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【人】 Y『恋人』 クリスタベル── 回想:洋館/17歳の誕生日 ── [ 毎年誕生日の数日後に帰郷するのが習慣になっていた。 一目を避けて夜更けにそっと洋館を発つまでして帰るのは あまり気乗りのしないものだったけれど、家族らしい行事 は、まあ、不快なものではなかった。 洋館での暮らし、ナハトと過ごす時間に少しずつ満たされ 精神的にも安定してきたのか、疾うに諦めていた人たちが 歩み寄ろうとしてくれることを素直に受け入れられた。 17歳の誕生日を迎える一週間前。 いつものようにそれを知らせる手紙を待っていたけれど、 待てども知らせは届かない。 手紙を書いても宛先不明で戻ってくる有様に、なんとなく 指先が冷える感じがする。 洋館の職員に、父を──コールリッジ卿について調べて もらうように依頼した。 中央の邸宅の主に何かがあるなら、調べることも容易で あろうと、その報せを待つ。 ] (74) 2022/12/14(Wed) 2:46:16 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 春、雨上がりの朝に生まれた。 宿命だったのか、 或いは二人とも死産の筈が、証持ちだけがその性質故に 生き残ってしまったのか。 一人きりで生まれた日。 喪失感に身も世もなく泣くしか出来なかった、 丁度こんな日だった。 握り潰した報告書。ただ窓の外を見ている。 約束の時間になっても現れないので迎えに来てくれた彼 を声だけで部屋に招く。 「卿は半年前に職を辞し、中央の邸宅を引き払い、 婦人の療養の為に南に小さな屋敷を買って暮らしている」 そうだ。 ──何かを、期待していたわけじゃない。 ただ、そこにあることだけは疑っていなかったものが なくなっただけだ。 たとえば、愛はなくとも、家族の繋がりだとか。 ] (75) 2022/12/14(Wed) 2:48:03 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ でも、────ああ、それでも。 それは長い夢を醒すノックの音だった。 「 ──ねえ、どうしていないの?」 いつかの少女の嘆きがリフレインする。 ] (76) 2022/12/14(Wed) 2:48:24 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 知りたくなかった。気付きたくなかった。 どうしたって 生きて いる ことを許してはくれなかった。 生きていたくて、でも許されない気がしていて、 それを誰かに本当はあなたたちに認めて貰いたかった。 でもその答えがこれなの。 ] (78) 2022/12/14(Wed) 2:49:00 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 駄目だってわかってた。 兄がいて、私がいて、家族四人が あなたたちの望む 完璧だった。でもどうしたって わたしたちはひとり で。 ──── ひとり、で。 ] (79) 2022/12/14(Wed) 2:49:18 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 彼は何か声をかけられただろうか、 それとも沈黙を守っただろうか。 窓を睨む自分には何も聞こえない。一瞥もしない。 考えるのは苦手だ。考えることに疲れてしまったから。 なのにずっと考えている。割れる様に頭が痛い。 アリアの薬なのに、おかしいや。 いくつ飲んでもちっとも効きやしない。 ] 17年前の今日も、こんな日だったそうだよ [ 来てくれてありがとう、 と言いたかったような気がする。 ] きみと出会ったあの家にはもう帰れないみたい [ ごめんね、少し体調が優れなくて。 と伝えたかったような気がする。 ] おんなじ日にまたなくしたんだって。笑っちゃう [ だから食事は一人でしてきてね? とお願いしたかったような気がする。] (81) 2022/12/14(Wed) 2:50:56 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 頭がぼうっとする。 ねえ、どうしていないの。 その答えは 「ここにいるからだよ」 と。根拠もない。確信もない。ただそう信じただけだ。 信じる心を支えたのは胸にある証で、 辻褄を合わせると成程しっくりときてしまったのだ。 しっくりときてしまったから狂うしかなかったのだ。 『恋人』が真に一人で生まれてきた例はないという。 二人で証を持って生まれてくるか、箱庭の『恋人』の ように二人でひとり生まれてくるかだそうだ。 なら私は何なんだろう。 手を取り合う片割れも、心で繋がる片割れも持たないの ならなんで生まれてきたの、なんでまだ生きているの。 神様はどうして完璧につくってはくれなかったの。 ] (82) 2022/12/14(Wed) 2:52:43 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ それから。 倒れてベッドに運ばれて、医者に診せられて、 薬の包み紙から過剰摂取をしこたま叱られて、 安静のために寝る様にと言い付けられ泥のように眠って。 また起きて考えて寝て。 そうして意味不明な言葉を投げられて戸惑っているだろう 彼に何も返せないまま、思い至ったことがある。 正気か狂気かの違いだけで、結局何も変わっていない。 墓の中の猫にいる猫の生死を問う思考実験と同じだ。 片割れが『恋人』だったのかどうかなんて、 『恋人』にわからなければ神にでも聞くしかないのだ。 だから真実なんてどうだっていい。構わない。 これまでどおり、それでいい。 ねえ、お願いだからここにいて。 * ]ここにいてよ、お兄様。 (84) 2022/12/14(Wed) 2:54:16 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a10) 2022/12/14(Wed) 3:15:56 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a12) 2022/12/14(Wed) 3:25:23 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル── 回想:力が抜けるやりとり ── っふ、ふふ──── [ 駄目だ、ツボに入った。>>0:534 天丼だし声のトーンの割にはちらとも驚いた風はなし。 絵本の台詞みたいで珍妙でキャッチーで癖になる。 ] …………ふぅ。 やあ、ごめんごめん。 ちょっと意表を突かれた。 それは素敵な名前を付けてもらったんだねえ。 じゃあわたしたちはその名付けに敬意を表して、 きちんとフォルスと呼ばせてもらうとしようかな? [ 売店、そういうのもあるのか。 洋館にいながらお買い物が出来るなんて便利だな、 と興味が向いたので、] (117) 2022/12/14(Wed) 8:42:58 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 後日真新しい財布片手に実際に訪ねてみれば>>0:399 本で読んだ商人の挨拶を投げてみると、>>0:535 実に軽快な反応。成程、これが本場。 ] 本で読んだのそのままで、今ちょっと感動してるよ。 本当にやるんだなあ、モウカリマッカボチボチデンナーってやつ。 [ おすすめと聞いたら、何故か売り子と返された。 確かに商品とは言ってないけど。 ] うーん、それは興味がなくもないけれど。 お金も買い物もはじめての経験なんだ。 売る側が務まるとは思えないなあ。 [ だから次の機会に、というのは体よく断る便利語録だ って読んだことがある。社交界にも派生系があるとか ] (118) 2022/12/14(Wed) 8:43:16 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ さておき。 おすすめ商品とやらの説明をふむふむと聞いて、 「悪魔がどんな顔に〜」と振られれば ああ、と ] ふふ。彼が甘いお菓子を食べてる顔、可愛いんだよ。 見せてあげたいけど、残念。感想だけ教えるね。 [ 違うそうじゃない。 と思ったかもしれないけれど、やっぱりそれも面白がって ぽんと言葉が返るのだろうなと 思うけれど それはまた別の話 * ] (119) 2022/12/14(Wed) 8:43:45 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ もし。 彼の友人に向ける眼差しを見咎められたら決まり悪げに、 ……君は宿敵に弱味を握られてるかも知れない時でも 相手を警戒しないでいられるタイプかい? わたしたち はそうじゃ「なかった」んだ などと零した かもしれない。 それもこれも別の話 。 * ] (120) 2022/12/14(Wed) 8:44:29 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル── 回想:二年前のある日 ── [ 結局定期的に通う常連になった。>>0:386 頭をちょっと使うとすぐ痛むので困り物。 飲み易いのがいいなあとか眠くなる作用のはないかな? なんて好き勝手言うくらいには、一方的な距離が縮まり、 相手はいい意味で最初のまま。 だけど、 勝手に量を増やすどころか一気飲みしちゃった、 なんて言ったら流石にしっかりと怒られるだろうか。>>84 そんなだというのに復活第一発言は ] やあ、麗しの薬師の君。 少し強めの薬をお願いしたいんだけど、いいかな? [ だというのだから始末が悪かった。 * ] (121) 2022/12/14(Wed) 8:45:24 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル── 回想:17歳の誕生日から ── [ あの日。様子がおかしかったことを>>82>>83 心配してくれただろうか。 ……多分、きっと。 回復してきた頃>>84、 もしあの日のことを聞かれたとしても 「ごめんね? なんだっけ、忘れちゃったな。 薬を飲み過ぎてぼうっとしていたみたい。」 何を聞かれても薬のせいと誤魔化しただろうし、 家の何某かはきちんと伝えた…或いは報告書に 目を通して承知のことだったかもしれないが。 あの日の後も変わらず過ごしている。筈だ。 少なくともきみにだけは、そう映るように過ごしていた、 つもり。 * ] (122) 2022/12/14(Wed) 8:46:20 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a17) 2022/12/14(Wed) 8:53:11 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a18) 2022/12/14(Wed) 8:54:23 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル── 回想:誕生会 ── [ 誕生会の歌の集い。 女性だけの方が、とか全員で歌いたい、とか。 風に乗って届く声に迷いつつ参加表明してみたけれど。 練習からは少しずつ少しずつ足が遠のいていた。 自主練しておくから、なんて言い訳してみたけれど、 最終的にはやっぱり不参加で、なんて発案者のチェレスタ にも参加メンバーにも悪いことをしたなとは思ってる。 音楽は好きだし、家庭教師に声楽を教わったこともある。 でも、正直今の自分の声は好きになれない。 高いままの声も、丸みを帯びていく体も、 ]女性に近づいていく自分が嫌だった。 こんなのはちっとも わたしたち じゃない。 (231) 2022/12/14(Wed) 23:02:40 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ それでも暗い気持ちを片付けて、 用意していた赤い靴>>0:30を贈れば 彼女は喜んでくれただろうか。 眩しかった。 外界に解き放たれた可憐な蝶、 これから世界を知っていく無垢な5歳の女の子。 御礼を言われたら、 「素敵な靴が素敵な場所に連れて行ってくれますように」 と寿いで。……本当に、そうなればいいと願っている。 ] (232) 2022/12/14(Wed) 23:03:42 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 21人が一同に介した──かどうかは指折り数えたわけ ではないけれど、思い思いの方法で彼女がこの世に生を 受けたことを祝っている。 ……暗い気持ちを何度片付けても、ここにいる限り ずっと湧き上がってくるのだろう。 ナハトが退席するなら>>169、引き止める代わりに 一緒に誕生会を後にしようか。 本当は、彼が避けているあの子に 「今日のこの子とお話する権は完売だよ?」 などと牽制してあげてもよかったし、 皆でお祝いした方が、彼女も喜ぶだろうに。 ……自分のことしか考えてなくて、本当に嫌になる。 ] (233) 2022/12/14(Wed) 23:05:34 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 賑やかでなんだか疲れたから助かっちゃった、 なんて嘘に言い訳を重ねたら、嫌われないだろうか。 いつもみたいに笑ってくれている? 彼がどんな気持ちでどんなことを思っているか>>172 こんな風に見上げるだけじゃちっともわからなくて。 色んな気持ちをないまぜにして、 「ナハトもお疲れ様」と夜色の髪をそっと撫でてみる。 ……二、三言葉を交わしたら部屋に戻るだろうか。 * ]もう少し、とは言い出さず、彼の言葉を待ってみた。 (234) 2022/12/14(Wed) 23:06:55 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a36) 2022/12/14(Wed) 23:10:25 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル (266) 2022/12/15(Thu) 0:42:30 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ それは わたしたち らしくない。 今までそれが当たり前過ぎて、 だからこそ答え合わせをしながら日々を過ごしていた。 わたしたち であることが何より絶対で、 生きることを肯定して欲しかった人たちはもういない 二人でひとつであることが完璧で必要で、 欠けた半身を求めることがいつしか手段になっている それがどれだけ苦しくても続けなくてはいけなくて。 ──────なんのために? わからない。 わからない。 わからない ……違う、そんなのは嘘だ。 ] (267) 2022/12/15(Thu) 0:43:48 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 本当はわかっていた。 認められなかっただけだ。 わたしたちの欺瞞を私自身が知った時に>>82、 わたしたちを羨ましいと、完璧だと言ってくれた人が 私から離れていくことを恐れた。 ……いいや、違う。 わたしたち でいられればそれでよかったのに、 あんなに諦めることが上手だったのに、 自分たちから離れて忘れていくのは嫌だった。>>0:522 離れたくない、と言ってくれた時に>>0:360 「わたしたちもだよ」と言葉で返すことが出来なかった。 こんなことを考えるのは わたしたちらしくない。 この身の外に、わたしたちより大切なものがあるなんて あってはいけないと無意識に蓋をした、気持ちが。 ] (268) 2022/12/15(Thu) 0:44:54 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 自惚れではなく、絶えず親愛を注いでくれる人。 彼の愛は揺籠の中の安らぎを守るみたいに優しくて。 でもそれは わたしたち だからで。 わたしたちの夜、わたしたちだけのナハトなんて 黒猫を愛でるなら許されるだなんて線引きをして。 きみが特別だとか大切だとか必要だとか、 そんな言葉は一度だって言えなかった。 ] (269) 2022/12/15(Thu) 0:45:30 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ きみが傍にいてくれるのは、 『恋人』で、二人でひとつの完璧なわたしたちで、 名前をつけて、誕生日を贈ったわたしたちだから。 わかってる。本当にそれだけしかない。 だけど、私は、 この胸に証がなくてもあなたの運命でありたかった。 * ] (270) 2022/12/15(Thu) 0:46:09 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル── 現在:洋館玄関ホール/答え ── [ >>6 >>7 本能、いや魂での理解が思考に浸透するにあたり、 得るはずのなかった答えを知った。 証持ちは欠けたることなく集まったのだ。 『恋人』の証は、双子の片割れにはなく 私だけに与えられた烙印。 結局、完璧なんてなかった。 わたしたちは可哀想な女の子が作り出した都合よい幻想。 何もなくなった。 私の内にも外にも、何も。 どうして私だけ完璧につくってくれなかったの?>>82 私は苦しむ為に生まれてきたの? 答えを持つ唯一はきっと答えない。 この場で語ったことこそ全て。 沈黙こそ肯定。 愛しているなんて反吐が出る。 * ] (271) 2022/12/15(Thu) 1:19:56 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a43) 2022/12/15(Thu) 1:26:56 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 私に返す彼の呟きが>>287届いていれば、 きっと涙が出るほど嬉しかっただろうけど。 やっぱり私のものじゃないことを理解して、 諦めたように笑うことしか出来なかっただろう。 一番に諦めたのは私。 私のことは幾らだって諦めてきた。 私が生きることさえ、他ならぬ私が許さなかった。] (309) 2022/12/15(Thu) 12:03:47 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 忘れた、なんて体のいい言い訳>>289に、 それでも誤魔化されてくれたんだと思った。 それからの様子は変わらないけど、それだけはわかった。 わたしたちはそんな優しさを当たり前のように享受して、 彼に返せるものなど何もないのに幸せみたいに笑うんだ。 揺籠の幸せ、ひとりぼっちの幸せ。 あなたもこのままを幸せと感じてくれている? だとしたら、嬉しくて、ほんの少し寂しいと思った。 ] (310) 2022/12/15(Thu) 12:04:53 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ それから、いつものように街に出かける彼に>>290 いつかみたいに連れて行って欲しいとお願いしてみよう と思ったけれど、何だかそれはいけない気がした。 私にとっては運命だったあの日みたく、誰かと出逢うこと もあったかもしれない──なんて彼の真心を疑うのは冒涜 だけど、彼がほんとうにしあわせになれるなら、その方が いいと思った。完璧でないと知り離れていくくらいなら ] (311) 2022/12/15(Thu) 12:05:26 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 沈黙の意図を汲んで、もう少しの時間をくれる。>>291 誕生会の賑わいを遠くに聞きながら、 彼と過ごす時間が愛おしく思う。 あとどれだけの時間を共有出来る? なんて考えると泣いてしまいそうだけど、 たった独り涙に暮れるしかなかったこともあったろう彼に こんなものは見せられない。 彼の孤独は私などでは届かない深いところにある。 ] (312) 2022/12/15(Thu) 12:06:11 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 沈黙には嘘は必要なくて、 私だけが知る、あなたと私、二人の時間。 嘘を吐き続けるのは苦しい。>>267 でも彼が離れていくことを思う方が、よっぽど苦しい。 誕生日の夜。 手の中で温くなる紅茶に、夜になった日を 誕生日にと贈った日が>>0:502思い出される。 貝型の焼き菓子はないけれど、 あなたもあの夜を思い出している? ねえ、 と心の中で呼びかけてみる。 夜は私があげたものじゃないけれど、 それでも名前を呼んでいいかな? ] (313) 2022/12/15(Thu) 12:07:10 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 呼びかけに、我に返る。>>298 証持ちとして完璧で、わたしたちは幻想で、 そんな答えと唐突に突きつけられた絶望とともに、 喉に迫り上がるどうしてを噛み殺し飲み下した肚が熱い。 反吐が出る、なんて八つ当たり>>271をしたとして、 私がひとりで生まれたひとりきりなのは何も変わらない というのに。 クリスタベル、と わたしたちを呼ぶ声が届く。 可哀想な人。 あなたが親愛を傾けた彼/彼女はもういない。 私が作り出した幻想は神が殺した。 それでも呼ばれるままに見上げれば、 叶わない願いに笑みを浮かべることしか出来なかった。 ] (314) 2022/12/15(Thu) 12:09:13 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル……一緒には行けない [ 差し出された手を取ること、 これから先を共に歩むこと、その両方に頭を振った。 本当はどれだけその手を取ることに焦がれたか。 でもそれは私のものじゃない。 ] あなたを夜と呼ぶ、 あなたが完璧だと言ってくれた存在は もうどこにもいない。 (315) 2022/12/15(Thu) 12:09:54 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ だから、ごめんね? 明日会う約束を断るようなさりげなさで届いただろうか。 本当のことを知って、あなたから離れていくくらいなら、 せめて自分の手で終わらせたかった。] (316) 2022/12/15(Thu) 12:10:05 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ それだけを言い終えると、 あとは何者の呼びかけにも応えず自室に戻るだろう。 いくらか聞き咎めた人がいたかもしれないが構わない。 どうだっていい。 世界も箱庭も私自身もどうなろうと構わなかった。 ■がいないなら、なんだっていい。 * ] (317) 2022/12/15(Thu) 12:10:45 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a48) 2022/12/15(Thu) 12:27:49 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a49) 2022/12/15(Thu) 13:00:47 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a54) 2022/12/15(Thu) 15:44:44 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル── 現在:洋館/自室 ── [ 自室の机は、彼/彼女の夜から、 彼/彼女らへ贈られたものでささやかに彩られている。 いつも下げているネックレスだけは、 彼の手作りリベンジが成功した証。>>0:682 造花の花束はそのまま水のないガラス花瓶に。 虫の彫刻は文鎮みたいにちょんと鎮座して。 最初のアクセサリーは真鍮の小さなトレイに。 付けていたネックレスは、同じトレイの中に返した。 そして、クリスとベルにと最初にくれたプレゼントは いつもの場所に。>>0:500 ] (414) 2022/12/15(Thu) 23:08:35 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ そんな心のこもったプレゼントに、 家の援助や洋館でのお金で 高価なものを贈って返すのは違う気がして。 だから手ずから用意したものを、と頑張ってみたものの どれも上手な出来ではなかったかも知れないけれど。 何を用意しようどう贈ろうかと考える時間は楽しかった。 マドレーヌの他にも焼き菓子に挑戦してみたり、 夜色のマフラーを編んでみたり、 洋館から花を少し分けてもらってサシェを作ったり、 黒猫の刺繍を入れたお揃いのハンカチにしてみたり。 引きこもりなのに無理して虫捕りなんてみた時は 大変だったっけ。 あの時は結局フォルスのお店で贈る物を見繕ったかな。 ──…実は彼らが存外仲良しだと知っている。 そんな風に彼が居場所を作ることを嬉しく思っていた ] (421) 2022/12/15(Thu) 23:15:38 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 彼の境遇は知っている。 知っているだけで、 たった独りで幾度の夜を過ごしてきた、 その凍えるような思い出を拭えるわけではなくて。 それでもあんなに温かな愛を与えられる人だから、 幸せに、なって欲しかった。 出来れば私が幸せにしてあげたかった、けれど。 今だって、本当は 「生まれた時から一人だったから」 「二人でひとつが羨ましい」>>0:350 そう言った彼がもしこのまま一人を選ぶのなら、 また孤独の海に沈むというのなら。 嫌われても憎まれてでも傍にいたい。 独善かもしれない。 それでも抱き締めてあげたかった。 夜の帰る場所になりたかった。 生まれてきてよかったと思わせてあげたかった。 なのに、どうして私は完璧じゃないんだろう ] (423) 2022/12/15(Thu) 23:16:14 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 仕舞った栞を取り出す。 あの日、彼が手折って差し出してくれた花。 花が好きだと言ったからプレゼントしてくれた。 ベルに、とくれた花。>>0:357 泣きたくなるくらい嬉しい贈り物。 あなたにそんなつもりはなかったとしても。 これだけは、 これだけは私だけのものだと思っていいよね? *] (425) 2022/12/15(Thu) 23:17:14 |
(a67) 2022/12/15(Thu) 23:18:53 |
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