医者 ノーヴァは、メモを貼った。 (a2) 2022/11/10(Thu) 1:06:25 |
【人】 医者 ノーヴァ[開業医という肩書きも、己が生まれ持っている能力も、正しい努力の末に持ち得たものではないと知っている。 父より昔の代の時、未だ刻印持ちの魔神が檻の中で暮らしていた頃。狡賢いシップマンは島の主人と取引をした。 自分達の医学知識と島の現状をうまく応用すれば、壁の外へは行けるだろう、と。 どれだけ綺麗に偽ったって、地位も名声も、その上に貼られた“コレクション”というラベルの上では馬鹿らしい張子でしかなくて。 いっその事、見えない枷の着いたこの肉体を捨て去ったしまえばどんなに自由であることか。 …………生まれた頃から縛られたサーカスの獅子は、檻の外へ逃げ出すことを知らない。港の船にさえ乗る術を知らない。] 貴方だって、苦労をした身でしょう。 病魔に苦しみながら終わるのは良くない。 仏の慈悲は、貴方にこそあって然るべきだ。 [努力のひとつもしてこなかった自分にとって、彼女の言葉への返事の仕方が分からなくって。>>1:21 悩んだような素振りを見せてから、主語を相手に置き換えて事なきを得た。数時間後、発言を有言実行することになるとは思っても居なかったのだけれど。] (23) 2022/11/10(Thu) 22:11:12 |
【人】 医者 ノーヴァ[切磋琢磨する者は、それをするだけの理由がある。 生き甲斐が、根源があるからこそ、人は逞しく生きていられる。 それはきっと、目の前の老婆にも言えること。 額をつきあわせる時に、毎日のようにそれらのヴィジョンは浮かんできていた。きっと、歳の数だけ抱え込むものだってあるだろう。 捨て去ることの出来ない、尼の生きた証を刻む記録の一部だとも言える。] [僕にはそんなものがない。 失い難いものなど何ひとつない。 けれど、それは悟りの証左にはなり得ない。 きっとそれはひとつの欠陥品というだけで。] [自我も執着も、全てを捨て去った仏というのは、果たして人と言えるかどうかも……自分には理解の及ばぬことだ。 自分でさえも疎かになってしまうのだとすれば、それは。大層な愚人に等しいものだとさえ思う。] (24) 2022/11/10(Thu) 22:11:19 |
【人】 医者 ノーヴァ[命。誇り。歩み。宝。 失うことへの恐怖心は、 なによりも清らかで愛しい人間の印だ。] [人間らしさを持たない僕は、 それに触れたくて手を伸ばす。 どんなものかを知りたくて。] (25) 2022/11/10(Thu) 22:11:24 |
【人】 医者 ノーヴァ[因果が幾重に重なっていようと、きっかけがなければ始まらない。大きな爆弾でもスイッチがなければ爆発することがないように。 白銀の光が宙に舞えば、まるでドミノ倒しのように狂気の字が連鎖する。初めて見えた未だあどけない青年の顔も、手脂に汚れたうつくしいものが切り刻まれてゆく様も。>>13 ひどく哀れで、おかしくって、笑えてきちゃって。 けれども君の目からは光が消えて、引き攣って。>>15 君の全ての源が、壊れていくのを理解する。 生き甲斐が、努力が、苦労が、水泡へと消えていくのを認識する。 人の欲とは留まることを知らない。彼は良くも悪くもその香の持つ危険性を見誤ってしまった。 そう言って仕舞えば収まりは良いのだろうけれど。 それでも、嗚呼。] (27) 2022/11/10(Thu) 22:11:33 |
【人】 医者 ノーヴァ[……其れは、一つの執着からの解放のようにも思えるものだったのです。>>16 忌まわしい肉の袋から抜け出したモノが暴れ、壊しゆくさまは。>>17 長らく縛られ、自由を奪われた籠の鳥には酷く魅力的で、輝かしいもののように思えてなりませんでした。 傍若無人に振る舞うさまは、自由気ままに歩き回る森の獣のようで。血腥くて恐ろしい光景のはずが、まるでエデンでも見ているかの如く、僕の顔はどこか恍惚としていたのかも知れません。 羨ましい。妬ましい。愛らしい。狂おしい。 …………可能性の芽を摘み取った先に見たのは、果てしない絶望の新たな形だったのです。] [はあ 、と大きな息を吐く。舌を出す。 昂りを覚える股ぐらの反応を抑え込んで。 ふう 、と残りの息を吐く。精を出す。 ……なんて醜いことでしょうか。] (28) 2022/11/10(Thu) 22:11:42 |
【人】 医者 ノーヴァ[其れは一種の地獄絵図。 真白の月とは反射的に、地面が赤黒く輝く夜。 セレネに捧ぐ慟哭と断末魔のアンサンブルを聞き届けたなら、ずり落ちかけた看護婦の身体を背負い直す。 この悲劇に果てしなく無関係な彼女を置いておく訳には行かなかったから。 人狼の宴の場と化した大通りを避けるように路地裏へ入る。 酔って倒れた男の持つ最後の酒を蹴り倒しながら歩いていく。 掴まれた足を振り払うように靴先を壁にぶつければ、枯れた声で発される悲鳴と指が数本粉砕される音がした。 ………………医者のくせに気にすることも、悔やむこともない。 どこにも行き場がないように見えて、その行先はただ1点を目指して。] (29) 2022/11/10(Thu) 22:23:29 |
【人】 医者 ノーヴァ[救いが欲しかったのかもしれません。 人間なのだと分かりたかったのかもしれません。 ……心のどこかで慈悲による自由を求めていたのかさえ 今はもう分からずじまいだけれど。 その足取りは、かの尼僧が駐在していた寺の道へと。 正常なようで、香に浸されたその存在が行くべきでは無い場所へ。]** (30) 2022/11/10(Thu) 22:26:52 |
医者 ノーヴァは、メモを貼った。 (a10) 2022/11/10(Thu) 22:30:51 |
【人】 医者 ノーヴァ 僕等がどこで何をしようと、 月は等しく地上を照らす。 静かさを失った下界に対して蒼褪めているように。 天の神が無力に涙を流すのであれば、 果たして僕はどこに縋れば良いのだろうか。 どうすればこの乾きはなくなるのだろう。 (49) 2022/11/12(Sat) 1:02:28 |
【人】 医者 ノーヴァ[幾ら身体を鍛えていようと、力の抜けた人間ひとりを抱えて歩くのは易くない。行き先が人里離れた寺であるのなら尚更。 まるで棒にでもなったような足を必死にひとあしふたあし進み続ければ、腿が震えて今にも膝がつきそうになる。 大きく息を吸い込めば、湿った空気が喉奥を満たす。腐臭が肺に絡みつき、痺れるような痛覚を刺激する。怪我をしていないのに口の中も鉄臭かった。 歩けば歩くほど、行き倒れる人も遺体も数を減らす。 欲と執着から距離が離れる象徴のようにさえ思えた。 暗闇の中で同族の気配がなくなれば、自然と孤独を覚えることが摂理である筈だったのに、今の己はやけに安らかで、心穏やかにさえ感じる。] [背中の未だ暖かな重みがあるせいではなかった。 ……それは檻を抜け出し、野生に戻った獣の心情そのもの。] (50) 2022/11/12(Sat) 1:02:31 |
【人】 医者 ノーヴァ[暫く歩き続ければ、途方もない時間の果てに漸く門戸が見えてくる。木板を軽く拳で叩き、血走る喉を震わせて、「開けてください」と何度も叫んだ。 “寺には結界が張り巡らされている。” >>1:76 内部事情を存じぬ男は知る由もない事実であるが、 尼僧が取り決めた法に従えば、侵入するのは易かった。>>1:78 欲に眩んだ者が、寺の門など叩くわけもない。 網戸の隙間を潜る虫のように、全体が覆されていく。 元から狂った人間にとって、常識なんてものは存在しなかった。 教え通りに小僧が門を開けたなら、困ったような笑みを浮かべることだろう。 「被害者」の振りをするときは、重傷者はいい隠れ蓑になるものだ。其れが誰の手でされたものであったとしても。] (51) 2022/11/12(Sat) 1:02:44 |
【人】 医者 ノーヴァすみません……少し、休ませてください。 ああ、僕もよくわからないのです。 助手が重傷を負ってしまいまして…… 必死でここまで逃げてきたのです。 数時間だけで構いません。 どうか、どうか、少しばかりな安息を。 …………っ、ありがとうございます! この御恩は必ず……! [呪布など持っていないと言うのに、 健常者のふりが異常なほどにうまかった。 真の恐怖は日常の中にあるというのに 気づかなくなるくらいには。]** (52) 2022/11/12(Sat) 1:02:52 |
(a12) 2022/11/12(Sat) 1:07:11 |
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