人狼物語 三日月国


141 【誰歓RP】bAroQueチップで遊ぶ村【花見】

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視点:


蒼い三日月が辺りを照らす。伝承は果たして真実なのだろうか。
もし真実であるならば、異形の刃を見つけ出し、打ち砕かなければならない。

どうやらこの中には、村人が7人、人狼が1人いるようだ。

【人】 一二三


 やっぱり神楽がある日は人が多いな……
 九朗、はぐれたら面倒だ。
 先に落ち合う場所決めておこ…ぅ……


[そう言いかけて振り返った場所に九朗の姿はなく。
神社へ来て早々、
速桜ではなく人ごみに攫われた友人に、
男は晴天を仰いで掌で目元を覆ったのだった。*]
(0) 2022/04/11(Mon) 8:00:00

【人】 九朗

[薄墨神社の境内からまっすぐ伸びるのは、朱塗りの鳥居と神の通り道でもある石階段。

しかしその階段を上るよりも少し手前。
一応は神社の敷地内ではあるものの、神社を囲む堀と桜の内側。
つまるところ神域の外側。
参拝と花見に来た客を相手に方々からやって来た出店や大道芸人で賑わうその場所で。
それこそ、一枚が二枚、二枚が四枚と野太い男の掛け声に合わせて太刀を振るう人形に、九朗がほんのわずか足を止めた隙にはぐれてしまうとは。>>0]


 どうしましょうか…。


[はて、と首をかしげるものの。
普段なら妙案を授けてくれるはずの一二三が今いないのだ。
念のため四方を見回してみたが、人ごみの中にあっても頭半分飛びぬけているはずの褐色は見当たらず。
懐から懐中時計を取り出して、パチンと開き文字盤を確認する。]
(1) 2022/04/11(Mon) 8:01:55

【人】 九朗

[幸い行くところも目的も決まっている。
そして姪が奉納する神楽の時間にはまだ早い。
なら長い石段を上がって御神木の桜を見るのは後にして、堀之内を散策がてら、迷子の友人を探せばいいだろうと。

一二三本人が聞けば「迷子になったのはお前だろう」と声を荒げそうなことを飄々と考えて、懐中時計の蓋を閉じ再び懐へしまった。**]
(2) 2022/04/11(Mon) 8:02:03

天のお告げ(村建て人)

[歯車と煙突、
土壁と瓦の間を縫うようにして伸びる支索の下に、
四角い鉄の箱がぶら下がる。

上へ、下へ。

南へ、北へ。

薄紅の衣を纏う榛名を眼下に、
ゴンドラは今日も人と荷物を運ぶ。

神社を囲む堀の内側には見事な桜並木が続いている。
堀之内には花見を楽しむ人があり。
花見客目当てに並ぶ出店があり。

今日を中日として、この三日間は堀之内もにぎやかだ。]
(#0) 2022/04/11(Mon) 8:02:48

天のお告げ(村建て人)

[千年枝垂桜と呼ばれる古木の桜を御神木として戴く
薄墨神社で行われる神事はいくつかあるが、
数えで七つになる少女たちによる奉納舞『姫櫻の神楽』は
一見の価値があるだろう。


なにせこの神楽、次に見れるのは三年後なのだ。


春夏秋冬、一年に四つ演じられる奉納の神楽。
十二の神楽をひとつの流れに見立てているが故に、
来年には桜を題材にした別の神楽が奉納される。

この、榛名以外ではあまり類のない、
薄墨神社で執り行われる祭事の独自性はまた別として。]
(#1) 2022/04/11(Mon) 8:03:16

天のお告げ(村建て人)

[トン、トトン、
       シャン、
           シャン、トン ―――

と、幼い少女たちが白い装束を纏い、
髪に挿した魔除けの鈴と
神楽殿の床板を踏む音だけで舞う姿は
芸事として完成された舞とは異なり、
手に持つ桜の枝もあいまって愛らしくも微笑ましい。

例えそれが、神に奉納されるための舞であっても、**]
(#2) 2022/04/11(Mon) 8:05:19

【人】 澤邑


 おいで、よしよし

[ >>#0桜の見頃に催される三日間のうちの中日。子猫と庭の散歩やら、店の前などを共に歩いて数日練習して、今日はとうとう花見をしに行こうと思っている。

 毎日半刻ほどだったが、装具をつけられる事に子猫の様子はどうだったろう。外に行けると思えば我慢できただろうか、それとも嫌なことだと覚えていただろうか。
 息子がついていかなくても良いかと聞いてきたが、そんなに弱っちゃいないよと答えて。そしたら猫が心配なんですと言われてしまった。しっかり紐は離さないし、雑踏は抱えておくからと言えば安心したようだ。

 店の前から墨染神社の方へと足を向ける。**]
(3) 2022/04/11(Mon) 18:34:45

【人】 虹彩異色症の猫

[ 外風の清涼さを覚えたのか、庭を歩かせてからは子猫は外へ出たいと襖を掻く事があった。まだ器用に前足で引戸を開くには至らない。

 庭に遊ばせる下準備として装具を身に着けられること、始めは厭う素振りも見せたが、それが遊びの始まりと覚えると、いつか大人しく身に着けられるままになった。

 庭で跳ね回るうち、紐の遊びの範囲を覚え、すっ転ぶこともなくなった。初めて街並みに出た時は>>0:68、人混みの騒がしさに怯えて腕の中に蹲っていた。それも暫しの間。やがては興味深げにおずおずと、腕中から人熱れを興味深げに垣間見る。慣れればするりと腕を抜け、肩に登り、頭の上にすら足を掛けて辺りを見回そうとする。ちょうど大人しく腕に収まっている時に、良い子だねえ、とすれ違いざまに声を掛けられれば何処か得意気な顔さえしてみせた。

 大きな物音だけが苦手で、近場で耳を衝くような音が立てばその時だけは我を忘れて限界まで紐が張るほど逃げ出そうとした。

 けれど概ね装具を着けた散歩には慣れた様子で、今は花見の為の外出に、澤邑の腕の中にちんまりと収まっている。]**
(4) 2022/04/11(Mon) 19:11:40

【人】 澤邑



 悪いことを教えてしまった

[ こゆきが外の興味深さを知ってしまったせいで、襖をカリカリするようになってしまった。力が足りないせいで開きはしないが、もっと大人の猫になったらそのうち開けられるようになるかもしれない。
 とりあえず外につながる出入り口の施錠だけは徹底せねばと考えたりする。

 外に行けると覚えてからは、こゆきはしばらくの間は大人しくされるがままになった。澤邑も手慣れてきて子猫が飽きる前に全部を完了できるようになっている。]

 じゃあ行ってくるね
 お土産を買ってこよう

[ 見送りにそんな声をかけて、自分を見送るというよりは、こゆきに皆目線が向いている。大人しく抱っこされている様などが可愛らしいのだろう。

 なんとなく自分までふふんと誇らしげな気持ちになるのはなんでだろうか。]
(5) 2022/04/11(Mon) 19:51:33

【人】 澤邑

[ 食べ物飲み物は途中の屋台で買うことにして、猫と小銭入れだけを持って出かけた。財布を落としたりのトラブルが起きたら、商店街の各々は顔見知りばかりだし、電話など借りたらいいなんて思っている。

 おもたげな音を立てながら上がり下がりするゴンドラも見慣れた風景だ。

 鉄と蒸気とその合間に緑の木々や今は桜が多く目立って島中薄紅色をしているような錯覚がする。]

 ちょっと見せて

[ こゆきを歩かせたり抱っこしたりと、状況に合わせて今は墨染神社の社務所の前。今はこゆきは腕の中にいるが、前脚を突っ張って肩から伸びをして周囲を眺めている。
 
 お守り鈴でもないかと思ったのだがどうだろうか。**]
(6) 2022/04/11(Mon) 19:56:13

【人】 豊里

 
薄墨神社付近


[昨夜は疲れを見せていたものの、
 一晩ぐっすりと休めば体調は万全。

 旅籠で朝食を済ませ、
 早速ゴンドラに乗って薄墨神社の方へやってきた。]


 (今日も良い天気だ。まずは出店を見て回って……。
  そうだ昨日薦めて貰った舞を見に行きたいな。>>0:42
  ご神木も姫櫻の神楽も見たい。楽しみがいっぱいだ!)


[人とぶつからないよう注意しつつも、
 きょろきょろと忙しなく辺りを見回す。
 
遠目に、桜並木が見える。

 
はらりはらりと落ちる花弁と、芳しい春の匂い。

 
参拝客や花見客の和やかに笑う声。

 自分は今一人だけれど、
 同じ物を見に来ている人達の中に入り込んでいると、
 そんなことも忘れてしまい、
 物寂しい気持ちなど欠片もなかった。]

 
(7) 2022/04/11(Mon) 20:51:21

【人】 豊里

 
 
  お祭って、其処に居るだけで
しいんだな。

         私は、そんな事さえ知らなかったよ。
 
 
(8) 2022/04/11(Mon) 20:55:46

【人】 豊里

 
[幼い頃から、機械に囲まれ生きてきた。
 豊里家の子は真希奈と、歳の離れた弟のみ。
 代々続ける家業を継ぐ子が必要だったけれど、
 子は授かりものだから、
 都合よく男子が生まれるとは限らない。

 真希奈が後を継ぐかもしれない。
 そう思って、父は真希奈に豊里家流の英才教育を施した。

 暫し時を遅くして男子が生まれたものの、
 真希奈は筋が良かったから、其の儘教育は継続した。
 勿論、弟にも同じく英才教育が施されたが。

 厳しく躾けられ、技術を知識を叩きこまれた。
 だから知らなかった。

           自分が無知と云っても過言でない程、
                世間知らずだったなんて。]

 
(9) 2022/04/11(Mon) 20:57:38

【人】 豊里

 
[良い物を作る事は、
しい事だと思っていた。
 でも本当は、必ずしも正しいとは限らない。


         良い物が必ずしも、
         
い事に使われるとは限らないのだから。]

 
(10) 2022/04/11(Mon) 20:59:38

【人】 豊里

 
[あちこち見ていると、太刀を振るう人形が見えた。>>1
 香具師の男の口上に合わせて、人形が動いている。
 当然の様に興味を引かれ、
 近寄ってじっくりと動きを観察した。
 
紙はどんどん小さくなっていき、紙吹雪が舞う。

 
ご丁寧に薄紅色の紙で、花びらの形になっている。

 
一通り芸を披露すると、最後に人形はお辞儀をした。



      子供たちが「わー、すごい!」と
      感激するのに交じって、
      真希奈も拍手喝采を送った。

      思わず商品を買いそうになったが、
      冷静に考えると別に必要ない事に気付き止める。



   他にもぶらぶらと屋台を見て回ると、
   瓶入りのラムネを売っているのを見つけたので、
   購入して一休みすることにした。
   近くにベンチがあったので、其処に腰掛ける。
   瓶を呷れば、シュワシュワと
*
*

 
(11) 2022/04/11(Mon) 21:04:58

【人】 虹彩異色症の猫

[ 腕に大人しく収まっていたのは最初のうちだけで、一町も歩けば行儀良く抱かれているのに飽いたのか、街路に跳ね降り、まるで澤邑を先導するかのように先を行く。
 呉服屋の隠居が猫を連れての散歩はここ数日で見慣れたものになったのか、商店の店番が良い天気だねえ、と澤邑か猫に声を掛ける。

 見知った街並みなら我が物顔で歩みを進める子猫も、ひとつ、ふたつ角を曲がれば覚えのない風景に足取りが鈍り、そのうち蹲ったまま動かなくなった。今はまた澤邑が抱えている。

 神社へ近づくにつれ飴菓子の甘い香り、丸焼きにした烏賊の醤油の焦げる香ばしさ、塩をまぶした鮎の皮がパチリと弾く音さえ聴こえるような、祭りの出物の屋台が生じる香味が風に乗って漂ってくる。
 暫し腕で揺られるままだった猫も、澤邑の肩に前足を乗せ、匂いの源は何処かとふすふすと鼻を鳴らしている。その目の前に薄桃色の花弁が一枚ひらつき、身を伸ばして前足で掴もうとした。]

 んなあ。

[ 当然丸い手足で花弁を掴むことはできず、二度、三度と回した腕は全て空を切る。猫を抱えている側からすれば、肩先でいきなり暴れ始めた形だ。

 腕が緩んだならちょうど社務所の勘定台に飛び降り、なー、とひとつ猫らしく鳴いた。]**
(12) 2022/04/11(Mon) 21:06:29
豊里は、メモを貼った。
(a0) 2022/04/11(Mon) 21:09:55

虹彩異色症の猫は、メモを貼った。
(a1) 2022/04/11(Mon) 21:11:26

【人】 東天

[祭りの二日目は神楽の奉納がある。>>#1
神に捧げる神聖な舞の邪魔をしてはならないと、
姫櫻の神楽の前後に、旅芸人は舞を止める。
祭りあっての舞と、祭りの為の舞とでは重みが違うのだから。


そうは言っても、卑しくも得るものは得ねばならぬので、
今日も舞う事には変わりなく。


りん、と鈴を鳴らして、
振る袖に花弁を纏わせて、
満開の櫻の下、
今日もまっていた。*]
(13) 2022/04/11(Mon) 21:50:50
東天は、メモを貼った。
(a2) 2022/04/11(Mon) 21:52:25

【人】 澤邑

[ 住まいとしている呉服屋の店舗前から見渡せる通り一帯はこゆきももう慣れたもので、腕の中からもがいて地面に降りて、澤邑を先導してみせる。
 尻尾をたててすらりとした様子で歩く様は子猫も楽しいのだろうとわかる。]

  今日は神社まで行こうとおもってね

[ 良い天気だね>>12なんて声をかけられたら返答を返し。子猫が家の中で退屈して暴れるんだなんてことを言い訳にしているが、己の出不精も改善するかもしれない。]

  ごめんね、おいで

[ 見慣れた道から外れて神社が近くなれば人通りも増えて、こゆきが立ち止まってしまったから手を伸ばした。当然だと言う様子で腕の中に収まりしばらくは大人しくしていた。

 だんだんと、屋台の呼び込みや食べ物の匂い、祭囃子がきこえはじめてきたころにはすっかり元に戻って当たりを見渡していたからほっとする。
 あまりに怯えるなら戻るのも手かと思っていたのだがよかった。]

 あれ、気に入ったのかな

[ 社務所の前でお守り鈴を眺めていたのだが、急にこゆきがじたばたはじめてしまった。花びらを追いかけているんですよと、対面した売り子の一人に言われて顔が緩む。
 紐を少し緩くしたら、こゆきが上手に勘定台に飛び乗る。これで財布が扱いやすいだろうと言われてるような気持ちになってしまったのだ。]
(14) 2022/04/11(Mon) 22:57:40

【人】 澤邑


 これにしよう

[ 姫櫻にあやかって、桜の花びらを透かし彫りした意匠の鈴を選ぶ。他にも違う形のものがいくつかあったのだが目についたのがそれだったから直感を信じよう。

 鈴なんて人間の自己満足なのだろうけど、歩くたびにリロリロ鳴るのはきっと可愛いだろう。子猫が待っている間に支払いを済ませ、再び手を伸ばせば大人しく腕の中に戻ってくれたろうか。

 地面に降り立つようならしばらくは子猫の先導で歩いてもいい。**]
(15) 2022/04/11(Mon) 22:58:42
天のお告げ(村建て人)は、メモを貼った。
2022/04/11(Mon) 23:21:22

【人】 東天

[決まった場所で舞うのは、旅路で数か所。
止り木のように渡り歩き、舞う、
榛名はその一つ。

決まった地ではある程度の言伝も、
先代、あるいはその前から引き継いでいる。
義肢の調子を診た技師、ほつれた裾を繕った職人、そのような恩人の名は、それこそ礼を欠かぬようにと。
そして、代替わりを悟られぬように、その地で起きた事件など。


舞手東天は、常にこの世に一人きり。
継いで、繋げ、なぞり、長く長く旅を繰り返す。


繰り返し染み付いた流麗な舞に、少女のような可憐さなどはない。
舞にはそれぞれ役割がある。
この男にただ、その役目がないだけで。>>#2**]
(16) 2022/04/11(Mon) 23:23:25
九朗は、メモを貼った。
(a3) 2022/04/11(Mon) 23:24:15

【人】 虹彩異色症の猫

[ 澤邑が鈴を吟味し、財布を懐より取り出している間、猫は勘定台の売り子と戯れていた。

 御台に並んだ授与品に、手(足?)を出し悪さをしようとしていたところ、嗜めるように伸ばされた手をおっかなびっくり叩いていた。その手が自分に害のないものだとわかると、後ろ足立って、両の前の足で挟むように戯れつく素振りを何度も繰り返している。
 境内を寝床にしている野良の相手で慣れたものか、売り子も上手く猫の興味を惹いてあしらっている。

 澤邑が鈴を選ぶ心情も知らず>>15、勘定を終え再び猫を腕の中へ仕舞おうとすると、まだ遊び足りないと抗うように抱えた胴を飴細工のようにぐねりと伸ばした。

 それでもどうにか引き戻されると、前足や後肢を突っ張ってよい具合に腕の中に収まろうとしない。後ろ足でけけけけ、と何度も澤邑の腕を蹴る。
 最初は不機嫌の表れだったそれが、そのうちそれ自体が遊びに変わり、大人しく丸まりはしないが先までの虫の居所の悪さを忘れたようにするすると澤邑の躰をよじ登り、器用に両肩の上に立つ。

 広い参道は余裕があれど、桜目当ての物見遊山の姿は多く、猫にとっては高い位置にある方が気分が良いようだ。]**
(17) 2022/04/11(Mon) 23:48:50

【人】

[久しぶりに自宅で過ごして、少し遅い時間に目を覚ます
遅いと言っても体感で、決して遅くはないけれど
交代制の船での習慣は簡単に治りそうにはない]

 出かけるにはまだ時間があるな

[とりあえず昨日の残りで朝飯を済ませ身支度を整える
ラジオを付けたなら、今日も花見日和とアナウンサーが告げる
薄墨神社の神楽舞は予定通りに行われるから混雑に注意をと呼びかける

男の俺には関係ないが、女子にとって神楽の舞子に選ばれるのは名誉なことだという
何しろ機会は一生に一度しかない
女の子を持つ親にとっても同様で、おふくろなどは「お前が女の子だったらねぇ」とか冗談めかして言っていたものだ]
(18) 2022/04/12(Tue) 0:01:20

【人】 九朗

[一二三がいないことに気づいたその直後は、人より頭半分飛びぬけているだろう褐色の髪を探すのに夢中であったため。
同じ人垣の中に太刀を振るう人形に足を止めた、年若い人形技師の才媛がいたことには残念ながら終ぞ気づかず。>>11


――― いや。
気づいたとて、祭りと桜を楽しむひとりとひとり。
果たして会話は弾んだだろうか?]
(19) 2022/04/12(Tue) 0:01:54

【人】

[親父もおふくろも子供好きで世話焼きだった
だから兄弟がいてもおかしくはないのだが
俺を産んだ時に体を壊して二人目を産めなくなったのだと
ある程度大きくなってから笑い話のように聞かされた
「お前のせいじゃないからね」と言われて、それはそうだと思うけれど
本当は娘を欲しがっていたことも俺は薄らと気付いていた

とはいえ、俺が女だったら「後継ぎがいないこと」を嘆くだろうし
考えてもしょうがないことと思っているのだが]
(20) 2022/04/12(Tue) 0:02:58

【人】 九朗

[人と人の賑わいの中。
砂上の浮島特融の炭や煙のにおいすら春風とともに覆い隠すのは、
子供が喜ぶ甘い菓子の匂いに、食欲を誘うタレや醤油の焼ける匂い。>>12

人が溢れる商店街のにおいだ。
子供が駆け回る祭りのにおいだ。

その匂いに釣られるようふらふらと出店へ近づき、早速桜色の餡を乗せた串団子をみっつ買い求める。
とはいえ往来で団子の立ち食いもどうかと。
周囲を見回す九朗の鼓膜を打ったのは、神楽の鈴とは異なる凛とした鈴の音。>>13

それは満開に咲く桜の木の下。
何かを囲む人垣の中からその音は聞こえたようで、興味を引かれるまま九朗の足はそちらへ向かった。]
(21) 2022/04/12(Tue) 0:03:24

【人】

[幸さんをうちに迎えるとなった時、おふくろが一番張り切っていた
欲しかった娘ができたようなものだからだろう
初めは俺が嫁を貰ったと近所に誤解されたが、それについては揃って否定した
とはいえ「
まだ
娘じゃないんですよー」とか言ったものだから、いつ結婚するのかという詮索は続いたが]

 神楽を見に行くのは難しいかな、今日は

[療養施設から神社まではかなりあるはずだし、何よりけが人を人混みに連れ出すわけにもいかない
まあ、今の時期、榛名では其処彼処で桜が咲いている
風情はないが施設の庭でも花見は出来るだろう

ちなみに、幸さんに神楽のことを聞いたが「内緒です」と誤魔化された
黒歴史、という言葉が過ったからそれ以上は触れずにいる]

 さて、そろそろ行くかぁ……

[到着にかかる時間を見越して家を出る。
名も知らぬ小鳥が「ぴぃ」と鳴いた**]
(22) 2022/04/12(Tue) 0:05:27

【人】 九朗

[果たしてそれは、幼いころに家族や友人と見た狐の舞いだったか。
それとも砂漠の海を幾度も渡り、知識を求めて方々の島を彷徨っていた頃に見た舞手の一人か。>>0:53

どちらの記憶も二十年、或いは三十年も前の話だ。
九朗自身の記憶も曖昧で、きっかけがなければそれ以上の過去が呼び覚まされることはないだろう。

今の九朗の目に映るのは、白い狩り衣の裾が春と桜を従わせてふわりと舞う優美なしぐさ。
凛と鳴る鈴の音に、扇と衣が風を切る音。
足さばきひとつまで芸術の域にまで高められた流麗な舞に、九朗はただ感嘆の息を吐いた。**]
(23) 2022/04/12(Tue) 0:07:07
は、メモを貼った。
(a4) 2022/04/12(Tue) 0:08:57

【人】 大崎

[素泊まり出来る安宿を探し、外で適当に食事をとり、部屋で暇つぶしに知恵の輪などしているうちに眠っていた。旅の疲れが出たのだろうか。]

ん……祭り?

[翌朝、顔を洗っていればどこか浮いた空気。
どうやら前日から祭りが行われていたらしい。

少し考えて、まわってみることにした。
贅沢は出来ないが、たまには観光も良いだろう。]
(24) 2022/04/12(Tue) 17:28:52

【人】 大崎

[宿を出て、一歩外へと踏み出せば、
春の風に迎えいれられる。

神社へと近づけば満開の桜が並び、桃色と空色、草木の緑が目にまぶしい。美しい光景だ。]

……まぶしい。

[並ぶ屋台の一つの前で立ち止まり、桜餅を一つ所望。春の和菓子を噛みしめる。]

……甘い。

[茶も欲しくなった。]
(25) 2022/04/12(Tue) 17:31:16

【人】 大崎

[予め水筒に入れておいた水を数口飲む。
茶は節約した。

水を飲みながら一休憩。
桜の下で舞うのは旅芸人か。>>16

……きつね?

[どこか別の場所でも見たことがあるような、ないような。
旅人ならばどこかですれ違ったこともあるだろう。


見て楽しげなもの、食べて美味しいもの。
どれを選ぶべきか考えながら、桜の花を眺めている。**]
(26) 2022/04/12(Tue) 17:31:35
大崎は、メモを貼った。
(a5) 2022/04/12(Tue) 17:32:54

【人】 澤邑


 あ、すみません

[ こゆきがタシタシと悪戯を嗜めようとした手を叩いているのが見えてそんな言葉を。爪を立てたりしてなくてよかった。
 初穂料?を収めて、お守り鈴を授かった。家に戻ってから、うまいこと首輪に繋いでしまおう。

 こゆきを再び抱き抱えようとしたら、するりと手のうちから逃れてしまう。さすが猫の子だなあと感心してしまうが、とりあえず台の上から下ろさなければと無理やりに抱えたら前足を突っ張って収まらないぞと抵抗するし、果ては後ろ足で澤邑の腕を蹴る始末。

 ペコリと頭を下げて社務所を離れてしばらく格闘していたのだがそのうち落ち着いて肩に登って収まった。こゆきの腰あたりに手を添え、紐を短く握って背後に飛び降りられないように気をつけておく。]

 あれ、懐かしいな

[ 少し移動したら、>>11ラムネを売った屋台が目に止まる。子供の頃飲んだきりだ。帰り道に買ってみようかななんて考える。

 それから>>13狐面の舞手が目に入った。]

  昔のままだ

[ 人垣の間に立って、踊りを見てそんな感嘆の言葉が漏れた。桜の時期は観光客も多くて繁忙期だから、現役時代は忙しくて、こんなにゆっくり見たのは何十年かぶりだ。

 なのに何にも変わっていない狐面の舞手になんだか思い出がそっくり現実に現れたような気持ちにさせられる。*]
(27) 2022/04/12(Tue) 19:33:19

【人】 虹彩異色症の猫

[ さんざ暴れて肩の上まで駆け上った癖して、 澤邑が歩くとなると肩に乗せた足元がおぼつかない。ずり落ちるように腕の中に再び収まると、居住まいの良さを求めるように身をもぞつかせる。

 ついに尻の収まりのよいところを見つけると、人心地ついたかのように身を任せる。

 狐面の舞手に飼主が足を留めていれば>>27、そのままうとうとと寝入ってしまう。]**
(28) 2022/04/12(Tue) 19:43:26

【人】 豊里

 
[ラムネを飲みながら、人の往来をのんびりと眺めていた。
 親に連れられ、はしゃぐ子供たち。

 頻りに上を見て歩いているように見える、髪の長い御仁。>>19
 若しも彼が太刀を振る人形に気を引かれたと知れたなら、>>1
 好奇心旺盛な真希奈は、
 あれこれ質問して話に花を咲かせようとしたのだろうけれど、
 お互い何も知らぬ身。声を掛けるようなことはなかった。]

 
(29) 2022/04/12(Tue) 20:08:54

【人】 豊里

 
[飲み終わったラムネ瓶を店へと返し、
 引き続き出店を見て回っていると、射的を見つけた。
 景品へと目を向けると、掌に乗る大きさの小さな日本人形が。
 桜色の着物を纏い、優美に佇んでいる。]



  これを自分へのお土産にしよう。
  親父さん、一回やらせてくれないか。


[射的は得意なので、もうすっかり取れた気で云うと、
 コルク玉を五つと、銃を出してくれた。
 しっかり狙いを定めて、まずは一回目。
                  
……外してしまった。]



  まずいな。
  命中してもあれは一発では落ちない。


[見た目から算出した大体の重さを考えると、
 何度か当てなければ落ちないものだと思われた。

 仕方ない。
 本気を出すか……と、真希奈はゴーグルを外した。]
 
(30) 2022/04/12(Tue) 20:11:57

【人】 豊里

 
[真希奈の家は、代々銃を作る銃工の家系だった。
 幼い頃から工房で育ち、
 銃作りの技術や知識を叩きこまれて成長した。
 弟がいるけれど、家を継ぐのは真希奈かもしれない。
 名匠の器だなんて、持て囃されたこともあった。


       ある時、工房に一人の青年がやってきた。
       当時の真希奈よりも年若い、
       何処か少年らしさを残した青年は、
       真希奈の作った銃が暴発したせいで、
       兄が大怪我を負ってしまったと訴えた。

       後で調べた所によると、
       族を追っていた自警団の青年が、
       捕えようと揉み合ったことで
       銃が暴発して起きた事件で、
       銃を作った真希奈には一切過失はなかった。


    きっと、大事な兄が負傷して、
    いてもたってもいられなかったのだろう。
    逆恨みであることを薄々気づいていたけれど、
    その場にあった銃を真希奈の左目につきつけて、
    
「人非人」
と吐き捨てるように云ったのだ。]

 
(31) 2022/04/12(Tue) 20:15:06

【人】 豊里

 
[確かに私の過失ではなかったけれど。
 私は其れまで自分が作っているものが、


       
"何か"
考えることもしていなかったんだ……。]

 
(32) 2022/04/12(Tue) 20:16:33

【人】 豊里

 
[それ以来、すっかり心が折れてしまい。
 
銃を作る事が出来なくなった。

 父も流石にこんな危険な目に遭った以上仕方ないと、
 真希奈に仕事を強いることはしなかった。

 幼い頃から、機械に囲まれて生きてきた。
 其れ以外の色々を知らない真希奈は、
 結局作る物を変えただけで、作ることは止められなかった。
 憎しみを生まず、人に愛されるもの。
 自動人形が其れだと思い、人形作りに没頭した。


     真希奈のゴーグルには、防弾硝子が嵌められている。
     あの時の恐怖は殆ど薄れて消えているけれど、
     その間ずっとつけていたせいで、
     外すと落ち着かなくなってしまった。]

 
(33) 2022/04/12(Tue) 20:18:28

【人】 豊里

 
[何年かぶりに外でゴーグルを外したので、やはり眩しい。
 とは云え、ゴーグルをつけたままでは邪魔なので、
 暫し目を瞬いて光に目を慣らす。銃を構えた。

 集中して、連続で玉を当てた。
 動かない的相手なら、何度も実弾だが試し撃ちしてきた。
 最後の一発が見事頭に当たり、人形は棚から落ちる。]


  やった!旅の思い出が一つ形になった。


[ご機嫌で、人形を布に包んでトランクに入れた。
 隣の店で敷物が売っていたので、それも購入した。
 お昼に食べようと思い、塩焼きそばと苺大福も購入。

       昨日、職人街でお薦めされた舞を見ようと、
            聞いていた櫻の大木を目指した。**]

 
(34) 2022/04/12(Tue) 20:20:42

【人】 澤邑


 眠いか

[ >>28物珍しげに当たりを見回して高みから得意げに見えたこゆきだが、舞手を眺めるために足を止めたら退屈してしまったようだ。
 肩から下ろして腕の中に収めてしまう。しばらくはそうして桜の舞い散る中、舞手を眺めていた。

 それから投げ銭をするものだと気づいたから、子猫が目覚めるまでか、踊りが終わるまでか、しばらくここでじっとしてようと思う。**]
(35) 2022/04/12(Tue) 20:37:39

【人】 澤邑


 少し惜しいが、今日はもう帰るかな

[ 三年に一度の娘神楽が奉納されるはずだが、ここよりももっと神楽殿は人が多いはずで、こゆきもすっかり疲れて見える。

 澤邑も人混みに疲れたのをこゆきに重ねたのかもしれない。]

 包みもなく申し訳ない

[ 小さな子猫だ、片腕でなんとか抱えて袂から小銭入れを取り出し、舞手へ折りたたんだ札の一枚を捧げた。もしかしたら綺麗な封筒に入れたりするのが正解なんだろうか?なんて考えたりもしたが、準備できるほどの前情報を持たなかった。

 それから来た道を戻るのだが、ラムネも買い食いもお土産も、子猫を抱っこしていたらどうでも良くなってしまった。不精なものだ。自宅そばのいつもの和菓子屋で団子を人数分購入するという、目新しさのないことになって、家人に呆れられたかもしれない。**]
(36) 2022/04/12(Tue) 20:50:58

【人】 豊里

 
[話に聞いていた場所に向かってみると、
 人垣の先に大きな櫻。
 そして其の下で舞う狐面の男が見えた。>>13
 もう始まってしまっていたが、始まったばかりの様だった。
 人垣の頭と頭の間から、顔を覗かせて其の姿に見入った。


 音を鳴らすのは鈴のみで、お囃子などはないけれど。
 でもそれが却って神秘的に思えた。
 狩衣の袖がふわりと揺れて、扇が空を切る。
 桜の花びらは、舞い手に追従するように踊った。


                     
リン……


 最後に鈴が一つ鳴ると、舞は終わった。
 拍子をとっていた見物人の手が、拍手を送る。
 
真希奈は圧倒されつつも、手を叩いた。


 どのような歴史がある舞か、
 残念ながら真希奈は知らないけれど、
 お薦めして貰って、見ることが出来て良かったと思う。
 技術は新しいものに、どんどん上書きされてしまうけれど、
          美しさは決して色褪せない。
          ずっと大切にされていくものだから。**]

 
(37) 2022/04/12(Tue) 21:32:49

【人】 東天

[狐の面で顔を隠している上、その舞は祭りの熱気を度外視しても人を魅せるもの。
巧みに操る扇も、ひらめく裾も、魅せるに値はするのだが、
老いを重ねた故の深みはまだ軽く、若さは隠し切れずほんの僅かに滲む。
とは言え、もう片手で足りぬ年月、この名を名乗ってきた。
昨年よりも、その前のどこかの道よりも。
今日この日、この瞬間の舞が最も円熟した舞である。


りん、と鈴は空気を振るわせ、
賑やかなはずの囃子の音の中、
かいくぐっては人の元へ。>>21

其の音が誘い観客となるか、>>23>>27
或いは僅かな縁となるか、>>26
それは見る者へと委ねて。>>28>>37]
(38) 2022/04/12(Tue) 22:05:06

【人】 東天

[ちりり、転がすように。
鈴を鳴らして扇を放る。


円を描くように上がり、そして落ちる扇を
くるりと風雅にその手で翻し、
流水のように扇は舞へと戻っていく。


その流れる指先に、薄墨の花弁が絡んでいた。
爪に火が灯るかのように。*]
(39) 2022/04/12(Tue) 22:07:34

【人】 九朗

[舞い手の動きがぴたりと止まれば、ぱらぱらと始まった手を打つ音は一呼吸の間に称賛の拍手へと鳴り代わる。
それとともに狩り衣の舞手へ投げたり、手渡さたれたりする投げ銭。>>35
用意のいい客は色や柄のついた和紙に銭を包んで準備していたようだが、生憎九朗にそこまでの用意はない。

とはいえ何もせずに立ち去るのは…と。
小銭を入れた財布を取り出し、相場と思しき金額にほんの少しの心づけを添えて、懐紙に包んでそうれと投げた。

過去の九朗が遠い地で故郷の祭りを懐かしみながら、同じ狩衣に狐面の舞い手に投げたもの。
それを受け取ったのは先代か、或いは当代か。
そもそも東天を名乗る舞手の代替わりすら知らぬ九朗が、今それに気づくことはなかっただろう。*]
(40) 2022/04/12(Tue) 22:25:53

【人】 九朗

[舞いが終わり、観衆の輪が少しほどけたその流れに流されるように。>>36
止まっていた九朗の足も再び歩き出す。

手に持っていた串団子は残り二本。
偶然、白く丸々子猫を抱えたご隠居とすれ違えば。
手ぶらで帰るその様に、餅もまだ柔らかい串団子を土産にどうぞと手渡したかもしれない。

そうでなくとも、途中で一二三に会うかと少し多めに買ってみた串団子。
このまま持っていても、これでは神楽が始まるほうが早そうだと。
更なる人込みの予感に早々に見切りをつけて、甘さと塩気の塩梅がちょうどいい桜餡を口へ運んで咀嚼する。

もっち、もち。

食べ歩きは行儀が悪いと咎める人も今はおらず。
小さな子供に至っては、綿菓子片手に器用に人ごみを抜けて走り回っている。
それでもぶつかりそうになれば、九朗の方が半歩避けて道を譲り。
別の通行人に肩をぶつけて、すみませんと頭を下げることになるのだがご愛敬。*]
(41) 2022/04/12(Tue) 22:40:21

【人】 東天

[音を立てて扇を閉じれば舞は終い。
面の中で笑ってもわからぬから、恭しく観客に礼を。

祭りと言う非日常に財布の紐が緩むのは、旅人も日々ここに暮らす者も変わらない。
有り難く、色鮮やかな和紙に包まれた感謝を受け取る。
その感謝はどんな形でも。
平等に変わらぬもの。


狐面の、細く開く目からさらに目を細めて。
遠くから放る観客にも、また礼を。>>40
その礼儀は記憶の中の舞手と変わらない。
川の流水のように、継ぎ目を感じさせぬを理想として、
幾度も同じ景色を、違う目で、"彼ら"は見ていた。




舞手"東天"に引き継がれるのは舞だけではなく、
礼と、義と、記憶と──**]
(42) 2022/04/12(Tue) 22:49:48

【人】 九朗

[甘いものを食べたら、次は何かを飲みたくなるのが人の性。
硝子の瓶に丸いビー玉が入ったラムネの瓶は魅惑的で、九朗も一二三も、子供の頃は貯めた小遣いを握って真っ先に向かっていた頃もあった。
そのうち瓶を割らずに中のビー玉を取り出すにはどうしたらいいか。
どうやって瓶の中にビー玉を入れたのかと。
瓶の構造に夢中になりはじめるあたり、三つ子の魂百までよく言ったものだと九朗はしみじみそう思う。

とはいえ、甘い団子を食べた後は、甘い炭酸水よりも少し渋い茶が飲みたいと九朗は思う。

そうなれば、行く当てもなくただ流されていた足は目的を持って歩き出す。

榛名の商店街から出店している店だから、今年も店を出しているだろう。
祭り用に持ち運びできる竹筒に入れて売られる茶を求め、]
(43) 2022/04/13(Wed) 0:23:44

【人】 九朗



[ ――― カラン カラカラ ]

 
(44) 2022/04/13(Wed) 0:24:06

【人】 九朗

[魚竜の骨を磨いて作られた風鈴が、春風に揺られて乾いた音を立てている。
同じ店の商品には、白く磨かれた指輪や腕輪、耳飾りなどの装飾品も売られていた。

そのどれもこれもが、驚くほど繊細な彫り細工を施されていた。
子供用の小さく安価なものから、榛名や桜を連想させる少し値の張るものまで。
硝子玉を嵌めたものもあるが、九朗の目を惹くのは、骨という素材に透かし彫りを施す職人の技術。


戻らないと言ったのはどの口か。


純粋に美しさを愛でる出なく。
ただただその技術と技量を推し量ろうとする。
どうやって作ったのか。
自分ならどう作るか。

未練かと聞かれれば、それは否だ。]
(45) 2022/04/13(Wed) 0:24:26

【人】 九朗

[それでも染み込んだ思想や習慣の類いは、早々なりを潜めるものでもないということか。
カラカラとぶつかり合う骨の音色を振り払うように歩を進め、目当ての出店で飲みなれた味の茶をひとつ。

なんのことはない竹筒の水筒だが、喉を潤すには値段も量も丁度良く。
口内に残る甘い桜と餡の味を清涼な茶の味で洗い流し、道行く人をぐるりと見渡せば。
今度は練った水飴を売りながら、子供相手に熱弁を振るう紙芝居屋が目に留まる。
演目はおそらく、九朗や一二三が子供の頃から人気の英雄譚だろう。


「その姿およそ五十尺!
 竜のごとく堅牢な鱗に毒の棘持つ鰭、
 魚にはない獣の如く鋭い牙が
 蒸気帆船を守る傭兵たちの血に染まる!

 このまま船は砂の海に沈むのか!!
 誰もが絶望に膝をつきかけた時、
 一人の男が立ち上がる!!」


拍子木をカカンと打ち鳴らして、紙芝居屋の男が恐ろしい魚竜の描かれた絵をスパッと引き抜いた。]
(46) 2022/04/13(Wed) 0:26:14

【人】 九朗

[子供たちの歓声とともに現れたのは、身の丈ほどもある巨大な銃槍を携えた一人の男だった。


「『諦めるな!
  閃光玉の光を合図に、
  魚竜の体へありったけの銛を撃て!』

 男が持ちたる銃槍、
 巨大な魚竜の鋭い牙に負けず劣らず!
 その鋭き穂先は鍛え抜かれた鋼の如輝いて!!

 男の雄姿に再び立ち上がる傭兵たち。
 士気高揚な顔ぶれに、
 男は手に持った閃光玉を
 巨大な魚竜の鼻先へ投げ ――――」


幾本もの銛を撃たれ、砂の海面に縫い留められた巨大な魚竜。
男はその心臓目掛けて銃槍を放ち、見事魚竜を仕留めるというもの。

子供向けに脚色されているとはいえ、
凶暴な魚竜の群れに遭遇すれば船が沈むこともある。]
(47) 2022/04/13(Wed) 0:27:23

【人】 九朗

[幸いにして、近年はそのような不幸な事故は随分減った。
造船技術の進歩、安全な航路の確保、魚竜を狩る武器の発展。

理由は様々にあるだろうが、それはまた別の物語。**]
(48) 2022/04/13(Wed) 0:29:48

【人】

――見舞い――
[療養施設の前で幸さんと出くわした
見舞いに来ることと花見の件はすでに話をしてあると
外出許可も取れたからと言われて相変わらず気の付く人だと思う
手に抱えた荷物は花見弁当だという]

 昨日あれから用意したの?

 「はい、卵焼きと唐揚げとおイモのフライは外せませんし
 昨日のうちに下ごしらえして朝にざっくりと
 お稲荷さんだけは風花堂さんのを買いましたけど」

[それにしては多くないかと視線を向けるが、幸さんは普段と変わらない顔で
「これくらいは食べるでしょう?」とだけ言った]

 食べなくはない、か
 おふくろの所に行くなら一緒に行く?
 あ、その前に先生に挨拶しないとか

 「なら先に行って創さんが来たことをお伝えしておきますね」

[そういって小走りに中へと消えていくのを見送って受付に向かう]
(49) 2022/04/13(Wed) 1:08:48

【人】

[受付で要件を告げたなら、少しの間をおいて部屋に通された
怪我の状態は問題なく、多少不自由は残るが手伝いがあれば退院しても大丈夫とのこと
おふくろの場合、ここで療養しているよりその方がいいし本人も希望しているから、と
とはいえ、そのためには検査とリハビリの調整が必要だから少しかかるとも
「幸さんがいるから」と言っていたけど息子さんもいるなら安心だとも]

 「日程は本人と話して調整しましょう、決まればお知らせします」

[そう締めくくって話は終わり、俺は頭を下げて部屋を出ておふくろの所に向かった]
(50) 2022/04/13(Wed) 1:09:58

【人】

 「おや、来たのかいバカ息子」

[再会の挨拶がこれだ
とはいえ、おふくろの顔が嬉しそうだったのは気のせいじゃないだろう]

 先生と話したよ、うちに帰っても大丈夫だって
 日取りはこれから決めるってさ
 んで、まさか俺に船に戻れとは言わんよな?

[言われたおふくろはきょとんとした後で笑い出した]

 「当たり前だろう?
 せっかく陸に上がるって、あの、船馬鹿が言ってるんだものね
 今までの分も存分に相手してもらうから覚悟おし」

[言葉は悪いが一緒に居られることを喜んでいるとわかって安心した
同時に、それだけ寂しがらせていたのかもしれないとも]
(51) 2022/04/13(Wed) 1:11:32

【人】

 んじゃ、花見なんだけど……

[ここの庭でもいいかと思っていたがおふくろから提案があった
少し歩いたところに薄墨神社ほどではないが桜の見事な公園があるのだと
折角一日外出許可を貰ったからそこに行ってみたいと
もちろん反対する理由はない]

 それじゃ仕度して、用意が出来たら出かけようか

[そういって身支度が済むのを外で待つ(女の着替えは覗くなと追い出された)
その間に他の入所者や職員さんに「橘さんの息子さん」と挨拶をされた
どうやらここでも世話焼きは健在だったようだ

支度が出来たと言われ部屋を覗けば、綺麗にめかし込んだおふくろがいた
やっぱり小さくなったなぁと心の中で思いながら

似合うと言ったら照れ臭そうに笑った]
(52) 2022/04/13(Wed) 1:13:13

【人】

[外は穏やかな花見日和
ゆっくり歩くおふくろに合わせてのんびりと移動を楽しむ
道行く人が微笑ましげに見て来るけれど
彼らの目には俺と幸さんは夫婦に見えてるんだろうか、などと今更思った**]
(53) 2022/04/13(Wed) 1:14:09

【人】 虹彩異色症の猫

[ くうくうと鼻息を立ててすっかり寝入っている子猫は、舞が終わり演者の礼の後の暫しの静寂>>42、その後鳴り渡った拍手>>40にも目を覚ますことはなかった。飼主が同様に手を打っていれば、腕という己の寝床に響いて苦情に似た寝言をもにゃもにゃと口にしたかもしれない。

 結局猫が目が覚ましたのはもう家の近場まで来た頃で、大口を開けての欠伸と伸びをすると、ひょい、と腕の中から路面に降りた。ふすふすと地面を嗅ぐと、ここは己の縄張りだと言うように尾っぽを立てて歩いている。
 装具と飼主の付き添いがなければこんな大きな顔ができたものか。

 帰宅すると、ただ帰ってきただけでえらいねえ、と家人に褒められる。

 畳の間に戻す前にまた足と躰を丁寧に拭き清められたが、白い毛並みに桜の花びらがひとひら、ふたひら土産のように紛れていた。]**
(54) 2022/04/13(Wed) 7:55:14