人狼物語 三日月国


188 【身内P村】箱庭世界とリバースデイ【R18RP村】

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[ 月には友がありました。
 友とは互い大事に思い合い成り立つものに
 ほかなりません。

 世話を焼く、焼かれる間柄であったとしても
 月もまた、友を大事に思っていました。

 行動で示すことは得意ではありませんでしたが
 その分、ことあるごとに言葉で、
 また、不器用ながらに贈り物などをし、
 己の気持ちを、伝えていたつもりでおりました。

 友の持つ贈り物、ちからが、
 いつしか友そのものを塗り替えてしまうと予見
 していたとしても

 月は教皇の、友であろうとしていたでしょう。

 時折思い詰めた表情を見せることがあろうとも
 苛烈な一面を見せることがあろうとも。 ]

 煮えきりませんね
 はっきりおっしゃいなさいな。

[ ある時、語り合いのなか決意に満ちた表情で
 あなたは語ってくれようとしたのに、どこか
 煮えきらないまま。取り出そうとした仕草を
 見せるも、結局は出てくることはありませんでした。 ]
 
 ――違えてはいけないと誰が言ったのですか?

 もういちど言うわ
 はっきりおっしゃいなさいな。

 貴方の願いなのでしょう
 友たるわたくしが、無下にしないと
 わかっていて、言うのであれば

 覚悟を持って、おっしゃいなさい。


 貴方とならば、刺し違える覚悟だって
 わたくしには持ち合わせがありましてよ。

[ だって、貴方がそう育ててくれたのでしょう。
 まるで、朝露に濡れる薔薇がきれいだったのよ、
 とでも言うように、さらりとそう口にした。 ]

[ 花の世話をしたいの。
 ああでも、わたくしときたら、
 枯らすばかりで、ねえどうしたらいいかしら。

 髪の毛が汚れてしまったの。
 切ってしまおうとおもって。
 え?切らずとも洗えばいいの?
 じゃあ、お願いしてもいいかしら。

 あなたと、わたくし。
 あげればきりがないほど。

 これまで話してきたじゃないの。
 思い合ってきたじゃないの。

 何を今更迷うことがあって?

 月は呑気に微笑んでいました。 ]

[ 貴方の葛藤も、ささいな変化も、
 教皇たる貴方をかたちづくるものなれば

 受け入れ、たっとび、
 貴方を愛した。

 箱庭に住まう他の者同様

 ――いいえ、やはり貴方はいくらか特別に。 ]

[ ――だけど、ごめんなさいね。

 わたくしは貴方を残し、死んでしまった。


 死にゆく中で、貴方の言葉が
 うかんでうかんで、

 浮かばれなかった。 ]

 
 ねぇ教皇、貴方はわたくしに何をねがい
 なにを託したかったの

 ……私を、どうか

 止めて欲しい?
 ごめんなさいね、それはできそうにないわ

 諌めて欲しい?
 ごめんなさいね、それもできそうにないの

 ころしてほしい?
 ……もっと早く、そう言ってくれれば
 きっと叶えて差し上げられたのに



[ 薄れゆく意識、泥水に沈むように、
 身動きが取れなくなっていく手足。

 それでも最後まで、わたくしは貴方に
 届かないと知って、手を伸ばしたわ。

 すこしだけ、うらめしそうにね。 ]


 

 
[ だって。 ]


 

[ 私を、どうか

 ではなく、私と、どうか

 と――そう言ってほしかったもの。


 その未練が、うらめしさが、

 月に色濃く残ってしまったのでしょうね。* ]



[『ボクたち箱庭の子ら』は結局のところ、みんなひとりでしかなかった]


 
 



[生まれたばかりの頃は、そんなこと思いもしなかったよ。
ボクたち箱庭の子ら』は生まれた順番こそ違えど、
(そう、一番最後に生まれたのは『世界』だったね
どこまでも幸せに暮らしていくものだと思ってた。

だけどそうじゃなかった。
神様が生み出した『ボクたち箱庭の子ら』は、一度争い始めたら、
ひとつにまとまることなく次々に死んでいく、
そういう存在でしかなかった]

 



[守りたい子がいた。
一緒に死んだ子たちに焦がれたこともあった。
歯車が狂っていく音を聞いた。
いつしか『審判ボク』は狂った考えに取りつかれるようになった。
神様が望んでいるのは本当は、ひとりでも生きられる存在なんだと。

だから『月』を殺した。
もともとどこか気に食わないという感情を抱いていたうえに、
明らかにひとりでも生きられないように、『審判ボク』の目には見えていたから。
『教皇』と一緒でない時を狙って、『月』を落っことしたのだ。
咎を追及する者達の前で、ちゃんと言ってやった。こうするのが『月』のためだったのだ、と]

 



[その後はというと、
人の良さをかなぐり捨てた『教皇』と色々あったような気もするし、
あとは……そう、神様が全部悪いのだと恨みをぶつけもした。
審判ボク』の考えていた神様の望みなんて、確証のない当て推量だったのにね。


結論から言えば『審判ボク』はひとりぼっちで死んだ。


魂の奥底に眠る記憶は時折悪い夢となって悪さをする。
命尽きる間際に見えた記憶の中には以外にも色んな子がいたし、
みんなといるのは嫌いじゃなかったことを忘れかけて、
ひとりで死んだ記憶に囚われたままの魂は同じことを願い続けるだけだ]

 



  “次はちゃんと、
ひとりでも大丈夫になる
んだよ” **

 


[── 穏やかな安寧の地、
 ここに居たらきっと永遠にそう過ごせるんだろう。
 別にそれも悪くはない。

 『神様』の事も、『箱庭』の事も、
 嫌いじゃなかったし、好きだった。

 あの楽しい日々が、大好きだった。]
 


[愛すべき『恋人』がいて、
 個性的なメンバーがいて、
 気に入らないヤツもそりゃいたけれど。

 『恋人』は愛しいし、
 『愚者』も可愛いし、
 『神様』も優しいし、

 皆のやり取りも楽しいし。


 だけど気付いてしまったんだ。
 水面下にあるそれらの存在に。

 別に誰が誰の事をどう思ってる、とか。
 きちんと知っていたわけじゃない。
 でも小さな衝突や残ったままの僅かな蟠り。

 綺麗な景色の中にある見えない澱み。]
 


[ ねえ、それをつついたらどうなる? ]
 


[どきどきした。わくわくした。
 些細な悪戯を思いついた時のような、
 塗りたての塗料に傷をつけるような、
 新雪に最初に足跡を残すような、
 未知へと踏み出す最初の一歩のような、
 果物をつついて腐らせるような、
 蛇の群れにねずみを投げ込むような、

 リンゴを、そこに一つだけ置くような、


 そんな気持ちで、


 溢れだす好奇心、背徳の誘惑、
 全然どうなるか解らなくって、
 きっと楽しい事になると思って、
 取り返しのつかない事をしたくって、

 そんな時、一つの疑問も思い浮かんでしまって、
 あの時、自分はそれに抗えなかった。]
 


「方法はいろいろ考えたんだよ。
 俺もさあ、
 一番効果的な方法をやりたいだろ?」

「誰がいいかなあとか、
 どうするのがいいかなあ?とか?
 本当にできるのかなあ?ともさ。
 きちんと考えたんだよ、えらいと思わない?」
 


「だってこれで、
 『箱庭』の『完璧』が終わったんだ、
 もう22人揃う事はないからね。

 これを知ったら皆どんな顔をするだろう。
 これを見たら、『神様』はどう思うだろう?」
 


「なあ仕方がなかったんだよ。
 だって楽しそうだったんだ。

 見ろよ、もう『愚者』は動かない。
 安らかな顔だよ、羨ましいな。

 なあ、ほら、 すごいと思わないか?!
 『俺たち』って、
死ねる・・・んだ!



「『お前ら』も、
 『誰か』を殺すことができるんだよ!」
 


[『神様』の事も、『箱庭』の事も、
 嫌いじゃなかったし、好きだった。

 あの楽しい日々が、大好きだった。


 大好きだった、だけど、]
 


[大好きで、大好きで、大好きで、
        …きっと、大嫌いだった。]
 


[俺の行動が切欠で、箱庭が壊れていく。
 それが楽しくて仕方がなくて、
 誰の死だって面白がった。
 『恋人』の死に方は確かに
 ちょっと残念だったけど、それだけ。

 なあ神様!面白いだろう?
 "俺の事を嫌いになった?"


 何をしても揺らがないその様子が
 何をしても愛しいというその瞳が

 俺は、俺は、俺は……]
 


[それはきっと、自分がやった事を
 親に褒めてほしい気持ちや、
 親に叱ってほしい気持ちに似ていて、

 俺が思う楽しい事への共感が欲しくて、
 もし違うならばそれを教えてほしくて、

 だったら"要らない"って言ってほしかった。

 けれど神は制止する事はあったのに
 崩壊していく様子を悲しんでいたのに
 俺を咎める事はせず、戒めることもせず

 そのまま。]
 

 
 
  私の力は、平穏に導くための道程を用意するもの。

  仰々しいですが、実際は破壊のための力です。
  命だって刈り取ることが出来る。

  ……まるで、私の方が『死神』のようではありませんか。



  時に思うのです。
  『教皇』である私と 『死神』である貴方。

  私達は本来持つべき力を
  神が取り違えられたのでは、と。

  私こそが、本来の貴方であったのでは無いか、と。


[ タンザナイトが埋め込まれた聖杖を
 『死神』の首元にぴたりと当て、口元を歪ませ嗤う。

  ・
  
 
 ・

 ぼろり
  ・


 
聖者の仮面の欠片が、音も立てずに堕ちていく。
]

 


 
  私は、貴方のことが羨ましかった。
  私より余程清らかで、慈悲深く、汚れ無き存在の貴方が。


  ……いつの頃からか
  
妬ましく思えていました。

   

  今この瞬間の、言葉だってそうですよ。
  己の身が危険な状況であれど
  案じているのは、貴方の命ではなく
  …………私の事なのですから。

  貴方の云う通り、私はこの程度の者でしかないのですよ。

 

 
[ 神が私に与えた “贈り物” は
   間違っていなかったのでしょう。



           
 間違えたのは道を踏み外した、私の方。
 ]

 

 
[ かつて死神が師のように慕った“慈愛の聖者”の仮面は
 狂気を孕んだ声と共に崩れ落ちました。
 死神はどのような表情をしていたでしょうか。
 どのような表情でも、態度が変わる訳ではありませんが。 

 やがて『死神』の首筋に向けたままの杖先から
 顔色一つ変えず、爆発を発生させました。

 しかし、僅か数秒後に知ってしまいます。
 この爆発だけでは、終わりが訪れないことを。


 『死神』の再生の力の賜物でしょうか。
 それとも、肉体のみならず
 魂まで消滅させたかったのでしょうか。

 『教皇』はそれはもう念入りに
 ぴくりとも動かなくなるまで
 幾度となく攻撃を続け、殺害しました。

 その時の形相といえば
 悪鬼羅刹の類のそれと言えたでしょう。

 後世、なかなか『死神』の証を持つ者が
 生まれ落ちなかったのは、通説の
「22人揃わないようにと考えた人に殺された」他に
 この悲しい出来事の影響もあるのでは、と
 唱える説もあります。*]

 


[ 『節制』は、箱庭を愛していました。
 世界を生み出した神様を愛していました。
 自分と同じように箱庭に生み出された子らを、
 それぞれに大切に想っていました。

 相反する性質を持つ者たちの集う箱庭では
 諍いが度々起こりました。
 彼らが諍いで互いを傷付けすぎてしまうことのないよう、
 一たび争いごとが起きたなら駆け付け
 仲介役を進んで買っていました。

 神様が『節制』へ贈った贈り物は「架け橋
 相反する二つの性質の間に立ち、
 それらを結び付けることの出来る贈り物でした。
 
 特別安らげるのは、親友である『隠者』の傍。
 『隠者』は思慮深く、慎重で、思い遣りに満ち
 誰よりも『節制』の性質を理解してくれます。
 『節制』もまた『隠者』を誰よりも大切に想っていました。

 晴れた空の下、よく二人だけのお茶会を開きました。
 湖畔で涼やかな水音を聴きながら
 アイリスの花を眺めるのがいっとう好きでした。]

 

 




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