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【人】 転生者 アウローラ寧ろ、此方が珍しいと思いました。 もっと難しい本ばかり読んでいる印象があったから。 [ 世界の成り立ちに関するおとぎ話は>>84 わたしも、小さな頃によく先生やシスターに お話を強請ったことを覚えている。 何もなかったこの世界に、星が落ちて、 そこから闇が広がって。 そんな暗闇の世界に一柱の女神が降り立って 光と、そこから派生する精霊が生まれ、 女神の子である人間や動物たちが産まれた。 だから、この世界に生きる者たちは皆、 光の女神様の許に生まれた兄弟姉妹なのだという。 ただ、ひとりだけを除いて。 ] …。 [ 考えるほどに、わからなくなる。 彼は、闇の精霊とは一体なんなのだろう、って。 遠い昔、「私」だった頃には考えたことのない疑問。 ] (127) 2022/05/25(Wed) 8:20:50 |
【人】 転生者 アウローラ……っ。 びっくり、させないでください…。 [ 高所恐怖症というわけではないけど これは予想外すぎて。 ぎゅ、と彼の手を握る手に自然と力がこもる。 足元に見えるのは、いつもの学園の景色。 だけどそこにいる誰も、わたしたちに気づかないし、 視線を向けることさえしない。 まるでわたしたちの姿が見えていないかのよう。 「風と同じものに変じている」という>>90 彼の言葉を受けて思い出すのは、 「私」が昔、観た映画の1シーン。 (状況だけで言うならば、猫の乗り物というより 動く城の冒頭に近いけれど) 紡ごうとした抗議の言葉は、 結局、彼の笑顔のせいで続かなかった。 ……あまりにもいい笑顔をされると、 なんというか、毒気を抜かれてしまう。 ] (130) 2022/05/25(Wed) 8:33:06 |
【人】 転生者 アウローラ[ それから数分後。 わたしたちは、王都の街並みに降り立っていた。 ] えっとですね、 確かこのあたりに…。 [ ひさしぶりの王都の人混みで逸れないよう、 握ったままの手を緩く引いて、此方へと促す。 彼はわたしの居場所がわかるらしいから>>86 いつものように呼べば来るなんて、 もしかしたら、言われるかもしれないけれど。 …わたしのほうは、彼がどこにいるかわからないから。 万が一、逸れてしまったときに怖い気持ちと …ほんの少しの名残惜しさで 握ったままの手を離さないでいる。 たとえ彼のその手が冷たいままでも ]わたしは手を離さなかったろうなと思う (131) 2022/05/25(Wed) 8:34:45 |
【人】 転生者 アウローラあ、ありました。 [ ここです、と 空いたほうの手で示したのは、王都でも比較的大きな書店。 複数の階にそれぞれ専門の売り場が設けられていて 一番下の階には筆記道具を扱う場所も併設されている。 ] アルカード、本がお好きみたいだったので。 此処にくればなにか気に入る本が 見つかるかもって思ったんです。 [ わたしが彼について知っていることは 本当に少ない。 それでも、彼について何かを知る切欠に なれたらいいなと思って、この場所を選んだ。 もし、彼が古書の類が好きだと言うのなら、 ここからもう少し離れた場所にある古書店街にも 足を運んでみようか。 彼方も古今東西さまざまな書籍が集まるらしいから その中には、彼の気に入る本もあるかもしれない。 ]* (132) 2022/05/25(Wed) 8:35:41 |
【人】 闇の精霊 アルカード―― 王都 ―― やはりというか人が多いな。 [娘に促されるまま、王都の街並みを歩く。] …案ずるな、娘よ。 たとえ街中で逸れたとしても、 我はお前がどこにいるかすぐにわかる。 [たとえ離れても、一言我が名を呼びさえすれば すぐに其方へ現れることもできる。 なんなら娘自身の影に紛れておけば目立つこともない。 そう言い聞かせるものの、その手が離れる気配はない。 なんなら「それでは一緒に来た意味がないじゃないですか」と 軽く叱られてしまうだろうか。 逸れることが不安なら、なおのこと影に潜んでおいたほうが良いと考えるが。 人の子の考えることは、時に酷く不合理だ。 理解はしているつもりだが。 結局、目的地である書店まで我らの手は繋がれたまま] (133) 2022/05/25(Wed) 8:48:21 |
【人】 闇の精霊 アルカードほう…? これはまた面白い場所だな。 [いつもの図書館とはまた違った趣に興味をそそられる。 ただ一つ、言っておくことがあるならば>>132] 確かに書を読むことは嫌いではないが。 我があの場所で本を読んでいるのは、 人の子について知りたいことがあるからだ。 [主に、目の前の娘について。 闇たる我を喚び寄せる資質がありながら、それでも、他の人の子たちのように世界が滅ぶことを望まない。 それがこの娘があの女の光を強く受け継いでいるからか、 それとも別の要因があるのか。 ならばこの娘の願いを叶えるにはどうすればよいのか。 そもこの娘の考える『友達』とは、どのようなものなのか。 我に求められているものはなんなのか。 何もかもが、わからない。 今までになかった、この状況への足掛かりを求めているのが、我の今の現状と言える] (134) 2022/05/25(Wed) 8:51:09 |
【人】 闇の精霊 アルカード[そこまで考えたところで、はたと思いつく] なぁ、娘よ。 逆に聞くが、お前はどのような本を好むのだ? 我はお前が好むものを読んでみたい。 [選べ、と。 ずいと娘の背を押して先を歩くよう示す。]* (135) 2022/05/25(Wed) 8:52:15 |
【人】 転生者 アウローラええ……? [ 唐突に前へ押し出されて>>135 つい困惑の声が出てしまう。 ] あの、いちおう言っておきますが。 わたし、平民なのでアルカードみたいに 難しい本なんて読めませんよ? [ 故郷の村にいたとき、先生やシスターが (わたしたちが暮らしていた地方の領主様の方針でもある) 大人になってから孤児院を出ても困らないよう 基本的な読み書きや計算、裁縫や家事、 礼儀作法を教えてくれていたけれど、 それでも、学園に通う貴族の子女たちには 到底敵わない。 だから、大好きな人たちと一緒にいられるためには 他の人たちの何倍も、努力しなければいけなかった。 ――それでも敵わないと理解したときの悲しさは ]今も少し、言葉にできないものがある。 (136) 2022/05/25(Wed) 8:59:24 |
【人】 転生者 アウローラんー……。 お気に召さなかったら、ごめんなさい。 [ 先に謝罪を口にしてから 彼に背を押されるまま 哲学書に歴史書、 美術書や数学等の参考書、 巷で流行りのロマンス小説や冒険小説。絵物語。 一通り、書店の中を見て回ってから。 立ち止まったのは、子供向けの本が置かれた一角。 ] ……。 (137) 2022/05/25(Wed) 8:59:59 |
【人】 転生者 アウローラやっぱりわたし、 こういう本のほうが好きです。 [ そういって手に取ったのは、 数十年前から出版されている古い絵本の物語。 ] この本ね、 わたしが育った孤児院にもあったんです。 (138) 2022/05/25(Wed) 9:00:29 |
【人】 転生者 アウローラわたし、小さい頃はこの本がとても好きで よく、シスターや兄さん姉さん…あ、 本当のきょうだいではないのですけど。 一緒に育った年長の人たちに、 よくこの本を読み聞かせてもらっていました。 大きくなって字が読めるようになってからは 今度はわたしが、弟や妹たちに読み聞かせてました。 それから、こっちの本は 故郷の村の本屋さんにあった本ですね。 本屋さんと言ってもここのような立派なお店ではなくて 村に一軒だけある小さな貸本屋さんでした。 村長の叔父さんが半分道楽でやってたお店なんですけど わたしもたまに本を借りにいってたんです。 [懐かしいなぁと、ついつい目を細めてしまうが。] あ、えっと。 面白くなかったら、すみません…。 (139) 2022/05/25(Wed) 9:08:06 |
【人】 闇の精霊 アルカード―――…いや。 なかなか興味深い話だった。 [思えば、この娘がここまで饒舌に 我に己のことを話したのは初めてではないだろうか。 実をいうとあまり期待はしていなかったが。 此方が思っていた以上の収穫に、ふ、と目を細める] (140) 2022/05/25(Wed) 9:47:06 |
【人】 闇の精霊 アルカードでは、その二冊を購入しよう。 我も其れに目を通しておきたい故。 [娘が手にしていた二冊の絵本を受け取る。 他に娘が他に欲しがるような本がなければ、そのまま会計を済ませよう。 幾度となく死を迎え、その度転生を繰り返した猫の話と、 己の名前を探す猫の話。 …猫が好きなのか? 人の子とは一般的にこういう生き物を好むのだろうか? 表紙を眺めながら、そんなことを思う。] (141) 2022/05/25(Wed) 9:48:17 |
【人】 闇の精霊 アルカードさて、娘よ。 其方はなにか、望むものはないのか? [己ばかりが何かを得るというのも、些か納まりが悪い。 此処は絵本の礼も兼ねて、と なにか欲しいものはないかと問うてみるものの、 あまり芳しい返事は期待できない。 あれがほしいこれがほしいと言ってくれた方が いっそ我としてはやりやすいのだが。 娘と話をしながら一番下の階まで戻る。 せっかくだからと筆記用具を扱う売り場にも 足を延ばしてみることにした。] これなどはどうだ? [万年筆に硝子ペン、色とりどりのインク。 水晶を削って花の形に仕上げたペーパーウェイト。 そのどれもに娘は首を横に振る。] (142) 2022/05/25(Wed) 9:49:21 |
【人】 闇の精霊 アルカードふむ……。 [どうしたものかな、と ふと何気なく店の中を見回したところで、 ある一点に目を惹かれた。 柔らかな品の良いクリーム色の紙に 五枚の花弁を持つ薄紅色の花が描かれた便箋と 同色同柄の封筒が納められたレターセット。] …杏の花か。珍しいな。 [言いながら、娘のほうへと視線を移す。 はじめて娘とまみえた夜。 小さく震える杏子茶色の髪の娘に、 此方が手を伸ばしたときのことを思い出して] (143) 2022/05/25(Wed) 9:50:22 |
【人】 闇の精霊 アルカード……娘よ。 我はこれを二セット買おう。 そのうち片方をお前が持っていてくれ。 [おそらく嫌だと言われても、なんだかんだと娘には 購入したレターセットの片方を押しつけるのだろう。 何故、と言われても恐らく答えることもない。 ……描かれた杏の花の愛らしさに、 初めて出逢ったときの面影を見てしまった等と 言えるはずも、ないのだから。] (144) 2022/05/25(Wed) 9:52:05 |
【人】 闇の精霊 アルカードさて、娘よ。 我はアプリコットティーを所望する。 良い店があれば案内せよ。 [なおこの後、街へいくたび 娘への贈り物について延々話を繰り返すことになるのだが。 ……それは今はまだ、誰も知らない話である]** (145) 2022/05/25(Wed) 9:53:02 |
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