【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[声を掛けて、席を空けた。 たったそれだけの行動なのに 随分距離が近付いたな。 そう、甘えるような声でタメ口をきく彼女を 窘めもせず、俺は内心そう思った。 じりじりと、吐息が通うよりも、 まつげの瞬く音すら聞こえそうな距離、 妻からの咳払いに引き止められることも無く 若い身体がまたひとつ、距離を縮める。] そう、お揃い。 [ここに集まる人間は多かれ少なかれ 皆「そう」なのだけれど そんな真実には蓋を閉めて、俺は喉を鳴らす。] (125) 2021/07/02(Fri) 20:02:58 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[とろとろに甘く煮詰まったような声で 彼女はここに来た目的を話す>>106] 愛を探しに、ね。 [くす、と嗤いが漏れたのをもし咎められたら 素直に謝ろうか。 「だって可愛いなって」……なんて お世辞をひとつつけた上で。 そんなの、何処にあるんだろうか。 あると思ってもし主催者が ここに彼女を呼んだのなら さて彼女はどんな人間に出会うやら。 もしそれが俺だったら─────? ]そんなの笑えない冗談だろ! きっと、僕ら似た者同士だと思うけど。 [ひそひそ、声を潜めるついでに こっちからもひとつ距離を縮めて。 ソファーの上に投げ出されていた手の上へ そっと俺の手を重ねて、ぽつり、ぽつり、と 俺は千由里の心の中へ澱を落とす。] (126) 2021/07/02(Fri) 20:03:28 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙俺達きっと愛し合ってる。 そう思ってたのは、俺だけだった、みたいな。 そんな寂しいことあって、ここに来ちゃった。 [問われなかった目的を打ち明ける。 真実と嘘とを織り交ぜて。 すぐ顔の横にあった千由里の旋毛へ頬を寄せる。 久々の滑らかな髪の感触に つい、口角が緩く持ち上がる。] (127) 2021/07/02(Fri) 20:04:45 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[そう呟きを落として、身体を離す。 手が触れて、それ以上に近付いたことを 困ったような笑みを作って詫びようか。] …………僕は、 [つられて本名を名乗りかけて、危うく止めた。 けど、適当につけたハンドルネームは この甘い雰囲気に相応しくなくて。] (128) 2021/07/02(Fri) 20:09:24 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙─────…… タイガ。 虎の牙、って書いて、タイガ。 [そう、八重歯を見せて笑った。 パパって名前は、やっぱり重たいな。 内心そう後悔しながら。]* (129) 2021/07/02(Fri) 20:12:14 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[ちょんと口を尖らせてひねて見せるものだから それがあんまりに可愛くて 「ごめんね」って手の甲を撫でて宥めた。 変じゃないさ。 俺もそれがこの世のどこかにあると思ってた。 でも、そんなの知らずに こんな場所まで探しに来ちゃった女の子が 無知で、愚かで、だから可愛い。] 意識して欲しいって思ってる……なんて こんなおじさんから言われたら さすがに気持ち悪いでしょ。 [冗談めかして笑って逃げて、 俺は密かに若い女の子の匂いに酔いしれてた。 あー、この甘い匂いは整髪料か、シャンプーか。 若い女の子は、何だか花のような果実のような 甘くて可愛い匂いをまとっているのに どうしておばさんになると違う匂いになるのかな。] (149) 2021/07/02(Fri) 23:15:40 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[甘い言葉を交わして、 2人っきりの空気に酔いしれて。 重ねた手は、逃げなかった。 それをいい事に、指先で千由里の手の甲を掃く。 肌理の細かい肌の感触に、ぞわり、 背筋が粟立った。] でしょー。 名前「は」カッコイイのに、って よく言われるんだ。 [ニッと笑い返してきた千由里の 小さくて白い歯は、キスしたくなる形。 そのカッコイイ名前の、カッコイイお兄さんは 何らかの欲望を持って このホテルに来ていることなんか すっかり忘れちゃってるみたいに見えるその顔に いきなりキスしたら驚くだろうか。 それとも、そんな欲望を向けられることに もはや慣れすぎている手合いだろうか。 そういう子、俺は好きだよ。 仄暗い欲望が一度離れた身体の距離を もう一度縮めようとするのを押し殺して、 俺は千由里の言葉に、うーん、と唸ってみせた。] (150) 2021/07/02(Fri) 23:16:09 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙会ってからのお楽しみ、ってやつなのかな。 ほら、クリスマスプレゼントだって 箱に入った上に靴下にまで入ってる。 「知る」までの過程が楽しいんだよ、きっと。 [だから、そわそわしちゃうのは 何も悪いことじゃない。 ……でも、続く質問を聞いた瞬間、] (151) 2021/07/02(Fri) 23:16:33 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙…………っ、 [頭の中で赤ん坊が泣いた。 枕元の時計すら手探りじゃないと見つからない 真夜中に、周囲をはばからない大声で。 何も聞こえない。 何も聞こえない。 俺は知らない。何も出来ない。 黙っていれば、俺じゃない誰かが きっと助けに来てくれる。 そうして俺がじっと黙っていると 隣から不機嫌そうな気配が起き上がって それでも赤ん坊は泣いている。 オムツかな。おっぱいかな。 それとも……なんでもないのかな。 「あんたはパパでしょ」って絵美が言う。 違うよ、ただの胤でしょ。 そんなふうに言い返す勇気もないくせに 寝たフリだけは上手くなって─────] (152) 2021/07/02(Fri) 23:17:34 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙愛させてくれる人、かな。 [無意識に左手の薬指に出来た 僅かな肉のくびれを指先でなぞりながら 俺は自分の中に答えを探した。] 寂しくて、寂しくて、どうしようも無い時、 傍でべたべたに甘やかしてくれる人より 俺の気持ちに答えてくれる人が欲しい。 俺はきっと、恋がしたい。 心の中をいっぱいに「好き!」って気持ちで 溢れてる瞬間が、きっと一番気持ちがいい。 [いつの間にか床の絨毯の模様に落とした視線を、 もう一度千由里に戻して、ふ、と緩め] (153) 2021/07/02(Fri) 23:18:45 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙ちゆは、どんな風に恋したい? [相手が欲しくて、 頭の中を相手のことでいっぱいにして、 何が何でも手に入れたい、って そう思っちゃう気持ちは 理解はできるけど、きっと俺にはわからない。 よく回る口は「きっと出来るよ」って言うけれど 恋が燃え盛っても、愛にはならないのは 俺の中ではどうにも覆らない事実なのだから。 そうして千由里と暫くソファーで話して 時間が来れば「お互いいい人に会えますように」って 別れようとするだろう。 たまたま同じエレベーターに乗って たまたま同じ階で降りて ……たまたま、同じ部屋まで行ってしまえば さすがの俺も気が付くだろうけど。]* (154) 2021/07/02(Fri) 23:24:43 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[てっきり、もっとすごい答えが かえってくるかと思ってたけれど 千由里の答えは極々平凡なものだった>>170] 普通の、幸せな恋、ね。 [普通に遊園地行ったり、 普通にレストラン行ったり、 思い出を少しずつ積み重ねていったりしてさ。 新しいネイルがどうとか、 新しい服が可愛いなぁとか、 そんな話で時間を埋めて…… それから、家に帰ってベッドに入って 「また会いたいなぁ」とか思っちゃったり。 多分恋はそういう時が一番楽しい。] (197) 2021/07/03(Sat) 15:32:39 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[そうして時間が来たのを確認したら 千由里に一声かけて席を立つ。 部屋に行けば、一晩とびきり愛してくれる子がいて 泣き声やら金切り声、赤ん坊の臭いを 俺の頭から消し去ってくれるに違いない。 浮き足立つ俺の後ろから 付かず離れず、千由里がついてくる。 同じエレベーター、同じ階に降りて 同じ部屋の前で立ち止まる。] ここ……だけ、ど…… [覗き込んでくる千由里に 俺も目をまぁるくして、オウム返しに答えた。 もしかして、そういうことかな? でも、そんなの───── そう思ったら、手が出ていた。] (198) 2021/07/03(Sat) 15:33:33 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[伸ばした腕の中に千由里の身体を収めて ぎゅ、っと抱き締める。 思ったより華奢で、さっきよりもずっといい匂い。 肺いっぱいに千由里の纏う空気を吸い込んで 俺はそっと呟いた。] 君で、良かった。 [君が相手なら、一晩、たった一晩でも 俺の願いは叶うに違いない。 ……そんな予感がした。 だけれど、いきなり抱きついたのはまずかったか。 腕を解いて千由里を解放したら ちょっと眉を下げて笑ってみせる。] ……ごめ、ハッスルしちゃって…… [でも、仕方ないよね。 柄にもないこと考えちゃったんだ。] (199) 2021/07/03(Sat) 15:47:43 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙「こんなの、運命みたい」って 思っちゃってさ。 君だったらいいのに、って思ってたから。 [恥ずかしいことを打ち明けるようで 頬が少し火照ってしまう。 運命、って。なんだそれ。 まるで現実を知る前みたいな口説き文句! 恥ずかしくて自分でくすくす笑いながら 俺は千由里に改めて尋ねよう。] 君が「僕を愛してくれる人」かい?* (200) 2021/07/03(Sat) 15:52:01 |
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