叶わぬ想い 日下部 汐里は、メモを貼った。 (a8) 2020/11/21(Sat) 10:25:12 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里……えっ、と。 詳しくは知らないんだけど。 父方の祖母がロシアの出身だったみたいなの。 [ そんな話を交わしたのはいつだったっけ。>>27 相手は同じクラスの近藤さん。 「おかしいね」「変わっている」 そんな言葉を伴って、 異質に向ける、不躾な視線には慣れていた。 しかし彼女は眼差しは真っ直ぐに。 澄んだ色でこちらを見詰めていて。 ] (32) 2020/11/21(Sat) 13:19:37 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里そ、そうかなぁ。 ……… 絵理香ちゃん。 [ ちょっとだけ声を上擦らせながら。 彼女が綺麗だと言ってくれた肌をほんのり染めて。 瞳を瞬かせ、人差し指で毛先をくるくると弄ぶ。 彼女が気付いたかは、わからないけれど。 これまで近藤さんだった呼び名が、 絵理香ちゃんに変わった事。 不器用な“ありがとう”の代わり。 ]* (33) 2020/11/21(Sat) 13:19:53 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里ど、どうするって。 普通にやりますよ! 我々はお友達ですから。 [ こちとら鋼の片想いですよ! きっとバレたら、私だけでなく。 彼女も好奇に晒されるから。 世界中が健吾と同じ考え方をしていたらいいのにね。 なんて、無いものねだり。>>29 この想いは誰にも知られるわけにはいかない。 だから吐け口になってくれる健吾には 実は頭が上がらない。 ] (34) 2020/11/21(Sat) 13:36:49 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ 面倒くさそうな横顔には、>>28 おかしな話、少し安堵したりする。 一方的に私が愚痴ってしまっているけれど。 迷惑なら君はきちんと言ってくれるだろうって、 …… そんな信頼感。 ] いつも私が聞いてもらってるばかりだし。 健吾も悩みとかあったら言ってね。 好きな子の話とかあれば、相談に乗るんだから。 [ なんて提案は、お世話になっているお返し半分。 普段から物事を静観しているような幼馴染、 その内面への興味半分。 健吾の瞳の色も、私と同じで人と少しだけ違う。 彼のようにどっしり構えていられたのなら、 私もここまで拗らせずにすんだのにな。 何を食べて育てばこうも動じないでいられるのか。 秘訣があれば聞かせてもらいたいくらいだった。 ]** (35) 2020/11/21(Sat) 13:37:40 |
叶わぬ想い 日下部 汐里は、メモを貼った。 (a14) 2020/11/21(Sat) 13:39:32 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里写真でしか知らないけど。 うん、綺麗な人だったな。 [ そういえば、既に故人であることは伝わったか。 “ちゃん付けって新鮮。” 言われて初めて、子供っぽかったかなって。 気恥ずかしさにうっすら顔を赤らめる。 ─── 汐里ちゃん。 しかし否定される事はなく 倣うように返された呼び名に。 途端、くらりと頭に走る甘い痺れは、 彼女が纏うジャスミンの優しい芳香だけでなく。 照れくさそうに向けられた微笑みのせい。 ]* (52) 2020/11/21(Sat) 17:32:38 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里あっ、好きな子限定じゃないからね! 困った事があったら、何でもかんでも 二十四時間どんと来いだから。 …… 私にも、お返しさせてね。 [ 同じグループ。>>40 彼女の友達である日下部汐里なら問題なく誘える。 しかし彼女に恋する日下部汐里なら? …… 私が勘違いしたせいで、 答えは出ぬまま話題は流れて。 ] なるべくなら、そう。 健吾が、当たり前のように 私の近くにいてくれる間がいいな。 (55) 2020/11/21(Sat) 17:53:33 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ 幼馴染。 それは過去を共にした証ではあるけれど。 未来を約束する言葉ではない。 進路によって別たれる道もあるだろうし。 もし健吾に恋人でもできたら。 私が彼の傍にいる事は好まれないだろうから。 …… 恋とか愛とか関係なしに。 ただ無邪気に公園で駆け回れた頃もあったのにね。 自らも報われぬ想いに身を焦がしているくせに 相反する心に折り合いをつけられぬまま、 在りし日を懐かしむように、そっと瞳を伏せた。 ]** (56) 2020/11/21(Sat) 17:54:08 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里確かに、寝てて気付かない時もあるし。 トイレやお風呂に入っている場合は、 駆けつけるのは少し待って欲しいかな。 あっ、そうそう。 おはぎsweetを堪能している時は、 緊急なら可。余裕がある時は避けてもらえると…… [ 大きい口を叩いておきながら 少しずつスケールを削ぎ落として。 最後にあげたスイーツは、君も知っている私の好物。 ] (70) 2020/11/21(Sat) 19:46:36 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里遠くに行っても繋がっててくれるの? 私から解放される機会なのに。 そんなこと言ってると、ずっと愚痴っちゃうんだから。 [ くすりと微笑んで。 冗談めかした口調に、僅かな本気を潜ませる。 いつまで彼に甘えていいのかなって考え始めたのは。 男女の性別の差。 そこに立ちはだかる壁を考えた時。 幼馴染の男女が、 それ以外の関係を持たずままいられる距離。 …… 確固たる自分を持つ君と違って 私はすぐにこうしたしがらみに囚われる。 ] (71) 2020/11/21(Sat) 19:47:18 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里そうだね。 教室に戻ろうか。 話聞いてくれてありがとうね、健吾。 [ 頷いて、空き教室から廊下に繋がる扉を開けば、 先程まで遠くで響いていた喧騒が間近に響く。 私もその中の一員に加わるべく、足を踏み出した。 ]* (72) 2020/11/21(Sat) 19:47:34 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ 私が色々考え込んでしまう壁。 それを最初からなかったかのように乗り越えてしまう。 彼、そして彼女達は私の憧れで。 少しだけ嫉妬してしまう。 あの日だってそう。 健吾と絵理香ちゃんが 何か話しているのは気付いていたけれど。 …… 気になってはいたけれど。 邪魔するのは悪いな、とか。 私には関係ないんだし、とか。 そんな言葉で自分に制限をかけて。 ] (74) 2020/11/21(Sat) 20:10:52 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里─── ふえっ!? [ そこに突如自分の名も含まれて。 思わず素っ頓狂な声が出た。>>69 慌てて口元を両手で押さえる。 ] またいきなりだねー、絵理香ちゃん。 ふふっ、いいよー。 [ 様子を伺っていた事なんておくびにも出さない、多分。 素知らぬ顔で振り向き、スマホを取り出す。 ] (75) 2020/11/21(Sat) 20:11:37 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里絵理香ちゃんあんまりこの街に詳しくないの? どういう所に行きたいんだろ。 美味しいスイーツの店、本屋、雑貨屋…… 文房具もわかるけど、折り紙は売ってたかなあ。 二人で健吾の服を見立てるのも楽しそうよね。 [ ことさら明るい声で候補を並べる。 ファッションにあまり興味がなさそうな 幼馴染も半ば強引に巻き込んで。 ] (76) 2020/11/21(Sat) 20:12:11 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ 三人、あるいは二人で。 見知ったはずの街を巡り そこに新たな発見を見つける度に、 少しずつ距離が近まった。 ─── その最初の一歩を踏み出したのは、私ではない。 そんな事を考えているのは、きっと私だけ。 ]* (77) 2020/11/21(Sat) 20:12:21 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ 三人での街巡り。 待ち合わせ場所に現れた現れた幼馴染を見て。>>80 最初の目的地は、 有無を言わさずメンズの服屋に決まった。 ] 全く、健吾は全く! せっかくの女の子とのお出かけだというのに! 高校生にもなって「箪笥の一番上から取って着ました」 みたいな格好しかしないんだから! [ ぷりぷりとそんな愚痴を零しながら、 付き合ってくれるようならば。 あーでもない、こーでもないと。 彼に似合いそうな服を、せっせと試着室に運ぶ。 ] (85) 2020/11/21(Sat) 21:11:21 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ 私と絵理香ちゃんと企画して。 健吾を引っ張り込む。 そんな街巡りが何度繰り返したか、繰り返せたか。 繰り返すたびに縮まる距離。そう、友達として。>>78 そこに喜び以外の感情があると気付いたのは いつだったか。 見知った街の、見知った幼馴染の。 馴染みのある一面、新たな一面。 その中に、少しずつ、少しずつ。 ・・ 貴女の存在が積み重なっていく。 ] (86) 2020/11/21(Sat) 21:12:08 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里健吾、私ね ─── [ 一人で抱え込めばよかったのに。 弱い私はそれができなかった。 ある日、子供の頃に一緒に遊んだ公園。 帰宅中だった彼を引っ張り込んで。 ブランコだとか滑り台でひとしきり遊んだ後。 夕陽が紡ぐ茜色を背にして。 泣きそうな顔で、想い人の名を、 それが彼もよく知る女子である事を告げた。 ] (87) 2020/11/21(Sat) 21:12:36 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里[ …… それは私の罪だ。 三人の男女。 私と健吾は数年以上関係が変わらなかった。 なら、新たな関係を築く可能性があるのは? 好きな女の子を、一番身近な男の子に取られる事。 一番身近な男の子を、好きな女の子に取られる事。 そのどちらも、私には耐えられそうになくて。 もし私の想いを知っていれば、 なんだかんだ優しい君は、 彼女を好きにならないように、 気を配ってくれるかなって。 そんな汚い誘惑に、愚かな私は負けてしまった。 ] (88) 2020/11/21(Sat) 21:12:59 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里あのね。私、絵理香ちゃんが好きなの。 恋愛感情で。 私の罪 [ あの日、君に告げた言葉は、 抱いた甘酸っぱい恋心と、どろりと混じり合いながら 今も私の心に渦巻いている。 ]* (89) 2020/11/21(Sat) 21:13:12 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里…… 叶わなくて、いいんだよ。 [ ふっと息を吐いて。 健吾の優しさに首を横に振る。>>94 想いの程度は異なれど。 同性を好きになったのは、初めでではない。>>18 私の告白に対する、彼女達の反応。 最初は「私も好きだよ」と笑顔を向けてくれるけど 私が本気であると知ると、 引き攣った顔で離れていった。 時に交際に至った事もあったけれど。 それは恋人ごっこの域を出ず。 「やっぱり男の子の方が好きだから」──と。 みんなみんな去って行った。 私の胸に喪失の痛みだけを残して。 ] (100) 2020/11/21(Sat) 23:30:01 |
【人】 叶わぬ想い 日下部 汐里傷付くのはもう嫌だから。 仮にまた恋をしたとしてもね。 告白はしないって決めてたの。 [ 私は挫けてしまっていた。 次こそは大丈夫。 そんな奇跡を願って心を擦り減らす事に。 ] ただね。健吾に話せて少し楽になったよ。 …… ごめんね。 [ 伏せた睫毛が、虹彩異色に影を作る。 早く日が落ちればいいのに。 今の私はとても醜い顔をしているだろうから。 叶うなら見られたくはなかった。 “ごめんね” 私が君が思っているよりも。 ずっとずっと、ひどい事をしている。 ] (101) 2020/11/21(Sat) 23:31:03 |
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