74 五月うさぎのカーテンコール
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もっと撫でてください。クッションよりいっぱい。
ジンさん、好きです。
[すき、と繰り返してワイングラスを空けた。*]
[自分にとってSASANKAは運命で、料理は人生で。
そこを尊重してくれて応援してくれる彼女だからこそ、好きになった。
彼女も料理から離れられない自分を好きになってくれたと言っていた。
それでも]
寂しい、とか。
もっとこうして、とか。
そーいうのは、飲み込まないでくれな。
俺が出来ることには限りがあるけど、出来ないことの「代わり」は最大限叶えたいから。
[人前で抱き締められない分、今は撫でる手に気持ちを込めて。]
[部屋で下着を替えてからはトイレに行っていない。
下着を替えるのは旅館に戻ってからでも良いだろうと思うのは男ゆえの無頓着か。
部屋付きの露天風呂よりも広い温泉は深いところがあって、卯田でも肩までゆっくり浸かることが出来た。
ついゆっくりしそうになって、危ない危ないと後にする。
タオルやドライヤーなどその場で借りられるのがありがたい。
そうして先んじて出た後に向かうのは、途中にすれ違った雑貨屋だ。
個人の財布から出して、包んで貰って。
気に入ってくれるかな、なんて、どきどきしながら待っていた。]
[出て来た彼女は先程よりもメイクが薄い。
それがまたどうにも湯上りの火照った肌と相俟って色気を高めていた。
喉が鳴ったのは無意識で。
駆け寄って寄り添ったのは、他の男を牽制したい独占欲。]
なー紫亜。
ちょっとこれ、つけてみてくれる?
[包みを渡す。
周年祭の時にもらったネクタイのお礼がまだだったと言えば受け取って貰えるか。
中身は紫の蝶のチャームが揺れるかんざし。
まとめあげた彼女の髪を彩るものが欲しいなと思ったのと。
会社で髪の毛を上げる時にも使えるかと。
(その場合痕をつけるのを我慢しないといけないというのを失念しているあたりが残念な男である。)
*]
[頭を撫でる手は酷く優しい。
落とされる声も、言葉も、
本当に大事にしてくれていることが伝わるから。
ぽっと胸に温かい火が灯る。
いつからか内に灯る明りは、一つ一つと増えていって。
そのうち胸いっぱいに埋め尽くされそうだ。
掌に甘えるようにすり、と髪を押し付けて双眸を緩める。]
はい。
もしあったら、口にします。
―――今は十分、幸せですから。
[幸せ過ぎて、怖いくらいだと言って微笑った。]
―― お風呂上がりに ――
[外に出れば既に基依さんの姿があって、すぐに此方の姿を見つけてくれることをくすぐったく思いながらも嬉しく思ってしまう。歩み寄れば彼の手にはお土産の包みがあって。]
……私に?
何だろう……?
[虚を付かれたもののお礼と言われたら断る謂れもなく、包装を解いていく。
包みを開いたらそこには、可愛らしい紫の蝶が揺れていて。]
わ、 わ
[眼を丸くして喜色の色を浮かべ、かんざしと基依さんの顔を交互に見比べた。]
[酔ったらキス魔に、という話をジョークのひとつで聞いた。
それでも構わないとは思っていたが、かといってこれがアルコールの魔力だけとも思わない。
好きだと言う想いを受け入れさせてほしいといったのは、俺だ。『次』を約束し続けているのも、俺だ。
生殺しにし続けるくらいなら断るべきだった。そうでないから、踏み込んだ。]
うまいなら、よかった。
[やわらかい蛸を咀嚼し、飲み込む。
触れてくる指には、頬を寄せつつ。
斜めにグラスを傾けて、零さないように飲みきってしまう。]
かわいい……!
付けてみてもいいですか?
[早速と纏めた髪を解いて、緩く髪を巻き直してからかんざしで留める。
鏡がない代わりに結わえた髪を見せるように後ろを向いて、基依さんの方を振り返る。]
…………どうですか?
似合います?
[そわそわしながら、彼の感想を待つ。
耳元で紫の蝶
がひらひらと舞った。*]
いーよ、今日はメリィの出番はお休みってことで。
[空いたグラスを置いて手招きして、両腕を広げる。
腕の中に収まってくれるなら、肩口に頭を置いて抱きしめる。
頬や髪、手の届くところをあやすように撫でた。
メリィの名前に疑問を示されたら、あのクッションの名前だと言おう。
もうここまで来たらクッションに名前が付いていることも笑い話だ*]
ちょっと待った、早すぎでしょ!?
[聞こえた返事に、思わず顔を上げて振り返る。
いやまったく考えないで答えたでしょってくらい
返答が早すぎて、怪訝な顔をしかけた時。
腰に当たる蓮司さんの変化に気づいてしまい
かぁ、と首まで染まった。]
……えと、ほんとに?
[それでも不信感が拭えなくて。
も一度聞き返せば、駄々っ子のように繰り返される答えに
胸の奥がまたきゅんとしてしまう。
その顔は、ずるい。]
……わかりました……今度、
って ちょっと、蓮司さ…… ぁン っ
[パシャンと湯船が波打って。
ようやく疼きがおさまってきた胸へ触れる悪戯な指先に
咄嗟に手首を掴んでしまう。
上擦った声が反響する恥ずかしさに、慌てて口を閉じた。]
だめ、です……お湯が汚れちゃうし、
今からしたら、仕事行けなくなりそうだし……
[一度外れた箍は、まだかなり緩んでいて。
簡単に再熱しそうな気配に、必死に理性を奮い立たせながらも
離れようなんて思えずに密着したまま躊躇っていても
燻りはじめた熱がおさまるわけもなくて。
続きを牽制していた手を離せば、背後へ伸ばし
反応している彼にそっと触れた。]
ぅ……その…手、だけなら。
初めてだから、上手くないと思います、けど。
[必死に考えた代替え案は、受け入れられただろうか。
お互いそれで我慢できるか甚だ疑問でもあるけども。
──浴室に響く甘い声と、
朝と呼べる時間をすっかり回ってしまった時計だけが
その顛末を知っている。*]
| [風呂を出て、火照る肌を冷ましながら着替えれば いつもの男性物とあまり変わらない私服姿で。 朝食をすっかり食べ損ねたせいで、騒いでいるお腹の虫に 冷蔵庫を物色する。]
相変わらず何も増えてないなぁ。 あ、この間の卵とベーコン残ってる。 たしかとろけるチーズもあったはず……
蓮司さん、ホットサンド作ったら食べます?
[冷凍庫から、食パンを取り出す。 これも数日前に買ったものだけど、 おそらく蓮司さん一人じゃ食べないだろうと残りを ラップで包み冷凍保存しておいたのだ。
それでももって最大一ヶ月くらいだが。 最近は三日と開けずに来ているから、消費は余裕だ。] (15) 2021/05/22(Sat) 23:22:59 |
美味しいのは、ジンさんと飲んでるからですね。
[こんなに美味しいなら家でも普段から飲みたい、とは思わない。
根のところで、真なる酒好きの紋章は戴けず。
広げられた両腕にすぽんと収まった。]
メリィ?
[首を傾げて、クッションのお名前を聞けば喉を鳴らして笑った。]
メリィちゃんは今日は有給休暇です。
麦の名前を呼んでください。
[先日もこうして抱きしめ、子供をあやすみたいに撫でてくれた。
今日は、
自分からも背中へ腕を回した。
長いから結構届く範囲が広い。
肩甲骨のあたりに手のひらを触れさせ、もう一方は腰のあたり、きゅ、と力を入れて抱き着いた。]
ジンさん。
……もう一回、
貴方にキスも したいです。
[髪を撫でてくれる手に呼応するように、長い彼の髪に触れ、指先で梳いた*]
[雑貨屋には、色んなアクセサリーがあった。
それでも最初に見た時から目が離せなかった。]
"蝶"は再生と復活のモチーフなんだって。
動けないままだった俺の時間を一緒に紡ぎ始めてくれた君に、あげたかった。
[彼女がくれたものは、自分のカラーと自分を表す"うさぎ"。
だから、自分も彼女のカラーと、彼女に似合うモチーフを贈りたかったのだと話す。
まあ尤もらしい御託を並べたが、単純に「これをつけた紫亜は絶対可愛い」というインスピレーションが一番だった。
包みを開けた彼女の反応は上々で、良かったと胸を撫でおろす。]
似合う。
思ったとーり。
すっっっっげ〜〜〜〜〜〜可愛い。
[自分を可愛く見せるポーズというか、卯田が歓ぶ仕草に精通した彼女が可愛くない筈がない。
かんざしのつけ方を知らなかったらどうしようかと一瞬思ったが、彼女は器用に蝶を頭で遊ばせた。]
あーーーー見せびらかしたくて贈ったけど、
想像以上に可愛いから閉じ込めたくなった。
[ハハ、と苦笑する。
旅行は明日もあるけれど、今日彼女がやりたいことがまだあるなら付き合うつもりだった。]
[辺りは薄暮の頃。
夕食にはまだ時間がある。
抱き締めたい気持ちを抑えながら、手を強く握って歩き出した。
さて他に「浴衣デート」でし足りないことは?*]
| [フライパンで弱火で食パンを焼いて解凍し、 焼き目がついたら外しておく。 スクランブルエッグを作り、ベーコンも軽く焼いて それらを食パンに乗せて、とろけるチーズをセット。 もう一枚の食パンで挟んだなら、再びフライパンで フライ返しで押さえながら両面焼いて完成だ。 二人なら、もう一つ追加で焼き上げて。
包丁で半分に切れば、とろりとチーズが溶けた断面に 上出来、と目を細めながら皿へ並べよう。]
蓮司さん、 よければ紅茶淹れてもらえますか。
[そういえば、蓮司さんはあれから セロリのポン酢漬け作ってたりするのかな。 もしそれもあるなら、一緒に並べて。
少し早い昼食に、二人で手を合わせようか。*] (16) 2021/05/22(Sat) 23:47:44 |
[悪戯に触れた胸元。
ただお湯の中で恋人の胸に触れてたい。くらいの。
軽い気持ちで触れてたのに、返って来た言葉。
急に体が熱くなって、顔に血がのぼる。]
いや。嵐。煽んないで?
[元々ゴム持ってきて無いし、ここでする気は……
って。考えてたら手が伸びてくるし。]
…………っ。も〜〜〜!!!
[それはずるいでしょう。
嵐の顎に手をかけて、振り向かせる。
赤い顔で彼女に口付けた。
──事実として。
その日はちゃんと、彼女を仕事に送り出した。
けれどやはり、身体が心配で。
2日連続で『SASANKA』に食べに行って。
微かに赤い顔をする自分は、アキに揶揄われたりしたかもしれない。*]
そう?
なら、美味しい酒飲むために、また一緒に飲まないと。
[俺もうまい酒を飲みたいし、相手にもそうであってほしい。
そこに自分と飲むのが条件として加わるなら、何度も酌み交わすほかないではないか。]
あれはねー、うちのペットみたいなものだからね。
ウールのクッションカバーだからメリィ。
[なおメリーさんのひつじは飼い主がメリーなのであって羊はメリーではない。
酔った勢いでつけた名前に突っ込んではいけないのだ。
かわいいでしょなんて言いつつ、ふふふと上機嫌に笑う。]
麦。
――麦。
[繰り返し呼んで、呼んで、くしゃくしゃと髪を混ぜる。
いいこ、と吐息混じりに囁いた。
長い腕が、こちらの背にも回る。
ああ、人の温度だ。とくんと心臓の音がする。]
ちょっと待って。
[キスを求められたら、一度制止。
抱きしめる手を緩めて、グラスを探し。
空なことに気付いて、水を汲んで飲んだ。]
俺で良ければ。
[軽口めいて笑いながら、眼鏡を外して迎えに行く*]
[彼の話すモチーフの由来を聞いて、言葉に詰まる。
止まったままだった彼の時間を再び動かすことが出来たのが自分であることを、彼自身の口から紡がれて嬉しくない訳がない。
諸手を挙げて褒められることも、全部。
仕草一つに返してくれる反応がくすぐったくも、温かくて。
髪にかけた手を下ろしながら、滲み出る喜色を隠せずに居た。]
………嬉しい。
大事にしますね。
[はにかんで後ろ手に蝶に触れれば、ゆらゆらと踊る。]
[閉じ込められると聞いたなら、首筋を赤く染めながらも。]
閉じ込められるのは、
……その、嫌じゃないです、
その方が、ずっと一緒に居られるし……
……嘘、聞かなかったことにしてください。
[口にしてから恥ずかしくなって、顔を覆った。]
[エスコートしてくれる手は力強くて。
その力の強さに応えるように、きゅっと力を込める。
隣を見上げたら、見下ろす瞳と重なって微笑んで。
夕食までまだ時間がありそうだったから。
足湯なら二人で一緒に入れるからと、
ぶらぶらと二人で温泉街の中を散策した。
ようやく見つけた足湯で、浴衣を膝まで持ち上げて足だけを浸す。
借り物の浴衣を濡らさないように気をつけながら。
温かい湯に癒されながら、のんびりと会話を続けている内に、早く二人になりたいな。……なんて気持ちがやっぱり芽生えたから。
少し時間は早いけど、旅館へと足を向けた。*]
はい、次はカレーで飲みますから、忘れないで。
[作ってるところを見たいから、早めに買い物して来なくては。
ヨーグルトを買ってチキンを漬け込んでもいいし、自分用のラッシーも作ろうか。
それに、スパイスカレーと楽しめる氷菓も]
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