人狼物語 三日月国


225 秀才ガリレオと歳星の姫

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視点:


到着: ユスティ

【人】 ユスティ



   「ボクは一番の魔法使いになりたいんだ!
    そしたら誰もボクらを笑ったりできないだろ?」



(1) 2023/09/25(Mon) 0:43:52

【人】 ユスティ



     それは幼き日、青芝のような決意。



(2) 2023/09/25(Mon) 0:44:38

【人】 ユスティ



   「星巡りて天翔る万象の揺らめき
    ケプラーの涙、月の糸

       燦燦と巡る運命の流砂をこの背に────」



(3) 2023/09/25(Mon) 0:48:37

【人】 ユスティ



   優秀な魔法使いの卵たちが集う魔法学園トカリス。
   栄光の冠を擁する学舎の屋上で一人、
   新たな魔法の詠唱を試みる青年がいた。

   彼の名はユスティ・フレネル。
   トップの成績を保ちながらも
   一切の妥協を許さない学園の優等生。

   授業の中で教えられるものは当然に
   暇さえあれば独自の魔法を編み出しては試して
   今日もまた狂ったようにその成果を求めていた。


(4) 2023/09/25(Mon) 0:49:07

【人】 ユスティ




   皆はユスティをこう形容するだろう。


             「彼は天才だ!」と



   しかし彼は困ったように笑う。


             「ボクは凡人だ」と



(5) 2023/09/25(Mon) 0:50:03

【人】 ユスティ



      ……………………ダメ、か。


(6) 2023/09/25(Mon) 0:51:07

【人】 ユスティ



   本物を目の当たりにすれば
   自惚れる暇もないのだと彼は知っている。

   新たに編み出された空間転移の魔法は
   詠唱の甲斐も虚しく石ころを空へ運ぶのみ。
   これでは星空へ旅立つことなど夢のまた夢。



          夕焼け空の小隕石が
          小さくため息をついて項垂れていた。**



(7) 2023/09/25(Mon) 0:53:21

【人】 ユスティ




   『偉大な人間は常に、凡人たちの
    激しい反発に遭遇してきている。』



   使い古された真理は時代を選ばない。>>13
   秘められた魔の力が全てを物語るこの世界

   努力など砂上に投げられた水滴一粒にしか値しない。
   天才の煌めきは雨となり降り注いでいく最中、
   ただ、ただ、無様に流されていくしかない。


(20) 2023/09/25(Mon) 19:38:26

【人】 ユスティ



   雨の象徴、エウロパ>>12
   水に溢れた衛星の名を冠するユスティの知人

   その姿は子鬼に金棒とも言うべきだろうか
   目を引く程のあまりにも強大な魔の力は
   小さな器から溢れることも珍しくない

   しかし扱い方を覚えれば彼女は鬼となり
   覚えきれなければ災害と化すだろう、
   それがユスティの彼女に対する評価


               つまりは劣等感の象徴だ。



(21) 2023/09/25(Mon) 19:39:19

【人】 ユスティ



   知ったような口を利くな。
   キミにボクの何が分かる。>>15


   与えられたものを行使するだけの矮小な器が
   水ひとつない銀の杯のことなど、
   何を理解した気になっているのか。

   その圧倒的な差を思い知る度に
   乾いた嫉妬心がじりじりと硫化を生む。



(22) 2023/09/25(Mon) 19:40:06

【人】 ユスティ



   項垂れていたユスティの頭に鳥がとまる。>>19
   着地地点に誤差があるなど知りもせず
   その目に映るのは高度な物体操作の実現という
   凡人には成しえない力技の成功事例のみが伝わる。

   こんな事が出来る人は、一人しかいない。>>18



(23) 2023/09/25(Mon) 19:48:16

【人】 ユスティ



     腹立たしい

     その何気ない行為ひとつ成し得るために
     血を吐く思いで身を裂く者もいるというのに



(24) 2023/09/25(Mon) 19:49:02

【人】 ユスティ



   「3秒でここまで上がってこれたらいいよ。」


(25) 2023/09/25(Mon) 19:49:31

【人】 ユスティ



   図々しい申し出には無理難題で返すのがいい。

   返事の記述と共に再び織り込まれた鳥は
   彼女の穏やかなそれとは異なり
   勢いよく直線上に飛び、地面へと刺さるだろう。*


(26) 2023/09/25(Mon) 19:51:18

【人】 ユスティ



   何が好きで手伝わなければいけないのか。
   勘弁して欲しいとユスティは苦虫を噛み潰す。

   無理難題に逆上してくれれば
   どれだけ楽なのだろうか

   残念ながらエウロパという少女は
   そう思い通りにはなってくれない>>31


(43) 2023/09/25(Mon) 23:23:41

【人】 ユスティ



   本来なら出来ないと決めつけるはずだ。
   だがしかし彼女は疑わない。

   やればできると、疑わない。

   挫折を知らないがために
   己の実力に蓋をしないからこその芸当

   無邪気な大声に心がささくれだつ様は
   ユスティ自身もまた自己嫌悪を覚えてしまう。


(44) 2023/09/25(Mon) 23:24:25

【人】 ユスティ




   「…………意地悪がすぎたかな。」


(45) 2023/09/25(Mon) 23:24:33

【人】 ユスティ



   どうせできるわけが無い。
   ユスティはその憶測を疑わない。

   エウロパが辿り着くことがないと踏み
   屋上を後にしようとその声に背を向ける。

   そもそも無言詠唱なんて普通じゃできない
   詠唱を完璧に唱えてこその魔法であると
   それこそがユスティのポリシーでもあった。


   何度も無言の芸当を見せられた側の彼には
   今更詠唱を行う姿など滑稽そのものだ。>>34

   再びため息をつくと扉に手をかけ、


(46) 2023/09/25(Mon) 23:25:18

【人】 ユスティ




     その刹那、歳星の姫が空を舞った



(47) 2023/09/25(Mon) 23:25:46

【人】 ユスティ




   突然の飛躍などないのだと
     突きつけるように空を踏みしめる。>>36>>37>>38


   それなのに凡人がようやく上り詰めた場所を
     まるで階段のように軽やかに飛び越える。>>39


    その光景はまるで女神が下界に降り立つよう。



(48) 2023/09/25(Mon) 23:27:02

【人】 ユスティ



     振り返ると彼女はもう、そこにいた。


(49) 2023/09/25(Mon) 23:28:01

【人】 ユスティ



   誰もが見惚れた姫の舞
   時間が止まったかのような錯覚さえ覚える光景は
   目に見える全てを魅了するだろう。


   しかしながら裏腹にユスティが感じるものは
   腸が焼け爛れたかのような嫉妬でしかなかった。



(50) 2023/09/25(Mon) 23:28:50

【人】 ユスティ



   「そんなに魔法の腕が立つのなら

        勉強だって一人で出来るんじゃないの?」


(51) 2023/09/25(Mon) 23:29:34

【人】 ユスティ



     風に晒された心が乾く。

     風が止まり傍へ降り立つ女神は
     今のユスティにとっては魂を削る死神に等しい。

     嫌味を吐き捨てると離れるように
     エウロパの三歩先を歩こうとして

     何をしていたのかと問われてしまえば
     一度だけ歩を止めて
     漆黒に淀んだ瞳で問いかけを返す。


(52) 2023/09/25(Mon) 23:30:26

【人】 ユスティ



   「ボクが何をしていたかなんて
    キミには分からないよ。

            ………分かられたくもない。」


(53) 2023/09/25(Mon) 23:30:51

【人】 ユスティ



   (ああ…不愉快だ。なにもかも。)



(54) 2023/09/25(Mon) 23:31:15

【人】 ユスティ



   とはいえ約束は約束だ。
   こんなくだらないイベントさっさと済ませよう

   妙な真面目ぶりを披露しながら
   ユスティの足はただ静かに図書館へ向かう。*


(55) 2023/09/25(Mon) 23:32:24

【人】 ユスティ




   分からない
   天才の考えることなど>>56>>57

   分かるはずだ。
   論理的な思考は秀才の十八番なのに。>>58



         見れば分かるはずだ。
         彼女の危険性も、彼女の覚悟も
         その覚悟がズレているのではないかと
         自分が言うべきことはそれだけなのに。



(71) 2023/09/26(Tue) 18:51:48

【人】 ユスティ



   分かりたくないのだ。

      凡人が「理解」など甚だ図々しいと
      本人が一番知っていることなのだから。



(72) 2023/09/26(Tue) 18:53:11

【人】 ユスティ



   想像を具現せよ。

   人々の空想や願いから
   魔法という概念は生まれる。


           誰もが初めそこに立つ。>>61
           そして当たり前の事を成し遂げる
           それが困難であると知るからこそ
           人は力を正しく使うための技を知る。


(73) 2023/09/26(Tue) 18:54:40

【人】 ユスティ




     天才に足りぬは技



              秀才に足りぬは力




(74) 2023/09/26(Tue) 18:56:23

【人】 ユスティ



        そこにないはずの差を感じる理由など……
(75) 2023/09/26(Tue) 18:57:03

【人】 ユスティ



   「一人で出来るような努力をしてから
      そういうことは言うべきなんだけどね。」>>63



(76) 2023/09/26(Tue) 18:57:37

【人】 ユスティ



   彼女の思惑を知ればそんなことも言うまい。>>67
   少し目を澄ませば分かるはずのことだろうと
   感情と身勝手な空想が全てを狂わせる。

   情緒とは力であり、力とは時に己さえ蝕む。>>69
   先人達の歴史から学ぶべきと知ってなお抗えない。
   全てが魔法使いにとって必要な性質だからだ。>>66


(77) 2023/09/26(Tue) 18:58:32

【人】 ユスティ



    「傲慢だ。
          いかにも天才キミらしい。」>>65


(78) 2023/09/26(Tue) 18:59:39

【人】 ユスティ



   微かに怒りが滲み声が震える。
   椅子から落ちたこともないだろうに
   地べたを這い蹲る者の何を知るのか

   天才に生まれた宿命に抗うことなど
   天才に憧れた男の前では火に油を注ぐだけ

   すると突然エウロパを吊るす糸が切れたように
   その身体がよろけて、ユスティへと手が伸びる。>>68


(79) 2023/09/26(Tue) 19:00:18

【人】 ユスティ



    「哀れだね。
          天才ともあろう人が。」


(80) 2023/09/26(Tue) 19:01:07

【人】 ユスティ



   とっさにエウロパの身体を支えながら
   ユスティは呆れた様子でため息をつく

   下手な言い訳をする理由もよく分からないが
   だとしてもっと上手く言って欲しい
   これではリアクションもしづらくて仕方ない。

   当のエウロパ本人は保健室に行くどころか
   図書室に行こうと頑なだ。

   その理由が宿題ではないことくらい分かる。
   と言ってもじゃあその理由はなんだと
   聞かれたところでそこまでは分からない。


(81) 2023/09/26(Tue) 19:01:49

【人】 ユスティ



   腹立たしい。
   まるで子供の相手でもしているようだ。

   なんの悪意もなく、含みもなく、
   自然のままに力を行使する。

   その結果どんなことが起こるか
   確証は得ずとも憶測はいくつか思い浮かぶ。
   いや、思い浮かべなければいけないはずだ。


            そしてそれをわざわざ
            天才になど教えてやる義理もない。



(82) 2023/09/26(Tue) 19:05:52

【人】 ユスティ



   「これで少しは気分も楽になるかい?」


(83) 2023/09/26(Tue) 19:08:38

【人】 ユスティ



   これは軽い応急処置にしかならないが
   これで何とかなったというのなら
   そのまま図書室へ行くとしよう。


         ただ今後不調を誤魔化そうものなら
         保健室に磔にでもしてやろう。*



(84) 2023/09/26(Tue) 19:11:32

【人】 ユスティ



   努力の先に得られる対価
   そこに価値を感じなければ
   その過程は酷く虚しい。>>86>>87

   いくら正論で突き刺そうとも
   その心意気を変えることは難しいだろう。>>86>>88

   持つ者と持たざる者
   互いの心を知るためには
   言葉を交わす以外に道は無いのだと

   分かっていても出来ないのは
   ユスティもまた未熟な一人の人間であるからだ。


(104) 2023/09/27(Wed) 9:52:18

【人】 ユスティ



   虫唾が走る。


   何に対しての謝罪だというのか。>>92
   ただ魔力枯れを起こしてもたれかかった程度のこと
   本当ならそう他人の怒りを買うようなことでもない。

   エウロパはこちらの言うことを疑わないのか。
   そう思うことさえ、人間としての格の差を
   わざわざ見せつけられているようで。


(105) 2023/09/27(Wed) 9:53:05

【人】 ユスティ



     「次はもう助けないからね。」


(106) 2023/09/27(Wed) 9:58:08

【人】 ユスティ



   そう言っても結局助けることになるのは
            これで何回目のことやら。**



(107) 2023/09/27(Wed) 9:58:47

【人】 ユスティ



   時は代わって宿題の時間。
   楽しい楽しい図書室でデート。

              なんてことは有り得ない。


   授業中に寝てしまうということは
   必要な板書すら終わっていないということだ。>>100
   案の定エウロパの頼みは面の皮を更に厚くしている。

   覚えるための方法のひとつが板書であって
   板書すること自体に意味がある訳では無いのだが
   エウロパのあまりに酷すぎる現状に
   ユスティは正論で殴る気力すら奪われていた。>>98


(108) 2023/09/27(Wed) 10:00:03

【人】 ユスティ



   「あの…、この際細かいことは言わないけど
    せめて自分の名前の元になった木星のことくらい

            ちゃんと覚えておきなよ……。」


(109) 2023/09/27(Wed) 10:01:30

【人】 ユスティ



   面倒だったかと言われれば
   危うく過労で死にかけた程度だろう。

   幸い分からないところをそのままにせず
   教えれば素直に受け止め可愛げがあったから
   それが不幸中の幸いというべきか。

   軽く一、二時間で終わらせるつもりが
   想像以上に時間がかかってしまったせいで
   この地獄から開放されたのは
   ちょうど図書館の閉館が間近に迫った頃。>>101


(110) 2023/09/27(Wed) 10:02:05

【人】 ユスティ




        「…………もう二度と手伝いたくない。」

(111) 2023/09/27(Wed) 10:02:45

【人】 ユスティ



   喜ぶエウロパの横で静かにぼやく。
   ちなみに嫌味ではない。しっかりと本音だ。


   一大任務を終えて図書室を出ると
   校舎もすっかり人の気配がしなくなり、

   夕暮れに焼ける廊下を二人で歩いていると
   ふとエウロパがお礼などと口にする。
   ユスティにとってこれ程困る質問もそうはない。
   欲しい物は特にないし、手伝うと言っても
   彼女に手伝われること自体が
   ユスティからすれば自身の失敗そのものなのだ。


(112) 2023/09/27(Wed) 10:05:20

【人】 ユスティ



   「
はぁ…
……………考えとく。」


(113) 2023/09/27(Wed) 10:05:39

【人】 ユスティ



   どうせ要らないと言っても聞かないだろう。
   初めから断る選択肢など許されていない。

   返答に困ったユスティはため息混じりに
   保留という逃げの手段へと転じるしかなかった。*


(114) 2023/09/27(Wed) 10:06:14

【人】 ユスティ



     「キミ……水のある衛星は
          全部水星の群だと思ってない?」


(128) 2023/09/27(Wed) 20:25:22

【人】 ユスティ



   ユスティが言葉を失ったのは想像に難くない。
   自分のルーツくらい知っておこうとは思わないのか
   ありのまま我が道を生きる天才の感性は
   自らの常識ではやはり語れない。

   天才とは極端に興味の矛先が偏るものだと
   誰かが言っていたのだが
   エウロパにもその片鱗が見えた瞬間だった。


   思わず眉間を指で押えながら
   魔法でエウロパの持つ参考書のページを捲る。

   ページは木星群にある衛星の内容が書かれた
   場所でぴたりと止まりユスティは解説を挟む。


(129) 2023/09/27(Wed) 20:25:48

【人】 ユスティ



   「エウロパという衛星は表面が氷になっていて
    その奥にはたくさんの水があるとされるけど

    最近では生命が生き残れるだけの
    環境があるとも言われているんだ。

    遠い将来エウロパに人が移住する
    そんなことも有り得るかもしれないね。」


(130) 2023/09/27(Wed) 20:26:44

【人】 ユスティ



   試験と関係あるかも分からない
   雑学のようなものだが
   興味を引けて本人が自分で調べる気になればいい。

   後はエウロパのやる気次第だ。



   それはそれとして
   優しさにも代償があることを
   彼女は一度知るべきではないだろうか。>>121>>122



   いや、知ってるからこそのお礼なのか
   聞いてみたい反面あまり深堀もしたくない。


(131) 2023/09/27(Wed) 20:27:29

【人】 ユスティ



     ただ、それも許してはくれなさそうだ。



(132) 2023/09/27(Wed) 20:28:23

【人】 ユスティ



   「そもそも、人に頼らずして
    成し遂げるからこその成功でしょ。

    日頃やろうとしていることなのに
    キミに手伝われてたら意味が無いんだよ。」



(133) 2023/09/27(Wed) 20:29:24

【人】 ユスティ



   何もおかしなことは言っていないはず。
   だがそれで彼女を納得させられた、
   というわけでもなさそうだ。

   むしろ行くなと前に立ち塞がれるように
   物理的な逃げ場まで塞がれてしまう。


(134) 2023/09/27(Wed) 20:30:44

【人】 ユスティ




       「いや、そういうわけじゃ………………」


(135) 2023/09/27(Wed) 20:31:19

【人】 ユスティ




     それは助け舟と呼ぶには小さいけれど。
               ユスティは迷わず乗る。

(136) 2023/09/27(Wed) 20:32:37

【人】 ユスティ



   「相変わらず燃費が悪いね。
      何か食べていったらいいんじゃない?」


   そこは魔力との関係も否定できないから
   だらしないなどと言う気もなく。

   ため息をつくエウロパは流石に不憫で
   ついつい買い食いの提案をしてしまう。

   後は自分だけそそくさと帰ろうと思うのだが
   それを果たしてエウロパが許してくれるかどうか。*



(137) 2023/09/27(Wed) 20:34:28

【人】 ユスティ



   「バ………。ゴホン。素直すぎるのも考えものだね。」

(152) 2023/09/29(Fri) 23:34:55

【人】 ユスティ



   危うく馬鹿と言いかけた。
   何とか耐えた自分を褒めてやりたいと
   ユスティは気を取り直す。

   氷になにか嫌な思い出でもあるのか。
   エウロパの表情は暗い。

   昔、森の中だけ季節が変わった
   あの時のこととなにか関係があるのだろうか。
   考えたところで仕方がないのだが。


   この勉学と魔法の技については
   エウロパという少女はまだまだ謎が深い。

   きっと未熟さの中に眠る信念のような芯を
   ユスティが知ろうともしないせいだ。


(153) 2023/09/29(Fri) 23:35:12

【人】 ユスティ



   「どうかな。

    いるかもしれないし、いないかもしれない。
    でもボクたちが真実に辿り着けるのはまだ先だ。」


(154) 2023/09/29(Fri) 23:35:27

【人】 ユスティ



   勉強範囲ではない話に食いつかれても困るのだが、
   興味を否定する行為は学びにおいては毒になる。

   本当なら歳が十になる頃には看破すべき
   ステージのはずなのだが、
   まだ到達していないのならば合わせる他ない。

   誰かの力を借りるの悪いことじゃない、などと
   救われない正論を言われて顔を顰めるのは
   エウロパのステージの話とはまた別のことだが。



(155) 2023/09/29(Fri) 23:38:14

【人】 ユスティ



   「仮に力を借りたり、助け合ったり
    そうやって大きな物事を達成する時には

    携わる人同士の力がある程度
    釣り合っていなければダメなんだ。」


(156) 2023/09/29(Fri) 23:38:35

【人】 ユスティ



   「例えばキミの力を借りて
    ボクがなにか難しい術を成功させたとしよう。

    キミとボクが同じくらいの力なら
    協力し合ったと誰が見てもわかる。

    でも今キミの力を借りるボクをみたら


          皆はボクの事をなんて言うと思う?」


(157) 2023/09/29(Fri) 23:39:36

【人】 ユスティ



   「正解はね。

         虎の威を借る狐、だ。」


(158) 2023/09/29(Fri) 23:40:14

【人】 ユスティ



     「虎のキミには分からないだろうけどね。」


(159) 2023/09/29(Fri) 23:42:03

【人】 ユスティ



   ユスティはそれ以上を語らず暗に告げる。

   エウロパとの間で協力など成立しない。
   だからキミにしてもらうことなど何も無いのだと。

   決して相入れることなどないし
   狐は狐としかつるめない。

   その国境を改めて示しながら
   どこか侘しげにため息をついた。


(160) 2023/09/29(Fri) 23:42:57

【人】 ユスティ



   突如としてユスティに電流走る。
   やはりエウロパはただで帰す気がないらしい。

   本当は自室で簡素な食事でも作ろうと
   だからエウロパの誘いには乗れないと
   そう言おうとして口篭った。

   「私もユスティのご飯食べたい!」
   と言われる未来しか見えない。

   それだけは本当に勘弁して欲しい。


   どうにかして断る理由を考えていると
   エウロパに手を取られた。

   男なら嬉しいはずの女の子からお誘い。
   だが当の本人にとってはまるで手錠だ。


(161) 2023/09/29(Fri) 23:43:59

【人】 ユスティ



    「……分かったから手を離してくれ。

           ボクはコロッケでも食べとくよ。」



(162) 2023/09/29(Fri) 23:44:37

【人】 ユスティ



   魔力の分流は肌同士の接触により起きる。
   触れれば触れるほど分流の地点は増え
   より多量の魔力を伝達できるものだ。

   しかしエウロパの量は異常であり
   手を繋ぐだけでも支障が出かねない。

   ごめんと謝りながら手を離しながら
   どうして自分が謝っているのかと戸惑っていると
   何を想ったのか、エウロパの足が止まった。



(163) 2023/09/29(Fri) 23:45:32

【人】 ユスティ



   「あそこまでするのはキミだけだが?」


(164) 2023/09/29(Fri) 23:46:04

【人】 ユスティ



   あそこまでしないと魔力を抑えられない人など
   ユスティの中ではエウロパを置いて他にはいない。



(165) 2023/09/29(Fri) 23:46:34

【人】 ユスティ



   静かに答える。しかしユスティには分からなかった。
   その質問はエウロパにとってなんの意図があるのか。
   自分が仮に他の人に同じことをしたとしても
   それが処置でエウロパも同じやり方を知っていたら
   きっと同じことをするのではないか。

   そこになんの差があるというのだろうか。


(166) 2023/09/29(Fri) 23:47:14

【人】 ユスティ



   そんな風に立ち止まったせいか
   それとたまたまか。

   お目当てのホットドックの看板には
   SOLD OUTの文字が書かれていた。


   「時間も遅かったからね。
    代わりのものでも食べればいいんじゃない?
    今日世界が終わるわけじゃないんだから。」


   しれっと最後の一個だったコロッケを買うと
   肩を落とすどころか蹲るエウロパが
   なぜかとても哀れに見えてしまった。

   まるでこの世の終わりみたいな空気を発して
   それを横目に一人だけ食べるということもできず。



(167) 2023/09/29(Fri) 23:49:51

【人】 ユスティ



      「………たべる?」


(168) 2023/09/29(Fri) 23:50:15

【人】 ユスティ



   カニクリームたっぷりのコロッケを半分に割り、
   気持ち大きい方をエウロパへと差し出した。

  
(169) 2023/09/29(Fri) 23:50:42