【人】 空虚 タチバナ─ 特別個室病棟 ─ [向かい合わせて一対ある二人掛けのソファは、 二十年余りの月日を考えれば十分しっかりしている。 電子レンジ>>114と同じく生者を招き入れる妄執が 異界化したこの場所を保っているのかもしれない。] みんな、お気に入りの場所があるから。 お気に入りというか、引き寄せられるの……かな。 [推定お金持ちの入院患者は喰われてしまったか 他に気になる場所でもあるのだろう。 しかし別の怪異が突然入って来てもおかしくはない。 ただ、今はどこか場違いにも聞こえる 電子レンジのぶうんという音だけが響いていた。] (120) 2022/08/14(Sun) 16:09:24 |
【人】 空虚 タチバナ[彼も好きだと言うナポリタンがテーブルに置かれる。 湯気の立つ様を見る瞳は、 この部屋を探索した時のように新鮮な色を乗せた。] ……。 [暫くは黙って彼の横顔を眺めていた。 彼に乗って見下ろしたことも 覆いかぶさる彼を下から見上げたこともあるのに、 ここから見るのは初めてだなと思った。 柔く齧りついた鼻筋や、瞬きする度に震える睫毛、 胸に穿たれた空虚にも触れた唇が 赤いソースの絡んだ麺を飲み込んでいく。 咀嚼して、嚥下して。 喉仏が鷹揚に上下する様子まで、すべて。] ……え? [故に彼のフォークがこちらに向けられた時>>114、 ピントを合わせるのに数秒を要した。] (121) 2022/08/14(Sun) 16:11:12 |
【人】 空虚 タチバナ[最初、その動作の意味を考えるように瞬きをして、 分かった後は迷いと戸惑いに唇を噛んだ。 確かめるように彼の方を見て、手元を見て、 意を決したように小さく口を開ける。 雛鳥のように餌を待つ姿からは、 彼の問いにすら答えなかった頃とは違う 従順さのようなものが覗いているだろう。 彼が私だけの獲物であるように、 私は彼の内を埋め尽くす存在になるのだから。 あなたにとって私がとびきりおいしくなるよう 感情ひとつひとつを捧げていく。] (122) 2022/08/14(Sun) 16:11:34 |
空虚 タチバナは、メモを貼った。 (a33) 2022/08/14(Sun) 16:19:51 |
【人】 空虚 タチバナ[目に見える変化はないだろう。 けれど、 もし彼らが望む未来を阻む悪意があったなら。 たった一度だけ、 細く広がる闇が脅威を引き裂くかもしれない。 それは誰かを攫った女の黒く長い髪に、 ほんの少しだけ似ていた。]* (150) 2022/08/14(Sun) 23:27:30 |
(a43) 2022/08/14(Sun) 23:33:10 |
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