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【人】 ウイエ[これを最後の一杯にするつもりで頼んだカクテル。 赤味がかったそのカクテルは アルファベット最後の三文字。 特徴的な名前には確か―――究極、とか、そんな意味があった。] ……ん、綺麗、だね… [頼んだジューシーなソーセージと共に ゆっくりと味わうように堪能した。 帰る時間を少しでも遅らせたくて。 すっきりとした大人の味のカクテルは 確かな甘さを口の中に残していく。] (0) 2021/12/27(Mon) 23:05:39 |
【人】 ウイエ[それでも、終わりは来てしまうから。 お会計をし、名残惜しく思いながらも BARを後にしただろうか。 彼の表情に寂しそうな色は窺えたかな。 自分もきっと離れがたそうにしていて、 出る足はやや重たかった。] 今日は会えて良かった。 …今度は、カウンターの外でね。 [帰る前にはそんな風に言い残して。**] (1) 2021/12/27(Mon) 23:08:33 |
【人】 ウイエ[立ち上がると足元がくらりとした。 知らない間に結構酔いが回っていたのかもしれない。 夜のひんやりとした風が火照った頬に気持ちいい。 もう少し、居ても良かったかな。 でも、居れば居るほど別れ辛くなりそうだし… ふるりと首を振り、息を吐いて歩きだす――] ―――ん、えっ?? 仁志くん!? [後ろから駆け寄って来る足音。 何事かと振り向けば彼の姿があって。 どうしたの?店に忘れものでもした? 頭にはてなマークを浮かべて口にしかけたものの 追いつくや否やぎゅっと抱きしめられて狼狽する。] (4) 2021/12/28(Tue) 10:30:42 |
【人】 ウイエえ、ちょ、あの、 ………んん、………っ [ここは往来で、ちらちらと人の視線だって感じるのに。 触れ合う唇に、一瞬で頭の中が桃色に染まる。 抗うことなんてできる筈もなく、なすがまま暫しキスを重ね。 唇が離れる頃には彼を見る瞳も とろんと色めいて潤んでいた。] はぁ、… …… も、もぉ……… [抗議の声は弱弱しくて形だけ。 誘いにアルコールで火照った顔が更に赤くなって。 ――離れたくないのがばれてしまっていたのだろうか。 それとも彼もそう思ってくれていたのだろうか。両方かな。 何にせよ、酷く嬉しくて。 一気に心が弾んでしまうのだから単純だ。] (5) 2021/12/28(Tue) 10:32:42 |
【人】 ウイエ― 自宅 ― [彼が家に来るのであれば、だ。 待っている間に明日の分の朝食を作っておこう。 ニンジン玉ねぎブロッコリーにキャベツ、 余った野菜をざく切りにしてオリーブオイルで炒め トマト缶と水を投入。 コンソメと塩胡椒で味付けし、 チーズウィンナーを入れてコトコト煮る。 具材に火が通ったのを確認し、 後は温めて食べるだけの状態にして 鍋に蓋をして置いておく。 その間にゼラチンをふやかし、 インタスタントコーヒーと砂糖を入れて溶かす。 カップに流し入れて粗熱を取り、冷蔵庫へ。 牛乳と練乳を混ぜ、こちらも器に入れて冷やしておく。] (9) 2021/12/28(Tue) 13:15:39 |
【人】 ウイエ[こういう時、料理は良い。 手を動かしていれば待つ時間も苦にならない。 下準備を終えたら風呂に入ってメイクを落とし ボディミルクを塗った後に 薄くファンデーションだけし直した。 ゆったりしたシャツとズボンの カジュアルなルームウェアに着替え 寝室を片付けたりしながら。 どことなくそわそわと落ち着きなく彼を待っていた所 真夜中のチャイムが鳴る。] (10) 2021/12/28(Tue) 13:18:02 |
【人】 ウイエ[一応のぞき窓で確認し、 彼の姿を見てチェーンを外した。 息を切らした彼は、本当に急いで 駆けて来てくれたのだろうか。 そう思うとじんわりと胸が温かくなる。] どーぞ、いらっしゃい。 寒かったでしょ。 [あがって、と促し前と同じように彼を部屋に招き入れる。 キッチン内にはふんわりとトマトの匂いが漂っていたことだろう。**] (11) 2021/12/28(Tue) 13:28:20 |
【人】 ウイエひゃっ、…もー 仁志くんは冷たいなあ。 [彼を招き入れた後に鍵とチェーンを再び閉める。 ぴたりと冷たい手が頬に当てられて、 咄嗟に身を竦めた。 そのままじっと双眸が此方を見つめて、 まるで見透かされるようで ドキドキと心臓が早くなる。 きみの考えてることは読めないけれど、 ―――もしもあたしと同じだったら嬉しい。] (14) 2021/12/28(Tue) 18:43:52 |
【人】 ウイエン……… [そっと唇が寄せられて目を閉じた。 そこもひんやりしてて、柔らかくて、 自分の体温と熱が混じりあって溶けていく。] …仁志、くん……… [ぼうっと見つめ合い、熱に浮かされたように名を呼んだ。 先程は店だったし、往来だったけど。 今なら誰も咎める者はいない。 彼の微笑みも、声も、自分だけに向けられたもの。] (15) 2021/12/28(Tue) 18:44:35 |
【人】 ウイエ[そうして、その後も何度か交わって 最後の方はほとんど意識を失うような形で果てた。 そろそろ空が白んできた気配を感じながら 狭いベッドのなかで身をよせあう。 たっぷりと愛された充足感に包まれつつ ぽーっと彼の胸に顔を寄せていた。] う、うぅっ......、 ......いつもは、こんなんじゃない、つもり、 なんだけどなぁ...... 仁志くんとするの、気持ちよくて......その...... つい夢中になっちゃうっていうか...... ......引かないでね? [恥ずかしさで顔が赤くなる。 彼の言葉に咎める響きはないけれど、 遊んでるみたいに思われていたらそれはちょっと不本意なので。] (17) 2021/12/30(Thu) 20:02:52 |
【人】 ウイエ[そのまま、彼の腕のなかで泥のように眠りについて。 目が覚めたら遅い朝食を食べていくように促すだろう。 メニューは卵とウィンナーを挟んだホットドッグと ごろごろ具材が入ったミネストローネ。 デザートにはコーヒーゼリーにミルクソースを添えて。**] (18) 2021/12/30(Thu) 20:29:00 |
【人】 ウイエ[何でもない朝の、穏やかな朝食。 美味いと口にする彼に微笑みながら 自分も口にミネストローネを運ぶ。 そんな中でふいに切り出された言葉に、 ぱちぱちと瞬きをして彼を見た。] ーーーー......、 [彼は、もしかしたらずっと 気にかけてくれていたのだろうか。 それでいて触れずにいてくれたのだろうか。 あの日を境に厨房から消えた自分。 迷子になって、どこにも行けずにいた自分を。] (22) 2021/12/30(Thu) 23:50:12 |
【人】 ウイエ[彼の顔をじっと見つめて話を聞いていた。 少し照れ臭そうに告げられた台詞には、 ぶわわっと顔を赤くして。] あ、あのねっ!......そ、そんなこと...... 言われたらあたし、真に受けちゃうんだからねっ?? ......その、プロポーズ的な、あれそれと言うか...... [付きあいはじめたばかりの年下の男に そんな話をするなんて重いだろうなと あえて口にしなかったと言うのに。 ふう、と息を吐いて、彼をまっすぐ見つめる。] (23) 2021/12/30(Thu) 23:51:46 |
【人】 ウイエ.....あたしもね、考えてたよ。 仁志くんと出会って...... ううん、その前からずっと、 自分がどうしたいのかなあって。 [すぐに復職しなかったのは これを機に地元に帰って、 どこかの誰かと結婚して 大事な人のためだけに食事を作る、 そんな幸福もあるのかなと考えていたからだ。 でも、彼と過ごしたこの数日間。 久々に料理に触れて、彼と話して痛感した。 自分はやっぱりこの道から離れられない。 だから......、] (24) 2021/12/31(Fri) 0:05:52 |
【人】 ウイエ......あたし、やっぱり諦めたくない。 料理人として生きるのも、 好きな人と家庭を作るのも、どっちも。 ......それがあたしの夢だから。 [もしかしたら大変で難しいのかもしれないけど、 この手に幸せの欠片があると言うのなら、 それを育てていきたいと思う。] (25) 2021/12/31(Fri) 0:08:12 |
【人】 ウイエ分かってるよ。 でも、適齢期の女はすぐそういうこと意識しちゃうんだから。 ちゃんと肝に命じておいてよね。 [慌てて首を振る様子にくすりと笑い ちょっとだけ拗ねたように唇を尖らせて。 その目を見つめ、そっと彼の手を握った。] (28) 2021/12/31(Fri) 12:09:54 |
【人】 ウイエーー......うん。 きみがいいの。 [もちろん、新しく店を経営するのも、家庭を築くのも、 今すぐにというわけにはいかないだろう。 でも、2人でこれから共に歩む道が そういう幸福に繋がっていればいいと願う。 一緒に店をやりたい。 料理人としても女としても、 あたしを必要だと言ってくれる。 それがどれほど嬉しかったことだろう。 そんなきみとーー...... だから、きっと、この先も。 互いに同じ夢を見続けられると信じたい。] (29) 2021/12/31(Fri) 12:14:42 |
【人】 ウイエ……うん、 あたしも。 仁志くんのこと、これからもっともっと好きになるし…… あたしも、何度でも惚れ直して貰えるように もっともっとイイ女になるから。 [美味しそうな顔で料理を食べるきみ。 好きな仕事に一生懸命なきみ。 エッチの時のちょっと意地悪なきみ。 喜怒哀楽が結構コロコロと顔に出て、 たまに照れ臭そうにはにかむきみ。 そして、 ―――あたしがあたしらしく生きられるように 寂しくならないように抱きしめて そっと背を押してくれる、そんなきみ。 これからも新しいきみを見つけるだろう。 時には喧嘩もするかもしれないけれど 今この時の気持ちを忘れないでいたい。 いつかこの「好き」が「愛」に変わるまで。 変わった後も。] (32) 2021/12/31(Fri) 19:01:10 |
【人】 ウイエん。仁志くんも頑張るんだよ〜? 自分のお店を持つって、 やっぱり一筋縄じゃいかないだろうからね。 [へらっと笑って残ったゼリーを口に運んだ。 インスタントコーヒーの味は苦いけれど、 ミルクソースの甘さが癒してくれる。 挑戦的に軽口を叩き ひとまずは次のデートのプランでも考えよっか、 なんて水を向けて彼を見れば 目の前にあったのはイイ笑顔で。] (33) 2021/12/31(Fri) 19:03:51 |
【人】 ウイエふふ。いーね。 初詣、あたしも行きたいな。 参拝なんてここ数年行ってないかも。 [デートプランを聞かれて考える。 どこに行っても心弾むだろうけど。] あ、デート、っていうのとは またちょっと違うかもだけど、 そのうち仁志くんの家に行ってみたい、かな。 [それだけじゃなくて、たとえば。 クリスマスにイルミネーションを見に行ったりとか。 家で鍋をつつきながらのんびりするとか。 バレンタインにガトーショコラを作ってみたりとか。 やりたいこと、楽しいだろうな、と思うことは沢山ある。 他愛もないやりとりをして、たくさんキスをして愛し合う そんな日常のやりとりですら、きっと。] (36) 2022/01/01(Sat) 21:29:27 |
【人】 ウイエ......うん。 待ってる。 [イイ男になると告げる彼に 穏やかに目を細めて微笑んだ。 未来の約束。 いまはまだ冬の地面の中で、 芽吹く前の小さな種。 冬が過ぎて、春が来て。 やがて花を咲かせる日をきみの側で待っている。*] (37) 2022/01/01(Sat) 21:34:57 |
【人】 ウイエーー その後 ーー [それからの日々は忙しかった。 あたしは再び料理店に就職し 料理と経営の勉強に追われながら 合間を縫って彼との時間を過ごした。 いろんなところに行って おいしいものを作って、 時には衝突して喧嘩したり、 朝まで抱き合ったりしながら。 新しくレストランをオープンしてからは そちらで働くことになって。 目まぐるしい日々は大変なことも多かったけれど、 すごくやりがいがあって楽しかった。] (42) 2022/01/01(Sat) 22:42:21 |
【人】 ウイエ[出会った日から色んな経験を積んで、 少し大人になったきみ。 イイ男になったかなんて 言うまでもないけれど、 あたしの前で見せてくれる 眩しい少年みたいな顔は変わらないまま。 夏が来て、秋が終わって そうして何度かの季節が巡り かつて寂しがりだった女にも、 また春がやってくる。] (43) 2022/01/01(Sat) 22:44:38 |
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