人狼物語 三日月国


179 【突発R18】向日葵の花枯れる頃【ソロ可】

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:

全て表示


【人】 室生 悠仁

 

  聴こえた単語に、その意味に。
  俺の思考は止まり、ざわめいていた心も静まった。
  真っ白になった頭は「は?」というような
  疑問の声とも呼べないものしか上げられず
  彼の続く言葉を待つことしか出来ない。


   『 俺たち、どのくらい一緒にいると思ってるんだ。

     こんなに長くいて、
     わからないなんてことはないだろ。 』
  

  …… 思いもしなかったわけではない。
  バレている可能性にだって思考を伸ばしたことはある。
  けれど、彼は傍にいることを許してくれていたのだ。
  
  男が男を、なんて前時代的考えかもしれなくても
  恋愛対象としていない相手に想われていることなんて
  気持ち悪い以外のなにものでもないだろう。
 
(25) 2022/10/22(Sat) 8:50:21

【人】 室生 悠仁

 

  告げる彼はやはり困ったように眉尻を下げている。
  彼の多くの思考は把握しているつもりだったけれど
  今、何を考えているのか俺にはわからない。


   「 じゃ、あ。
     なんで離れなかったんだ。
     こんな、気持ち悪いだろう、男相手に。
     お前は女好きで、友達にこんな、 」


  想いを抱いている相手になんて。
  動揺は思考にも及び、言葉も判然としない。
  それでも、彼の考えていることを知るために
  拙くも言葉を吐き出していく。


   「 離れる機会なんて、いくらもあっただろう。
     それこそ、中学の時に、 」


  それとも、あの頃は俺の気持ちなんて
  知らなかったのだろうか。
  …… それとも。

  知っていて、離れないことを選んだのだろうか。
 
(26) 2022/10/22(Sat) 8:50:54

【人】 室生 悠仁

 

  ─── 俺のことを、嘲笑っていたのだろうか。
  そんなやつじゃないことは長く見てきて
  わかっているつもりでいても、
  後者だとするならそれ以外の理由が思い当たらない。

  俺の気持ちを知って、その上で
  眼の前で女性を口説いて、
  嫉妬させていたというのなら。
  それに一体、他にどんな理由があるというのか。


   『 好きだったんだよ、俺も。 』


  は? と二回目の声が出た。
 
(27) 2022/10/22(Sat) 8:51:06

【人】 室生 悠仁

 

  すぐさま『友達としてな?』と返ってきたので
  誤解をすることはなかったが、それでも
  俺は口元をへの字に歪め、目付きの悪い目で
  刺すように彼を見つめてしまう。


   『 想いには応えられなくても
     好きだったんだ、お前のこと。

     だから傍にいてほしくて、
     ずっと知らないフリをしていた。 』


  本音だろう言葉を零す彼はバツが悪そうにしている。
  今までにもそういう表情は見たことがあったが
  ここまで本心を伝えてくれたのは初めてかもしれない。

  初めての場面だというのに、心が踊るより
  動揺や混乱が脳裏を占めるばかりだ。
 
(28) 2022/10/22(Sat) 8:51:16

【人】 室生 悠仁


  最低だよな、と苦く笑う彼にその通りだと
  頷こうとして、…… 頷けずに彼を見つめた。

  俺の気持ちを知った上で、それに対して
  なんの答えも出さず。
  自分は同じ気持ちを返せないのに
  愛されていたいなんて。
  自分勝手で、酷くて、ずるいことだと感情が言う。

  しかし、それとともに冷静な部分も声を上げるのだ。
  なにも告げていないのに答えてほしかったなんて
  俺の思考回路だって、相当自分勝手なものじゃないかと。
  
  ─── 俺が勇気を出して、嫌われることを厭わず
  告白していたのなら、きっとこうはならなかった。
  
  ならば、彼を怒るのは筋違いというものだろう。
  
(29) 2022/10/22(Sat) 8:51:28

【人】 室生 悠仁

 

  …… 彼の手が持ち上がり、そっと俺の頬に触れた。
  こんなときなのにどきりと跳ねる心臓を
  気にもしないように、なにかを拭う動作で
  指が頬を滑っていく。

  どうやら、理性では理解していても心では納得できず
  気持ちのまま、瞳から涙がこぼれ落ちていたらしい。

  だからといって、自分を好きなやつに
  こんなことするなんてどうかしている。
  優しさのようで全く優しくない行為に
  俺は彼に恨みがましい想いを抱いた。


   「 …… ずっと好きだったんだ。 」
  
 
(30) 2022/10/22(Sat) 8:51:40

【人】 室生 悠仁

 


   「 お前の全てが好きだった。 」


  うん、と彼は静かに頷く。
  その間も涙を拭う手は止まらない。


   「 なのに、どうして。

     何も言ってくれなかったんだ ……。 」
 
 
(31) 2022/10/22(Sat) 8:52:22

【人】 室生 悠仁

 

  正しく恨み言が、ぽつぽつと溢れるように出てきた。
  彼はひとつひとつに頷いてくれる。
  そうして少しして一言、ごめんな、と
  謝罪の言葉を穏やかに零した。

  幾許かの間、俺はさめざめと涙を落としていた。
  彼は一瞬腕を持ち上げる動作を見せるも
  その腕が俺の体を包むこともなく、ただ
  頬を滑る雫を拭い続ける。

  越えてはいけない線が俺たちにはあった。
  そして彼はそれを、越えない選択をしたのだ。
**
  
(32) 2022/10/22(Sat) 8:52:40

【人】 高山 智恵

 カズ君から呼び止められ、私は振り向いた>>18
 追加のオーダー……という訳ではなさそうだ。だってここは彼に案内したテーブル席じゃなくカウンターだ。それに――


「ああ、うん。――さんでしょ?
 今日は特にうちには……、……」


 カズ君と二人で来店していた時に聞き拾っていた名前を口にしながら「来てなかったなー」と言い掛けて、口を止めた。
 ――あれ? 本当に今日は来てなかった?
 ぼんやりとした引っかかりが、頭の中でぱっと線を結ぶ。


「いや、来てた来てた!
 ランチタイムに来てデミオム食べてったよ」


 今日の昼のことを度忘れしていたのは、当然のように店員にとって目まぐるしく忙しい時間帯だったからであり。
 彼女も“ いつも通り ”ワンコインランチをオーダーしていたからであり。
 そして、その彼女から何かしらの話を聞いた覚えがなかったからだ。
(33) 2022/10/22(Sat) 10:48:34

【人】 高山 智恵

 ――そう、“ いつもなら話してくれる ”感想>>2:79の一つすらも、聞いた覚えがない。


「……なんだか今日はちょっと、
 あの子、元気なさそうだったかも」


 実際のところ、本当に元気なかったのか否か、までは未だに判らなかったけれども――。
 あの時どうして、うちによく通ってきてくれている彼女に「どうかしたの?」の他愛ない一言すら掛けられなかったか。
 ピークタイムの多忙の所為にしてしまえばそれまでだが、今の状況とも合わせて考えるとどうしても悔やむものが抱かれる。
 ――いや、まだ「まさか」の話>>21だって決まった訳じゃない。けれども。
(34) 2022/10/22(Sat) 10:48:58

【人】 高山 智恵

 私の返答を聞くなり、カズ君はすぐに、その場に代金を置いて店を出て行った>>19


「ってあっ、ちょっとカズ君――お客様!」


 はっと呼び止める声が口をついて出てきたけれど、多分もう彼の背には届いていないだろう。
 カウンターに置かれたお金はぱっと見50円くらい多かったのだけれど、まあその件は今は本当にどうでもいい。
(海外の飲食店みたいなチップ制とかはうちには特にないので、不正会計疑いとか起きないように一応差額は控えておくことにした)

 脳裏を過ったのは、もっと別のこと――彼が無理してまで一人であの子を探し回ったりしないか、だ。
 ホットココアの代金(よりも少し多いお金)をひとまずレジにぶち込んでから、私は一度バックヤードへと走った。
(35) 2022/10/22(Sat) 10:49:18

【人】 高山 智恵

 この時は丁度、ダンサーのあの子が出勤してくる時間帯だ。
 タイムカードを押しに来た彼を見つけられたので、ちょっくら捕まえて声を掛けた。


「あのさ、いきなりで悪いんだけれど……。
 ――君、カズ君とはラインとか何かやってる?」


『えっ智恵さ――高山さん、どうしたんですかいきなり』


 本当は私から直にメッセージしたいところだったけれど、生憎カズ君とは、少なくとも個人的にはSNS等での繋がりがない。
店のアカウントからメッセージ送信を試みることは流石に考えなかった。

 同じチーム所属なら兎も角、ライバルチームのメンバー同士がどの程度SNSで繋がっているかはよくわからない。バンド同士やアーティスト同士の横の繋がりであれば話に聞くけれど……。
 ただ少なくとも彼はカズ君とは知り合いらしいので、好敵手なら好敵手なりに、何かしら個人的な繋がりがあってもおかしくはないと思ったんだ。
(36) 2022/10/22(Sat) 10:50:12

【人】 高山 智恵


「もし今すぐ連絡できるようなら、言っといて。
 『あの子のことで、もしものことがありそうなら
  大人でも警察でも頼れ』って。
 私の名前付きで言っておけばカズ君も聞くでしょ」


 向こうの返答を待たずに用件を続けてしまったのは、私も多分にちょっと焦っていたからかもしれない。他のお客様の応対のこともあったものだからね。
 私の心配がカズ君に伝わってるなら、私からの伝言としてこの言葉を“ 好敵手 ”が伝えてきても、そこまで不審には捉えられない筈だ。
(37) 2022/10/22(Sat) 10:51:41

【人】 高山 智恵

 ただ一つ明確に問題があるとすれば、私の名前を出させることで、この子に「このカフェでバイトしていることを自ら好敵手にバラす」ことを強要させかねなくなる、くらいか。
 うん、カズ君自身はこの子がうちの店にいることに全然気づいていないみたいだったので……。何せ以前、他のお客様のテーブルまで行き来する際にカズ君たちのすぐ横を通り過ぎた時にすら、カズ君のほうからは全く反応がなかったくらいだったから>>2:82。普段の印象って本当に大きいなあ……。


『……、……わかりました。
 なんとか、やってみます』


 この返答通りにこの子が「好敵手のアイツ」に連絡するかは分からないし(そもそも連絡できるかも不明だし)、もし何もしなかったとしても、私から怒る心算はなかった(そもそもこれ、業務外要望なので)。
 普通に上司から部下への無茶ぶりっていうのもあったけれど、若い子たち(ばかりとは勿論限らないけれど)の中には警察に対しての後ろめたさや不信感を抱えている子たちもいるのだから>>1:111
(38) 2022/10/22(Sat) 10:52:09

【人】 高山 智恵

 もっとも、姿の見えないあの子に関しては、これまでの話を聞く限りだと下宿生ではなく、実家で親御さんと同居しているらしい>>21(ついでに言えばカズ君も実家暮らしっぽい>>1:59)。
 その親が過度の放任主義か、電話すらもできない状態か、或いは子供の外泊予定とかを予め伝えられてたりしていない限りは、娘の帰りが異常に遅い時には親御さんから警察への電話を考えるだろう。

 けれどももし万が一、親御さんすらも動かなかったら? カズ君ひとりしか、あの子を探しに行かなかったら?
 事の経緯の一端に触れている大人として―― 一端だけ、とは言っても――もしこれが最悪の事態に繋がってしまったら、気が重いなんてもんじゃない。


( あの子も――それにカズ君にも、
  何もないといいんだけれど…… )
(39) 2022/10/22(Sat) 10:54:03

【人】 高山 智恵

 さて、今のこの状況で、私自身にできることといえば。 
 変わらずこのカフェでお客様をお迎えする、ということだ。

 昼に一度うちの店を訪れ、その後のカズ君との待ち合わせには来なかったあの子だけれど、何かの拍子にまたうちのドアベルを鳴らさない、とも限らない。
 だからもし彼女が来てくれた時のために、私はここにいる。勤務時間の件とかを置いといても、だ。
 その時には、「カズ君は一度うちに来てから、あなたあの子を探しに出て行った」ということも知らせないといけないからね。**
(40) 2022/10/22(Sat) 10:56:03
高山 智恵は、メモを貼った。
(a0) 2022/10/22(Sat) 11:34:22

高山 智恵は、メモを貼った。
(a1) 2022/10/22(Sat) 11:35:03

高山 智恵は、メモを貼った。
(a2) 2022/10/22(Sat) 11:37:08

【人】 高山 智恵

 いつも通り慌ただしかったり、いつもよりも気掛かりが絶えなかったり――これは、そんな今日の営業が終わってからの話。
 ……うん、いくら顔なじみのカズ君相手とはいえ“ お客様 ”相手にガチのタメ口で話していた辺り>>33、本気で無自覚の疲労だとか心労だとかが重なっていたらしい。帰ったらきちんと休もう……明日が丁度私の休みで良かった……。

 さて、もうすぐ帰れるという頃にバックヤードで見かけたのは、布を掛けられた大きな円錐形――クリスマスツリー。今日霧ヶ峰さんが奥の倉庫から出してきてくれたものだろう。
 電球などの飾りも含めたチェックもちゃんとこなしてくれたらしく、近くのゴミ入れの中に捨てられた飾りが光を弾くのが見えた。
 霧ヶ峰さんが地味な細かい作業だけじゃなくて力仕事まできっちり確実にこなしてくれる>>2:L1のは、率直に言って、店としては非常に助かる。地味ながらも大切な戦力、と言っていい。
(41) 2022/10/22(Sat) 17:14:06

【人】 高山 智恵

 ……のだけれど、微妙に違和感を覚えて、ゴミ入れの中を覗き込んだ。


「これ、まだ全然使えなくない?」


 思わず声に出してしまった――うん、そうつい言ってしまうくらい、捨てられていたそのツリー飾りは綺麗だった>>2:75。ベタつき汚れもカビも、極度の変色もなかった。
 ――あの霧ヶ峰さんに限ってこんな適当な仕事する?
 そう訝しみながらよく目を凝らしてみると、その綺麗な飾りと似たような飾りが他にも捨てられているのが見えた(どこがどう似ていたのか、は一旦置いて)。そちらも摘まみ上げてみればやはり、特別汚れや損傷が見られるものではなくて――。


( あー、そういうことか )


 これらの飾りがゴミ入れに放り込まれていた理由にひとつ心当たりを得ながら、それでも普通に「捨てるには惜しい」状態のものだと思えたそれらを、そっと回収しておいた。
 このツリー一式とか飾りとか、一応、お店の予算内で購入しているものだからね!
(42) 2022/10/22(Sat) 17:15:59

【人】 高山 智恵

 ただ、回収したとはいっても、即座に黙って布の下のツリーにこれらの飾りを付け直す訳ではない。
 今日のところはとりあえず、例の飾りは私のロッカーに入れておくことにした。後のことは後日店長と相談しよう。


( 霧ヶ峰さん、やっぱ大分堪えてたんだな…… )


 捨てられていた飾り付けのデザインに共通していたのは、「あの俳優さん」の役柄を想起させるモチーフ、だ。
 思い出した。これを私にさらっと教えてきたのは、アートやってるバイトの子だ>>2:98
 そして霧ヶ峰さん自身が、自分の口で自分の「推し」について話したことは、そういえば、なかった。
 ……教えられた当時は「そうなんだ」くらいに聞いていたけれど、今思えばあの子、
他者の個人情報晒す心算のない趣味を広めてた
んだな。もうすぐギャラリーで学生展だって言ってたから、学生展が終わってからさりげなく注意しておかないと(去年の話だから、本当、さりげなくね)。
 え? あの子霧ヶ峰さん普通にどう見たって態度で誰推しかバレバレな子じゃんって? いくらバレバレに見えたって、それでも秘密を他人に広めるもんじゃないよ……。
(43) 2022/10/22(Sat) 17:16:29

【人】 高山 智恵

 件の飾りをわざわざ戻したりしなかった――霧ヶ峰さんの目の届くところから一旦隠したのは、(おそらく)傷心していた人への配慮といえば配慮だったのだけれど、店側にとっては(金額的にはささやかな)損失ともいえる。
 けれどもこの出来事は少し、ほんの少しだけ、ちょっとだけ安心できるものだった。

 だってこれ、見たくないものを見続けるという「無理」をしない、という選択を霧ヶ峰さんが採れたということなのだから。
(44) 2022/10/22(Sat) 17:18:14

【人】 高山 智恵

 店長からの共有事項でも、実際に見聞きした霧ヶ峰さんの勤務態度でも把握していること。
 彼女は客からの嫌がらせを「平気な顔で」スルーする>>2:L1
 そしてちゃんと上層部に報告してくれるし、助けもちゃんと求めるし、他の子が受けた嫌がらせについても同様に対応して助けてくれてる>>2:L2
 彼女は勤務上の悩みを一人で抱え込んでいるようには見えないし、新人研修で指導したことをきちんと生かせる、それでいて他の子の状況にまで気を配ることもできる、いわば「デキる」従業員に見える。

 見えるん、だけれど。
 それってイコール「精神ずぶとい系」って訳じゃないよね、と私は思ってる。
 「平気な顔で」って言うけれど、営業スマイルって、ただでさえ素顔を隠す仮面と似たようなものだ。あの子の場合はそのスマイルがそれこそ貼り付いて固定されているように見えるものだから、余計に仮面めいた印象がある。
 つまり彼女の「平気な顔」は、必ずしも本当に平気とは限らない、ってこと。
 セクハラに関していえば、霧ヶ峰さんが受けたのは本当に「たまに」程度のようだけれど……それでも、ね。
(45) 2022/10/22(Sat) 17:19:46

【人】 高山 智恵

 他の従業員たちがあからさまにギョっとするような汚れ仕事や力仕事だって、文句の一つも言わずにやり遂げる霧ヶ峰さんだ。
 だからって、文句言わないんだから仕事押し付け続けていいって訳でもない>>41
 いつも通りに笑ってみせてる顔の裏で彼女がどんな「無理」をおしているか、判らないのだから。


 そんなあの子が「無理なもの」をちゃんと回避したんだ、と内心ひとり思いながら、私は家路に就いた。
 多分、苦笑いしてたんだろうなあ、この時の私――
(46) 2022/10/22(Sat) 17:20:24

【置】 高山 智恵

 さて、明日は私はオフの日なので、今日のうちに。
 未だうら若い霧ヶ峰さんには、大人の私からちょっとお節介を残しておこう。


“無理しないのは大事だよ。
 いつもいつも笑ってる必要なんて、ないからね。

 高山”


 これは、霧ヶ峰さんのロッカーに、ドアの隙間から差し入れておく置き手紙のメモ用紙。
 ラインやSMSで送ってわざわざ通知ぶち込むことはせず、気付いてくれたらいいや程度のメッセージだ。
 なあに、メモに気づいてないようであれば、直に顔を合わせた時にさらっと言えればいいだけの話なのだから。**
(L0) 2022/10/22(Sat) 17:26:47
公開: 2022/10/22(Sat) 17:50:00

【人】 高山 智恵


 ――私は無理してない?
   自分の気持ち、無理して殺そうとしてない?


 ――あのだって、今、ひとりきりで・・・・・・無理してない?
   あの娘の側には今、誰がいる? 誰が助けてくれている?




 ……ああ、今日はもうさっさと、うち帰ろう。**
(47) 2022/10/22(Sat) 17:31:30
高山 智恵は、メモを貼った。
(a3) 2022/10/22(Sat) 17:36:51

【置】 楯山 一利

─回想:半年前─


半年前、ブレイクダンスの大会があった。>>2:15
それなりに大きい大会だったから
個人戦は無理だったけど、
チーム戦には出られる事になったんだ。

だから、アイツに俺の勇姿を見て欲しかったし
ブレイクダンスの良さも知って貰いたかったから
「観に来て欲しい」って、大会のチケットを渡した。
アイツは怪訝そうにしながらも、
拒絶することなく受け取ってくれた。

…当日は、緊張感が半端なかった。
それは大会に出場することに対してもだが
アイツが観に来てくれるかもしれない、と
そっちの方に意識が傾いてしまっていたと思う。

チームメイトからは、
『カズが緊張なんて珍しいな』って言われたし
よく会う好敵手>>2:70の奴からも
『カズさんだいじょーぶ?』
って心配されるほど露骨だったんだろう。

差し入れされた焼き菓子を
とあるダンサーからお裾分けされた。>>2:17
この日ばかりは、緊張を和らげたくて
藁にも縋る思いで頂いたのを憶えている。
(L1) 2022/10/23(Sun) 1:17:49
公開: 2022/10/23(Sun) 1:20:00

【置】 楯山 一利


後で知った話だが
あのダンサーは、最近噂になっている
ダンスがメチャクチャ上手いと評判の人だった。
惜しくも、この大会で優勝までは出来なかったが>>2:18
噂の通り良い所まで勝ち上がっていた
と、記憶している。(俺の記憶が確かなら、だけど)

いよいよ本番。
俺たちのチームが次に呼ばれるという頃
まだ、アイツは観に来ていなかった。
『ごめん。用事が終わらなくて、遅れる。』
と連絡は入ってたんだけど…ガッカリしたね。
俺よりも優先される用事って、なんなんだよ……。

でも俺は、目の前のダンスバトルに集中した。
踊っている間は、アイツの事を忘れて
一生懸命やれるだけの事を精一杯出し切った。

結果は、一回戦落ち。惨敗だった。
気落ちもしたけど、また頑張ろう!って
チームメンバ同士励まし合えたし
俺たちのダンスを見て評価してくれる人たちも
少なからず居てくれたから、嬉しかったなぁ。

それからは、他のダンサーたちのバトルを
最後まで観覧していたかったから
アイツを待ちながら、俺はずっと会場に居た。
(L2) 2022/10/23(Sun) 1:18:58
公開: 2022/10/23(Sun) 1:20:00

【置】 楯山 一利


で、結局アイツが来たのは
大会が終わる1時間くらい前だった。

「おいおい。おっせーよ!
 もう大会終わっちまうぞ。」

まだかまだかと待ち望んでいた苛立ちを
そのままアイツにぶつけちまった。
でもアイツはそんな事をお構いなしに
『ごめんごめん。どうしても抜けらんなくて。』
ってケロッとした顔で返してたから
なんとも思わなかったんだろう。と思いたいが
多分……。
今にして思えば、実はそうじゃなかったのかも。


来てくれたアイツを、とりあえず
チームメイトや他のダンサーたちに紹介。
その時、『もしかしてカズさんの彼女〜?』
って茶化されたんだけど
俺はすぐに「い、いや違う!ただの幼馴…いや、隣人!」
と、気恥ずかしさが募って強めに否定した。

当の本人は否定することも肯定することもせず
ただただ俺らのやり取りを
冷ややかな目で見ていて
社交辞令の挨拶を済ますだけに終わっていた。
(L3) 2022/10/23(Sun) 1:20:32
公開: 2022/10/23(Sun) 1:25:00

【置】 楯山 一利


大会が終わってからは、
ダンサー皆と打ち上げをした。>>2:18
打ち上げはダンサーに限らず、
友人や家族とかも招くことは出来たから
アイツにも参加してくれるように頼んだんだけど
最後までは、居てくれなかったな。
それに終始不機嫌そうだった。

遅れた事もあってか、会場の盛り上がり方とか
周囲の雰囲気についていけなかったみたい。
(そもそも生真面目なアイツと
 ノリが合わない部分があったのかもだが)

そういうのも察せなかったせいか
アイツの態度も気にくわなくて、面倒臭くなっちゃって
もう勝手にしろよ、と投げやり気分で
一人で帰らせたんだった。

それから俺は、アイツのことを気にも留めず
色んなダンサーたちと交流を深めていたし
全員とまではいかないものの、
一部のダンサーたちとラインも交換出来た。>>36
アイツの事がなけりゃ、もっと楽しめたと思う。
(L4) 2022/10/23(Sun) 1:21:53
公開: 2022/10/23(Sun) 1:25:00

【置】 楯山 一利


打ち上げの帰り道、アイツからラインが来た。

『あの人たちとの付き合い
 考え直した方がいいんじゃない?

 それにいつまでもこんな事やってると
 お父さんもお母さんも心配するよ。』

俺は酔っているのも相まってムッとした。
アイツらのことやブレイクダンスを
悪く言われたような気がして。

それに、最初から観に来てもくれなかったし、
俺のダンスだって見ていない癖に…。
なんにも知らない癖に……!

そんな怒りもあってか、そのラインを境に
俺はアイツと衝突することが増えたように思う。
(L5) 2022/10/23(Sun) 1:23:41
公開: 2022/10/23(Sun) 1:25:00

【人】 楯山 一利

─現在─


アイツはランチタイムに来ていた。>>33
と、店を出る前に智恵さんから聞いていた。
普段ならランチの後は大学の講義を受けに戻ると思うが
今日は俺との待ち合わせ時間に合わせてくれたし、
さっきお袋さんとの電話では
『出かけてから』と言っていた。>>21
つまり、講義はない日なんだと思う。
(まさかアイツの性格上、講義サボる訳ないしな?)


ならば、ランチの後に行くとしたら何処か?
と考えながら、思い当たる場所を探し回ったんだが
一向にアイツの姿を見つけられないでいた。>>20

『元気がなかった』>>34

智恵さんから聞いた言葉を思い出す。
それは、昨日の俺との喧嘩のせいかって
最初は軽く考えて終わっていたんだけど
そもそも、今日のアイツの様子が
"いつも"と違っていたという事なんだと
今更になって気付く。

それはすなわち、俺が今の今まで探し回った
"アイツが行きそうな場所">>20になんか
そもそも行かないんじゃないか…って事だ。
(48) 2022/10/23(Sun) 1:37:08