽い音が心地いい。

 都会では海を見る機会などなかった。そもそもプールさえあまり楽しんでいない。それを埋め合わせるかのように、少年は水遊びを堪能する。
(75) 2021/08/14(Sat) 0:32:10

【人】 学生 涼風

>>c16

 砂浜を歩いている人物に気づく。
 岩に座って海と戯れていたが、ほんの少し体を浮かせて身を乗り出すように様子を伺った。

「……あ、卯波くん!来ていたんだね…………ってあれ……?」

 頭の上に疑問符を浮かべるかの如く、首を傾げて不思議そうな顔をした。
 昨日まで持っていたカメラは、いったい何処に?
(82) 2021/08/14(Sat) 1:55:05

【人】 学生 涼風

>>+19 卯波

 説明を貰ったカメラをまじまじと見つめる。

「編笠くんと?それは素敵だね。ふふ、お互いの名前が書いてあるんだ」

 掲げられたカメラを見て柔らかく目を細める。こちらに『晶』と書かれているのなら、きっと彼の持っているカメラには『卯波』と書かれているのだろう。
 全て読み取ることはできないが、どれだけ親しい関係なのかほんの少し垣間見て微笑ましくなった。

「ああでも、インスタントカメラだと撮るのって難しいんじゃない?カメラについて詳しくないから、私はよく分からないけれど。
 てっきり思い出のカメラを一緒に連れてきているけど、撮るのはデジタルカメラのほうだと思ってた」

 だって確か、防水ではなくても昨日の川遊びでも同じポラロイドカメラを首から下げていたような気がしたが、どうだっただろうか?
 なにか心変わりがあったのだろうか、なんとなく感じて首を傾げた。
(84) 2021/08/14(Sat) 2:25:24
墓下に見えてるらしい事を今知った。
恥ずかしいのでぽこぽこしときます。

【人】 学生 涼風

>>+22 卯波

「……卯波くん?」


 そんな笑顔、昔見せてくれたことがあっただろうか。

 目をぱちぱち。瞬きを数回。きょとんとした様子を見せたのも一瞬のこと、「そっか」と呟いて再び微笑んだ。カメラについて詳しくない。だから、貴方に委ねることにした。
 でも、訂正すべき点が一つある。

「楽しみにしているし、期待はしているけれど。失望なんてする筈ないよ。一度だってそんな事なかったもの。
 ああ、余計にハードルをあげようとしている訳じゃない。君が君の思うまま、好きに撮る世界が好きなんだ」

 思い返す。写真を撮って回っていたあの日の彼を。

「何気ない一瞬も、すくいあげて四角形の中に収めてしまえば特別なものになる。どうしてそこを撮ろうと思ったのか、その中にあるドラマに想いを馳せることができる。
 それを君の口から語るのも、想像するのも、思い出すのも……みんな楽しいんだ。

 写真の楽しさを教えてくれた君に感謝こそすれ、失望するなんてことはないよ」
(92) 2021/08/14(Sat) 3:30:33
涼風は、ちょっと考えた。
(a34) 2021/08/14(Sat) 3:33:33

涼風は、卯波の耳元に薄い唇を寄せて、そっと囁く。「卯波くんは海、楽しまないの?」
(a35) 2021/08/14(Sat) 3:34:11

涼風は、飛び込んじゃいなよ!と言わんばかりの顔で微笑んでいる。
(a36) 2021/08/14(Sat) 3:35:04

涼風は、カメラをしっかりと預かり、楽しそうに微笑んだ。いってらっしゃい!
(a37) 2021/08/14(Sat) 3:40:00

涼風は、二人をみて、「わあ」と笑っていた。
(a40) 2021/08/14(Sat) 3:58:28

涼風は、茜に向かってサインした。ナイスな悪戯だったね!と言わんばかりのサムズアップ。
(a42) 2021/08/14(Sat) 4:01:49

涼風は、こっそりカメラを抱えていた両手を下ろした。
(a47) 2021/08/14(Sat) 4:35:08

涼風は、クラスメイトだった少年と写真好きの弟分が海面から顔を出す瞬間を、こっそり四角形の中に収めていた。
(a48) 2021/08/14(Sat) 4:38:22

【人】 学生 涼風

>>+32 卯波

 貴方の話をこくりこくりと小さく頷き相槌を打つ。

「ふふ……それはいい。
 写真を届けてくれるのも嬉しいけれど、卯波くんが来て撮りにきてくれるほうがきっともっと嬉しいよ。
 だってそうやって会いに来てくれて、一緒に時間を過ごすことができたなら……卯波くんの記憶の中に皆が収まるのと同じように、卯波くんもまた皆の思い出の一部になれると思うから」

 まるで陽の光を見つめたかのように目を細め、眩しそうに貴方を見つめて微笑んだ。

「真正面から会いに来て。どうか真正面から受け止めて。
 そうしたらきっと皆も……喜んで、カメラ目線を君に送ってくれる筈。カメラの向こうにいる君のことも、ちゃんと見てくれるよ」
(116) 2021/08/14(Sat) 16:33:09

【人】 学生 涼風

 卯波と話の続きをした後、一度だけ彼にカメラを返して海へと足を運ぶ。自分も海に飛び込んで遊びたくなったのだ。昨日少女と川に飛び込んだのがお気に召したらしい。
 柔らかな薄手のパーカーを脱ぎ、揃えたサンダルと、髪をまとめるために持ち歩いている真鍮の玉かんざしの隣に置いて。ぺたぺたと吸い付くような岩の上を歩く。
 眼下に広がる青い海。囁くように紡がれる漣の唄は、まるでこちらへおいでと誘っているかのよう。

「……」

ここにいたい。このままずっとここにいたい。


 無意識に笑っている。少年自身は気づいていない。
 ふらりと吸い込まれるように痩躯を前へと傾ける。
 重力が、見えない何かが、見ようとしない自分の感情が。白い手足を掴み、引き込み、そのまま──


 ばしゃん。


 一つ、水飛沫が上がった。
(122) 2021/08/14(Sat) 17:49:16
涼風は、海の中で丸くなる。細い体を沢山の泡が通り過ぎていく感覚が心地よかった。
(a64) 2021/08/14(Sat) 17:51:25

涼風は、何もかもを忘れて海に身を委ねた。ああ、楽しいなあ。
(a65) 2021/08/14(Sat) 17:52:44

【人】 学生 涼風

>>131 百千鳥

 音もなく、温度もなく、けれども揺り籠のような心地の良い海の中。
 朗らかな声が、しっかりとした手が、日差しとともに差し込まれて。

「……、っぷは!
…………は、……ぁ、うん?ああ、モモ──」

 ざばりと音を立てて引き戻される。顔に張り付く髪をどけることもしないまま、呆気に取られたようにきょとんとする。

 残響。回想。幻視。

「……呼子、さん」


 くらり。軽い目眩がする。
 ……きっと暗い海の中にいたからだろう。淡く浮かび上がる疑念を振り払うようにかぶりを振った。瞼の裏に焼きつく影法師も溶けて消えた。

「……うん!モモ、遊ぼう!どちらが早く泳げるか競争しようか!」

 頼もしくなったなあ、と感慨深くなりながら貴方と無邪気に笑い合う。
 ごめんね、忙しいからと断る理由はここには無い。

 自由に、好きなだけ貴方と連れ立って駆けて行くことができるのだ。
(134) 2021/08/14(Sat) 19:31:25
涼風は、夢について考え続けている。
(a87) 2021/08/14(Sat) 20:59:26