人狼物語 三日月国


188 【身内P村】箱庭世界とリバースデイ【R18RP村】

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視点:


 
[ 『隠者』の証持ちに対する仄かな憎しみ
 それから、『女教皇』の証持ちに対する、
 苦しいぐらいの愛。

 『魔術師』と『女教皇』が
 互いを大切に思っていたらしいことは、
 教典に記されている。

 ……だからこそ、
 『女教皇』が自分から離れようとしたとき、
 『魔術師』はひどく動揺した。

 ――そばにいたい、いかないで、と
]
 

 
[ 『女教皇』は、『隠者』を制裁した殺した自分は、
 『魔術師』の隣にいる資格はないと思っていた。

 だったら――]
 

 

  [ 僕も誰かを殺したら、
    君のそばにいることを許されるかな? ]

 

 
[ そうして『魔術師』は『恋人』を殺そうとした。
 ……けれど、物語は二人が同時に死んで幕を降ろす。
 『魔術師』が『女教皇』のそばにいるそれからの未来は、
 存在しなかった。]
 

[『正義』は『力』に、へらりと笑って宣う。]
 

  色々、本当に色々考えたんだ。

  この欠けてしまった箱庭は、
  どうやったら元通り、正しい形に戻るのか。

  22人揃って、
  綺麗なバランスが取れていたはずなんだ。

  なのに……その均衡が、崩れてしまった。
 
  どうしたら良い?

  どうしたら、またバランスの取れた形に、
  戻ることができると思う?

 
[手の中で、剣を弄ぶ。
 すっかり手に馴染んだそれ。
 『正義』の愛用の剣だった。]

[『正義』は『力』のことを、尊敬していた。

 比較してしまえば特別な能力を持たぬ
 『正義』だったが、
 だからこそ、自らに与えられた役目
Judge
を為す為、
 自らを鍛えねばならぬと思っていた。

 『正義』は『力』もまた、
 自らを高めることを好むと思っており、
 その性質を好んでいた。

 互いに、高め合える相手だと思っていた。


            ————————だから。] 

  僕には、どうしてもわからないんだ
『正義』を失ってしまったから、判断できない


  これ以上、少しでも欠けないように尽力すべきか
誰かが誰かを害するのを止めるべきか

  それとも、いっそバランスの悪いところを切り落として
不穏分子を片端から斬って



   
全て、壊してしまうべきか。



    どちらを目指すべきかが、分からない
裁定を下すための判断基準が見つからない

  きっと、僕が望もうが望まなかろうが、
まだ、まだ、少しでも長く、ずっと、もっと、

  
  やるべきことは決まっているんだろうね。
この安穏とした箱庭で暮らしたいと、そう願う僕がいる。





  神の作った全き世界、
でも、どんなに足掻いて嘆いても、


  壊れてしまったなら、すべきことはひとつだ。
ダメなんだ、どうしても、戻らない、戻せない、だから、だから。



  僕に与えられた役割は『正義』
Judge
だから
だけど



  この箱庭に、均衡を、取り戻さないと。
嫌だよ、殺したくないよ、誰も、だれも、ひとりも、ほんとは

[『正義』は笑った。

 『力』の前で、剣を握りしめて。]



   君、一番手強そうだからさ。
僕は僕自身を止められない、止め方がわからない


   最初は、君かな、って思ったんだ。
だけど君なら、君だったら、君にしか……



[『正義』の手の中の剣は、
 曇り一つなく光る
まだ、誰の血も吸っていない
。]

 
 



  ————……君の『
意思
』を見せてくれ。



 

 
[ 神は『教皇』に“場を治めるため”の贈り物を与えました。
 
 それはあくまで“場を治めるため”のものであり
 “統治する”ための力ではありません。

 何故でしょうか?

 それは簡単なことです。
 統治は “教皇自身が行うもの” であり
 特別な“贈り物”として必要のないものですから。]

 

 
[ 口論から喧嘩、諍い、小競り合い、争い──
 そのような争いを“止める”為には
 何が必要でしょうか?
 
 正しき心?
 優しさ?
 全てを赦す慈悲?

 いいえ。全て違います。
 説得に時間が掛かる上
 片方に寄ってしまう可能性がありますよね。]

 

 
 
 [ 答えは “力による介入”です。 ]

 
 

 
[ 唯の言い争いの口喧嘩から、戦争まで
 静止の為第三者の介入が必要になることは
 珍しくありません。
 
 強ければ強いほど、瞬時に収束させることが可能で
 抑止力もまた、大きくなります。
 諍いの再発の確率も下がります。


 『教皇』に与えられた贈り物は
 全てを
均す
為のものでした。]

 

 
[ では何故、神は保守的な役割である『教皇』に
 正反対の贈り物を授けたのでしょう?

 
 簡単なことです。
 『教皇』とは、神の代弁者ですので
 “善の性質”を具え、力を正しく運用することは
 前提中の前提なのです。]

 

 
[ ではもし、教皇の性質が“善”でなかった場合は?
 もし“悪”の性質の者に与えられたならば
 相当危険なことになるのでは?


   ──── 
そのようなことはありえません!




  途中でイレギュラーな出来事が起こり
  性質が変わらない限り。
  あるいは、最初から“悪の性質”を生まれ持つという
  ありえない失敗が無い限りは!*]

 


[ わたしのこころは しずかな凪でした。
  いろんなことは よくわかりません。
  つるされた男のとなりで、
  わたしはよく
  はこにわの かれらを ながめてました。

  かれらのなかには
  こころよせあうかんじょうがあって
  おもいあっていきていました。


  『 愛 』するとはなんでしょう?


  かれならしっているでしょうか。
  すべてをいつくしむような めで
  かれらをみまもっている、教皇ならば。 


  わたしはきっとかれをしんじ、
  いろんなことをたずねていたはずでした。
  わたしにとっての 師ともいえたはずの。]




[ いつからでしょうか。
  さいしょからだったのでしょうか?

  
  かれのようすが、おかしいことに
  きづきはじめたころには、

  いろんなことがおそかった ]
 




 ……なぜ、あんないいかたをしたのですか
 あなたのこえなら正しくとどくかもしれないのに


[ 愚者が殺されるまえにも、
  どこか不和がみえることがありました。

  はじまりはどうであったかはわかりません。
  けれどあなたは争いをかそくさせようとしている、

  わたしにはそううつることがありました。


  死神と教皇はときおり、意見があわない
  そんなようすは
  まわりからもみえていたかもしれません。 ]




[ そのうちに、
  さいしょのこが ころされてしまいました
  あのこをころしたあのこが、みずから命をたちました。

  わたしはかなしみました。
  ずっと泣き続けました。

  どうしてなのか、わからなかった。
  
  わたしには むずかしいことはわかりません。
  だれかにおしえてほしいのに
  こたえてくれるひとは、いません。
  かみさまですらも。


  だれもがだれかに おもいをぶつけて

  そこで『 死 』がうまれました。
  わたしに『 意味 』ができてしまいました。
  

  どうしてでしょう。 
  かなしくてくるしいのは 
  わたしだけでは なかったかもしれません。

  それでも教皇は、あなたは―― ]





  まちがい……?
  いいえ、……いいえ、そんなはずはありません
  あなたは、


[ うらやましい?どうしてですか。
  わたしは しっています。

  あなたは あくになどと まけないと  


  わたしよりもずっと
  いろんなことをかんがえて、くるしんで
  いるはずです。


  あなたは、あなたは―― ]


  





 あなたは 
 あなたの、じあいは

 そのていどのひとなのですか?



[ ちがうとひていして、おいかりになられるでしょうか。
  それとも、めをさましてくださいますか。

  おねがいです。
  もうかなしいことは いやなのです。


  『 死 』にこれいじょうの いみはいらないのです。


  しんじます。
  てをひろげて、 あなたを。 *]


 

( 何、これ

 なんで、なんで、私が死ななきゃいけないの!?

 やだ、死にたくない…… )


[それらの思いは、言葉にはならなかった。
もう喋る力は残されていなかった。
運命の輪は死に際に様々な事を考えたが、口にすることが叶わなかった為に、誰にも届かなかった。]

( 私は神様に一番愛されてる、のに……

  ……正義、ごめん
 
  無理そうだわ、これ 悔しいなぁ……

  貴方置いてくの心配だけど……

  …… …… …… )


[運命の輪が死んだのは、愚者が死んでからそれほど時間が経たなかった頃とされている。運命の輪が欠けたことで、幸運と不運の均衡は崩れ、箱庭の崩壊はさらに加速していくこととなる。]


( 節制、…… )


 「       」


[自分の死の原因となった節制へ、何かを言いかけたけれど、やはり声は音にはならず。

言葉一つ残せぬまま、運命の輪は死んでしまったのだ。**]

あなたが穏やかに生きていれば、それだけで幸せだと思います。
僕も、皆も。

充分、助けられていますから。あなたがいて。

[あなたの名前に『死』の文字が含まれていても。
 あなたは『死』そのものではないと、『死神』を慕っていた『吊るされた男』は感じていた。

 あまり生きることがうまくなかった『吊るされた男』は、気がつけば『死神』のそばにいることが増えていて。
 申し訳なさはあってもどこか嬉しく、心を寄せていたから、何も憂うことはなく、充分幸せを得ていると思えた。]

どうして、そんな事を言うのですか。

あなたが幸せを運べていないとしたら、僕なんてもっと、何も出来ていませんよ。

[僕こそ、もらったものを、誰かに返せている気がしないのに。
 人を気にかけ手を焼いてくれるあなたが、ひとをしあわせにしていないなど、あるはずがないのに。]



[
――むしろ、あなたを置いていくかもしれない僕のほうが
]


 

……だいじょうぶ。
何も、憂うことはありませんよ。

[そう言って、静かに笑うばかり*]



[ 彼女が大切にしているものを、

          どうか、奪ったりしないで。 ]


 

 
  わたしの退場を望む声が大きかったから、
  処刑される事が決まった。

  どうやら立ち回りを間違えたらしい。
  わたしは数の暴力と無関心に殺される。
  けれど、それでよかった。
  気紛れで、成り行きで、そんな半端な気持ちで
  あなた以外の『特別』や
  『その他大勢』になどなりたくなかった。

  友がわたしを止めるべく
  わたしを手に掛ける可能性だけを
  最期まで懸念し怯えていたけれど、
  あの子はわたしを最期まで信じていた。
  「最期まで信じてくれる」と
  信じられなかったわたしの事を。

 
『ほんとうは全部わたしじゃない』


  ほんの一言、泣き言を零せば
  生き延びる道もあっただろうか。
  共にこの結末に抗ってすらくれただろうか。
 

 
  何の縁も無いひとに
  何故だかいつの間にか焦がれてしまった。
  焦がれているだけで良いと思った。
  それしか赦されないと思った。
  だから最期まで口を閉ざして
  秘めたまま死ぬことにした。

  最初は何の形にするつもりもなかった感情は
  あっというまに抱えきれなくなって
  溢れそうになって初めて『太陽』にだけ打ち明けた。
  どうして『太陽』だったかはわからない。
  望む形で上手く受け留めてくれる気がしたから。

  『ある日、『悪魔』が
  『愚者』を殺してしまいました』
  衝撃を受けた。きっとみんなとは違う意味の。

  『愚者』最初に死んだ子『悪魔』最初に殺した子の関係に憧れた。

  欲しかったものが明確に形になった瞬間に感動すら覚えた。
  或いは叶わぬ望みを葬る棺を漸く見つけた
  安堵だったのかもしれない。
  ああ、これでやっと終わりに出来ると思った。
 

 
  話せないことの多い感情を無理に暴く事なく
  『太陽』は望むときにはやさしく寄り添ってくれた。
  誰にも内緒にしてほしい。
  その約束を守った侭あの子はいなくなった。

  『星』には如何しても言えなかった。
  友達だったからこそ。
  後ろめたい感情だったせいもある。
  けれどそれ以上に
  あのこはわたしにとってずっと一番の仲良しだったから。

  突然零番目ができてしまったその事実が
  わたしとずっと一番の仲良しでいてくれた
  あの子と積み重ねた時間を裏切るような心地がして。

  それまで話せない事なんかなにもなかった『星』にも
  誰にも、ずっと秘めていた。
  それが余計に苦しかった。
  それでも。
  『星』にだけはどうしても知られたくなかった。
  

 
  足掻けど結局、最期まで願いは何一つ叶わず、
  それこそがわたしにとっての絶対であると
  望む事すら否定された心地がして
  憤るより嘆くより悔いるよりらだ虚しくて。

  夢を見続ける努力にすり減った頃に
  寄り添ってくれるあの子を喪った。
  自分を慰める日々にもう疲れてしまって
  すべて投げ出してしまいたくって
  生き延びることなど叶わなくて良いと思った。
  きっと生き延びたとてわたしは諦めきれず
  性懲りもなく愚かな行いを繰り返す。

  たったひとりに殺される為に。
  叶わないと本当は解っている癖に。

  殺される事が叶わないと理解してしまったら
  それなら逆に、いっそこの手で、と
  望むでも、願うでもなく、
  無理矢理叶えてしまいそうな衝動から
  必死に目を逸らすのももう限界だった。

  終ってしまいたかった。
  終わりにしてしまいたかった。
  あの子が信じてくれる友だったわたしのまま。

  だからこれは自殺みたいなものだ。
  ある意味望んだ終焉のかたちだった。
 


 
  『だからどうか、きみだけは
  わたしの"望んだ結末"を否定しないで。
  理解出来ずとも受け入れてほしい。

  これでやっとらくになれるんだ。
  祝福してくれよ、友達だろう?』



  何を今更。
  たとえあの子が赦したってわたし自身が
  あの子をもう一度友と呼ぶことを赦せなくて。
  それでも最後まで友で居ようとしてくれた
  あの子の為にと自分自身を偽った。
 

【人】 XIV『節制』 シトラ

── 薬草園


[ 声が届く程度にわたしから離れて佇むクロさんに
 どうぞ、と椅子を勧めてみたけれど
 座ってもらえたかどうか。
 表情からも声色からも、彼の緊張は伝わってきた。
 わたしの動揺もきっと伝わってしまっている。

 何か話さないと、と考えあぐねているうち
 薬草園に流れ出した張り詰めた空気を
 先に破ったのは彼の方だった。>>2:396


  ……え、


[ 持ち出されたのは、
 2年目の誕生日に贈ったノートの話。

 返事なら短いながらもその場でもらったはず、
 そう不思議に思いながら耳を傾けていれば>>2:397
 中に書いたメッセージへの返事だと彼は言う。

 2年前のわたしが、
 彼へと宛てて想いを込めた短い手紙。
 何を書き記したかは、一言一句憶えている。]
 
(103) 2022/12/18(Sun) 18:50:10

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ 反応はなくても仕方ないと思っていた。
 捨てられてしまっても致し方ないと思っていた。

 ところが彼は
 わたしに返事ができなかったことを
 ずっと胸に抱えてくれていたらしくて、
 幸せを願うと語る声に偽りの色はないように思えて

 もう、それだけで
 声を上げて泣き出したくなった。]
 

  ありがとう、……ござい、ます


[ クロさんは、わたしが憎くはないんですか。
 『節制』の証を、魂を継ぐわたしが。

 喉奥までせり上がった質問を、
 愚問だと自戒して呑み込んだ。

 彼はいま、『節制』のわたしではなくて
 シトラと話をしようとしてくれている。
 そう感じたし、そうなのだと思いたかった。]
 
(104) 2022/12/18(Sun) 18:50:56

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ 息を深く吸いこんで、薬草の香りで肺を満たした。
 すこしの間を置いて、彼へと向き直って
 ゆっくり、口を開く。]


  わたしの幸せは……
  ……たとえ この世界に留まることが
  必ずしも、幸福とは……限らなく、ても
  この世界にあって、

  きっと、箱庭にはない……、って
  そう、思っています。

  ひとは、……いつかは、死にます
  世界が崩壊しなかったとしても
  こうしている間にも、
  世界のどこかでは、誰かがきっと 亡くなっていて

  でも、こんな形で……
  ただ純粋に生きていたいと願っていたひとたちの未来を
  一方的に終わらせていいとは、思えません

  いいはずが……ないんです。

  
[ 絞り出すようにして発した声は自責の色を帯びた。
 濡れた睫毛の雫を払って、
 わたしが問われたのと同じ質問を投げかける。]
 
(105) 2022/12/18(Sun) 18:51:39

【人】 XIV『節制』 シトラ

  

  ……どう、でしょうか
  あなたの幸せは、どちらにありそうですか。

  クロさんにとって
  幸せ……って、何、ですか。

  どんなときに、幸せを感じますか?


[ 『節制』と『運命の輪』は、教典によれば
 考え方が合わず距離を置いていたという。

 わたしたちは、どうだろう。やっぱり合わないのかな。
 それとも、歩み寄れそうな部分を
 少しくらいは見つけられるのかな。

 ラピスラズリの瞳をそっと覗き込んで
 暫し、彼の声に静かに耳を傾けた。]*
 
(106) 2022/12/18(Sun) 18:52:00
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。
(a30) 2022/12/18(Sun) 19:05:31



  …………え、


[ 初めに、鈍い衝撃があった。
 咄嗟に、己が過ちを悟った。
 焦燥が、刃を抜き取らせた。

  眼前が、赤く、赤く
まった。



     ぬるりと指先を伝うそれはひどく
あたたかく

     やがては錆びた鉄の狂おしい匂いに満ちて
     足元は瞬く間に
一色
で染め上げられ
     取り落とした凶器をも容易く呑み込んだ。]

 




   ──あ、  ぁ、あ

    
  あああああああああああああああ!!!!!!!




[ 蒼褪めた顔が此方を見つめていた。
 何事かを口にしようとして、動かなくなった。]

 



  どう、し、て


[ 殺めるつもりなどなかった。
 どれほど折り合いが悪くとも
 殺したい程に憎んだことは一度足りともなかった。

 語らえば語らう程に諍いを生じ
 近付けば火と油の如く反発し合う我ら
 であれば無理に接することもない。

 距離を置くことで平穏が保たれるのならば
 それもひとつの共存の形だと、]



  どうして…………!!!


[ 神様は、わたしに罰をお与えにはならなかった。]

 


[ そうして悟った。
 狂い出した歯車はもう止まらないことを。
 
 『愚者』が『悪魔』に殺された日から
 言い知れぬ怖ろしい予感があった。
 あのひとも、あの安らかなひとときも
 皆の揃う箱庭ももう永遠に戻っては来ない。

 ──ごめんなさい、神様
 ごめんなさい、『運命の輪』

 ごめんなさい、『隠者』


 わたしが生きていてはゆくゆく
 あなたにも災いが降りかかってしまう。

 わたしがもっと早くこうしていれば、
 わたしはもっと早く、こうする私を殺すべきだった。]

 





         
              ごめん、  ね



[ 天高く振り翳した刃を
 胸元へと、一息に振り下ろした ]**

 

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ いくらかの会話がひと段落した頃
 不意にクロさんが、何か見つけたような声を上げた。>>85

 その視線の先を釣られて追えば、
 探していたひとが、そこに立っていた。>>52]


  アリアちゃん……っ
  おかえり、なさい……!

  うん、わたしも
  お話できた……と、思う

  今、お話できて、……良かった。


[ どこかほっとした様子のクロさんの返事を聴いて、
 一拍遅れてわたしも胸を撫で下ろす。

 元々、アリアちゃんの考えが聴きたくて探していた。
 クロさんのリクエストにこくこくと頷き
 その回答に、固唾を飲んで耳を傾けた。 ]
 
(167) 2022/12/18(Sun) 22:29:19

【人】 XIV『節制』 シトラ



  わたしと、同じ……


[ わたしが何を選ぼうとしたか、
 わたしはまだ、
 明確には彼女に伝えていないはずだ。

 伝える前から答えの予想がある程度ついているのか、
 どんな答えでも、合わせようとしてくれているのか ]


  …………、


[ 凛と涼やかな声で紡がれるアリアちゃんの意見は>>53
 意志を固めようとしてなお、覚束ない
 わたしの心を支えてくれる。

 二人の会話を時折頷きつつ脇で聴きながら、
 ひとつ、ふと思うことがあった。]
 
(168) 2022/12/18(Sun) 22:29:32

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ わたしがクロさんを避けてしまっていたのも
 後ろめたさに打ちひしがれそうになっていたのも
 この魂に刻み込まれた誰かの心が引き起こしていたのなら、

  アリアちゃんは?


    アリアちゃんがわたしの傍に
    いつも居ようとしてくれるのは、
    いつも居ようとしてくれたのも、

     『隠者』の心が引き起こしているのだとしたら?

  
  その声が自分のものじゃないって気付いたとき
  それでも、わたしの傍に居てくれる──? ]

 
(169) 2022/12/18(Sun) 22:29:53

【人】 XIV『節制』 シトラ



  ……わたしも、
  そういうものだと……、思う
  世界が滅んでも、滅ばなくても
  誰かは、ぜったいに、悲しむことになる。


[ 聡明な彼女の言葉には一言一句過不足がない。
 須らく追従になってしまう意見を口にして ]

  
  だから、
  少しでも悲しむひとの少ない方を、選びたいの。

  ……そう、思ったんだけれど


  世界は滅ぶ方が望ましい、って
  思ってるひとも、きっと、少なからず居て……

  ……わたしが、
  世界は……滅んでほしくない、って 思うから
  そちらの方が、悲しむひとは
  少ないように思える、だけ……かも、しれなくて……


[ 出来得る限り中立な立場で在りたいと
 そう願う心がわたしの中の天秤を惑わせる。]
 
(170) 2022/12/18(Sun) 22:30:03

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ ただ、]


  新しい宗教?
  ──ふふ

  それも……良いかも、しれないね。
  アリアちゃんが教祖様なら
  わたし、喜んで伝道師になるよ。


[ 神様に真っ向から勝負を仕掛けるような
 威勢のいい発言をするアリアちゃんは
 誰に囚われるでもない、彼女本人の声のように思えて

 わたしは少しだけ、安心できたんだ ]*
 
(171) 2022/12/18(Sun) 22:30:43

【人】 XIV『節制』 シトラ

── 少し前・クロさんと


[ 質問に対する彼の答えを聴いて
 心の底から安堵するのは、確かにわたしシトラの心。
 わたしたちの心は、もしかして
 『節制』と『運命の輪』ほどは
 離れてはいないんじゃないだろうか。
 そう思ったのは、束の間のことだった。

 皆がいるならどちらでもいい、と彼は言う。>>146
 願う幸せは同じはずなのに、違う。

 もっと、根本的な部分が。]
 

  ……わたしも、今が、幸せです
  この洋館でのあたたかい暮らしは
  それまでのわたしには……なかったもの、だから

  お話しあったこと、教わったこと、学んだこと
  囲んだ食卓、お祝い、お茶会、合唱団……
  一緒に過ごさせてもらった時間、すべてが
  かけがえのない、大切な……想い出です

  できるならわたしも、
  みんなと……これからも、みんなと、一緒にいたい

  その気持ちは、きっと同じ……です、よね。

 
(174) 2022/12/18(Sun) 23:06:14

【人】 XIV『節制』 シトラ



  ……でも、

  みんなそれぞれにきっと 譲れないものが、あって
  みんなそれぞれにきっと 大切なものも、ある

  崩壊を悲しむひとも、面白がるひとも
  望むひとも、諦めてしまうひとも、きっといて

  もし、世界が滅ぼされず済んだとして
  神様の希望に背いたひとが
  箱庭に歓迎されるとは……わたしは、思えなくて
  
  もし、世界が滅ぶと、すれば
  ……この世界に大切なもののある、ひとたちは
  箱庭で幸せには、なれない……そう、思います。


[ どちらを選ぼうと、『みんなで』は難しい。
 歩み寄って譲歩し合わない限りは。
 わたしの思考はどうしてもそこに行きついてしまう。]


  じゃあ……クロさんは、


[ そのお話は、探し人が戻ってきたことで一時中断になった。]
 
(175) 2022/12/18(Sun) 23:06:32

【人】 XIV『節制』 シトラ


  
  …………ただ
  最終的に決めるのは 神様、ですし

  クロさんの幸せを……願う、気持ちは
  今も、変わっていません。



[ アリアちゃんを出迎えつつ小さく呟いた一言が
 彼に届いたかどうかは、わからない。]*
 
(178) 2022/12/18(Sun) 23:07:19
[『平等』の定義がはっきりしていたならば。

 『正義』はあんなにも、迷わずに済んだことだろう。

 神は『正義』に、『平等たれ』という役割を与えたくせ、

 肝心の『平等』の定義を示しはしなかった。

 その『平等』を形作ることを、神は『正義』に求めた。

 ……そんなもの、
     神でもなければ定められようはずもないのに。]

[『塔』は感情を抑えてしまうところがあった。
 
 あの人の心の中には、
 生まれてくる歓喜も、悲哀も、憤怒も、慈愛も、
 あるというのに、うまく表現できないようだった。

 恥ずべきことではないのに、
 それを厭うかのように表に出さないことが気になって、
 気づけば、特別『塔』を気にかけることが増えていた。

 時間は無限にあった。
 あるように思えていた。

 神が造られた箱庭の中は、永遠だと思っていた。

 焦らず、ゆっくりと。
 いつか『塔』本人から語られるといいと思っていた。
 
 溢れそうになるまで抱え込んでいた感情を、
 君の口から打ち明けられた時は
 そっとあなたの身体を抱き寄せた。]


  『よく言えたね』
  『忘れないで、その気持ち』
  『それはあなたにとって、大事なものだから』


[言い聞かせるようにゆっくりと、あなたに伝えた。]

[『心』は人を成長させる。
 『心』は『身体』に影響を及ぼす。

 動物になくて、人間にだけあるもの。
 それは、人を大きく進化させるためのものだった。

 『感情』を持つことを誇らしく思って欲しい。

 困難に打ち勝つためには『強い心』が必要だ。
 自分に素直に、正直に。

 『太陽』は常にそれを見届ける。

 そうでなければ、
 陰りが見えて『太陽』が隠れてしまうから。]

[あなたの思いを共に抱えたまま、
 私はあなたを置いて先に逝った。

 ああ、でも。どうか。
 あなたのせいだとは責めないで欲しい。

 人はいつか儚く散っていくものだから。

 いつかは誰にしも訪れる時が、
 少し早かっただけ。

 あなたの思いを共有できなくなってしまったけれど、
 寂しい思いをしていないだろうか。

 仲の良いあの子と、ちゃんと話せているだろか。

 後悔があるとしたなら、
 そんなあなたを最期まで見届けられなかったこと。]

[『正義』が『運命の輪』を見つけた時、
 何もかもが手遅れになっていた。

 崩れ始めた箱庭で、
 『運命の輪』は『正義』にとっての希望に等しく、
 『運命の輪』さえいてくれれば、
 何かが好転していくのではないかと、
 そんな淡い期待を抱いていた。

 それなのに。]


      ……………?


[その光景を、呆然と、ただ呆然と、
 『正義』は眺めて、
 それからゆっくりと、歩み寄る。

 あと一歩のところまで近づいて、立ち止まった。]

 

     ……ぅ…そ、だ、


[零したのは、たったの一言。
 その光景を、どうしても、受け入れられない。
 
 『運命の輪』
の声が、聞こえない。

   君は僕のことを、呼んだろうか。

   それなのに、僕は間に合わなかったんだろうか。

 『正義』は『運命の輪』の身体を抱き上げて、抱きしめた。
 腕の中に収まった身体は、どこまでも冷たい。]


     間に合わなくて……ごめん。
     君の傍に、居られなくて……


[ほたほたと、雫が『運命の輪』の身体を濡らす。
 けれど、そんなもので、
 既に熱を喪った身体が温もりを取り戻すことはない。]

[『正義』にとっては幸いな
不幸な
ことに、
 『運命の輪』を殺した・・・犯人はすぐに知れたし、
 その犯人
『節制』
が既に自らの手で
 亡き者であることも、見て取れてしまった。

 『正義』は幸いにして
不幸にも
復讐に狂うこともなかった
怨嗟の向けどころを見失うことになる
が、
 それは
 『正義』の公正性
正気
が失われるまでを先伸ばしたに過ぎず、
 結局のところ、この事件を機に、
 『正義』の悪夢は加速していくことになった。

 『正義』はこの悪夢を打ち消すために、
 “ よく眠れるお茶 ” を誰かから貰っていた……
 という記述も一部の文献に残されているが、
 それについては定かではない。*]

XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。
(a55) 2022/12/19(Mon) 0:22:24



ここ箱庭には"神"がいたから
生きていれば希望はあると思った
大切なものが残っていたなら、希望はあると思っていた

箱庭が混乱と争いに包まれ始めても尚
最悪、殆どの者が亡き者となろうとも
『塔』が残ってくれていればそれで良いと思っていた
おそらく器用な生き物ではない僕の、唯一の親友

こんな状況では
他の者の事は、1人を除き意識の外だった
 
 



………『女帝』
意識の外と出来なかった、ただ1人

ずっと『女帝』だけは気に入らなかった
何が気に入らないか、明確なものは分からない

けれど
彼女の言動、所作、考え方
耳目に触れるそれらの何を見ても気に入らなかった

きっと、『女帝』の在り方そのものが
僕にとっては気に入らないものだったのだ
 
 



箱庭の混乱の最中
『力』の死を悲しむ『女帝』を見つけた時も
僕の心持ちは、始めこそ普段と変わらず

『力』は『正義』と相打ち
『女帝』が溢したか、風の噂で聞いたか
どちらにせよ関心はなく覚えていないが
考えた末の彼らの決断だったのだろうと思えば
他に感じるものは特になく

しかし目の前の『女帝』は、はたしてどうだろうか
『力』と仲が良かったらしいのは知っている
では、悲しむほど大事な存在だったなら
失くさぬ為に君は何か行動したのだろうか?
既に失くした今、君は悲しむしか出来ないのだろうか?
 
 



実際の『女帝』の心境事情なぞ、僕は知りもしない
『女帝』が今何を思っているのかなぞ分かりもしない
僕が知らなかっただけで
彼女なりに行動したのに失う結果となったのかもしれない

しかし、僕から見える目の前の彼女は
まるで依存の様子しか見えず
将来よりも、己の悲しみしか見えていないと感じたのだ

………気に入らない、本当に君は気に入らない
 
 



そんなに悲しいなら
君も『力』の元へ逝ったらどうだ

 
 



 ……………一瞬の意識剥離の後



        
『女帝』は、地に伏せていた

 
 



彼女とその周辺は濡れ
水瓶らしき破片が散乱し
頭部周辺の水は段々と
に染まり
僕の手には……砕けた水瓶の取手があった

覚えはない、だがどう見たって
僕が、『女帝』を殺した
それ以外に考えようもない状況だった
 
 



そこまでするつもりなんてなかった
感情が振り切れて招いてしまった結果なのだと…思う

だが、こうなった後悔も正直なかった

僕の願う希望に、彼女は必要ではない
それに、混乱広がるこんな状況だ
ああなってしまうようでは
生き続けるより良かったのではないか

……そう、思う事にして
地に伏せる『女帝』を残し、立ち去った
 
 



後悔は、本当にないけど
『塔』がこれを知ったらどう思うか
色々と考え始めてしまいそうで
その場から早々に離れたかった

そうして僕は
犯した罪と『女帝』に向き合わなかった

 
 



  
"『塔』に不穏分子の疑いあり"


そんな話が聞こえ始めたのは
きっと、『女帝』亡き後の事だった

何故そんな話が広まっているのか
それがまるで分からなかった
だが、僕は彼の無実を訴え続けた

『塔』という人となりはよく知っている
何故抵抗もせず疑いを向けられるがままなのか
自分はやっていない、とすら言いもしないのか
真に深い理由までは悟れずでも
何かしらを想っての事かと予想は出来た
だから僕は、彼が無実だと信じ続けた

僕には『塔』だけが友で、希望だったから
 
 



何を持って不穏分子とされているか分からないが
相打ちをした者がいて、人を殺めた者もいる
そんな箱庭の状況下なのだから
不穏分子なぞそこら中にいるじゃないか

『塔』がそのような行いをしたのか?
いいや、彼に限ってそんな事はないはず

疑いに対し、僕に出来うる限りの訴えを
訴える以外の手段がなかったから


いよいよ処刑が決定してしまっても
僕は彼の無実を訴え続けるつもりでいた
なんなら、『女帝』殺しを告白してでも
それで僕が処刑の対象と成り代わったとしても
『塔』は罪はないのだと主張を続けるつもりだった
神だって、彼の無実を判っているはずなのに
この事態を終息させに現れてくれないから

だからそうするつもり、だったのに
 
 


 
わたしの"望んだ結末"を否定しないで


『塔』から告げられた言葉を聞いて
僕は頭が真っ白になってしまった

望んだ?本当に?
僕がずっと君の無実を訴え続けるから
僕がそれで疲弊してるとでも考えて
もういいと止めてくれようとしているだけだろう?
そうなんだろう?そうだと言ってくれよ

言いたい事は沢山あった
だって彼は、彼しか僕にはいないんだ
他に希望なんてなかったんだ
だからその言葉が真実だと思いたくなかった、でも
"これでやっとらくになれる"

その言葉だけは、やけに本音めいて聞こえて
……僕から反抗を考える心を削ぐには充分すぎた
その意志を無碍にするまでの勇気は、なかったんだ
 
 



『それが君の意志ならば
僕も、抗うのはやめよう

だが僕は、君の無実を信じ続けよう
生まれ変わる未来があるとするならば
僕は君を探し、また友になろう

だからその時まで
希望ある未来が来るまで
祝福はお預けとさせてほしい
………ごめんよ』



『塔』の死を祝福と思うのは
希望の喪失を祝うなど、とても出来そうになくて
これが彼への敬意と、僕なりの精一杯の妥協
 
 



『塔』の処刑執行

最早それを止める事は心持ちの面で叶わず
これは罪に向き合わなかった僕への
なのだと
『塔』の最期は見届けるべく、その場には立ち会った
 
 



  
『生きて共にいてくれたら
 それだけで、僕は良かったのに』

 
 



呟き漏れた僕の唯一の願いは
きっと、誰にも聞かれる事もない

彼を救ってはくれなかった箱庭の世界と、その神
そして、この結末を変えられなかった己自身

『塔』の命が絶たれると同時に
僕はただ、それらに失望し
希望なき崩壊していく箱庭なぞに執着もなく

希望ある次なる未来や世界の可能性
次があるなら、その時こそ友を救う意地同然の意志

それらを胸に抱き
その後の記憶は────欠片も、ない*
 
 

 
[ 『恋人』は『魔術師』が気に入りませんでした。

 わたしたちの外に未完成な世界があるなら、
 それはそれで構いません。

 けれど「わたしたち」の完璧を否定するように見る。
 そんな智慧者の目が嫌いでした。 ]
 

 
[ それは小さな切欠。

 嫌いでも、「わたしたち」さえ完璧であればそれでいい。

 あの日箱庭完璧さえ崩れ始めなければ、
 きっと“それだけ”の取るに足りない存在でした。 ]
 

 
 

      「わたしたち」を否定するな、『魔術師』
 
 
 

 

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ そう。
 今が苦しいひともいるかもしれない。
 この世界を捨てて新しい世界箱庭へ行った方が
 幸せになれるひとも居るのかもしれない。

 何が幸福で 何が不幸か
 考え方も捉え方も感じ方も、みんなちがう。
 どちらがみんなの幸せに繋がるかも
 わたしの量れるものではなくて、

 けれど世界が壊れてしまえば
 心を痛めるひとは、少なからずいるはず。

 話した感じ何人か居た、と言うクロさんの言葉に>>173
 またひとつ、心に決めた意志が固くなった。 ]
 
(319) 2022/12/19(Mon) 14:00:32

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ クロさんは強い。
 わたしにはない勇気と、自己を持っている。

 玄関ホールで、動揺して、呆然として
 わたしが両脚を凍り付かせて動けなくなっている間にも
 彼は素直に心の内を打ち明けて
 あの場に集まったみんなと今みたいに話をして、
 自分の脚で、一歩でも前に進もうとしていたのだ。

 彼にとっての最優先事項が
 何を置いても洋館のみんなになるのも納得がいく。
 アリアちゃんと彼の会話が途切れるまで、横で聴いて ]


  わたしも、
  お話、してくれて……

  話してくれて、聴いて……くれて
  ありがとうございました ……クロさん。


[ 同時に、
 彼と話をしたことで今更気付いたことがあった。 ]
 
(320) 2022/12/19(Mon) 14:00:40

【人】 XIV『節制』 シトラ



[ わたしは、わたしの大切に想うものに
 できるだけ序列を付けたくはなくて

 誰かに何かを求めることが、元々すごく苦手だ。 ]


 
(321) 2022/12/19(Mon) 14:00:54

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ いつからそうだったのかは思い出せない。
 生まれ持った気質なのかもしれないし
 後天的にそうなったのかもしれない。

 頼ること、甘えること
 教えを乞うこと、助けを呼ぶこと。
 手を伸ばすことも、会話を欲することも
 話を聴いてもらうことも元来苦手だ。

 洋館で暮らし始めてからすこしずつ、
 ごく限定的に求められるようになってきた今も
 『周囲に求める』行為の中で特に苦手とするものが
 誰かと争うことだった。
 
 好ましく感じるものと苦手とするものは確かにある。
 より心地良さを覚える方へと身を委ねてしまう。
 誰かと誰かが言い争う場面を目の当たりにしたとして
 その姿に胸がひどく痛んでも、
 止めに入った方が良いと思っても、それができない。

 多くを望んでも、
 この手が取れるものは限られていると知りながら
 どの声をも聴こうとしてわたし自身を見失う。]
 
(322) 2022/12/19(Mon) 14:01:11

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ 誰の感情もが適切に思えて
 わたしの感情はなにもかも間違いに思えた。
 平穏と安寧を優先したいがために
 本当の気持ちに鍵を掛けて心の奥底深くしまい込む。

 声に出す勇気のない心の内を
 代弁するように涙が溢れだす。

 もうずっと、いつだってそう。

 わたしが何かを思い、考えるとき
 何かを行動に移そうとするとき
 誰かの声が、わたしの内の何かが
 わたしの心をまず抑制する。]
 
(323) 2022/12/19(Mon) 14:01:28

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ 公平で、平等で在りたい。
 マドカさんほど強いこだわりではなくとも
 多分、近しい価値観がわたしにもある。
 特に洋館に来たばかりの頃は、
 可愛がってもらえることを戸惑ってばかりいた。

 幸せだと感じれば、
 その分の不幸に見舞われなければ
 釣り合いが取れないと無意識に感じている。

 辛いことがあれば、
 その分の幸福がどこかで得られるはずだと
 無意識のうちに信じたがっている。

 ただ、徹底して揉め事を避けたいわたしは
 彼のように自分の考えに基づいて
 積極的な行動を起こせはしないし、
 同じ価値観を誰かに強要したいとも思わない。

 自分の幸福が誰かの不幸の上にしか成り立たないのなら
 わたしの幸福は捨て置いて構わないと、
 光あるところに必ず影ができてしまうなら
 わたしが、影になろうと。

 波風立たず穏便に済みさえすれば
 現状が何ひとつ変えられずともそれが一番良いのだと、
 幼い頃からそう自分に言い聞かせて生きてきた。]
 
(324) 2022/12/19(Mon) 14:02:23

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ 悲しむひとはすこしでも少ない方がいい。
 できるならみんなしあわせでいてほしい。

 いつだってそう思っているはずなのに、
 揉め事の気配がそこにあれば
 それがどんなに些細なものでもわたしは避けてしまう。
 
 わたしがみんなのことを特別に感じようと
 みんなにとってのわたしはさして重要ではないだろうと
 心のどこかで、そう思っている。
 体よく居合わせて引ける袖がひとつくらい減っても
 大した問題にはならないと思っている。

 自分はいつ死んだって構わないと思っているのに、
 みんなには生きていてほしいと思っている。
 
 結局は、ぜんぶ自分本位でしかない。
 誰かに求める強さを持っている彼の方が、余程眩しい ]


   ──わたしも、


[ 彼を真似て、
 ぎこちない敬礼のポーズを返そうとして>>298
 続いた言葉>>299にびくりと心臓が跳ねた。]
 
(325) 2022/12/19(Mon) 14:03:16

【人】 XIV『節制』 シトラ



  …………、
  そう…………です、よね


[ 怒りも、無念も、ないはずがない。
 苦手とされるのも当然のこと。
 
 湧き上がる後悔の念と圧し潰されそうな罪悪感。
 言葉を交わしあってなお 竦む足。

 眉を下げて俯き、言葉に詰まっていれば
 憎んではいなさそうだと、彼は言う。
 その一言が、わたしにおずおずと顔を上げさせた。]


  へっ…………!?
  な、なで…………!!?


[ もし背中を叩かれても、
 わたしはそれを謹んで受け容れるでしょう。

 けれど、撫でてあげたい、となれば話はまた別だ。
 そんな風に思ってくれているなんて
 思ってもみなかった。]
 
(326) 2022/12/19(Mon) 14:04:01

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ 端々に滲む気遣い。
 彼が他の誰かと話すときと変わらない、
 明るい調子で語られる激励の言葉。

 わたしたちの間に長く横たわっていた分厚い氷が
 すべてとはゆかずとも、解け出したように思えて

 ……また泣きそうになって
 ぎゅっと瞼を瞑って堪えた。]


  しゃ、しゃきっと……

  しゃきっ、と…………し、します……!


[ 立ち上がって、ぴし、と背筋を伸ばす。
 また明日、と彼を見送る。

 ──これが最後になるのは、いやだ。
 心からそう思えたのが、
 一番の変化だったかもしれない。]*
 
(327) 2022/12/19(Mon) 14:04:13
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。
(a74) 2022/12/19(Mon) 14:45:54



 ( 節制、…… )

  



( なんでアンタの方が泣きそうなの!?
  どう見ても泣きたいのは私でしょうよ!?
  何死にそうな顔してんの!?
  絶対私の方が怖いんですけど!?
  ああ 腹立ってきた
  せめて一発ひっぱたいてやりたい
  ぐぎぎぎぎぎぎ
  ……だめだ、腕あがらないや
  というか体冷たくなってきた
  痛みも感じなく……
  あーあ ……あーあ
  

  ……本当、絶望した顔してんじゃないわよ
  嘲笑ってたら思いっ切り憎んで祟ってやったのに
  
  素直に恨ませなさいよぉ……      )

[……死ぬまでの短い間に、運命の輪は色んなことを考えた。

わざとじゃないんでしょ、しけた面するな、と一喝してやりたかった。けれど、伝えるすべは一切なく。

だから、その最期の心の内は誰に知られることもなく、教典にも残ってはいない。**]

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ 薬草園から去りゆくクロさんの背が見えなくなってから
 わたしは再び、椅子に腰を下ろした。

 誰しもにいつかは平等に訪れる死が
 刻限までも平等に訪れるのなら、
 世界の崩壊は、ある意味では
 『平等』と言えるんだろうか。

 そう考えるひとも、中には
 居るのかもしれない。けれど、]

  
  ……アリアちゃんの作ったお薬で
  命を救われてきたひとたちや、

  まだ生まれて、間もなくて
  何が悲しいのか、楽しいのかさえ
  まだわからない小さな子たちまで

  わたしに優しくしてくれたひとたちまで
  崩壊に巻き込まれてしまうのは……

  …………わたし、やっぱり 嫌だ。
  

[ 故郷に残した両親も、村のみんなだって今頃
 必死で羊やアルパカたちを避難させているかもしれない。
 決心を固めるように声にした。]
 
(356) 2022/12/19(Mon) 17:14:18

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ 辛く感じることもあった。
 いっそ死んでしまえたら楽なのかもしれないと
 思った日が、ないではなかった。

 けれど悲しむ人ごとみんないなくなればいいと
 願うほど、この世界を恨んではいない。]


  お茶会で使った、可愛いティーセットも
  美味しい紅茶の茶葉も、
  テオブロマの材料も、野菜も、果物も
  この世界のどこかで誰かが、作って
  ここまで届けてくれたもので

  フォルスさんがプレゼントしてくれた
  ノートも、ペンだって
  きっとたくさんの誰かの手を介して
  わたしのところまで来てくれて……


[ フォルスさんがいつか贈ってくれたノートは>>0:692
 わたしのやってみたいことをひたすらに書き連ねた
 やりたいことリストノートになっていた。

 文字を手習いするための紙も、
 知識を得るため読んできた書物も
 この世界の誰かが生み出したもの。
 外には、まだ知らない世界が無限に広がっている。 ]
 
(357) 2022/12/19(Mon) 17:14:41

【人】 XIV『節制』 シトラ



  ……直に関わり合いになることはなくても、
  気付かないうちにお世話になったひとたちも
  この世界にはきっと、大勢いるんだと思うの


[ お世話係のひとたちも含めて
 洋館で一緒に暮らしてきた誰かが
 悲しむ姿を、わたしは見たくない。]
  

  ……壊れてほしく、ない
  神様には、そうお願いする。

        アリアちゃんは……?


[ 青と緑の瞳を、正面からまっすぐに見つめた。]
 
(358) 2022/12/19(Mon) 17:14:56

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ アリアちゃんは憶えているだろうか。
 まだぐしゃぐしゃの文字しか
 満足に書けなかった頃の話だから、
 彼女は忘れてしまったかもしれない。


    「──わたし、文字が読めるようになって
     タナトスさんみたいな、
     綺麗な文字が書けるように、なったら

     いつか 自分の瞳で
     世界を見に行ってみたいな。

       それでね、
あの、
その…………

       ……あ、アリアちゃんさえ 良ければ

       わたしと、一緒に
       来てくれませんか……っ!」


 そんな会話をした日も、あったこと。 ]

 
(359) 2022/12/19(Mon) 17:15:09

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ 教祖になる気はない、の一言に
 わかってるよ、って ふっと口元を緩めて>>289 ]


  当たらずとも遠からず……

  ……良かったら、
  詳しく聴かせてほしいな
  アリアちゃんの思うところ。


[ そうして彼女の声に、静かに耳を傾けはじめた。
 たとえそれが日を跨ぐほど長い話になろうと、
 わたしから話を遮ることはない ]*
 
(360) 2022/12/19(Mon) 17:15:16
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。
(a77) 2022/12/19(Mon) 17:20:33


「貴方は真面目だねぇ、正義。
私は適当だから、足して割れば丁度いいのかな。
なんてね、ははは。

でも、その真っ直ぐさ、結構好き。
いいじゃない、一緒にいればバランス取れてるわ」

[運命の輪は幸運と不運を繰り返す存在です。
そして、それぞれを自分の意思で呼び込むことの出来る「贈り物」も持っていました。

生まれたばかりの頃の運命の輪は、幸運が訪れても、未来に訪れるであろう不幸に怯えていました。素直に幸せが喜べなかったのです。

なぜ幸運だけを与えてくれなかったのか、と運命の輪は神様を恨んだりしました。けれど、不幸の後に幸せが必ずあるとわかっていれば、希望も抱けました。

ある時、戯れに自らの身に運命の輪は不幸を呼び込んでみました。来るなら来い、とあらゆる対策をしておきました。しかし、その不運は対策を超えてやってきました。運命の輪は悔しくなりました。

それと同時……面白くも思いました。次こそはうまく交わしてみせる、と思いました。それは、幸運だけを貰っていたなら味わえない感覚だったことでしょう。]

[やがて、運命の輪は幸運も不運もどちらも楽しむようになりました。何度も繰り返すうち、心構えが出来、慣れてしまったのもあるでしょう。]


「こんなに素敵な力を貰えた私は、神様に一番愛されているに違いないわ」


[運命の輪は、勝ち気で強気で傲慢でクソ強メンタル楽天家でした。
不運でケガをしたとしても、けらけら笑って受け止めるようになりました。

自分に幸運を呼んでは訪れる不運を笑い、不運を呼び込んではその後の幸運に喜び、気に入らない者には少々不運をもたらしたりなど、贈り物の力を自分の為にフル活用して遊んでおりました。

正義に窘められる時があれば、多少自重もしましたが。]

[けれど、そんな運命の輪も、愚者が悪魔に殺された時には、自らの力を使うのは控えていたのです。本当は、皆に幸運を与え、守りたく思いました。しかし、それをすると後でどんな不運がやってくるのか、わかりません。ほんの些細な力がどんな影響を及ぼすか、その時の運命の輪は怖れておりました。

つまり、運命の輪が誤って節制に殺されたのは、本人の力とは関係のない偶然の「不運」だったのです。

普通の人間にとって「失敗作」である証持ちは、教典の中でより愚かに書いた方が教訓になったのでしょう。


もし、運命の輪を愚か者として教典に書いた者本人と出会えたならば、運命の輪は厳重に抗議し、最も強い言葉で断固として非難しつつ、蹴りの一つでも食らわせたことでしょう。]


「 大丈夫、大丈夫。
バランスはいつか取れるよ、不運も幸運も量は同じだもの。

ねえ正義、愚者は欠けてしまったけど。

ちょっとくらいズレていてもいいじゃない、ご愛敬ってやつだよ、私だってついているし……、 」

**

[怒れなかった。
 
苛立ちは人の輪をささくれ立たせるから。


 悲しめなかった。
 
悲しむ人がいないようにと願っていたから。


 だから笑っていた。
 
本当はずっと辛くて苦しかった。
]

『ねえ どうして どうしてなのでしょう』
『どうして何も 変えられなくて』
『ただ不自由なくいることができないのか』

[それが幸せだと思っていたのに。
 漂う昏い空気、減りゆく人数。
 嘆いても声を上げても、崩壊は止められなかった。

 ああ、ねえ、いっそ、もしかして]



[
『愚者』が死んだあの日、僕が『悪魔』を殺していたら
]

 

[それが負の連鎖のはじまりにしかならないことは、わかる。

 けれどもしも、そうもしもの話。
 失うものがそれだけで済んだんじゃないか、間違っていたのは僕なのではないか、そんな疑念が、薄く薄く何枚も何枚も、重なって、重なって、もう、呼吸もできなくなっていて]

[思考が濁る。

 これ以上誰も 失いたくなくて
 誰が死ぬところも見たくなくて
 なのに伸ばした手は届かなくて
 悲鳴も怨嗟も 聞きたくなくて
 眠れない日々に泣きたくなくて
]



全身を苛む無力感

 

『だからね、もう、僕が死ぬしかないんですよ』



[そう言って、首を掻き切った。
 他愛無い、世間話のような時間だった。
 ほんの一瞬。会話の延長線みたいに、隠したナイフが喉元に触れて、真横に引かれた。

 ああ、ねえ、ごめんなさい『死神』。
 誰が死ぬところも見たくない僕が、あなたにこんな瞬間を見せてしまうこと。
 それでも、あなたの隣がよかった。
 あなたに話を聞いてほしかった。
 これは何も変えられなかった僕の、最期のエゴ]

[暑い日の木陰、時折吹く涼やかな風を受けながら飲んだ冷茶とよく冷えた果物。

寒い日の暖炉前、煌々と燃える火に温められながら飲んだ温かいスープと焼きたてのパン。]

あちっ!
「きゃっ、大丈夫?」
ふふ、焼きたてが好きだから焦っちゃった!

[たわいもない会話が楽しくて何を話しても心地よくて
心配事や悲しい話は二人で涙したり、互いの恋の話もした……かもしれません。
いつも何度繰り返してもかけがえのない時間だったのです。

それが、いつのまにか。]

(どうしてこんなことになったの?)

「女教皇様、ご決断を」

「女教皇様、どうかご決断を」

(どうしてわたくしなの?)

[人々が口々に迫ってくる。
わかっている、決断の時をこれ以上遅らせられないと。

嗚呼そんなに責め立てないで。
わかっている、わかっている。
わたくしが隠者の狂いを正せないのならば、
隠者がわたくしの声にも耳を貸してくださらなくなってしまったなら。
わたくしたちは。

わたくしは。]*

 
[ 『死神』は、私に『愛』について尋ねました。]


  『愛』について?
  ふふ……貴方も、そのようなことを
  考えるようになったのですね。
  私も嬉しいです。  


  大丈夫。難しく考えなくても良いのですよ。
  愛とは、誰もが持っている感情です。
  人を、物を、世界を。
  そのもの全てを慈しみ、大切にしたいと思う心。

  たとえば、庭に咲く花をいとしく思えば 
  それは、花を『愛している』のです。
 
  もっと身近な喩えとなりますと
  私は汚れ無く、優しく、美しい心の持ち主である
  貴方のことを『愛しています』。

  人でも、物でも、何でも。
  大切に思えば、そこに愛が宿るのです。』


[ 教皇は、純粋で汚れ無き存在の『死神』を愛していました。
 質問があれば何でも答え、望みは何でも叶えました。]

 

 
 
 
 ── 記録は、ここで一旦途絶えている ──

 
 

 
── 『教皇』の記録(紛失部分抜粋) ──



[ 『教皇』は、仲間達に慈愛を与える中
 時折、思い詰めた表情を見せることがありました。

 しかし、誰かが気にして尋ねたとしても
 「大丈夫です。気にしないで下さい」と
 悩みを明かすことはありませんでした。

 『教皇』は授かった “贈り物” について悩んでいました。
 何故、このように危険な、悪く言えば暴力的なものを
 賜ったのだと、神に直接問うたこともありました。


 神は「清き心を持つ『教皇』だからこそ渡した」と仰いました。
 

 しかし、神では無い教皇は知っていたのです。
  
 
 人間は完璧では無いことを。
 誰もが皆、内に醜い心を秘めていることを。

 教皇自身もまた“悪の性質”を備えていたことを。
]

 

 
[ 『教皇』は、普段の慈愛に満ちた姿が嘘のように、
 時折、苛烈な一面を見せていました。

 元から、敵や悪しき者には
 容赦なく断罪を下す傾向がありましたが
 それとは違う、命の尊重の度合いが変わっていたのです。

 その一面が表立って見え始めたのは
 『悪魔』が『愚者』を殺した時からです。

 それがきっかけで『悪魔』と『吊るされた男』が
 対立し始めました。
 教皇は、吊るされた男のことも可愛がっており
 彼が自ら命を絶ったと聞けば周囲は
「教皇は悪魔を酷く問い詰めるのではないか」と思われ

 実際、この時は悲しみに暮れる『死神』の分も含め
 『悪魔』と対立していました。]

 

 
[『死神』は教皇の近くに居ることが多かったので
 事細かな変化に早く気付いたのかもしれません。

 箱庭内の争いが過熱する中、既に幾つもの血が流れ
 生命が消えてしまいました。
 教皇の様子は、表向きは普段と変わらないままですが
 実際は、目に見えて変わり始めていたのです。

 混沌が加速し、既に大半の命が消えた頃
 『死神』は、教皇と言い争うことが多くなり
 教皇もまた、避けるどころか
 対立を隠さないようになりました。]

 

 
[『教皇』と『月』は、親友同士だったとされ
 教皇が、月の世話をする関係だったようです。

 ある時、『教皇』が『月』と語り合っていた時。
 思い詰めたような顔で、何かを決意したように話しました。]  


  あなたはもう、立派に成長しました。
  その立派なあなたに、折り入ってお願いがあります。


  ……もし、この先
  私が道を違えてしまった時は。


  
……私を、どうか。



  ……いいえ、何でもありません。


[ 何かを取り出そうとした仕草を見せましたが
 結局、それが出てくることはありませんでした。]

 

 
[ 混乱が加速する中、友である『月』が
 殺害されたと耳に入りました。
 恐らく、この時が最後の分岐点でした。

 
友を失った『教皇』は、引き返せない道へと進みました。

 

 
 何もかも既に破綻していました。
 外面では通常通りに見せかけていましたが
 それすら面倒になってきたのです。
 全てが馬鹿らしく思えて仕方がなかったのです。
]



   「ここまで来れば、全てを終わらせる方が
   早いでしょう。」



  
 
[ 一秒でも早く、事態を収束させるため。
  声を届けるより、制裁を下す方が早い。
  苦しむ時を減らすことも、また温情ですから。]



[ 既に建前すらなっていない
 混沌への火種を撒き散らします。

 争いを加速させ、“均す”為の下準備を。]

 

 
[ そして、終結の為に混乱を加速させる方に舵を取りました。
 かつては敵対していた悪魔と、手を組むようになりました。
 既に気が触れていた隠者から、毒を拝借しました。


    を       を   ました。
 
        を      ました。
]




[ そして、多くの死を見届けてきた
 『死神』と対峙の時が訪れました。*]

 

[『正義』にとって、
 『幸福』と『不幸』は常に等価であるべきものだった。
 その概念を覆したのは、『運命の輪』の存在だった。

 『運命の輪』の掌の上では、
 『幸運』と『不運』が交互に・・・訪れる。

 そう、等価でない瞬間があっても良いのだ。
 後で、必ず帳尻が合うから。

 『正義』の手の中では、常に均衡を保たれる必要があった
 『正』と『負』。
 『正義』は『運命の輪』の在り方に、
 救われた。]

 

    僕が真面目だって言うならば、
    君はおおらかって言うんじゃないかな。

    僕が裁き手ならば、君は救いの手だ。

 

[『運命の輪』の言う通り、
 二人は共に在ってバランスの取れる存在だった。

 『正義』に与えられた贈り物は、
 必要な時に情を殺して裁定を行える、
 『運命の輪』と比べれば随分とつまらない
 能力だった。

 情というものは判断を大きく鈍らせるもので、
 『正義』に与えられた役目を考えれば、
 確かに必要なものではあったのだが。]

[『神様に一番愛されている』と
 臆面もなく言ってのけられる『運命の輪』を、
 『正義』は愛していた。

 それは間違っても
 欲の伴うような種類の愛ではなかったけれど、
 実は案外
 女々しいところのある『正義』からしてみれば、
 愛さずにはいられない存在だったのだ。]

 

    ……ねぇ、『運命の輪』。
    全然、大丈夫じゃなかったよ。

    いや、違うか。

    君が居てくれたら、君さえ居てくれたら。
    僕もきっと、大丈夫だったんだ。

    君が居ないなら、居なくなってしまったから。
    僕は、もう—————、

 

 


     
『正義』
のままで、いられない。*

 

[ 隠者との別離が決まり、女教皇の決断が情に流される前にと決行された後に、わたくしはひどい不安と後悔に襲われました。

まだ諦めるには早かったのではないか。

いや、隠者はわたくしの言葉も聞き入れられなくなっていたから決断の有無に関わらずわたくしたちはもう"おわり"だったのだ。

"おわりにしたのは、誰?"

胸をかきむしりたくなるほどの悪寒に震えながら頭に思い浮かんだのは、魔術師。]

(いつものように楽しく話せたら)

[思いながらもわかっておりました。

楽しく話せる権利などわたくしにはもうないことを。]


[隠者を失ったわたくしは己の後悔に苛まれて最悪の思考になってしまったのです。

わたくしが思いを寄せ、わたくしに思いを寄せてくれた方の思いを無碍にしてしまい距離を置かなければと思いました。

わたくしだけが幸せになるわけにはいかないなどと、独りよがりで身勝手なことを。]

 




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