人狼物語 三日月国


181 忘却の前奏曲、消失の1ページ

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視点:


【人】 名坂愛子

  

[ 陽だまりにいる人には
  太陽の気持ちは推し量れない。 ]

  
(0) 2022/10/26(Wed) 0:00:00



     ここは……どこだろう?





[ 辺りは白い、白くて、何も無い。
  その先は永遠に続いてるような真っ白な世界。

  ボクの色も、誰の色もない。
  何一つ存在しない世界に、ボクは立っている。

  聞こえた気がする悲鳴も
  感じた気がする涙も

  何もかもが現実味を感じられなくて
  味のしないガムを噛み続けている気分になった。]







   なにもない。


         その事実に、何も感じられない。






     ボクは……誰なんだ……







      ─────────。





[ 私のせいなのかな。
  私が、夜ご飯一緒に食べようって言ったからかな。
  
  
私が、君を危険にさらしたんだ。


  
君と一緒に、って望んだから。 ]


  



[ 太陽は独りでいるべきだったのかな。 ]


  




[ 太陽の傍にいたいんだ。

     そんな願いも、消えていく。







     [ ボクは嘘つきなんだ。

          その事実すら、闇に消える。]




[ あの時君は、傍にいるよ、って言ってくれた。
  私はあの言葉を忘れてないのに
  君はきっとそれも忘れちゃったんだね。

  私の中にははっきり残ってるのに。
  
苦しくて、悲しくて、泣きたくなっちゃう。


  ねぇ、あの時
  君はなんて言おうとしたんだろう。 ]

  



   [ 今の君に聞いても
        ……わからないんだよね。 ]


  



[ 当たり前だよ。

  だってあれは私が
  W太陽じゃない時にW歌ってたんだもん。


  そう、教えてくれる人は今、
いない。
 ]

  



[ それが同情じゃないことくらいわかるよ。
  彼女が本当に優しい子なんだってことも
  その感情が決して安くないことも。

            ボクには、伝わってる。]






[ 彼女の言葉を信じるのなら
  彼女がそう言いたくなる気持ちだってわかるんだ。
  分かってるのに。理解出来ているのに。


          そんな想いが、怖くて仕方がない。
          お前には過ぎた宝物だと
          心の奥に潜むボクが否定する。





[ ボクは彼女が太陽だなんて知らない。
  知らないからこそボクは彼女に太陽は求めずに
  それでいて彼女を役割から解放することが出来ず。

  今のボクは、何かをしようとして
  何も出来ずに戸惑う彼女を
  心配そうに見つめることしかできないままで。]






 [ 信頼出来る確証がない以上
   あとは信じるか、信じないか。
   そして信じたいか、信じたくないか。


              決めるのはボクだから。]






[ 同情なんて安い感情じゃないよ。
  きっと、君を馬鹿にしてた人には一生分からない。

  そしてそれを私ならわかる、って。
  君には言えないことも思ってるんだ。 ]


  



[ 太陽から解放してくれたのが君だった。
  太陽を求めないでいてくれたのも。

  だから、君がいなくなってしまうと
  私は太陽に戻ってしまうんだ。
  今の私は、太陽でいようと思って
  それを望んているのに。


         
それが自分の首を絞めている。 ]


 



[ 本当は君に縋りたい。
  本当は君に、大丈夫、って抱きしめて欲しい。
  傍にいるよ、ってもう一度聞きたいよ。


  
でも、いま、それはできないんだね……。 ]


  



[ あぁ、今、私は―――――。

          ひとりぼっちなんだ。 ]


  



[ 考えてみれば分かるはずだ。
  彼女の立場に立ってみれば分かったはずだ。

  自分にとって大事な人間が
  自分のことを忘れているとなったら
  ボクならばどう思う?


  哀しいと思うはず
  寂しいと思うはず


  そうだ。それなのに

           どうして、気づけないのか。]






[ 気づかなくていいんだよ。


  
気づかれないようにしてるんだから。 ]


  



[ 何処か他人事のような君の態度を見て
  見えない傷が増えてることなんて
  君は知らない方がいい。


  大丈夫、この痛みは
  私が抱えなきゃいけないものだから。 ]


  



[ それに……
  これで君が前向きになれるなら…
  
  そんな微かな期待を持ってしまったんだ。


  それが、間違いだと気づいたのは
  君のいる病院についてから。   ]


  



[ 千羽鶴の鶴は首を折らない方がいいって
  一般的には言われてる。

  本当は折っても問題ないんだ、って
  私が知ったのは後になってからだけど。


  この時は、なんとなく違和感があったんだ。 ]