人狼物語 三日月国


87 【身内】時数えの田舎村【R18G】

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清和! 今日がお前の命日だ!

「……おー………
多分俺今いい感じにエンドロール流れてたんだけど
もう出番な感じ?…しょうがねぇなぁ…」

響いた声の方向を見ながら愉快そうに笑う。
軽口の返事はないけれど、それでも心は満たされていた。

「田舎のいいとこその1、人が優しい。
その2、人も優しい。
その3、人たちが優しい。
っつーことで手伝ってやりますか。」

昔から、目立つのだけは得意だ。
だから、俺が目印になるから
―全速力で、走ってこい。

祭囃子の比なんかじゃない、
でっかい声でここだと叫びながら
皆をみつけて、お前も、見つけてやる。

「あ、でも見つけたら俺が満足するまで冷やかしの刑だな。」

笑って、
村を、山を、海を、
4人で駆け回ったあの日みたいに
俺もまた走り出した。

 
「本当に、仕方ない人ばっかりなんだから」

ざあっと木立が戦いで、その向こうに誰かの声を聞く。
その声を代弁するように一人呟いた。

「人が何かを抱えられるのは両腕の数まで。一遍にはね」

「でも一つずつ順番に手に取れば、ほんとはもっと持てるはず」

「もう手放さないようにしなね、どっかの誰かさん」

形を保ったままの石畳を踏んで、背を向けた。
夢はもう手放した後、でも今から拾い集める事はできるから。

「──さ、行こう    。」
 

「ねえ、待ってモモ」

 一人分の足音に、もう一つだけ加えられる。


 私は貴方を一人にした。
 貴方が心の内に何を秘めているかも知らないまま、招かれた者としての立場で夢を見てははしゃいでいた。

 だから、貴方を追いかけて傍に行こうとするのは今更遅すぎることなのかもしれないけれど。

「ねえ、モモ。これから君はどうするの?」


「……編笠くん」

 小さな影を追う前に、聞こえてきた声の方へと振り返る。
 何もかもが遅いと言われても仕方がない。それでも、声をかけたくて。

「君は遠くから眺めていたことの方が多かったけれど。それでももし、許されるのならば。

 ……どうか私に、君を応援させてほしいな」

 勿論ここを出てからも君のことを手伝うつもりだ。
 伝えることの大切さは、もう痛いほど理解したから。
 貴方にも、後悔なんてして欲しくなくて。

 だから、そっと声を風にのせる。
 涼やかな風が、ふわりと流れていく。

「……頑張ってね」