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【人】 虹彩異色症の猫[ 露店にぶらさげられた蜉蝣の玩具は、猫の目には挑発的な狩りの対象だ。手の届かないもどかしさにグルルル……と不穏な鳴き声を漏らす頃には商談はまとまり玩具は紙袋の中へ仕舞われた。なーうー、と不服そうな声をあげていたかもしれない。 澤邑と店主が多生の縁を交わしている間>>1、如何にも不服と抱きかかえられたまま澤邑の袖口を後ろ足で蹴っている。あまりに暴れるので路面に下ろされてしまった。 下ろされれば下ろされたで不服なのか足元をうろうろしながら澤邑の歩く方へとついて回る。いや、足元に纏わりつくといったのが正しい様子で、纏わりつかれる側からすれば非常に歩き難い様であろう。 独り言ちを拾い上げて見上げ、今度こそ自分に語りかける様子に>>2飼い主と目を合わせたまましぱしぱと目を瞬く。] (5) 2022/10/03(Mon) 20:44:16 |
【人】 虹彩異色症の猫[ 甘味屋に設えられた長椅子に陣取っては、まだないの、もうないの、と掌の上の肉の切れ端がなくなる度に飼主を見上げては硝子瓶の中身を強請り、空の掌をざりざりと舐める。瓶が空になるまで与えられたか、腹下りを案じられ適宜に切り上げられたか。 間食に満足した様子で澤邑の膝の上に陣取る。 人がゆっくりと甘味を堪能している間に、子猫とも成猫とも言えない半端な猫はすっかり寝入ってしまったようだ。 社に参る為抱き上げた際も夢うつつだ。 腕の中に収まりよいよう抱きかかえ直した際、春の生ぬるさと違い、秋先の澄んだ夜風にくしゃん、と大きくくしゃみをして、身を震わせて飼い主の腕の中に潜り込んだ。]** (6) 2022/10/03(Mon) 20:46:34 |
虹彩異色症の猫は、メモを貼った。 (a5) 2022/10/04(Tue) 8:03:45 |
【人】 虹彩異色症の猫[ 天高く響く龍笛の音、地を這い腹底響く和太鼓の音。跳ね起き落ち着かなげに辺りを見回していたが、宥めるように背を撫でる手で>>31またとろとろとうたたねに戻る。 運ばれるままに自宅に戻り、そのまま良い気分でおれたらいいものを、湿り気のある手拭いで背を、手足を拭われる。 にゃっ、にゃっ、と抵抗して見せる素振りだが、これも散歩跡のいつもの恒例行事だ。 冷蔵庫から澤邑が刺身を取り出し、いつもの錫の酒器を取り出すと>>32、ふなあ、ふなあと足元に纏わりだす。小さなお脳である癖に、鈍色に輝く銀の酒器は、御馳走が口に入る合図であることを覚えている。 今日ばかりは常の卓ではなく、縁側で名残の月を惜しみながらの晩酌となるだろうか。片目ばかりがまんまるの月を模した双眸で、膝に前足掛け晩酌のお零れを今か今かと待ち構えている。]** (33) 2022/10/04(Tue) 21:29:12 |
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