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201 【身内】甲斐なき星の夜明け前
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だって、ここには大好きな人たちがいるもん
その世界を守れるのってとっても素敵だよっ!
[反論は認めませんっ! って笑顔で圧をかけた。]
うん、そうだね。
命をかけるようなものかもしれないし
とーっても長い道のりかもね。
だったらなおの事
人に任せるだけじゃ私は嫌だなっ!
辛い事ならなおの事、自分の力で頑張りたいよ
[契約書はそうかもね、って苦笑いで返した。
何を言っても私が前向きに返して意見は交わらない。
それが私たちのいつも通りだったね。]
[命がかかってるって話に笑う私は
現実が見えてないよう見えてたかもね。
実際命をかけた事なんてないし、そうだったかも
それでも私はちゃんと、この身をかけて戦ったよ
だから嘘じゃなかったって証明したつもりだよ。]
[その後結局戦うのを決めた時にはビックリしたよ。
乗り気に見えてなかったしさ。
一緒に戦う相手になってくれる。
それを私は素直に喜んで、握手を求めて手を差し出した。]
ありがとうっ! 決めてくれて。
私はね、シオン=ステッレって言うんだ。
これからよろしくねっ
![](./img/cumorie/081_r.png) | [急にしんとなった部屋。 ぽつりぽつりと零れ落ちる言葉を、 >>19 丁寧に拾って噛み締めた。 けれどオレは沈黙したまま、 君が部屋に戻るのを見届ける。 >>20 こちらに戻ってきたその腕には、例のクマのぬいぐるみ。 所有者がオレだった時から時間は経過しているのに、 オレの部屋の隅に鎮座していた時よりずっと綺麗だった。] [沈痛な面持ちに胸が痛んだ。] (23) 2023/02/19(Sun) 21:09:48 |
![](./img/cumorie/081_r.png) | (24) 2023/02/19(Sun) 21:10:11 |
![](./img/cumorie/081.png) | ただし、母親と顔を合わせることは絶対に避けて欲しい。 今あの人の住んでいる町で、 話をすることになっているから、 隣駅の町で待っていて欲しい。
それでいいかな?** (25) 2023/02/19(Sun) 21:11:10 |
―
回想
―
[態々後ろ向きだと指摘する人間はいなかったが。
]
後ろを向いて生きているのは、いけない事か?
石橋を全力で叩き割った末に、
迂回をするのは愚かな事か?
[今にして思えば大人気がなさ過ぎるが、
当時のオレがそれだけ捻くれていても
おかしくはないと思えるくらい、
今の自分も大概であることは自覚している。]
(大切な人なんて、誰一人いない。
勿論それには、自分も含まれている)
[お幸せそうで何よりだ。反論はしなかった。]
自分が頑張ってしまった結果、
大好きな人達が生きる世界が滅ぶかも知れなくても?
[既に呼吸するより簡単に、
絶望を思い描けるようになっていた。]
(君が考えているよりもずっと、
命が軽い事を知っているか?)
[滅ばないように、負けないように、
頑張るつもりかもしれないが。
頑張るなんて根性論が通用するのは、
ごく限られた範囲の事象だけ。
でも色々思惑はありつつも、結局戦うと決めたからには、
オレも精々頑張るとしよう。]
アルカ=ポラリス。
どうやら戦う役割を担ったのは君の方らしい。
危なっかしくて見ていられないが、助力はする。
[差し出された小さな掌を、緩く握り返した。]
(想定はしていたことだけど、
とんだパンドラボックスだったな**)
- 回想 -
別にいけなくないよ
石橋叩き割るのは他の渡りたい人が困ると思うっ
回り道するのは色々な景色見えていいよねっ!
[石橋の下りは諺の例えって分かってて言ってるよ。
にーっこりと笑いながら返してみせた。
それくらいじゃへこたれないもんだっ、ふふん。]
私が頑張った結果で? あ、負けちゃうって事?
成程それは考えなかったなぁ。
ん〜、でもでもやる前から負けるかもって
そんな怖がって逃げる方が嫌だなっ
それは可能性の話だからそうならないようするよっ
出来るなんて断言はしないけど
簡単に負けてあげたりはしないつもりだよ、私
やってみなければ結果は分からないよね?
[絶望より、希望を描くのが当然なのが私だった。]
うんっ! アルカ君って呼ぶね
同じ願いを持つ者同士
貴方の願いも叶うよう精一杯戦うから!
[繋がった手と手が暖かかったのをよく覚えてる。
]
(アルカ君に希望が勝つ未来を
私、あげたかったな────…… )**
![](./img/cumorie/081.png) | [とりあえず何とか話は纏まったので、安堵した。]
有難う。 話が終わったら、連絡するから。
[それなりに待たせてしまう事にはなるだろうけど、 カフェとか、色んなお店とか、駅前なら不便はないだろう。] (28) 2023/02/20(Mon) 0:03:13 |
![](./img/cumorie/081.png) | [その後は夕食の食器を一緒に片付けた。 夜も更ければ、明日の出発時間を伝える。]
お休み。 明日は宜しくな。
[撫でようと、緩やかにカーブを描く髪に手を伸ばした。] (29) 2023/02/20(Mon) 0:03:45 |
―
回想
―
[願いさえ一致すれば、
性格の不一致はガン無視なんだろうか……。
願いを叶えるために戦う事を選んだオレたちは、
何故か寮の部屋が変わることになり、しかもお隣になった。
どう考えても作為的で、
女神なんてファンタジックな存在だけが
これらに携わっている訳ではないことを悟った。]
(もうこんなもの、取っておくこともないか)
[白いゴミ袋に、布製のクマが収まる。]
[願いを同じくしているのだから、
改めて「貴方の願いも叶うよう精一杯戦うから!」
と宣言することに意味はあるのか。
無意味なことを考えながら迎えたオレたちの初戦。
これを運命の悪戯の一言で片付けられたら、
堪ったものではない。
そんな悲劇の舞台が洗礼だった。]
(母さん……?)
[聞こえるのは彼女だけ、声にならない呟きが漏れた。
生きているかどうかも分からなかった存在が、目の前に。**]
- 回想 -
[私の方は真逆なら足りないとこ補いあえていいねって
のーてんきに笑っていたな。
全然違う考え方、でも願いは同じ。
それが面白いなって思っていたよ。
なお、宣言は大事だと思うんだ。
気合いというかさ、言葉にするのに意味があるんだよっ
初戦はでも、そんな甘ったるい思考を吹き飛ばす
そんなものだった。]
えっ……!?
[その言葉を聞いて流石に強く動揺したんだ。
初めてなんだから勿論戦いは不慣れ。
仲間はいたけど、私は場所が悪く敵の攻撃を受けて
一回動けなくなるくらいの状態になったんだ。]
[情けなかった。
私の心はこんな、弱かったのかって。]
…‥ほん、とに アルカ君のお母さんなんだ?
[ぐっと力を入れ直した。
戦う仲間に下がっていていいって言われたけど
それを聞き入れずに、無理をした。
してしまった。
]
だったら、なおのこと……負けたりしないっ!
世界を壊させたりしないから、
絶対にっ!
[私がそのくまさんを見たのは戦いの後だったかな。
処分するくらいなら私が貰うっ!
と保護したんだったよね。
ぬいぐるみコレクターとしても放置出来なかったし。
それがお母さんの手作りだって、教えて貰えたかな。
アルカ君みたいな性格の人が持つには違和感あったし
アルカ君のなの? って聞くくらいはしたよ。]**
![](./img/cumorie/081.png) | [格好の良し悪しはさておいて、 寝坊しようものなら容赦なく置いて行くぞ。 どことなく、もぞもぞしているように感じたが、 髪に手が届けば頭の丸みをなぞり、柔らかく梳る。 互いの身体はゼロ距離。鼓動が早く聞こえた。 >>31] よし、オレももう休むことにするよ。 [そう言って、部屋のドアを開けた。 当然だ。 未だ嘗てオレから この部屋に泊まることを提案したことは1度もない。*] (32) 2023/02/20(Mon) 19:02:43 |
![](./img/cumorie/081.png) | [翌日、別段用意するものはないけれど、 兎に角身支度などを済ませた。 クマはオレの部屋にあっただろうか。 >>23 それなら適当な紙袋に入れて、 恥ずかしくなく持ち運べるようにする。 時間は厳守。 本当に寝坊したら置いていくつもりで、部屋で待った。**] (33) 2023/02/20(Mon) 19:03:40 |
―
回想
―
[一度零れ落ちた水は、二度と盆に返ることはない。
動揺を出さないようにはしたものの、
そんなもの無意味に決まっている。
初戦で不慣れな上に、敵に対する困惑、
更に輪をかけてシオンが無理を通すものだから、
あの時共闘した人たちには、迷惑をかけてしまった。
オレの所為だと思ったが、
自責以上に戸惑いの気持ちが強かった。]
[もう少し落ち着いて戦えていたら、
オレは自分の身の上を話さなかっただろう。
でも、その所為で色々な人に迷惑をかけたのも、
シオンに無茶をさせてしまったのも事実。
オレの母親は父親の自死を受け入れられずに、
幼いオレを置いて何処かへ行ってしまったこと。
父親も嘗て同じように敵の支配を受けて、
それを苦に死を選んだこと。
心への負荷が重くなりすぎないよう、ざっくりと説明した。
だから、ゴミ袋の中のクマが
誰の手によって生み出されたのかも、
君が見つけたその時に話していた。**]
- 回想 -
[私は迷惑とは思っていないけど
周りに心配かけちゃったのは事実だったよね。
そこは反省したよ。
そして、聞いたのはアルカ君の身の上。
それは……家族に恵まれて、愛されてきた
そんな優しい世界にいた私には想像もつかないもの
話を聞いただけで涙をぼたぼた零した。]
……そうだったん だ……
[それはどれだけの絶望なんだろう
どれだけの悲しさや、孤独なんだろう
理解出来る気が全くしなかった。
ただただ、そんな重く、哀しい世界が悲しかった。
流石の私でもうまく言葉を出せなかったよ。
ただ泣いて、ごめんって繰り返した。]
[分かってあげられなくてごめんね
悲しい思いをさせてごめんね
負けなかったから最悪だけは回避した。
でも、それだけだ。]
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