人狼物語 三日月国


185 【半突発R-18】La Costa in inverno【飛び入り募集】

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視点:人


大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a2) 2022/11/24(Thu) 7:13:27

大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a4) 2022/11/24(Thu) 7:21:22

【人】 大富豪 シメオン

─ とある女の話 ─

[それはずいぶん昔の話。

ある女がいた。
ラ・コスタという街の、
そのなかでも一、二を争う大きな劇場の美しい花形女優。
美貌だけではなく、くるくるとよく変わる愛らしい表情、
特に少女のような微笑みや仕草は、見るもの全てを魅了した。

女に恋をした男は数多いたが、その中に二人の男がいた。

二人は、友であった。
確かに、友であった。

その二人は共にかつて『勇者』と呼ばれ、それぞれが『賢者』『剣王』と呼ばれた盟友であった。それはここラ・コスタに移り住んでからも変わらなかった。そのはずだった。]
(8) 2022/11/24(Thu) 10:05:51

【人】 大富豪 シメオン

[『賢者』は女に恋をしていた。
些細な切欠がやがて賢者と女を結びつけ、その恋が成就すると賢者は舞い上がり、のめり込み、二人は恋に溺れた。

『剣王』は女の『美』に恋をしていた。
友が女の心を射止めても男は気にも留めなかった。
むしろ、恋によって女がその『美』を更に輝かせたことを喜んでさえいた。

だが、それも長くは続かなかった。

恋に溺れた女は自分の『美』を磨くことを手放し始めた。
女としての幸せを求めるようになったのだ。
男はそれが許せなかった。
失われていく『美』を諦めることができなかった。

だから……壊した。]
(9) 2022/11/24(Thu) 10:07:14

【人】 大富豪 シメオン

[男は賢者のことを友と思っていた。
共に視線を潜り抜けた仲であり、共にこの街にやってきた。
賢者は男にないものを持っていた。
それは魔法であり叡智だった。

けれど、男は賢者の中に『美』を見出したことは一度もなかった。

だから男の選択は実に当然のことだった。
この街では、いやこの男にとって『美』よりも優先するものなどないのだと。

男はありとあらゆる手段を用いて二人の仲を破滅させた。
賢者は街を追われ、女は悲嘆に暮れながらもその悲しみが再び女の『美』を取り戻し、いやそれ以上の『美』となった。

男はその結果に満足していた。
その年の『フェス』で、女の『美』は抜きん出て並ぶものがなかった。]
(10) 2022/11/24(Thu) 10:08:12

【人】 大富豪 シメオン

[だが、間も無くして女も消えた。
男に囲われることになった女は見る間に堕落していった。
酒と薬に溺れ、男の屋敷に平然と男娼を連れ込み快楽に身を窶した。
男はそれを黙認したが、女から『美』が失われるにつれて、女は追いやられていき、その行き着く先は影街であったという。

そのとき、男はその『美』を惜しんだが、女自身には何の感情も湧いてはこなかった。

ただ一度だけ友の姿を思い出した。
それは激しい炎の様な深い絶望と裏切りへの怒りをその目に宿した、憎悪に身を包んだ姿。
そのとき、男は初めて友のことを美しいと思ったのだった。*]
(11) 2022/11/24(Thu) 10:09:27
大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a8) 2022/11/24(Thu) 10:53:34

【人】 大富豪 シメオン

─ 屋敷 ─

[ジョスイのお屋敷は居住区でも一等地にあった。
広大な敷地に建つそれは様々な施設、たとえば工房やアトリエ、研究室や訓練所まで備えていた。
また、男が秘蔵するコレクションを展示するミュージアムもあり、交友のある愛好家たちに公開もしていた。

>>7がそこを訪ねたなら、従者の一人が丁寧に応対しただろう。
従者は他の荷物たとえばフードなどを預かろうとはしたが、決して女が手にするリュートを預かろうとはしなかった。

従者の案内で女は男の元へと連れていかれる。
絢爛豪華な屋敷の中は数々の名画や美しい装飾に彩られていた。
女が通されたのはそんな煌びやかな場所とは打って変わって、やけに静かで侘しくもある区画だった。]
(12) 2022/11/24(Thu) 10:53:57

【人】 大富豪 シメオン

[男はそこで剣を振るっていた。
それは剣術における基礎中の基礎である形。
それを愚直なまでに、もう何千何万と繰り返した形をなぞる。

やがてそれは激しさを増す。

そこに存在しないはずの敵。
だが、男の振るう剣は確かに敵を捉えていた。
それは女の目に見えるほどにハッキリとそこに在った。

更に、男の姿は老齢に差し掛かったものではなく、昨夜よりもずっと若く、美しい姿がその目に映し出されただろう。

そして、女だけに理解ることが一つ。
彼の演舞は昨夜の女の演奏に乗せていたのだ。女の奏でた旋律の音の一つ一つを誤らずに、まるでその音と斬り結ぶように。]
(13) 2022/11/24(Thu) 10:55:55

【人】 大富豪 シメオン

[キンと甲高い音が小さく鳴る。
カタナをしまったと同時、見えていたはずの幻影は全て掻き消え、男の姿もまた昨夜と変わらぬものへとなった。]


 ……そうか……


[静かに、だが凛とした声。
その眼光は獲物を狙う猛禽の類の様に女を射抜く。]
(14) 2022/11/24(Thu) 10:56:18

【人】 大富豪 シメオン

 

       来たか


[男は、手を女の方へと差し出した。*]
(15) 2022/11/24(Thu) 10:57:32
大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a10) 2022/11/24(Thu) 12:19:18

【人】 大富豪 シメオン

─ 屋敷 ─

[女が重ねた男の手は熱を帯びていた。
剣を振るってきたためか、皮膚が固くそれでいてあまり年齢を感じさせないそれは、汗ばむこともなく乾いていたが、ただ熱かった。

それは確かにこの男の手であった。

男は女の手を握るでもなく、重ねたまま屋敷の中を導いていく。
何処へ行くとも告げず、そして女がそれを尋ねないことを、拒まないことを知っていたから。

何処をどう歩いて、そこに何があったかなど今の二人にとっては瑣末なことだ。]
(25) 2022/11/24(Thu) 13:48:07
大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a13) 2022/11/24(Thu) 13:59:15

シメオンは、ファントム
(a14) 2022/11/24(Thu) 14:02:55

大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a15) 2022/11/24(Thu) 14:03:28

【人】 大富豪 シメオン

─ 過去その2 ─

[どんな強欲な商人も、どんな偏屈な芸術家も娘というものは可愛いものらしい。娘のいない男にはまるで理解し難いところではあるのだけど。

リュディガーの父親もそのご多聞に漏れないようだ。
それどころか、溺愛の類ではないかと思う。

いつもは男に対して何かを要求するなどということはないのだが、こと娘のことになると身境がなくなる。
やれ男の囲っている画術師を娘の教師として紹介してくれだの、男の持つ審美眼を授けてくれだの、途端に図々しくなった。]


 というわけだ。
 どうしてもとお前の父が頼みだ。
 私のコレクションをお前に見せてやる。


[男はラ・コスタにおいても有数なコレクターである。
娘の父曰く、娘に必要なのは本物を知ることなのだとか。]
(57) 2022/11/24(Thu) 22:22:08

【人】 大富豪 シメオン

[勿論、男はその対価を求めることを忘れたりはしなかったが。]


 『フェス』の間なら私のミュージアムを開放しよう。
 
 見るも見ないもお前の好きにするがいい。
 父親の苦労を無碍にするもしないもな。


[娘の父親は少なくない対価を男に支払った。
対価さえ妥当であればと男はそれを受け入れたのだ。]
(58) 2022/11/24(Thu) 22:22:28

【人】 大富豪 シメオン

[正直なところを言えば、男は無駄なことだと思っていた。
娘に『美』を見出したことはない。
それは才がないということなのか、それとも蕾にも成らぬほど未だ眠ったままなのか。
もしかすると、かつてのともがそうであった様に、何かのきっかけ一つでばけるものなのかもしれないが。

もしも、娘がこの男の好意(ではないのだが)に別の意味、つまり娘が思うところの「女を囲うお盛んな老人」と警戒を見せるのなら。]


 …………


[女の頭からつま先まで視線を走らせたのち、フっと鼻を一つ鳴らして笑うのだった。*]
(59) 2022/11/24(Thu) 22:22:51
大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a25) 2022/11/24(Thu) 22:45:41

大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a34) 2022/11/25(Fri) 0:18:55

【人】 大富豪 シメオン

─ 中央広場 ─

[それは街の中央に位置する、巨大な広場。
最も多くの人が集まり、フェスの中心となる場所。
フェスの際には、至る所で人々が歌い踊り、自らの『美』をアピールする。
他にも、広場を中心に豪華な劇場や美術館が立ち並んでいるが、
そこで『美』を披露できるのは有力なパトロンに恵まれ、優れた『美』を持つ者のみ
で、故に彼らはラ・コスタ全ての人の憧れとなる。

が、逆説的に言えば、パトロンとなり得る有力者にそっぽを向かれてしまえば、どんな才能を秘めていても、その『美』を披露する機会を得ることができないということ。

ましてそれがかの者であれば、それは…… ]
(69) 2022/11/25(Fri) 9:55:20

【人】 大富豪 シメオン

[フェスの開幕ともに、それは女が怪人と邂逅していた頃だろうか、中央広場の大小様々な劇場と興行主を中心に一つの噂が出回る。


 
「リリーという踊り子が、
     あのシメオン・ジョスイの不興を買った」



かの者の『美』への執着、そして意に沿わぬものへの苛烈な仕打ちはこの界隈の者であれば知らぬ者はいない。
つまり彼らは選択を強いられたのだ。
街の有力者であるジョスイか、それとも一人の踊り子か。
そして、それは時を置かずして女に対する様々な形で現れる。

このことが当人の耳に入るのは時間の問題であったか。*]
(70) 2022/11/25(Fri) 9:57:11
大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a39) 2022/11/25(Fri) 9:59:07

大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a41) 2022/11/25(Fri) 10:32:16

【人】 大富豪 シメオン

─ 美術館 ─


 私のコレクションが気に入らないか。


[不意に声を掛けたのは言わずもがなこの館の主人だった。
先程までは確かに無かった気配は今は色濃くその存在を主張している。
姿を現した男は、不機嫌さを隠すことなく細めた目で女を見ていた。]


 足りない、か。
 果たしてそうかな?


[ここに収められているのは女神の祝福を受けたものばかり。
無論そうでないものも多数あるが、それでも『美』の価値を確かに認められた作品ばかりだ。それは決してこの男の『好み』だけではない。]
(74) 2022/11/25(Fri) 11:00:04

【人】 大富豪 シメオン

[むしろ、男の持つ『美』と似通う形のものはここには殆ど存在しない。
だからこそら老いていく己に代わるもの、同じ価値感を持つ『美』の担い手、男はそれを渇望し、探し求めているのだが……それはまた別の話。]


 不愉快だな。
 お前如きに我がコレクションを貶されるのは。


[自分の価値感を『美』の基準とするのは間違いではない。
だが、それは『好み』を『美』と混同してしまつ危ういものの見方。夜空の星々一つ一つが違う様に、この地上には無数の形の『美』が存在する。]


 なら、もう一つ見せてやる。
 まだ『美』というものを知るつもりがあるのならな。


[不機嫌なままの男は娘にそう告げる。
それはコレクションをこき下ろした娘に対する不満か、それとも娘の琴線に触れ得なかったことへの苛立ちか。その両方か。]
(75) 2022/11/25(Fri) 11:01:37

【人】 大富豪 シメオン

 

 着いて来い。
 私の秘蔵を見せてやる。


[男は娘の返答を待たずに歩き出す。
着いて来ないならそれで構わない。
元よりそれらは人に見せるものではないのだから。

美術館を出て向かう先は、工房やアトリエのある区画。
そこは、未だ花開かぬ、しかし『美』の可能性を秘めた者たちが踠き苦しみながらも作品を生み出す場所だった。*]
(76) 2022/11/25(Fri) 11:02:15
大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a43) 2022/11/25(Fri) 11:08:55

大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a45) 2022/11/25(Fri) 11:52:10

【人】 大富豪 シメオン

─ 工房 ─


 それは脅しか?


[男の空気が変わり、不機嫌そうだった表情は凪いだ]


 ドメネクがどうした。
 私がその程度のことを気にするとでも思うのか、


[それは明らかな怒りだった。
いやそれは怒りを通り越して既に敵意と化している。]


 小娘、ドメネクの名を出して、この私を恫喝したな。


[骨を折るなどということはどうということはない。
男には家族はなく、唯一友と呼べる者も今はいない。あるのは財と権力、それも男にとっては手段でしかない。守るものなどありはしない。
対してドメネクはどうか。この男とやりあって『芸術の一族』がここで潰える覚悟はあるか。]
(83) 2022/11/25(Fri) 12:48:11

【人】 大富豪 シメオン

[娘が画術を使うならばその魔法は発動と共に掻き消える。
姿を眩ませたと思ったのなら、それは甘いと言わざるを得ない。

ここは男の巣の中なのだ。


アンチマジックフィールド。
この男が己の住処に何も仕込まないことなどありはしないことなど明白なことである。身一つでやってきて、男を挑発することの危うさを知らなかったのであれば、それは迂闊であり、致命的なミスだった。]


 私の庭で好きに魔法が使えると思ったのか?


[男の右手にはいつの間にか『カタナ』が握られている。]


 無知な小娘と笑って見逃すと思うか?


[男は笑わない。その表情は未だ凪。]
(84) 2022/11/25(Fri) 12:49:13

【人】 大富豪 シメオン

[刹那。
男の左手が振るわれる。
神速とは言わないまでも、それは武芸の心得なしに追えるものではない。]


 このジョスイを侮ったこと、その身で贖え。


[声が先か、それとも衝撃が先だったか。




       
ゴン




と、娘の頭で大きな音が鳴った。]
(85) 2022/11/25(Fri) 12:49:54

【人】 大富豪 シメオン

[振るわれたのは右手の刀ではなく、左手による手刀。
つまり、脳天にチョップ。]


 リュディガー、相手を見て物を言え。
 それにドメネクの名を使うのは百年早い。


[男ため息を一つつくと、その表情には呆れが浮かんでいた。]


 小娘の無礼でドメネクをどうこうする訳がなかろう。
 この調子では父君も苦労が絶えないな。


[少なくとも男は『芸術の一族』に敬意を持っている。
でなければ、いかな有力者の頼みでも小娘に自分のコレクションを見せる訳がない。親しからずともそれなりに良好な仲なのだ、娘の父とは。]
(86) 2022/11/25(Fri) 12:51:19

【人】 大富豪 シメオン

 

 帰るなら、正面から堂々と帰れ。
 

[手をシッシと振ると「さっさと去ね」と残して、それで男は刀を納めてスタスタと屋敷の方へと歩き始めた。

勿論、後日この話は酒の肴にドメネクに聞かせた。
それによってドメネクはジョスイに詫びを入れる羽目になったし、リュディガーが滅茶苦茶に叱られたのはきっとそうなのだろう。
そんなつもりはなかったのだが。*]
(87) 2022/11/25(Fri) 12:52:43
大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a48) 2022/11/25(Fri) 12:56:14

大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a60) 2022/11/25(Fri) 21:00:56

【人】 大富豪 シメオン

[シメオン・ジョスイは誰にも何も命じてはいない。
女を舞台に上げるなとも、干せとも何も言ってはいない。

ただ「あれは気に入らない」とそう呟いただけ。

それだけで女の未来は簡単に道を閉ざされようとしている。
無論のこと、男はそうなることをわかっていたのだ。

それこそが男の力の一旦。]
(102) 2022/11/25(Fri) 21:28:28

【人】 大富豪 シメオン

[確かに男は女に『美』を見出していた。
その舞いに『美』の片鱗を見ていたのだ。

踊りに込められた妄執。
自分の執念とはまた違う形の何か。
男はそれに興味を持ったからこそ声をかけた。

だが、女は男の手を掴まなかった。
「覚悟はある」とそう啖呵を切った女。
そのせいで、女は今、道を閉ざされようとしている。

男は何もせぬままに嘲笑う。
この苦境を乗り越えるために、お前は私に何を見せてくれるのかと。*]
(103) 2022/11/25(Fri) 21:28:54

【人】 大富豪 シメオン

─ 魔女への頼み事 ─

[それはいつのタイミングだったか。
しかし、それはさして重要なことではない。]


 一日でいい。
 いや、半日でもいい。
 薬でも魔法でも構わん、私の全盛期を取り戻したい。


[過ぎ去った時を戻すことなど出来はしない。
それは神の定めた摂理に反すること。
だが、この魔女はそれを可能だと言った、相応の対価を支払うことで可能なのだと。]


 対価はお前の望むだけ……


[たとえそれで残りの時間全てを奪われることになったとしても構わなかった。本当にそれが叶うのならば男はそれだけの価値があると思えたのだ。]


 私の時間をくれてやる。


[影街の一角にあるとある店。
男はそこで店の主人たる魔女へとそう告げた。*]
(104) 2022/11/25(Fri) 22:22:31
大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a65) 2022/11/25(Fri) 22:23:40

大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a67) 2022/11/25(Fri) 23:01:33

大富豪 シメオンは、メモを貼った。
(a72) 2022/11/26(Sat) 0:24:31