【人】 跼蹐 カナイ「………外から…? 僕は何も聞こえなかったような気がしますけど…… ……神陰間さんは…?」 毛布を受け取り小さく礼を言いつつ、少し訝しげに。 この会議室は防音対策がしっかりとされているようで、 裏を返せば外からの物音も──勿論大きなものは聴こえるけれど。 ごく些細なものであれば殆ど聞こえない……ような。 「……どのみち用心した方がいいのは、そうなんですよね…」 何れにしても、それはそう。 会議室の扉に近い方へ椅子を一脚移動させて、 座ったまま毛布を被って目を閉じた。 寝入りこそしないけれど、疲労は少しましになると思いたい。 (28) 2022/06/01(Wed) 2:45:38 |
【人】 民俗学 ユウキ「くぁぁ……。おはようございまーす。 あれ。まだエマさん来てないんですか?」 集合予定時刻に差し掛かる少し前。この青年はあろうことか探索から帰ってきて「疲れたんで仮眠します!!!」と言ってすぐさま横になってしまった。 探索した結果少々鞄を持ってきていたのだが、報告もせず枕にしてそのまま寝てしまったのだった。 そして現在。 率先して動いていた女性が戻ってこないと話題になり。探すもの、休養するもの、それぞれ行動に移し始めた頃。 「おっと……お休みの方が多いみたいですねー……」 休める時に休んだほうがいい。緊急事態であるなら尚更。 一応そういった事は理解している青年はあまり物音を立てないよう辺りを見回し、少し強張った体をほぐすように両腕をぐっと上げて伸びをする。 (29) 2022/06/01(Wed) 5:35:17 |
【人】 民俗学 ユウキ「エマさん大丈夫かなー、やっぱりあの人について行けばよかったですかね。なんか色々見つけてくれていますし」 考え事をするようにぼやく。 ざり。ざり。ノイズが聞こえる。 「探索したけど、結局見かけたのは巡回中の職員さんだけだったし。危険性のある被検体って本当にいるんでしょうか……」 今頃彼女、何しているのだろう。 ざり。ざり。ノイズが、声が、音が、聞こえる。 「会ってみたいなー他に投与されたらしい被検体たち……」 彼らは、いったい何処にいるのだろう。 見たい。見たい。見たい。 ざり。ざり。ノイズが、声が、音が、が、が、が、 「……?なんか……うるさ……い……気が……」 見たい。見たい。見たい。 この目で見たい。 彼らは何処? 人は何処に行く? (30) 2022/06/01(Wed) 5:39:25 |
【人】 民俗学 ユウキ「!」 一つ、心臓が高鳴って。 どさりと尻餅をつく。 「……っ、…………ぁ…………?」 ノイズはもう無い。 体を巡る血が沸騰したかのように熱い。 目が焼けるように痛むから、咄嗟に瞑る。 反射的に何故か耳まで塞ぐ。 「…………?」 頭の中に手を突き込まれて、そのままかき混ぜられた感覚がする。 何かが聞こえる。何かが頭の中でちかちかする。 (32) 2022/06/01(Wed) 5:47:35 |
【人】 無明長夜 ヌイバリ「んあ〜」 部屋の片隅での作業を終えて、軽く肩を伸ばす。 手元には猫ちゃんぬいぐるみ……モドキに改造された枕カバーがある。 「エマさんは遅いし、 皆はピリピリしてるし、怖いねえ」 ぬいぐるみ相手に喋っても無駄だとは分かっていたが、 今自分に出来ることは笑顔で明るく振る舞うことだろう。 ……でも、今の状況が普通ではないことなんて、当たり前に分かっている。 なぜ自分は、こんなに暢気にしているんだろう。 それだけが不思議だった。 (33) 2022/06/01(Wed) 5:58:36 |
【人】 民俗学 ユウキ「……なんだろう……あ、っち……あっちの方から、肌が粟立つような感覚がする……」 目を押さえたまま、真っ暗闇の中で呟く。 何も見えない、見えないはずなのに指さした。 「……女の人の呼吸……少し悩むような声……。あ、衣摺れの音。動いた……。 ……エマさんか……?何かの部屋……部屋にいる……?」 熱病に魘されているような、ぼんやりとした口調で。 ぽつぽつと音がこぼれ落ちる。 「あと、は……なんだろう。ざらざら、ざりざり、棘のある感覚が……なんだろう……そこそこいるな……もっと聞こえないかな、もっと探せないかな……もう少し……正確に……」 (34) 2022/06/01(Wed) 6:00:00 |
ユウキは、うわ言のように繰り返す。いいな、見たいな、会いに行きたいな…… (a12) 2022/06/01(Wed) 6:02:54 |
【人】 民俗学 ユウキ>>35 ヌイバリ 「…………ぃ゛、あだっ!」 心配そうな声色で紡がれた言葉が貴方の口から飛び出して、数秒。唐突に青年が悲鳴を上げて弾かれたように顔をあげた。 勿論伊縫青年は何もしていない。声をかけただけだ。 「あ、あー……あれ?伊縫、さん?どうかされました……?」 まだ少し声は普段よりゆったりしているものの、貴方を見上げる視線は徐々に焦点が合ってきた。 「ええ、と。伊縫さん、エマさんは……多分あっちの方角の何処かの部屋にいると思います……?た、多分……? 伊縫さんはエマさんの呼吸、聞こえませんでしたか……?」 労いの声は耳に入っていなかったのだろうか、随分と疑問符が付くような声で言葉を返した。自分の身に起きたことも、今感じ取ったことも、何もかも理解しきれていないといった様子で。 (36) 2022/06/01(Wed) 6:23:59 |
【人】 民俗学 ユウキ>>37 ヌイバリ 「頭は……大丈夫です。痛みというより、焼けるような感覚が強いでしょうか」 ぶんぶん振られた手には「わぁー手だぁー」と返した。手だねえ。 「エマさんどこだろうなとか考えているうちに、いつしか女性の息を呑むような音や何か考えるような声がしたんです。 それから、漠然とした感想になりますが『物怖じしない、彼女らしい空気』が特定の方向から流れてくるような感じがしまして。 ざっくりした方向までしか拾えなかったので、何処の部屋にいるのかまでは分からないんですけど。でも先程は部屋のような閉じた場所に。 待ってください、今なら落ち着いてもう一度詳しく探せそうな気がするのでやってみ…… あっ無理です目と耳痛いし体がやばいって訴えてる! 」ギブです!と両手をあげて降参のポーズ。 「すみません、己の身に何が起きたのかも分からなくてこんな説明しか出来ず……。 根拠もありませんから、俺も自分で自分の感じたことを信じられていないんです。この感覚は何故か、エマさんだって言っているんですけど……」 申し訳なさそうに、困惑を隠しきれない様子でそう告げた。 (38) 2022/06/01(Wed) 8:02:13 |
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