人狼物語 三日月国


175 【ペアソロRP】爽秋の候 【R18G】

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視点:


[ ―――…夕焼けは嫌いだ。
 思い出したくもないものを思い出してしまうから。

 まだ、自分が何者なのかもわからなかったとき。
 彷徨うなかでたまたま見つけてしまったあたたかさを、
 与えられなかった優しさを、
 あの闇の中へ縛り付けられたときの絶望を
 嫌でも、思い出してしまうから。

 ―――僕だって、誰かを恨みたかったわけじゃない。 
 憎みたかったわけでも、呪いたかったわけでもない。

 ただ、僕は…… ]


 ……ッ。


[ 今は違う、と。
 今の僕にはこの子がいると
 自分に言い聞かせるように、彼女の肩を抱き寄せる。
 腕に抱くこの温もりが、あたたかさこそが
 僕が生きるべき世界なのだと、言い聞かせる。

 胸の内で、何度も、何度も。
 そうでもしないと、頭がおかしくなりそうだったから。 ]



 …理音。
 もうすぐ着くから、降りる準備をしよう。


[ 彼女の肩を軽く揺すって、声をかける。

 バスを降りて寮へと辿り着けば、
 そのまま慌ただしく夕飯の支度をすることになるだろう。
 そうしてまた、いつもの、
 慌ただしくも穏やかな日常に帰ることになるはずだ。
 きっと。
 
 …妙な胸騒ぎがするのは、きっと気の所為だ。 ]

[ ―――その夜。 ]


 ……。


[ 誰かに、呼ばれた気がした。


 時刻は日付が変わって少し経った頃。
 無論、こんな時間帯に理音が起きていられるはずもなく。
 そっと隠形を解いて実体を形作ると、
 ベッドの上で無防備に眠る彼女の毛布を一度きちんとかけ直す。
 そっと、彼女の寝顔を覗きこんで起きる気配がないのを確認するとそのまま姿を消して部屋を後にした。


 再び僕が姿を現したのは寮の屋上。
 消灯時間もとっくに過ぎた時間帯、当然照明などあるはずもなく。
 非常用通路の灯りの他は月と星の光だけが辺りを照らしている。
 そしてそんな時間帯、そんな場所に、わざわざ僕だけを呼び出そうとする相手なんて限られている。]



 ――…何か、ご用ですか?


 ……先生。


[ 夜闇の向こう側にいる人影に声をかければ。
 暗闇に何かを擦るような音と、
 それと同時に現れた小さな炎が人影の顔を照らし出す。 ]
 
 
 『やぁ、シャイボーイ。
  デートは楽しめたか?うん?』


[ 紫煙をくゆらせながら、彼は僕に語りかける。]


 ……ご用件は?


 『まぁそう固くなるなって。
  ……こちらとしてはなぁ辰沙、
 お前たちと険悪になるつもりはないんだよ。
 なんといっても、お前たちが小さい頃からの付き合いだしな』


 ……。


 『ま、そうはいっても難しいか。
 あの子はともかく、お前自身は気づいてるんだろう?』


[ 言いながら、彼は空を指差してみせる。
 彼の指差す方向に見えるのは、
 火星より、アンタレスよりも大きく、そして尾を引く大きな赤い星。 ]


 『今、この星に近づいている噂の彗星な。
 千年に一度、最接近するって言われて
 一般連中にも広く知れ渡っちまってるあれ。』


 『俄かには信じがたいが……あの彗星が、
 本来のお前の大許……本体なんだろう?』