【人】 軍医 ルーク[ 箱を回収してから数日と経たぬうち、 言い渡された直近の勤務表に眉を顰めた。 残骸の研究に携わる夜の時間が、大幅に増えている。 それ自体は、通信機の回収の一件を考えれば そこまで不自然なことではない。 けれど、その分削られていた箇所は何処かというと、 あのうさぎの『検査』だ。 自分が一人で検査にあたる時間はおろか、 複数人で行う検査に参加する機会すらない。 医療班の班長に何か間違いはないかと聞いてみても、 研究班の方で急な人出が必要になっているらしい、 という答えくらいしか得られない。 それもあながち出任せではないようだったけれど、 どうしても気になることはあった。 生憎歯に着せる衣はもっていない性質だ。 ずばりと、聞いてみた。] (124) 2020/05/22(Fri) 21:41:04 |
【人】 軍医 ルーク 治療の方針が合わないわたしは 外したほうが良いということでしょうか。 あなたも医者なら、 これはおかしいと分かっているはずだ。 [ 問いただされた軍医はたじろぐこともなく、 それもある、と頷いた。 向けられた表情は、形容しづらい複雑なものだった。 聞き分けのない子供に向ける苛立ち、僅かに滲む呵責。 けれど、彼は何も肝心なことは口にせず、 『君の勤務状況も見直しが必要だったからね、 医者の不養生も程々にしておきなさい。 行き届かない自己管理は怠慢と変わらない』 そんな風に、口を噤んだ。 せめて投薬の方針を――と言い募っても、 それは参考にさせて貰うよ、と、 明らかに口先と分かる返答を返されるばかり。] (125) 2020/05/22(Fri) 21:41:53 |
【人】 軍医 ルーク[ 検査記録を見ることは妨げられなかったため、 日々の記録を追いながら、 治療の建前すらかなぐり捨てたような実験めいた処置に、 後から目を通すことしかできない。 誰に訴えたところで、軍の方針に行きつく。 自分には知らされていないところに理由があって、 その理由は、最初の襲撃の顛末だけではない、 あのうさぎ自身に関わりがあることだと、 この頃には、もう確信し始めていた。 “副作用ではない頭痛は、兆候。 その前後の様子はよく見ておくように” 記録されていた指示に、 鳩尾を掴まれたような感覚を覚える。 通信機を回収に向かった夜、 箱を見つけたときのことを思い出す。 頭痛の直後、まるで別人のような様子で、 『機獣の構造を知らなければ』見つけようもなかった 通信機を見つけ出した。] (126) 2020/05/22(Fri) 21:45:16 |
【人】 軍医 ルーク[ 本当なら、報告しなければいけないことだ。 うさぎの記憶にまつわる手掛かりは、 どのような細かいことでも申告するようにと 言い渡されている。 それなのに、口を噤んでいるのは、 頭の中の何処かで強く鳴り響く警戒音があるからだ。 言ってはいけない、口火を切ってはいけない。 そうしたら、きっと、何かが始まってしまう―― そんな、予感だ。 出来ることが、何もない。 手が届くようで届かないところで行われていることを、 何もできずにただ見ているしかない。 そんなどうしようもないもどかしさ、焦燥が、 自身に対する怒りと自責を連れて、 空洞の中で煮えている。 そのような感覚は、 そこまで時間をかけずに自覚することが出来た。 この感覚の元になっているものが、 あのうさぎへの『心配』だと、もう、知っていたからだ。] (127) 2020/05/22(Fri) 21:46:43 |
【人】 軍医 ルーク……しかも、 来ない 。[ 昼時の医務室、椅子にかけている。 音を立てて開いた扉にぱっと視線を向ければ、 ひえっとすくみ上った鹿耳の若い兵士が、 『部屋を間違えましたー!!』 と、まっしぐらに逃げ出していった。 ああ、いつものあれか――と、 ぷいと顔を逸らした自分が、 どれほど不機嫌な顔をしていたかを知っているのは、 いかにもタイミングが悪かったその兵士と、 机の上で溜め息をついているぺんぎんのみだろう。 分かっている、向こうも暇じゃない。 部隊長としての仕事や訓練に加え、検査がある。 まともな空き時間なんてあるわけもないのだ。 ―― 無事に、過ごせていられる状態だろうか。] (128) 2020/05/22(Fri) 21:48:16 |
【人】 軍医 ルーク[ 机の上で、ぎり、と拳を握りながら。 顔を上げて、ぺんぎんに問う。] わたしは、『怒ってる』ように見える? [ ぺんぎんは、それはもう、とばかりに頷いた。 “また近いうちに”>>1:362 その言葉を覚えていたぺんぎんは、 仲間の伝手を辿って、『いいもの』を調達したようだった。 とうもろこしから作ったお茶。 珈琲や紅茶とは違い、苦みも渋みもない。 戸棚のシロップの瓶の横にそっとしまい込まれたそれが、 誰のために調達してきたものであるかは、聞くまでもない。 やっぱりあいつが現れたら、 最初は苦い物の一つも飲ませてやろう、そうしよう。 決意を込めて頷けば、ぺんぎんは、 おてやわらかに……とでもいうように、 首を竦めたものだった。]* (129) 2020/05/22(Fri) 21:49:23 |
【人】 兄 エーリク─作戦開始─ 『多分どっちかだと思う、もしくはその両方。 いずれにせよカミラも気を付けて。 毒以前に頭や胸に当たれば致命傷だ。』 [カミラの推測は僕も大方同感だ。>>100] 『第一この道も獣道が近く、 馬車がギリギリ通れる目立たない道だし 何よりこの森自体主要な街からやや離れてる。 用意周到に毒を仕込んだ武器を装備してる点といい 目撃者を出したく無いのかもね。 あ、でもそれなら何故後ろから走ってきた リヤル商会の馬車を攻撃しなかったんだろう?』 [ふと後ろを振り返っても、 アルフォンスさん達の馬車に異変は無い。>>1:193>>1:194 打たれたボウガンの矢の一本もマントに刺さったままだ。 リヤル商会の人間に手を出す気はないのかもしれない。 そうであれば後続の馬車に気付いた時点で アルフォンスさん達を攻撃し、殲滅させているはず。] (130) 2020/05/22(Fri) 22:02:15 |
【人】 兄 エーリク 『いや、違う。ジョバンニは頼りなくなんかない。』 [説教の言葉へ怒りに混じる、悲しみのような滲みに>>103 思わず「違う」と返すも、ジョバンニは止まってくれない。 違う、ジョバンニは頼りなくなんか無い。 いつも体力が続かない自分を心配して、面倒を見てくれた。 食の細さにも関わらず工夫をしてくれたこと。 何かあるとすぐに駆けつけてくれた使用人兼親友。 >>0:109>>0:111 ごめん。 怒らせるつもりも、悲しませるつもりも無かったんだ。 ジョバンニの言葉に思わず動転してたものだから ]ついでで怒られたカミラの話が耳に入らない。>>103 『ごめん、ごめん、ジョバンニ……。』 (132) 2020/05/22(Fri) 22:02:57 |
【人】 女子高生 渡辺 入矢── 2年6組の教室 ── [何だろ、Mなのかな。 無断で椅子を拝借したっていうのに 名も知らぬモブくん、嫌そうじゃない。>>78 まあそれならと、彼には 一番盛れる角度の笑顔をサービスだ。] ふふっ ありがとねっ [私に気を持たせられれば チカに手を出そうなんて馬鹿なこと 考えなくなるでしょ? そいつは万々歳だから。 チカに関わりがあるかないか。 私の基準は、そればかりになっていた。] (140) 2020/05/22(Fri) 22:24:47 |
【人】 女子高生 渡辺 入矢[新学年初の昼休み。 クラス内に新しい友達を作るチャンス。 隣のクラスの友人は障害だろう。 そう思うから、邪魔がられないか不安だった。 でも、チカは少しも嫌そうじゃない。>>79 表情が変わりにくくてわかりにくいから 私の願望込みかも知れないけど。] 全然えらくないよー、適当だもん [偽の自分を装えば友達を作るのは難しくない。 けれど私が仲良くしたい友達は 貴方だけなんだよ。] (141) 2020/05/22(Fri) 22:24:55 |
【人】 女子高生 渡辺 入矢[チカを家に誘うと、彼女は噎せかけて――、 箸を置いて大丈夫かと見守っていれば 色好い返事が返された。>>81 喉を詰まらせなかったことと 断られなかったことに心底安堵した。] うん、もちろん でなきゃ誘わないっての [頭の中にオーケストラ・合唱団による 第九の演奏・合唱が響くほど嬉しい癖に 余計なひとことを付け足してしまう私を 私はブン殴りたい。] (142) 2020/05/22(Fri) 22:25:05 |
【人】 女子高生 渡辺 入矢[大きな声を出されれば>>82 こんなところで、って思っちゃう。 推しについて語る時みたいに 声を荒げるのは 私と二人だけの時にして欲しい。 もうとっくに、私だけが知るチカでは なくなっちゃってたこと 私はまだ、知らないから。>>1:256] うん。親御さんの許可、貰えたらね [独占欲を胸に押し込めて、親友の顔をする。 これもある意味詐欺だって気づいたのが いつだったかは、忘れた。] (143) 2020/05/22(Fri) 22:25:17 |
【人】 軍医 ルーク ―― 現在・医務室 ――[ 駆け込んできた足音は、ひどく慌てているようだった。 耳に飛び込んできた声に、 フードの下の白耳がぴくりと動く。] ――…、 ん…… [ それが誰のものであるかを認識すれば、 ぐらぐらと揺れていた意識が思考を結ぶ。 最初に思ったのは、何故このような時間にということ。 検査の時間でもない、夜の時間。>>70 次の瞬間、思いついた可能性に、 霞がかった思考がざっと晴れた。 身をよじり、腕をついて身体を起こそうとする。] すぐ、起きるから。 どこか、具合が悪いなら―― [ 椅子にでも座って待っていてほしい、 そう言おうとしたのだけれど、 痛みと吐き気にまるで身体に力が入らない。 声だって、音になっていたか怪しい。] (144) 2020/05/22(Fri) 22:25:18 |
【人】 女子高生 渡辺 入矢[もしお泊まりがOKなら。>>83 何を持ってきて貰ったら良いのだろう。 なにしろ家に友人を招くのは初めてだから そこに考えが至っていなかった。] こだわりがないなら シャンプーうちの使っていいけど パジャマは要るね 私のだと短くて足首出ちゃいそ ドライヤーあるよ、もー ん。ご飯一緒に作ろうね 金曜だからカレーがいいなぁ チカの手際の良さ、見せ付けて貰お たのしみだな〜 [チカから漏らされた一言は 聞こえなかったことにしてハードルを上げた。 チカの手作りが食べられるなら 焦げてたって構わないのが本心だ。 饒舌になっているのは、お互い様ということ。>>83**] (145) 2020/05/22(Fri) 22:25:59 |
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