人狼物語 三日月国


184 【R-18G】ヴンダーカンマーの狂馨

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視点:人


プロローグ

【人】 銀鷹公 バルドゥイン

 ああ、ああ、問題ないとも。
 調律は完了した。じきに朝が来る。

 初代の───黒鴉公の道楽が蒐集だというのならばね。
 機構弄りこそが私の道楽、そして天命だとも。
 金庫の中にさえ入れれば安心、と宣うのは三流以下さ。
 正しい姿形を、色を、機構を、音色を伝える為には
 正しい技術を獲得・継承した者が面倒を見続けねばならない。
 
 今日訪れるという修復師には、私以上の仕事を期待したいね。
(0) 2022/11/03(Thu) 23:48:27






到着:修復師 ラシード

【人】 修復師 ラシード

─ 港 ─


 す、すみません!!
 私はその、商船ではなくて……修復師、修復師です!!
 何処か、どこか停められる場所はありませんか!?

[朝焼けに波が泡立ち、賑わいに満ちた港。
場違いのように紛れ込んだ小さな船が
巨船と巨船の間で潰されそうになりながら、
隙間を縫うように、必死に僅かな水面を進んでいた。]

 ああ、はい、そうですそうです!!
 クロゼルスから参りました、遺物修復工匠組合です!!

[幌を旗がわりにぶんぶん振りながら、
地上の衛兵に呼びかける若い男の背中は頼りない。
坊、これこれ!! とその背中を小突いた乗組員は、
半分に割られた魔術印付きの木の札を、彼の片手に握らせる。]

 っあ、わ、忘れてた、あります!!
 身分証明の勘合!!これです、ちゃんと持ってまーす!!
 
(1) 2022/11/04(Fri) 0:01:00
離脱:修復師 ラシード

到着:修復師 ラシード

【人】 修復師 ラシード


[辛うじて岸に船を寄せられれば、
今度は衛士たちが容赦なく、海賊のように乗り込んでくる。
1人が若い男が握らされたの札を取り上げ、
じ、と凝視してから部活に荷を検めるよう指示した。]

 あ、ええと、はい、乗組員は合計で……
 ってわああちょっと!? それ商売道具なんです!!
 触る時はそっと、そっとお願いしま……
 武器!? こんなちっちゃい鑿が武器な訳ないじゃないですかぁ〜!!

[次々と解かれていく積荷。慌てる若い男。
まぁまぁ坊、落ち着けって!と宥める乗組員たち。
衛士と共に乗り込んだ封印魔術の使い手は、
工具の一つ一つに『尖ってるな』『これは殴ると痛いぞ』と
姑のように文句を付けながら、異常な手際の良さで殺傷力を封じる術を掛けていく。

流れ作業で開かれていく荷の数々。
その殆どは工具であったが、
一つだけ、布の束を詰めた箱を見つけ
これは?と衛士が若い男に問いかけるように首を傾げた。]
 
(2) 2022/11/04(Fri) 0:03:06

【人】 修復師 ラシード


 ぇあ、その赤い布は……防呪マスクみたいなものです、
 今回”修理”をお願いされたのは魔術錠っていう話で、
 意図的に壊された鍵って、時々ですけれども
 触れたものを呪うとかあるじゃないですか。
 それで、念のため……

 そう、そうです!
 魔術錠修理のため、バルドゥイン様……
 銀鷹公>>0からお招き頂きました!
 ラシード・ヴルファです!!

[名乗りは辛うじて高々と、堂々と。
島に入る者への洗礼と言う名の圧を受けつつ、
その若い男は衛士の前で胸を張った、のだが。]
 
(3) 2022/11/04(Fri) 0:04:43

【人】 修復師 ラシード


 ……え。
 下着を?
 脱ぐんですか!?
 持ち物検査の一環で!!?
 今ここで!!???


 其処までやるんですかキュラステル〜〜〜〜!!!????


[男しか居ねぇんだからさっさと脱げ!
と急かす衛士の前、漣の中に響く情けない悲鳴。
狭い甲板で煙草をふかしながら、老いた乗組員が苦笑いする。
坊も役者よなぁ、という彼の小さな呟きは
船の軋む音に掻き消された。

甘く、生臭い匂いのする────異国の煙草の煙も、潮の濃い匂いの中に消えていった。]*
 
(4) 2022/11/04(Fri) 0:06:26
修復師 ラシードは、メモを貼った。
(a0) 2022/11/04(Fri) 0:16:13

天のお告げ(村建て人)は、メモを貼った。
2022/11/04(Fri) 0:25:39

天のお告げ(村建て人)は、メモを貼った。
2022/11/04(Fri) 0:31:55

修復師 ラシードは、メモを貼った。
(a1) 2022/11/04(Fri) 0:32:13

到着:給仕 シロタエ

【人】 給仕 シロタエ

―― 大衆食堂「仔狐亭」 ――
[海上の孤島でありながら、その特性>>n5故に人の往来が多いキュラステル
そんな島の様々な店が並ぶ一角に「仔狐亭」はある
朝の早い漁師のために早朝から開く店もあるが、この仔狐亭は昼から営業のごく一般的な食堂だ
売りはやはり新鮮な魚介料理で、小皿をつまみに一杯という客も少なくない

大衆向けに安価に抑えられた価格もあって、今日も開店から賑わっている]

 「はいはい、今日はいい貝が入ったからそれもお勧めだよー」

[などという店主の声に、それならと注文の声が上がり
そんな店内を数人の給仕が忙しく動き回っていた]
(5) 2022/11/04(Fri) 2:25:19

【人】 給仕 シロタエ

 はーい、お待たせ!
 ピノス貝の塩ゆでとビールで500コルドだよ!

[給仕の娘がそう言って料理をテーブルにおいて手を差し出すと、客はあからさまに困ったような顔をした]

 うちは料理と代金引換だよ?
 入口に書いてあるの見なかった?

[初めてみる顔の男はきっと島に来たばかりなのだろう
そんな客でも料金システムを言えば大体はすぐに払ってくれるのだが、この客は視線を泳がせたままもごもごと口を動かしている
娘はそんな様子を見て「あぁ」という顔をして]

 もしかして……お金持ってない、とか?

[その一言で男が思いっきり動揺するのを見て「やっぱりぃ」と呟く
本当に持ってないかは置いておいて、混んでいる隙に食い逃げする輩は結構いた
だから今の代金引換になったのだけど、つまりはこの男は食い逃げする気だったということで]

 大将ー、ちょっといいー?

[厨房にいる店主に声をかけ事情を説明する
まだ食われてはいないのだからそのまま追い出せばいいだけなのだけど
前にそれをやったらちょっと怒られたりもしたので]
(6) 2022/11/04(Fri) 2:27:16

【人】 給仕 シロタエ

 「お客さん困りますよ……」

[なんて言いながら店主が対応する
本当に持ち合わせがないのかとか、島で何をしているのか、とか
そして結局、貝の塩ゆでとビールの代金分皿洗いで話がついた]

 もー、大将ってばほんと甘いんだから……

[実のところこういう対応は「いつものこと」で
研究目的で島に来る人たちの中には「本当に」困窮してる人もいたりするから、無碍に追い出したりしないっていうのが大将の言い分だった
それには、本人が昔そんなふうに世話になったというのがあって、そう聞いてしまえばそれ以上何も言えなくなってしまう

何より、娘本人も大将に拾われたようなものだったから**]
(7) 2022/11/04(Fri) 2:28:30
給仕 シロタエは、メモを貼った。
(a2) 2022/11/04(Fri) 2:45:24

到着:住職 チグサ

【人】 住職 チグサ

── 夜明け前 『慈厳寺』にて ──


[外に一歩踏み出すと、銀に冷えた風と共に、宵っ張りの虫の声に包まれました。
 東の空は僅かに白んではいても、天空にはまだ星々が息づいておられます。この頃はずいぶんと夜明けが遠くなったものです。
 しかし、お寺の朝とは得てして早いもの。修行僧たちは起き出して、まだほの暗い寺に灯を灯し、朝餉前の作務に精を出しておられました。
 あるいは掃除に。あるいは料理に。
 広い境内をひと歩きし、僧の修行を見て回り、望ましくない行いを細かく指摘していくのが、私の朝のお勤めです。老いて節々が痛くなった体とともに、私は歩き回りました。]
(8) 2022/11/04(Fri) 6:52:26

【人】 住職 チグサ

[縁側を歩くうち、掃除中の一人の小僧が目に留まりました。あらかた掃除を終えたのか、水桶の中身をあけようとしています。]

 そのような粗末なことをしてはいけません。

[言われた小僧はなぜ叱られたのか分からぬようでした。
 子供から水桶を受け取ると、縁側から外に出て、まだ夜霧の底で眠る木にかけてやりました。やがて日が登れば、この水は朝日を受けて輝くでしょう。]

 あなたにとっては役目を終えた汚れ水でも、渇いた草木にとっては待ち望んだ一杯かもしれません。
 一滴の水に感謝して、無駄にせぬ慈悲心を育てなさい。

[言われても、小僧は未だ納得できぬ様子で、しぶしぶと水桶を受け取りました。今は住職となった私に、表立って不服を示せるのは、がんぜない子どもの特権でしょう。]
(9) 2022/11/04(Fri) 6:53:39

【人】 住職 チグサ

[もっとも、こういった不服自体は彼だけのものではなく、この寺全体の僧から感じるものでした。私のお説教は何かにつけてケチケチと意地汚く見えるようです。

 気づきを得るのは、昔よりも難しくかったのかもしれまけん。このお寺は昔ながらの質素な──あるいは不便な生活を保っていますが、街に降りればずいぶんと豊かになりました。
 足腰を使って井戸水を汲み、かじかむ手を冷水にさらさずとも、魔法一つで温かいお湯が生み出せ、その熱を保ち続けることさえできるのです。

 そういった豊かな、心地良い社会に浸かれば、お寺の生活など、ただ苦しくて貧乏くさいだけでしょう。良くも悪くも大きく育ってしまったこの『慈厳寺』では尚更。]
(10) 2022/11/04(Fri) 6:54:45

【人】 住職 チグサ

[私はこのお寺と共に育ち、生きてきました。
 修行に励むうちに、何が功を奏したのでしょうか、そう大きくもない、歴史が長いだけの貧乏寺だったはずのこの慈厳寺は、すっかり大きく、膨れ上がってしまいました。
 それにつれて、修行に門戸を叩く僧侶の性質も、向上心の強い、良家のご子息が増えていきました。お釈迦様の教えを広くお伝えしていくのがお役目のはずのお寺に、威厳と権威が満ちていく様は、悲しくも皮肉なことです。

 しかし、このような懊悩もまた仏の教えの内。

 ── 一切皆苦、諸行無常。

 物事は思い通りにはならず、全ては移り変わっていくもの。]
(11) 2022/11/04(Fri) 6:56:03

【人】 住職 チグサ

[一礼して立ち去っていく小僧の背中をじっと見送りました。時代の写し鏡である子供は、このお寺でどのように育っていくのでしょう。

 自ら訪れる者が多い慈厳寺においては珍しく、彼は訳あってこのお寺に拾われました。
 野垂死のうとしていた場所が境内ではなく街中であったなら、大衆食堂に拾われたのかもしれません。
 例えばそう、あの情け深い対象が働く大衆食堂であれば>>6、世俗の刺激の中で、年の近い女給などとともに育っていったのかもしれませんが、現実として縁があったのはこのお寺です。
 そうであれば、娑婆っ気のない枯草のような老婆と共に、寺小僧としての在り様を見つけていくのが理です。しかし、どのように?

 小さな背中から受け取る責任は、こんなにも重い。この移り変わり行く時代の流れの中で、私はどのように彼らを育てていけばいいのでしょうか。]
(12) 2022/11/04(Fri) 6:56:58

【人】 住職 チグサ

[すっかり登った朝日の下で溜息をつくと、朝霧の中を梵鐘に向かって歩き出しました。

 まもなく、僧が朝の鐘を打つ時間です。低く響く鐘の音は、朝日の届かぬカーテンの向こうで眠る人々にも、朝を届けることでしょう。

 遠く、数々の宝が集まる港。その波間を縫って浮かぶ、小さな船>>1までにも。]*
(13) 2022/11/04(Fri) 6:58:03
住職 チグサは、メモを貼った。
(a3) 2022/11/04(Fri) 7:06:22

到着:隻影 ヴェレス

【人】 隻影 ヴェレス



            
☦︎︎


       哀しみの兆しが鳴り響く。
       空の棺が聖堂を後にする。


(14) 2022/11/04(Fri) 7:41:56

【人】 隻影 ヴェレス

 

 ──── 先刻;へレース聖堂

 [故人への別れを終えた聖堂の境内では、
  祈りを捧げる者、喪主に言葉を掛ける者等が疎らに残る。

  出棺の準備が着々と進む傍ら、
  最前列のベンチに座したまま膝元を見詰める少年は
  喪主としてこの場を取り仕切るには余りにも若い。]
 
(15) 2022/11/04(Fri) 7:42:26

【人】 隻影 ヴェレス



  「あんなにも若くて綺麗な人だったのに」

                「即死だったから苦しまずには済んだ」

    「当主さえ参列しないとは一体……」


 [ヴェレス・エルドレッド・アスター。
  周囲の囁き声に反応すら見せないその少年は
  最愛の母を失い、心を取り落としているように見える。

  出自を、キュラステル最大の研究機関を束ねる一族。
  その指導者は知恵の民たる人間ヒューマでありながら
  ありとあらゆる種族を娶る事で自らをも実験台とした……

  魔人の血を継いだが、混血故に魔力を持たず。
  賢者の血を継いだが、次男坊故に跡取りでなく。
  虚弱で、出歩く事も稀な籠の鳥。
 
  ────それが少年に対する
世間一般の認識
である。]
 
(16) 2022/11/04(Fri) 7:43:53

【人】 隻影 ヴェレス

 
 [グレイス・エドウィナ・アスター。
  かつて異邦より迎えられ第二夫人となった彼の母。
  その最期は悲惨にも、十数年住まう屋敷の
  最上階からの転落死と云われる。

  生まれつきの美貌は視線を奪い、優れた魔力を有する。
  魔人の中でも取り分け美しく希少性の高い種族は
  『宝石の魔人』と呼ばれたが。

  彼女の急逝に際して、ヴェレスの父親にあたる
  アスター家当主はおろか、息子を除く血縁者に至るまで
  誰一人として聖堂に姿を表すことはなかった。

  世間ではこうも囁かれた。
 “息子がああだから夫人も徒爾になったのでは”……
  死を悼む人々でさえ、根拠の無い噂話に夢中だった。]
 
(17) 2022/11/04(Fri) 7:44:33

【人】 隻影 ヴェレス

 
 [軈て、花に飾られた空の棺が
  黒い馬車に乗せられて聖堂から離れていく。
  少年は使用人達に連れられ、
  質素なからくりの車に乗り込んでその後へ続く。

  背後では古い鐘が別れを告げている。
  見送る様に、何度も、何度も。

  若し、その音色にあなたが顔を上げ
  音のする方へと向かったのなら、
  郊外の墓地へ向かう葬列を見掛けるかも知れない。

  或いは、告別式そのものへ参列する事も
  一般参加が赦される以上は有り得る。

  いずれにせよ、少年の失意と哀しみは
真実
である。
 遠目からの表情のみでも、それが見て取れる事だろう。]
 
(18) 2022/11/04(Fri) 7:45:09

【人】 隻影 ヴェレス





        ………… …………


 
(19) 2022/11/04(Fri) 7:45:36

【人】 隻影 ヴェレス



  人々の視線の消えた車内。私は思考する。
  父上は朝早くから、いや。
  ここ数日はずっと兄上共々忙しくしているようだった。

  家族の葬儀すら無下にして研究に没頭しているなんて。
  ただ血は争えないが、母は異なる。

  母は私を愛していたし、私も母を愛していた。
  
  『宝石の魔人』たる同類はこの島において他にない。
  故に心を許し合えるのも二人だけだったのだから。
  
(20) 2022/11/04(Fri) 7:45:52

【人】 隻影 ヴェレス



  そうだ。血は争えない。
  母が人知れず滅茶苦茶になっていた時も、その前後も。
  精神錯乱を起こした時から、死体が発見されるまで。

  私はずっと読書に耽っていた訳だから、
  学者気質というものは受け入れ難い。
  況してや棺を前にして眠気が襲うなどとは。

  人々は
私をアスター家の影の象徴として見ている

  今日この日浴びた視線からひしひしと感じ取った。

  …… ……

 
(21) 2022/11/04(Fri) 7:46:22

【人】 隻影 ヴェレス




       ( …………疲れた。少し、眠ろう…… )


 [噎せ返る様な花の香が充満する車内で、
  赤い蝦夷菊の花束を抱いた少年は目を閉じる。

  葬列は未だ静かな朝の大通りを往く。
  既に埋葬を残すだけとなった、彼の母の待つ墓地へ。*]
 
(22) 2022/11/04(Fri) 7:46:44
隻影 ヴェレスは、メモを貼った。
(a4) 2022/11/04(Fri) 8:02:11

到着:助手 ノーヴァ

【人】 医者 ノーヴァ



[その病院の窓はいつも曇っている。
見透かせぬ人間の真意を表すかのように。]

 
(23) 2022/11/04(Fri) 16:27:58

【人】 医者 ノーヴァ

── シップマン医院:診察室 ──

[ジェインはひとしきり窓を布で磨くそぶりを見せた後、諦めたようにため息をついた。
キュラステルの宝とも言える病院の外観がこんなもので良いのだろうか、と。

その奥にあるドアのない小部屋で書類整理をしていたそこの主人は、看護助手兼メイドの女に声をかける。]


そこまでにしておきなさい。
もうそれ以上綺麗にはならないだろうから。


[そう言えば、納得いかないといった顔で膨れっ面を見せることはわかっていたから。
苦笑いして両手をひらつかせ、マシンガントークが始まる前に降伏のポーズを示してやれば、彼女は不満げな呻き声を上げつつもしぶしぶ動きを止めた。

雑巾を握ったまま、行き場を無くした掌を腰に当てて胸を張る。代わりに出たのは大きなため息だった。]
(24) 2022/11/04(Fri) 16:28:18

【人】 医者 ノーヴァ



「……もう、先生!
 もう少し自分はここの開業医なんだって自覚を持ってもらわないと困ります!」


そんなことを言われても……
自覚を持てってどうすればいいんだい?もっと掃除をしろって言うのかい?終わりなんて見えないのに?

「そういうことではなく……あー、もう結構です!言っても何も変わりませんし……」

[ひとまず今日の災難は免れたな、と思った。
隠れて肩を竦めながら、途切れた会話と空気の間に珈琲の香りを燻らせる。

ノーヴァ・アーネスト・シップマン。

キュラステル唯一の病院の主。種族を問わず患者を受け入れる腕利きのドクターだ。
その治療方法は独特で、軽い怪我なら額を当てるだけで完治してしまうとか。いってしまえば、魔人独自の術を持っていたのだ。]

 
(25) 2022/11/04(Fri) 16:29:07

【人】 医者 ノーヴァ



[形ばかりは小さな島ではあるが、最近では人の往来も増えており、彼を頼る人々も少なくはないだろう。
こんなに優雅なコーヒーブレイクを楽しめるのは珍しいことだった。
未だにぷりぷりと頭から湯気の上りそうな彼女も、仕事を奪われ手持ち無沙汰にしているようで。]

ジェイン、今日はもう帰ったらどうかな。
……安定期に入ったとはいえ、もう一人の身体ではないのだから。

[看護師のふっくらとしてきた下腹部を軽く見やり、気遣いの言葉を投げる。そこには彼女の旦那との子供が息づいているはずだった。
女は暫く躊躇した後、ぺこりと頭を下げて帰宅の準備を始めてくれたから、今度はこちらが安堵の溜息を吐き出した。

これで働き詰めの彼女に束の間の休暇を与えることができるだろう、とか、
今日はもうこれ以上彼女の小言は聞かなくて済む、とか。

そんな思いを、帰路を辿る彼女の背中さえも見えないくらいに曇った窓に向けながら。]**

 
(26) 2022/11/04(Fri) 16:29:36
医者 ノーヴァは、メモを貼った。
(a5) 2022/11/04(Fri) 16:31:17

給仕 シロタエは、メモを貼った。
(a6) 2022/11/04(Fri) 18:11:13

【人】 住職 チグサ

── 慈厳寺境内 遠くで鳴る鐘の音 ──

[潮風に乗って、物悲しい鐘の音色が届きました>>18
 老いて遠くなった耳にも聞こえるほど、何度も、何度も。
 名残惜しむように。あるいは慟哭のように。

 この音色は、へレース聖堂の鐘でしょうか。
 全ての命は、生まれた瞬間から死に向かっていく。
 その真理に則り、今日もまた一つの命が喪われたことを、鐘の音が知らせていました。]

 …………。

[鐘の音に体を向け、胸の前で合掌し、深く頭を垂れながら、短いお経を唱えました。]
 
 一心頂礼 万徳円満 釈迦如来 
 真身舎利 本地法身 法界塔婆 
 我等礼敬 為我現身 入我我入 
 仏加持故 我証菩提 以仏神力
 利益衆生 発菩提心 修菩薩行
 同入円寂 平等大智 今将頂礼

 
[私はおそらく故人とは信仰の異なる身でしょうから、読経は失礼にあたるのかもしれません。
 それでも、死の気配に立ち会えば、唱えずにはいられなかったのです。
 低くお経を詠みながら、未だ誰か分らぬ故人と、近しい人々の悼みを想いました。]*
(27) 2022/11/04(Fri) 19:11:31
住職 チグサは、メモを貼った。
(a7) 2022/11/04(Fri) 19:14:24

【人】 給仕 シロタエ

―― 仔狐亭 ――
[大衆食堂、とは言っても仔狐亭はちょっとした酒場も兼ねている
さすがに昼間から強いものは出せないが、夜勤明けに一杯なんて人もいるから
飲む人も飲まない人も気軽に楽しめる島の住人の社交場では
色んな噂話の交換だって花が咲く

どこぞのご婦人の葬儀がどうとか、その家の噂とか
そう言えば今朝は聖堂の鐘が鳴っていたっけ、と娘は思う

数年前、海女をしていた母親が海で死んだときは、仕事仲間の人がいろいろ世話をしてくれた
娘も母親を継ぐつもりでいたが、その事故から海に入れなくなった
生活の術を無くした娘に手を差しべたのが、母親の商売先である仔狐亭の店主、つまり大将だった

地上の全ては宝であり、形を問わず等しく価値あるものである。


その考え方は島の人々の間にも根付いていて、だからこそここには今も様々な人々が訪れるのだし
それで救われたものもきっと住人の中には多いのだろう
真実はどうかは知れたことではないけれど]
(28) 2022/11/04(Fri) 23:37:48

【人】 給仕 シロタエ

(それもこれも)

[客の相手をしながら娘は思う
そもそも、母親が無理までして海に入って死んだのも、そんな苦労をする羽目になったのも
もう顔も覚えていない父親のせいだ、と
母親はそれについて愚痴ひとつ言わなかったが、周囲の人々の様子がそれを物語っていた

漁師だった父親は、ある日一人で海に出て帰らなかった
初めは遭難を心配したが、すぐにとある事実が発覚する
家から父親の身の回りのものとお金になりそうなものがすべて消えていたのだ
小さな船とわずかな品々、それでもほぼ全財産をもって消えた父親
どこに行ったのかも、理由もいまだにわからないままだ

幸いだったのは住む場所は無くさなかったことと、母親が職を持っていたことだった
それでも、海女をして日々獲れる量など知れていて、暮らしは楽なものではなかったし
そういう事につけ込んであれこれ言ってくる「ろくでなし男」が多かったけれど
そんな輩はすべてうまくあしらって数年前まで頑張って来たのだ]
(29) 2022/11/04(Fri) 23:40:46

【人】 給仕 シロタエ

[正直な話、軽くあしらうだけの母親に苛立つこともあった
迷惑なんだからもっとはっきり言えばいいのに、そうしないからしつこくしてくるんだと
それは食い逃げに甘く接する店主への感情にも似ていて、だからこそ強く言えなかったのだけれど]

 「どうしたシロタエちゃん、怖い顔して」

[そう客に言われてはっとしていつもの笑顔に戻る]

 さっき大将がねぇ……

[と先ほどの一件を話すと、またかい、なんて声がかかる
大将らしくていいのだけれど
その話を聞いてただ飯を食いに来る輩がいるってこと、大将わかってるんだろうか?

本当に、みんな悪い人じゃないってわかってはいるんだけど

  
でもやっぱりちょっとイラつくのよね


なんて気持ちは営業スマイルに隠して、接客を続ける
今日も、仔狐亭は忙しいんだから**]
(30) 2022/11/04(Fri) 23:44:59
到着:警備員 ジュード

【人】 警備員 ジュード

── 朝:美術館にて ──


 本日はご来館ありがとうございますっ!
 絵画には無暗にお手を触れず、きちんと距離を保って
 安全な鑑賞にご協力ください!であります!


[白い宮殿の様な形をした、保存施設の一つ。
美術館の入口の傍らに姿勢を正して立つ男は、
朝も早くから施設を訪れる人たちへと
人懐こいような笑顔と共に挨拶を投げかける。

利用者の反応はさまざまで、
返事や笑顔を返してくれる者もいれば、
静かであるべき鑑賞の場へと響く声に、
疎まし気な視線を向ける者もいただろう。

しかし、どのような視線を向けられても男は怯まない。

というのも、この声かけは
利用案内や挨拶の為だけのものではなく。
"この場には監視の目がある"という事を
認識させる為のものだからだ。]
(31) 2022/11/05(Sat) 1:23:20

【人】 警備員 ジュード

[男の足元にゆるく巻かれている、
黒と黄色のまだら模様をした、滑らかな尻尾。
それは猛毒を持つ、ガライカのサラマンドラ族の証。

本来、"楽園"と呼ばれるガライカの地から
外へ出る者は少ない筈なのだが。
その楽園から『あるもの』が持ち出された事により
男は故郷を離れ、もう一つの"楽園"たる
キュラステルへと流れ着いていた。

一体何が持ち出されたのか問われても、
男は笑って誤魔化そうとするだろう。

しかし、その件に思う所のある男はこの島に至ってなお、
保管施設に収められた物品や、利用者の保全に努めていた。
それこそが、己の行うべきことだと考えていた。]
(32) 2022/11/05(Sat) 1:25:22

【人】 警備員 ジュード

[……そう、たとえ、ガライカのサラマンドラ族には
生来の不安症を持つものが多く、少しの恐怖で
猛毒を漏洩する恐れがあっても。

それに対する大衆の不安を払拭する為に、
ある種の『薬』を飲んで、己の感情を欺いてでも。

「私は恐れない」「私は"やくにたつ"」
「私は親しめる存在だ」と、大衆に訴え、
日々信頼を得るための努力を重ね、
この場を守るという使命を遂行しようとする程に、

男は強く、己の使命がそうであって欲しいと願っていた。
だから、男は自信を持っていた。]
(33) 2022/11/05(Sat) 1:29:39

【人】 警備員 ジュード

[……といっても、この島は出入りからして
厳格に管理されているものだから。

男がこの三年間で成した事といえば、
誰かの煙草の不始末を広がる前に消火したり、
魔法使用禁止区域で魔法を使おうとした人を
止めたりしたくらいだけど。

少なくとも一部の島民は、男の背景を知ってか知らずか
その努力を認めてはくれているようで。

この日の朝にも、男は話しかけてくれた一人の島民と
誰も通らない間の世間話に興じている。]
(34) 2022/11/05(Sat) 1:34:22

【人】 警備員 ジュード

[気を許しきった暇な男と、
同じく気を許しきった暇な島民の間の暇な時間。

そんな呑気な空気の中で交わされる話は
明日の天気はどうなるだろう……とか
今日の仔狐亭のお勧めはなんだろう、とか、
取り留めのない話ばかりである。

あんまり取り留めのない話をしているものだから、
島民からは、男が今仕事をしていると言って良いものか
とうとう疑わしくなったようで。
一つ笑うと、ふざけた調子で揶揄を放つ。]


 「あんたも暇そうにしてるけどさぁ
  警備の仕事ってのは、呑気なもんなんだね?」
 
(35) 2022/11/05(Sat) 1:41:10

【人】 警備員 ジュード

 
 ええーっ! そんなぁ!


 皆さんとお話をするのも大事な仕事であります!
 ほら、情報収集の為とか、
 あとその、情報収集の為とか……?
 勿論楽しいことでもありますけどね!

 それに外が良く見える所に暇な人がいれば、
 迷子なんかが近くを通ってもすぐにわかるでしょう?
 だから、そういう人員も必要なんです!

 
……た、多分!



  「あはは!悪い悪い!
   迷子の見送りまで警備員の責任とは
   私は思わないけど……まあ、そうだな。
   もし見付けたら、ちゃんと送ってやるのは正しいな」
 

[からかいに酷くショックをうけたような
ふざけた調子で男は言葉を返し、それを島民が笑う、
やはり呑気な一連。

しかしその中でも、設備の破損の話が無暗に広がらぬよう
言葉を伏せる事は忘れなかった。]
(36) 2022/11/05(Sat) 1:54:01

【人】 警備員 ジュード

[……現在、この場とは異なる保存施設の一つ、
キャビネットの方ではある扉の魔術錠が破損しており、
それを直す為に島の外から修復師を呼んでいるという。>>3

その人がキャビネット以外の施設を訪れた時の案内の為。
それから、修理対応の間に他の施設で問題が起こっても
迅速な連絡ができるようにという理由から、
男は何人かの職員と内外の手分けをして
美術館の見張りをしているのだった。

そしてそれは、世間話を終えた島民が去った後でも変わらず。
昼の休憩時間になるまでは引き続き
入口付近の見張りをする事になるのだろう。**]
(37) 2022/11/05(Sat) 1:57:47

【人】 修復師 ラシード

─ キュラステル南部:港町 ─


 ……わぁ、あ…。
 すごいです……すごい、ですねっ……
 ………いやあの、すごくないですか!?
 嘘でしょ!? あの窓の意匠、とっくに失われた技法ですよ!?

[衛士に引っぺがされた布頭巾を巻き直しながら。
港の門から島内へと足を踏み入れた若い男は1人、
見開いた目をあちこちへ巡らせ、きらきらと輝かせながら
賑わう朝の街並みを、おっかなびっくり歩いている。
あまりにもあちこち余所見するものだから、
朝市に向かって野菜をたんまり積んだ荷車と危うく衝突しかけるところだ。]

 ったわぁ!!すみませんっ!!

[ぺこぺこと頭を下げる彼に対し、
荷車を引く驢馬に乗った農夫は
「気ぃ付けなぁよ」と笑いかける。
そんな顛末を遠目から眺める人々の目も何処か穏やかだ。
宝箱とも喩えられるキュラステルの住民にとって、
このような光景は風物詩のようなものなのかもしれない。]
 
(38) 2022/11/05(Sat) 2:10:20

【人】 修復師 ラシード


 ええ、と……キャビネットはそう遠くはない筈。
 例の魔術錠の場所は、っと……

[路肩に身を寄せ、半ば影の中に潜るようにして
男が懐から取り出したのは、
この島の───キュラステルの地図。
銅版一色刷りの紙面は内外双方に向けたものだが、
男が取り出したそれには多くの書き込みが為されている。
美術館>>31を含む主たる保存施設の他にも、
長い歴史を持つ寺院>>11や聖堂>>15
島唯一の病院>>23、他にも様々な施設に手描きの印が刻まれ。
細かい道、裏道のひとつひとつも色とりどりに塗り分けられている。


此処を初めて訪れる者が持つ地図としては
相応しくないほど────詳細に。
]
(39) 2022/11/05(Sat) 2:10:45

【人】 修復師 ラシード

[

”遺物修復工匠組合”は
でっちあげの工匠集団である。

その実態は、キュラステルに納められたとある宝を奪うべく
或る少数獣人族の若者が組織した、”一度限りの盗賊団”だ。
たった一つの宝物を手に入れる為だけに、
彼は多くの人間を巻き込み、綿密な計画を立て、
舞台を練り上げ────そして今、演じている。
波間に浮かぶ標本箱、 その輝きにはしゃぐ”只の職人”を。
                            ]
 
(40) 2022/11/05(Sat) 2:12:28

【人】 修復師 ラシード

─ 来訪者、または贈り物 ─


[若き職人の正体と、その来訪を知る者の元には
何者かの手によって、紅い祝福が届き始める頃か───
もしくは、それはとうの昔に渡されていて。
彼等の手元にずっとずっと在ったのかもしれません。

その紅は、呪を祓う紅

計画の日、夕刻の鐘>>13が鳴る時に、
口と鼻を覆うようにこれを纏って欲しい、
そうすれば”呪い”を免れることができるから、と。
彼等にそう告げたのは
工匠組合を名乗る”同胞”か、手紙の質素な文面か、
はたまた────もっと気の利いたメッセンジャーだったでしょうか。

紅い呪布は、同胞の証

この島を犯し、滅ぼす呪いを招き入れた裏切りの証。

───それを失うことは、
    彼等との信頼関係よりも遥かに大切な正気を失うことを意味するのだけれども。]
(41) 2022/11/05(Sat) 2:15:26

【人】 修復師 ラシード


[

首魁の狙う”宝”は一つだけ。
だが、それだけの個人的な理由で
協力者を集めることは出来ない。
……船に乗って訪れた同胞たち、
工匠を名乗る共犯者たちの協力理由は様々だ。

とにかく金が入り用だとか。
相乗りの形で盗み出したいものがある、とか。
この首魁に何らかの形で恩義を感じている、だとか。


若しくは───彼が此れから撒こうとしている
禁じられた”呪い”のデータを取りたい、だとか────]**
(42) 2022/11/05(Sat) 2:22:19
修復師 ラシードは、メモを貼った。
(a8) 2022/11/05(Sat) 2:32:44

【人】 医者 ノーヴァ



[額を合わせれば何もかもわかる。
君が何に苦しんで、どこを治せばいいのか。

腹を切り開けばいいのか、傷口を縫い合わせればいいのか、薬剤を注入すればいいのか、痛み止めを処方すればいいのか、それとも単に話を聞いてほしいのか。

…………君の弱いところを、僕なら理解することが出来る。

そうした小さな大切なところを、ずっとずっとこの手で、]


 
(43) 2022/11/05(Sat) 2:49:50

【人】 医者 ノーヴァ



     ──────ぱ   りぃ   ん、

 
(44) 2022/11/05(Sat) 2:50:05

【人】 医者 ノーヴァ

[突如足元で耳をつんざく破砕音がした。
思わず丸くした目を下にやれば、粉々に割れたティーカップ。履いていたズボンは先ほど煎れた熱々の珈琲で湿ってしまっていた。

数秒遅れて空っぽの指先を摺り合わせ、……また数秒。
そうすれば感覚は遅れてやってくる。]
 


              …………
ぅあちっ!



[ひりひりと脛に響くは火傷の痺れ。
湯気の立つ液体を衣服に被ったのだから仕方ない。
この後未だに熱を孕んだそれを着替えることになるのだが、不注意が招いた自業自得でしかなかった。
ジェインが未だ見ていたのならば、更に「自覚を持て」と叱りつけるのだろう。

これを一つの例とするならば、彼はよくものを壊す。先程のティーカップのように。]
(45) 2022/11/05(Sat) 2:50:29

【人】 医者 ノーヴァ

[決まって、いつも大切そうにしているものばかりだ。
金をはたいた高級時計だとか、買ったばかりの魔道具の子機だとか。
……誕生日にジェインから貰った青い薔薇模様のティーカップだとか。

今ではすっかり謎の紋様に変わってしまった陶器の欠片たちはすぐさま箒でかき集められてゴミ箱行きだ。
( 彼女に見つかったら、なんて言おう? )

終わらない悩み事を増やしながら、自嘲混じりに頭をかいた。

掃除はまめにする方だ。ワイングラスは時折磨くし、仕事道具だって衛生管理はしっかりしている。
全体的に整った部屋の中にいるのに、時折ものの扱いがずさんで、結果何かが壊れてしまう。仕事以外の肝心なところでは老人の様に気が抜けている───……それが彼に対する周りの印象評価だった。]
(46) 2022/11/05(Sat) 2:51:03

【人】 医者 ノーヴァ

[そのせいか……あの銀鷹公も最近、「コレクション」に対する彼の「貸出依頼」を矢鱈と渋るようになってしまった。純粋に研究に──これからの医学のために使用したいというだけなのに!]


  困ったなァ、どう書けば通るだろうか。
  「これからの現代医療のために」……いや、
  「今も苦しむ患者のために」……これでもないな。

  「今、アプリカでは10秒に1人、
   ジャングルで命を落としています」……いや、
  どんどん論点からずれていっている。ふむ……


[黒いズボンから赤紫colorのものに履き替えた彼が相も変わらず頭を抱えているのは、そんな頭の固い島の主人の許諾を得るための書類作成が原因であった。

どれだけありふれた言葉を並べようと、あのお固い親父を動かすには何かが足りないような気がして。]
(47) 2022/11/05(Sat) 2:51:17

【人】 医者 ノーヴァ



[切り裂かれた沈黙は再度修正され、この部屋を覆い尽くす。思考にはぴったりの空間だった。

誰も見ていなければきっと真実は覆い隠される。
先程彼はティーカップから目を離してなどいなかったこと。遊ばせた指先のわずかな隙間をすり抜けて、カーペットまで落ちて罅割れるところまでみていたのかもしれないこと。

……誰も見ることのできない、外界から隔たれたような曇った硝子が、その姿を覆い隠していたこと。]



     [まるで一切知らずに机に向かう子供が如く、
      彼は思考の海に身を委ねている。
      来客などがあっても
      数十秒なくては気づかないくらいに。]**


 
(48) 2022/11/05(Sat) 2:52:13
医者 ノーヴァは、メモを貼った。
(a9) 2022/11/05(Sat) 2:52:17

警備員 ジュードは、メモを貼った。
(a10) 2022/11/05(Sat) 2:52:27

隻影 ヴェレスは、メモを貼った。
(a11) 2022/11/05(Sat) 5:22:17

【人】 住職 チグサ

── 夜明け 慈厳寺 梵鐘にて ──

[僧が撞木を打ち付けると、梵鐘が震えました。
 体に染み入るような音が、朝の清涼な空気に広がります。
 大きな梵鐘を鳴らすためには、それだけ重たい材木を使わねばなりません。
 撞木から吊り下がる太縄は重みに軋み、その縄を握る修行僧もまた、歯を食いしばっています。
これもまた、修行の一つ。

 昔、今ほど技術が発達していなかった頃は、お寺の鐘が時計がわりでした。
 今では時刻が知りたければ魔法具があります。
 いつでも好きな時に、より正確な時刻が知れます。
 時計は寺の鐘などよりもよっぽど便利です。
 ただ時刻を知りたいだけなら。

 それでもお寺は昔と変わらず、日に三度の鐘をつきます。重く、辛い思いをしながら、人力で鐘を鳴らします。
 朝に、昼に、そして夕に。時報として。
 島に住む人々に向けて。島を訪れる人々に向けて。]
(49) 2022/11/05(Sat) 6:41:09

【人】 住職 チグサ



    
ぼぉ……ん、   ぼぉ………ん



[梵鐘は耳に心地良く、空気を、体を、低く震わせます。
 音ははあちこちにぶつかり、幾重にも割れて、重なり、やがては島中を通り過ぎます。
 ゆったりとうねる共振が潮風と共に訪れれば、人々は時間の流れに気づくでしょう。

 その音を合図に、
 人々はあるいは起き出し、
 あるいは作業の手を止め、
 
あるいは同胞と息を合わせるのです。>>41


 今日もまた、梵鐘は鳴るでしょう。
 日に三度。朝に、昼に、そして夕に。]*
(50) 2022/11/05(Sat) 6:43:40
住職 チグサは、メモを貼った。
(a12) 2022/11/05(Sat) 6:46:47

【人】 隻影 ヴェレス

 

  「行ってらっしゃいませ坊ちゃん
   夕刻の打鐘前にはお戻り下さいね」


      ……うん、うん。分かってるよ。
       少し気分転換に出るだけだから。


 [日は高く昇らんとしている。
  簡略化された儀式は正午を待たずして終わり、
  母の埋葬を見届けた少年が再び屋敷を出る頃。]
 
(51) 2022/11/05(Sat) 6:52:24

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [香典返しじみたお気に入りの菓子折と、
  発明品の一つである写真機。
  その他の荷物を鞄に纏めている最中、
  若いメイドの一人が再び近寄ってくる。]

      「それと念の為……こちらを。
       冷えると“火難が相次ぐ”ものですから、
       もしもの際はどうかお役立て下さい。」


   ちょ……両手が今塞がってるんだ。
   真っ赤で綺麗だし腕にでも巻いておいてくれ。

 [取り落としそうになった書籍を鞄に詰め込んで、
  刺繍の施された天鵞絨の様な布を括り付けられて
  慌ただしく屋敷を出た。]
 
(52) 2022/11/05(Sat) 6:52:53

【人】 隻影 ヴェレス



 使用人達は日陰者である筈の私にも
 
毎日頻繁に、明るく接してくれる


 魔人の血を引く故の魅了性によるものかも知れない。
 それでも私は彼女らに応えたく、勉学に励む。

 痛ましい事故があったばかりでも、
 やるべき事は当たり前の様に降り注ぐから。
 私もまた、直ぐに前を向けるように
 心を癒す切っ掛けを必要としている。

 
(53) 2022/11/05(Sat) 6:53:05

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [少年が庭園の小路を抜けて振り返ると、
  鉄門の向こうでメイドが扉を締めるのが見えた。

  その直後、僅かな赤い光が辺りに散った様な────
  目の錯覚だろうと気にも留めない程度の変化を経て、
  この屋敷は夜を越すための砦へと変わるのだ。

  そう、その光こそ。]
 
(54) 2022/11/05(Sat) 6:53:21

【人】 隻影 ヴェレス



 ────閑話・アスター家現当主の今

 [キュラステル中央部、地下に膨大な書架を抱き
  ありとあらゆる学問の研究成果を記録し続ける
  至高の独立機関、『学星院』。

  最高学会ではとある計画の為、
 
島外より贈られた貴重な品
>>41を元に
  呪い避けの結界の開発が長らく進められていた。

  そして期日である今日、
  アスター家現当主ブランドンが船着場に現れる。
  海風を凌ぐ分厚いコートとハットを身に付けた姿は
  外の世界における裏組織を彷彿とさせる。]


 
(55) 2022/11/05(Sat) 6:53:41

【人】 隻影 ヴェレス



 [ブランドン及び学星院上層部と盗賊団を繋ぐものは
  有り体に言えば────
『利害の一致』


  次から次へと発明品を生み出しては蒐集品に加えられる
  彼等にとってたった一つの宝など些事でしかなく。

  命が放つ『欲望』から成るエネルギー。
  魔力によって収集したそれをより効率よく実用化する為の
  実験がこの日、行われようとしていた。

  数人の助手を連れたブランドンは、
  記録にある首魁>>38の姿を瞳に入れると
  朝の喧騒に紛れて目配せだけを送る。

  協力者がどれだけ居るかまでは把握していないが、
  “学星院の主要な建築には近付くな”という意味合いだ。]


 
(56) 2022/11/05(Sat) 6:53:56

【人】 隻影 ヴェレス




 「……さてお前達、今日は我々にとっての躍進の日だ。
  結界装置の設置箇所を事細かに把握しておくように。
  有事の際にはここが唯一の脱出口になるのだからな。」


 [指導者に連なる学者達のグループ。
  彼等全員の腕には赤い布────
  既に実用化された模造品が結ばれている。

  同時に、主要人物らの自宅や別荘など
  そこに住まう家族や人的資源に危害を及ばさぬよう
  所有物件もまた、結界により保護される。

  此度の事件の裏には
  協力者にして傍観者、そして観測者足り得る
  巨悪の存在がある事は確実だ。*]


 
(57) 2022/11/05(Sat) 6:54:14

【人】 隻影 ヴェレス

 


 ──── 正午:『慈厳寺』

 [多宗教の入り交じる特異点でありながら、
  この島に彼等の神は御座無く。

  それ故にこそ、数多の神格を肯定も否定もしない。
  敢えて敷居を踏む様な真似もしないのだ。]

        そしてもし、我等の神と同等に
        慈悲深く聡明な神が在るのなら…………


 
(58) 2022/11/05(Sat) 7:39:28

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [雨が降った訳でもなかったが、
  境内の木々は不思議と露に濡れ煌めいていた。
  この辺りでは珍しい植生の間を擦り抜けて
  少年は本堂の方向へと向かう。

  彼にとって、死者の魂を鎮めるのがどの神かなど
  最早関係がなかった。
  少なくとも、好奇の視線と根も葉もない噂が降り注いだ
  あの聖堂の管理下では安らかに眠れないだろう、と
  改めて祈りを得る為に此処を訪れたのだった。


  もしその寺院の住職に取り合って貰えたのなら
  今日までの事情を惜しまず打ち明けることだろう。
  作法なんて分からないから、差し入れの袋には
  何となしに名店のバームクーヘンが入っている……]

 
(59) 2022/11/05(Sat) 7:39:49

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [学者としての好奇心で調べた限りでは、
  『仏』とその信徒以上に深い慈悲を懐く存在を
  如何なる宗教にも見出す事が出来なかった。

  少年が語ったのは、此度亡くした母が
  元は遠く、宗教も異なる土地の生まれだったこと。
  母が懐かしむ様な文化的特色はこの島に存在しないこと。

  そして即ち、母子共に自らの神から遠ざけられ
  この島以外の世を知らずに生きていたという事を
  細々とした語り口で明かすのだろう。

  今際の言葉すら耳には届かなかった怠惰の罪を、
  赦されたい想いが強かったのかも知れないが。]

 [腕に巻かれたままであるその呪布が、
  この島の摂理に対する裏切りの証であるとは
  知る由もなく────……**]


 
(60) 2022/11/05(Sat) 7:41:04
隻影 ヴェレスは、メモを貼った。
(a13) 2022/11/05(Sat) 7:46:13

【人】 住職 チグサ

── 回想:とある日 ──

[ありがたいことに、両親からは丈夫な体をいただきました。
 おかげさまで大きな持病も無く過ごしてはまいりましたが、さすがにこの年になれば、体のあちこちが悪くなります。
 この不調もまた、私と共に在る体が、長い年月を過ごした証です。
 調子を診ていただくために、定期的にこの島唯一の病院>>25にもお世話になっていました。
 お医者様からの診察は、大概の場合は、「年ですね」の一言ですが。]
(61) 2022/11/05(Sat) 13:23:37

【人】 住職 チグサ

[しかし以前、死の間際を救っていただいたことがあります。
 毎年、冬が近づくと、注射を打ちます。流行り病を抑えるために、無毒化した病をあえて迎え入れ、耐性をつけるのです。
 私はその毒との相性が悪かった。お寺に戻ってからも何とはなしに体調が悪く、しかし副作用のうちだろうと自室に戻って休んでいました。
 それがいけなかったのでしょう。誰にも知られぬままにどんどん呼吸が苦しくなっていき、意識が遠のいていきました。
 非常にごくまれなケースではありますが、この注射を起因として、急激に血の巡りが悪くなり、命を落とすことがあるそうです。
 たまたまお世話係の小僧が、常ならぬ様子の私を見つけたので、病院に舞い戻っては来れましたが、誰も通りがからなかったならば、あの時に私の命は尽きていたでしょう。]
(62) 2022/11/05(Sat) 13:24:13

【人】 住職 チグサ

[死にかけた日のことを、今でも覚えています。
 小僧は大声で呼びかけていたそうですが、私にはその声は聞こえませんでした。
 呼吸ができず、目の前は暗くなって、何も聞こえず。
 ただ、体の芯に冷たい杭を打たれたような寒気が、私の心をかき乱していました。
 暗闇に向かって、声ならぬ声で叫びながら、必死にもがいているつもりでした。
 実際のところ、手足は全く動いていなかったことでしょう。
 やがてそれにも疲れ果てた頃、強烈な眠気が訪れました。

 その頃には私の体は病院に運び込まれ、周りには関係者が集まり、口々に声をかけてきました。
 聴力が戻ったとはいえ、耳に聞こえる言葉は水中にいるかのように不明瞭で、ただうるさくて仕方がありませんでした。
 時折眼に当てられる強い光もまた、眩しくて不快でした。]
(63) 2022/11/05(Sat) 13:25:34

【人】 住職 チグサ

[皆様今まで本当にありがとうございました。
 申し訳ありませんが、どうぞお静かになさってください。
 今は眠らせてください。

 乾いた唇を開けば、言葉の代わりにヒュウヒュウと肺が鳴りました。
 急速に冷えていく体とは裏腹に、心には感謝だけが宿っていました。
 ただ、眠れないのが辛くて仕方がありませんでした。

 そのようにまどろんでは起こされ、起こされてはまどろむ時間が永遠に続くかと思われたころ、ついに私は自我の無い、正体を無くした深い眠りへと転がり落ちました。]
(64) 2022/11/05(Sat) 13:25:58

【人】 住職 チグサ

[次に目覚めた時、私の体には様々な管が繋がれていました。
 この管の一本一本が私の命を繋ぎとめていたのでしょう。

 私は回診に来たお医者様を微睡のままに見上げ、まだ不自由な体を曲げて合掌しました。
 この心を表すには、言葉ではあまりにも不完全です。だから言葉ではなく仕草に、感謝を込めました。
 私を、体の苦しみから解放してくださったお医者様に。

 私はそれまで、僧侶と言う立場でありながら、死をどこか他人事のように捉えていました。
 自らに死が迫ってやっと、命の有限性を突き付けられたような気がいたします。
 もう若くはありません。その限られた時間の中で、どのように生きるべきか。

 お医者様が体を癒すように、僧侶として心の医師でありたい。
 このような、貴重な体験をさせていただいたのだから。]
(65) 2022/11/05(Sat) 13:27:16

【人】 住職 チグサ

── 現在・慈厳寺への来訪者 ──

[病院を訪れる方は、体に不調を抱え、病んでおられます。
 そして病院が体の病を治す場所であるならば、寺とは心の病を癒す場所です。
 だから、ここ慈厳寺を訪れる方は、その多くが心に迷いや苦しみを抱え、もがいておられているのです>>59

 慈厳寺はお墓のお世話もさせていただきますが、それはお勤めの一部に過ぎません。
 もともとはより良く生きられるよう、様々な智慧を広めるための場所です。
 たとえお檀家さんではなくとも、訪れる方の宗教にかかわらず、門戸を開いております。
 もっとも、食堂や美術館よりは敷居が高く感ずる方もありましょうが──]

 ようこそお越しくださいました。

[修行僧によって客間にお通しされた客人は、少年と言っていいほどに年若いお方でした。>>59
 もっとも、様々な種族が共存するここキュラステルにおいては、肌艶で実年齢を測るのが難しくはありますが。
 その腕には緋色の呪布が巻かれていましたが、僧は特に反応を示しませんでした。
私もまた。
(66) 2022/11/05(Sat) 13:28:29

【人】 住職 チグサ

[案内人の視線は、むしろ差し入れにじっと注がれています。

 私はありがたく頂戴すると、客人の分と二つ用意するように言いつけ、あとは僧の皆さんでどうぞとお伝えしました。
 余談ではありますが、お寺と言う雰囲気がそうさせるのでしょうか、手土産にはよく東国の伝統菓子をいただきます。
 ですが案外、僧侶は洋菓子に沸き立ちます。
 世俗から離れ、刺激に飢えた僧侶たちにとって、街の雰囲気を感じられる洋菓子は魅力的なもの。名店の『ばうむくうへん』に僧侶たちは大いに喜んだことでしょう。]

 そうでしたか。お母さまを……
 ……心より、お悔やみを申し上げます。

[さて、少年は訥々と己が心の病状について話してくださいました。>>60
 私は彼のお話で、先刻聞いた鐘の音が、彼の母の死を表していたことを知りました。
 彼の家の文化に則って弔われたはずなのに、わざわざここに足を運ばれている。きっと思うところがあったのでしょう。]
(67) 2022/11/05(Sat) 13:29:22

【人】 住職 チグサ


 …………お母さまは、遠い遠いお国から、いらしたのですね。

[お話を伺う限り、お母さまの信仰は、慈厳寺とも違うものでした。
 お母さまが信じた神は、ここにもおられない。おそらく、この島のどこにも。]

 残念ながら、あなたがお母さまの神を求めて私の元を訪れたというのならば、願いを叶えることはできません。

[しかし、彼がそのような目的で訪れたとは、私には思えませんでした。
 ただ、心が乱れ、苦しみに溺れかけているからこそ、何かしらの救いを求めてこのお寺を訪れてくださったように感じられました。]

 ですが、信仰とは心を育む食事のようなもの。
 私がお出しできる料理が口に合うかは分かりませんが、ひとまずの飢えをしのぐ助けにはなりましょう。

[それから私はお経を詠みました。
 亡くなられたお母さまのためではなく、彼自身のために。
 
あるいは、私自身のために。
(68) 2022/11/05(Sat) 13:29:58

【人】 住職 チグサ

がしゃくしょぞうしょあくごう

我昔所造諸悪業

私が過去に行った過ちは


かいゆうむしとんじんち

皆由無始貪瞋痴

全て、始めも分からないほど大昔から、
貪りの心、怒りの炎、愚かなる考え方によります。


じゅうしんくいししょしょう

従身口意之所生

それらは体、口、心の行いから生まれたものです。



いっさいがこんかいさんげ

一切我今皆懺悔

全てを、私は今、御仏に照らされて悔い改めます。


[唱えた経文は、死者を弔うものではありません。
 生きている者が、自らの罪科を告白して心を軽くする時に唱えるものです。
 もしも、神仏の力を借りて、彼が心の奥深くに抱える後悔を吐きだせるのであれば──懺悔をしたいのであれば。
 言葉を無理に声に出さなくてもいい。胸の内で唱え、見つめることが力となる。
 僧侶として、少しでもその手助けができれば良いのですが。]*
(69) 2022/11/05(Sat) 13:32:47
住職 チグサは、メモを貼った。
(a14) 2022/11/05(Sat) 13:37:12

【人】 隻影 ヴェレス

 

 ──── 慈厳寺;異神の息吹を聴く刻

 [切り分けたバームクーヘンの隣、湯気立つ焙じ茶。
  自然と調和した空間ながら、気の抜けない様な荘厳さが
  漂うのは、この寺が大きくなってしまったからなのか。

  少年は周囲の立ち振る舞いに合わせて靴を脱ぎ、
  正座して住職の言葉に耳を傾けた。]
 
(70) 2022/11/05(Sat) 21:11:06

【人】 隻影 ヴェレス



  敢えて語らなかった事も多くなる。
  
秘匿されし真実
は既に張り巡らされている。
  されど世俗のくだらない噂など、
  修行者達の耳には届かないのだろう。

  信仰の前には、身分も人種も関係なく。
  金で罪を濯ぐ事もない。

  住職の唱える言語を私は知らない。
  だが、図書館から拾い、継ぎ合わせた知識から
  その意味を推測する事は出来る。

  
故に、私は地獄に堕ちるだろうと────


 
(71) 2022/11/05(Sat) 21:11:25

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [目を閉じた、少年の表情が微かに曇った。
  それは単なる懺悔の過程と受け取られても不思議でない。

  自らの行いと気持ちに整理が付くことは暫くなさそうだが
  それでも渦巻いていた心は少し鎮まった。
 
心の底から死を悼む他者の存在を必要としていた
から。]


   ……母もまた、島で過ごす長い歳月の中で
   いつの間にか自らの神に祈る事を止めました。
           
(────其の理由を私は悟っている。)

   私が幼い頃は毎日の様に教義を話して聞かせたのに。


    母がそれで天に召されず果てたのならば、
    それはこの島がそうさせた事なのでしょう。
         …………この、國そのものが。


 [幾つもの思惑が混じり合う、黄昏の惨劇。
  その幕開けは刻々と近付いてきている。
            ・・・・・・・・
  そして────少年も
それを知っている
。]

   
(72) 2022/11/05(Sat) 21:11:46

【人】 隻影 ヴェレス



  仏教徒の精神が真の自己研鑽である以外に
  心が休まる理由はもう一つあった。

  此処の人々は容易く蠱惑に堕ちはしない。
  たとえば其れが、希少な魔人の血を引く存在の
  無意識下での魅了性だったとしても。

  ……だから、この場所では人間で居られる。
  過ちから何も学びはしない、愚かな人間の一角に
  漸く正しく加わった心地がする。


  ────嗚呼、だけど。浸ってもいられない。


 
(73) 2022/11/05(Sat) 21:12:33

【人】 隻影 ヴェレス



  優渥な方に祈って頂いて、母も浮かばれます。
  世間は、自覚のない悪意に満ちていますから。

     ……本当に、市街とは掛け離れた場所ですね。


 [あの日あの時、屋敷を飛び出しでもしていたら
  全ては良い方向に動いていた筈だと思う程度には。
  少年は視線を落とし、小さな膝を擦り合わせる。

  ────それから、不慣れな手つきで掌を合わせた。*]


 
(74) 2022/11/05(Sat) 21:13:00

【人】 修復師 ラシード


[行き交う足音、蹄の音、車輪の軋む音。
歌うような呼び込みを繰り返す女の声に、
荷を運ぶ男たちの合図。音、音、音。
陽光の下の市街地に満ちる営みの証、
血肉の通ったその数々を、潮騒は等しく包み込む。

喧騒の中、ふと地図から顔を上げた首魁。
一瞬交わる視線の先>>56、コートの男は
あっという間に群衆の波に紛れて消えただろう。
其処に言葉は無く音も無い。会釈ですら、ない。
されど若き首魁は、その刹那の邂逅のみで
計画が何一つ滞ることなく進行し
今日という日を迎えた事実を理解した。]
 
(75) 2022/11/05(Sat) 21:42:59

【人】 修復師 ラシード


[彼の手元の地図、青い顔料で塗り潰されたエリアは
“協力者”たる学星院上層部の管轄下にして不可侵領域である。
アスター家現当主、ブランドンとの接触と内通は、
海と民、そして魔術に守られた強固な宝箱をこじ開けるという
無謀とも言える彼の計画に福音を齎した。

キュラステルにおいて絶大な力を誇る研究機関
───島内部への影響力も、政治力も持ち合わせている集団だ。
保存施設の警備形態>>37の情報分析から活動の資金繰り、
『修復師』の身分保証、”呪香”の拡散シミュレーションまで。
工匠組合が計画を実行する上で
消化すべき課題は多岐に渡ったが、
その幾つかの達成を、彼等は担ってくれたのかもしれない。

だが、代償もゼロではなかった。
傍観者、そして観測者であることを望む学星院は、
彼等の領域が侵されることを望まない。
学星院の管轄下、研究成果を収める書簡の数々は
略奪の同胞を集めるための『餌』としてぶら下げられない。
……そしてそれを同胞候補に明かすことは、
学星院が関与していると暗に伝えてしまうことでもある。]

 
(76) 2022/11/05(Sat) 21:45:16

【人】 修復師 ラシード


 そっかそっか、この辺がお屋敷で。
 図書館は、あっちかぁ……。

[地図を広げながら、空を切り取る建物の輪郭を
視線でなぞりつつも。ぽろりとこぼれる不安げな声。
それもまた、無邪気な旅人としての演技だったのだろうか。
若しくは───内在的な不安の種だったか。

首魁としてはどうでも良い宝の山。
されど、様々な国の研究機関が
喉から手が出るほど欲しがるであろう宝の山。
警備や封印、様々な魔術を破る必要性に駆られながらも
この一夜ばかりの盗賊団は、研究者を仲間に迎え入れることが困難であり。
その点を学星院に依存せざるを得なかっただろうか。


仲間の選定は慎重に行った。
だがそれは────本当に上手く行ったのだろうか?

                        ]*

 
(77) 2022/11/05(Sat) 21:48:34

【人】 隻影 ヴェレス

 

 ──── 午後;美術館前、午睡の庭にて

 [足を止めればうとうとしてしまいそうな木漏れ日の中、
  写真機を手に見上げた野鳥を捉える。
  極小化されたラング機関を介して生成される写真は
  “見たままの景色を写し取るとは限らない”。

  微小な魔力を動力とする過程で
  使用者の思惑を部分的に出力してしまうのだという。
  外の世界では未だ辿り着けない、学星院の発明品だ。]

 
(78) 2022/11/05(Sat) 22:30:22

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [その場で出力された写真は、
  白いはずの野鳥を鮮やかな瑠璃色へと変えていた。
  重たい写真機を首から下げ直し、息をつく。

  芸術は時折、学問と距離を置く為に重宝していた。
  表現者の様に思考のその先を鑑賞するでもなかったが、
  繁く通ったのでそれなりに目は肥えているつもりだ。

  ……何より、
  美術館において鑑賞者は人の目に留まらない。]

 
(79) 2022/11/05(Sat) 22:30:36

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [白い美術館>>31の前に設けられた庭園は
  ある意味市街地の中にある野鳥の楽園でもあり、
  同時に思考整理の為の散歩ルートにも含まれていた。

  小さな背であちこちに写真機を向ける姿は
  背の高い植え込みに紛れてしまいそうで、
  “外見年齢”相応の行いにも見えることだろう。
 
あるいは、危なっかしい迷子にも……


  出力されたものは青い鳥、白詰草の四葉、
  針鼠に化けた土竜、蜥蜴がどことなく蛙めいたりと。

  何度も訪れた場所、何度も収めた被写体であっても
  写し取る度に現像される事象は異なる。

  夢中になっている内に、顔見知りの観覧客が横を通る。
 “また論文か? 気ぃ付けてな!”なんて声が掛かる。
  むしろ論文から離れる為の趣味と言えるけれど。]

 
(80) 2022/11/05(Sat) 22:30:57

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [いつもこの辺りで見かける筈の門番>>32
  訪れた日時と気候と自分の姿とを記録してもらう為
  写真機を手渡して撮影を頼む心積りだったが、
  午後の時間帯故、丁度出会えるかどうか。

  相変わらず、頭上では見知った野鳥が囀っている。*]
 
(81) 2022/11/05(Sat) 22:31:10
隻影 ヴェレスは、メモを貼った。
(a15) 2022/11/05(Sat) 22:35:53

【人】 警備員 ジュード

 
 ── 昼:美術館にて ──

[空気の落ち着くお昼の風は
なんとも言えない心地の良い微睡を誘う。
それは勿論、この美術館でも例外ではない。

入口を入ってすぐの所に置かれたベンチでは
透かし窓越しに入る光の中、一人の利用者が
うとうとと居眠りをしていた。

傍らに置かれた大きな鞄やイーゼルを見るに
朝からここで勉学に励んでいたのだろう。


見張りの合間にその光景に気づいた男は、
安らかな寝顔に今日も変わらぬ平穏を感じて、
少し、故郷のことなんかを思い出していた。]
(82) 2022/11/06(Sun) 0:10:08

【人】 警備員 ジュード

[多くの国では種族間の争いが絶えず、
同種間の争いさえ起こりうる時代の中、
ガライカは、おかしな程に平和であった。

清流が流れ、多くが実り、
温暖な気候に恵まれたその土地が
何故侵略されずに有り続けられたのか。

まとめてみれば、単純な話。

個人単位でさえ、触れれば身体を爛れさせる毒を溢し、
村規模の恐慌に陥れば、数多の命さえもを奪いかねない。
そんな毒を持つ民ばかりが住む土地に
他の種族が住むことは叶わなかったからだ。

だからと非道で強行的な手段をとれば、
彼らから流れた血が、毒が、恐怖が、
肥沃であった土地を、更には川沿いの広い地域を汚すだろう。

彼等を言いくるめて土地から追い出すにしても、
追い出した民をどの領土の土地に置き
「汚染された不毛の地」を作るのか。

落としどころは、容易に決まるものではない。]
(83) 2022/11/06(Sun) 0:14:49

【人】 警備員 ジュード

[結局、ガライカの土地を侵すものはなく。

いくつかの国と交易を行ってこそいたが、
意図的に、その土地には戦が持ち込まれず。
伴い、”文明”も持ち込まれるのにも
ひどく、時間がかかった。


幼い頃の男とその兄は、
比較的、新しいものに興味をもっていたが。

それでも、今、キュラステルのベンチで眠る彼女のように
何時間も新たな文化の受容に時間をかけた記憶はなかった。


……”より高み”を目指すには、
恐怖を遠ざけすぎた土地。

故にこそ、ガライカは酷く平穏な
袋小路の楽園だったのだ。]
(84) 2022/11/06(Sun) 0:16:31

【人】 警備員 ジュード

[── しかしある時。
村に、僅かな悪意が忍び込んだ。

そう、今思えば
かの国にラング機関が普及し、
飛躍的に研究技術が向上した頃の事だ。

……隣国からガライカへと
『研究協力者の募集』が送られてきたのは。]
(85) 2022/11/06(Sun) 0:18:12

【人】 警備員 ジュード

[……ごおん、ごおん、と。
微睡から人々を呼び戻すように
昼時を示す時計の鐘の音が館内に響き、
しばしの間考え事をしていた男も
ベンチで居眠りをしていた人も、
その音で、思考を引き戻す。

もしかすると、お寺の方でも
いつもの鐘が鳴らされていただろうか。]


 ……ん、そろそろ交代の時間ですかね!
 

[ここの鐘がなったとなれば
そろそろ見張りの交代の時間。
つまり、お昼ご飯の時間である。

男は、朝方に島民と話した
今日の仔狐亭のおすすめがずっと気になっていて、

早く交代の人が来ないものかと
そわそわと外の方をみていたのだが、
そうして眺める庭園の中にふと、人影を見つける。>>80]
(86) 2022/11/06(Sun) 0:25:28

【人】 警備員 ジュード

 
 ……あっ!ヴェレスさん!こんにちはーっ!
 お写真撮ってるんですか〜?


[迷子だろうか?とよく目をこらして見てみれば
視線の先に居たのは、時折此処の庭園に来ている
少年とも青年ともつかぬ彼だった。

男は研究などの高尚な趣味は持たなかったが、
保存施設に勤める以上、星学院の名は知っていたし
いくつもの功績が収蔵されている事も知っていた。
そして、指導者たるアスター家の名も
何かの書面や噂話で知っていただろう。

しかし、過去に次男坊たる彼を迷子と見紛えて
「ご家族は?」なんて聞いた時の返事によっては、
彼を「不思議な写真機のひと」と認識した可能性がある程に、
その家庭の事情の殆どに対して、無知であった。]
(87) 2022/11/06(Sun) 0:36:03

【人】 警備員 ジュード

[待ちわびた交代はなかなか来る気配を見せないが
流石にもうすぐ来るだろう……と思い、
男は持ち場を少し離れ、写真機>>78を持つ彼に近寄っていく。

そして、今日はどんな写真がとれましたか?なんて言って
出力された写真を見せてもらおうと様子を伺った。


そうする間に写真の撮影を頼まれたなら>>81
男は快諾しながらも、ずしりとした重みのある
繊細らしい機器を手にする緊張に、言葉を呟く。]


 ……こういう魔術器って、すっごく繊細っぽくって
 なんか、触るのどきどきしますね……!


[もしこれが何度目かの撮影であっても
男は毎回似たような事を言っているだろう。
文明の遅れていた男には、ラング機関による写真機は
まるで夢物語に出て来る賢者の持つ宝物のようだった。

そんな宝物を落さないように
男はしっかりと写真機を首にかけると、
今度は風景などを映し込むに足るだけの距離を取って、
こっちむいて〜!なんて声をかけつつ写真機を構えるだろう。

ただ、持っているのも少し緊張するのか
撮影が終わったら、写真機はすぐに返すかもしれないが。*]
(88) 2022/11/06(Sun) 0:50:23
警備員 ジュードは、メモを貼った。
(a16) 2022/11/06(Sun) 0:57:12

【人】 修復師 ラシード


[昼を告げる鐘が鳴る。
信仰が撞く鐘が鳴る。>>50
何も知らない人々の耳にも、
暗躍する者たちの耳にも。
平等にその音色は響くのだろう。
低く、深く、重く。

蒼天を往く太陽の歩みと共に、
刻々と、その時は近付く。]
 
(89) 2022/11/06(Sun) 0:58:14

【人】 修復師 ラシード

─ 午後:第七キャビネット 入口 ─


 はい、はいそうです!
 遺物修復工匠組合から参りました。
 ラシード・ヴルファです。

[建ち並ぶ煉瓦造り、その一角の扉の前。
聡く用心深い警備員の昼休憩>>86を。
切り替えというタイミングを狙いすましたかのような時刻。
サラマンドラの彼の持ち場と同様に、
交代が多少遅れた>>88のか
(はたまた、遅らされたのか)

集中力の途切れ始めた警備員の前に、
修復師を騙るそれは現れる。]

 本日はどうぞ、宜しくお願い致しま、
 ……あ、す、すみませんっ。
 遅めの朝食を摂ってから来たので……お恥ずかしい。

[工具箱を片手にぺこぺこと頭を下げつつ、
口元に付いたソースを拭う若い男。
成人としての頼りなさと、子供のような親しみやすさは
鍵が壊れている。この隙に不埒を行う輩が出ないか不安だ───という意識から、
この職人は本当に仕事が出来るのか?・・・・・・・・・・・・・・・・という別の不安感に、首を挿げ替えてみせる。]
(90) 2022/11/06(Sun) 0:59:28

【人】 修復師 ラシード


 後ほど助手が到着すると思いますので、
 彼も通してあげてください。
 僕よりも一回りくらい年上の、ええ、
 ……情けない話、伝魔油を忘れてしまいまして。
 職人街の方に買いに行ってもらってて。 

[土地勘のない場所ですから、もう少し遅れてしまうかも。
なんて苦笑を添えつつ、自称修復師は工具箱を両腕に抱え直した。]*
 
(91) 2022/11/06(Sun) 0:59:57
修復師 ラシードは、メモを貼った。
(a17) 2022/11/06(Sun) 1:05:26

【人】 医者 ノーヴァ



[老いた肉体は脆く、壊れやすいものだ。
年月を過ぎる度に持ち得た耐性は擦り切れて、ないも同然になる。

そこに這い寄る病魔の手に落ちる寸前の彼等の瞳には、失うものなど何もないかのように見えることもある。

眼前の老婆の目に映る僕の姿は─────…………]


(92) 2022/11/06(Sun) 2:18:33

【人】 医者 ノーヴァ



    ……噫、チグサさん、これね。
    年のせいだと思いますよ。
    特にここ、腰の炎症。筋肉が弱ってますね。


[毎度のように額を突き合わせ、困り眉で笑みを浮かべる。
常日頃の繰り返しのようなものだった。けれど、億劫な顔は絶対にしない。
些細なことで、長い人生は急に途絶えてしまうものだから。

「どんなちいさなことでも、私たちを頼ってくださいね」

カルテを抱えながらそう言葉をかけるジェインは、嘗てマリッジ・ブルーになった時、彼女に悩みを聞いてもらっていただろうか。
異性でもあり、身体的なことしか口を出さない己にはどうしようもできない問題だったから、助かったこともあるのかもしれない。

……もう長くはない彼女の終わりを惜しむ人は山ほどいるのを知っているから。]


 
(93) 2022/11/06(Sun) 2:18:56

【人】 医者 ノーヴァ



[自分が精神を治すことが出来ないように、彼女も肉体を治すことは出来ない。
常日頃から顔見知りでもあり、つい日中にワクチンを投与したその住職が急患として運び込まれてきた時は、流石にこちらも動揺が隠せなかった。


  「チグサさーん、大丈夫ですかー?
   返事はできますかー?
   この光が見えたら教えてくださいねー!」


冷製を装った呼びかけに応じられることもなく。
嗄れた指が暴れるようにシーツを這い、薄く、みるみる閉じてゆく瞳には光がない。>>63
微かに痙攣する症状、今までの患者の生活態度から逆算し、心当たりはそれしかないと推測を立て。

額を押し当てる前に、やれる限りの対策を立てた。
思いつく限りの解毒じみた薬品を用意させ、管で繋いで。オペの有無を必死で試行錯誤して。
何十年にも感じられる一分一分、時間との戦いだった。

薄く開かれた老婆の瞳孔が広がらぬようにと心の中で祈りながら。]


 
(94) 2022/11/06(Sun) 2:19:18

【人】 医者 ノーヴァ



[まだ眠ってはいけません。力尽きてはいけません。
……“あちら側”へ行って仕舞えば、二度と戻れなくなるから。

   
貴方はきっと、誰かの“大切”なのでしょう。


刹那、漸く額を押し当てて、腕の方へと擦り寄っていく。
注射針の跡が薄く残る左腕に触れれば苦々しげに唇を噛み締め、適切な処置を施したのだろう。

……誰かの、人の“大事な”命は失われるべきものではなくて、それを守ることが自分の仕事なのだから。]


(95) 2022/11/06(Sun) 2:19:30

【人】 医者 ノーヴァ



[───……夜。
全てが終わり、見回りに訪れた自分の視界に現れたのは、苦しそうな姿勢で手を合わせる住職の姿だった。>>65

なんとなく恥ずかしいような、照れ臭いような、さまざまな感情がごちゃ混ぜになって思わずランプを追いやるように腕を真横に伸ばしていた。
きっと今の自分はその炎よりも赤い顔をしていただろうから。]


  ……そんなに拝まれるようなことはしていませんよ。
  貴方が無事で本当によかった。
  身体は暫く不自由でしょうが、
  通常通りの生活が送れるようになるはずです。

  ……これからは、
  ワクチンについてもしっかり考えていきましょうね。
  僕も拝むことができるように。……なんて。


[いつもよりも辿々しい口調だが、医者らしい言葉はかけられたはずだ。
今はただ、ひとつの限りあるものを救えたことで胸がいっぱいで。
戻った後、疲れの残るクマを目元に刻んだ儘涙ぐむジェインに爆笑されないかだけが心配だった。

心の救済者のメシアになれるのは、自分だけの特権なのだろう。]

 
(96) 2022/11/06(Sun) 2:19:52

【人】 医者 ノーヴァ


[……そんな思い出を浮かべたのは、昼を告げる鐘の音が自然と耳に入ってきたから。>>50 >>89

そういえば昼餉の時間だと思い立ち、直後貯蔵庫に蓄えがなかったことも同時に思い出す。
そそくさと軽い上着を着込みつつ、簡単なものを買いに外へ繰り出すことにした。

……この魔族、医師にしてすごぶる寒さに弱いのである。]


    [仕事詰めで世間を知るには時間が足りず、
    情報源といえば少しお喋りな看護助手や
    訪れる患者との会話でしか得ることはできない。
    銀鷹公からも警戒対象として見られているせいか、
    島の新たな訪問者のことは聞くこともなく。>>3 ]

    (南京錠?“僕は”壊した覚えがないからなぁ……)



[秘密裏に進む、襲撃者たちの無差別な崩壊遊戯のシナリオも、医師として足掻く術もない運命も。
今ここにいる存在全てが掌で転がされていることになど察することなどありもせず。**]


 
(97) 2022/11/06(Sun) 2:20:05
医者 ノーヴァは、メモを貼った。
(a18) 2022/11/06(Sun) 2:21:36

医者 ノーヴァは、メモを貼った。
(a19) 2022/11/06(Sun) 2:21:48

【人】 住職 チグサ

── 昼:慈厳寺にてヴェレスと>>70>>74 ──

[ばうむくうへんの甘やかな香りが、ほうじ茶の柔らかい湯気にふわふわと乗っています。>>70
 香りに誘われたのでしょう、開け放した障子戸からは、昼の風がそよぎこみました。
 お寺の客室は畳敷きに座布団です。
 靴と椅子の文化の方にはさぞかし違和感がありましょうが、若いお客人は不平不満をおっしゃることもなく、正座しておられました。]
(98) 2022/11/06(Sun) 10:09:37

【人】 住職 チグサ

[独特なお経の節回しには、心を落ち着かせる力があります。
 多くのお方はその力に魅せられて(と言っておきましょう)、あくびをかみ殺しておられます。
 単調で意味の分からぬお経に耳を傾けるのは、同業のお方か、迷い苦しんでおられるお方ぐらいのものでしょう。
 生きていて肉体を持つ私には語れずとも、神仏の前で、胸奥でなら、その迷いを素直に見つめられるでしょうか。>>71

 お経とは本来、生きる智慧を説いた詩のようなもの。勇気と力を与えてくれるもの。
 にもかかわらず、お経が退屈なものになってしまったのは、利口ぶってやたらと儀式化し、意味を分かりやすくお伝えしてこなかった私達僧侶の責任でしょう。
 世俗から離れ、己が研鑽を詰み、迷いや苦しみから逃れ、究極の安心を得ることが、仏教徒の目指すところ。
 しかし同時に、迷い多き世俗の渦中で社会を支え、もがき生きておられる方々にも、もっとできることがあったのではないでしょうか。
 経典の意味をお伝えするお勤めを、図書館だけにお任せしてはいけなかったのです。]
(99) 2022/11/06(Sun) 10:10:23

【人】 住職 チグサ

[地獄という場所があるのか。それは私には分かりません。
 まだ生きていますから。
 私には分かりません。故人の魂が、死後、望ましい弔いによって救われるのか。
 ただ確実に分かることは、誰もがいつかは死ぬということ。
 誰もが死ぬまでに、故意か無自覚かにかかわらず、罪を犯すということ。
 だから誰もが、神仏の前での懺悔を必要とするのです。
 生きておられる人にお預けするには重たすぎる己の罪科を、本当に見守っておられるかは分からない、けれどそうであると信じて大いなる神仏に告白し、己が行いを振り返ることが。]
(100) 2022/11/06(Sun) 10:12:50

【人】 住職 チグサ

[お若い方に読経をしながら、神仏に向けて私もまた懺悔しましょう。
 彼のお母さまの死に胸を悼めながらも、どこかで私は安心を得ています。
 その死が、私に近しい人々に訪れなかったことを。
 私が我が子と定めたお弟子さん達、人生を共に過ごした戦友に訪れなかったことを。
 そしていつ果てるともわからぬ老いた身でありながらも、我が身に訪れなかったことを。
 この安心は慈悲ではなく、ただの本能、我が身可愛さによるもの。
 見ず知らずの他人の死を、我が身に起こった悼みのように捉えられない、身勝手な病。
 私にはまだ、捨て去らねばならぬことがたくさんある。
 そのことを若いお客人から学ばせていただきました。

 執着を捨て去るために──

 
私もまた、お客人と同じ緋色の呪布を受け取ったのです。

(101) 2022/11/06(Sun) 10:14:55

【人】 住職 チグサ

[読経を終えた後でしょうか。
 まだ迷いの中におられながらも、幾ばくかは落ち着いたご様子でした>>72。]

 お母さまもまた、遠い土地に来られて、様々なことを思われたのでしょうね。
 あなたはお母さまのお心が変わりゆく様を、幼き頃から見つめておられた。
 さぞかし切ない思いをされたことと、お察しいたします。
 
[それから、言葉が見つからなくなってしまって、しばらく口を噤みました。
 沈黙の間に、彼もまた思うところを探っていたでしょうか。>>73
 淹れたお茶はすっかり冷め、いただいたばうむくうへんも乾いてしまったように感じます。
 風が吹くたびに落ち葉が泳ぎ、乾いたさざめきをあげていました。]

 ……ご冥福を、お祈り申し上げます。

[やっと、そのようにお伝えしました。]
(102) 2022/11/06(Sun) 10:15:44

【人】 住職 チグサ

[若いお方の時間をいつまでもいただくわけにはまいりません。
 慣れない手つきで掌を合わせる>>74に、自然と苦笑いが漏れました。]

 買い被りですよ。
 地人も、獣人も、魔人も、全て。
 およそ言葉を持つものは、悪口の中を生きています。
 僧侶とて様々な方がおられますから、街中となんら変わりはありません。

 ありません、が──いつでもいらしてください。
 言葉を持たぬ自然が、癒してくれる心もありましょうから。

[そのようにして、光注ぐ外へとお送りしたでしょうか。
 夕暮れは、まだ、遠い。]
(103) 2022/11/06(Sun) 10:16:28

【人】 住職 チグサ

[境内から去る前に、もう一度声をおかけしました。]

 差し出がましいことを申し上げますが──どうかお忘れなきよう。
 この世界のどこにも、既にあなたのお母さまはおられない。
 あなたがお母さまを見つけられるとすれば、ご自身の胸の内だけです。
 あなたが「天に召されず、無念のままに果てた」と思ったなら、そのように。
 あなたが「多くの苦難があったけれど、それも含めて母の人生だった」と思ったなら、そのように。
 お母さまは肉の体から離れられました。
 その姿かたちは、あなたの中で、如何様にも変わっていくでしょう。

 あなたのお母さまを安らかに眠らせられるのは、私ではありません。
 この島でも、国でも、神や御仏でもありません。
 そのようなお力を持つお方は、ただ一人、あなた自身だけ。
 どうか、そのことをお忘れなきよう。

[お弟子さんでもないお方に口出ししても、うるさいばかりでしょう。
 それでもお説教をせずにはいられないのは、和尚の性でしょうか。
 深々と合掌しながら、心の中でだけ、「いつも応援しております」と唱え、お見送りいたしました。]**
(104) 2022/11/06(Sun) 10:17:18
住職 チグサは、メモを貼った。
(a20) 2022/11/06(Sun) 10:22:12

住職 チグサは、メモを貼った。
(a21) 2022/11/06(Sun) 10:22:48

【人】 給仕 シロタエ

―― 仔狐亭 ――
[昼時の喧騒が終わって一息つくと、今度は早番の仕事を終えた人々が「仕事終わりの一杯」を求めてやってくる

「そう言えば例の魔法鍵、修復師が来て直すらしいぞ」
「あぁ、島の職人じゃ手を出せなかったってやつか」
「かなり特殊な奴だったらしいもんなぁ……銀鷹公も一安心か」

様々な品が集まるキュラステルは、当然それに携わる職人も多い
古の技術を学ぶためにと訪れたもの、技術を買われて呼ばれたもの
銀鷹公はその筆頭のような物で、自らできる修復に手は出していたのだけれど
黒鴉公が収集したものの中には「仕組みが解明されていないもの」もいくらかあるらしく
今回壊れた魔法鍵も何とか修復の「あて」を見つけた代物だった]

 自分で直せないって、やっぱり残念だったりしないの?

[職人の意地とか、と興味本位で娘が問うと、職人の一人が笑って言った]

 「職人って言ったって専門外はさっぱりさぁ
 特にああいう魔法具は力の強さや相性もあるから、迂闊に手は出せないしな」

 ふぅん……それじゃ、銀鷹公がわざわざ招くのもわかるわね

[下手に手を出して完全にダメにするよりは、そんなふうに捉えて相槌を打った]
(105) 2022/11/06(Sun) 13:19:29

【人】 給仕 シロタエ

 
「きゃぁ!」


[かっしゃん!
食器の落ちる音と大きな声が聞こえて振り返る
最近入ったばかりの子が「やめてください」と泣きそうに言うのに、まだ手を伸ばそうとする客を見て急いで駆け寄る]

 リーリちゃん、大丈夫?
 「このお客さんが……お尻を……」
 わかった、片付けはするから行っていいわよ

[頭を下げて厨房に駆け込むのを見送って問題の客に向き合う]

 ……またですか、カーヴィさん!
 いつも言ってますよね、うちはそういうお店じゃないって

[向ける言葉はどこかため息交じりだ
というのも、こんなことが今までに何度もあったから]
(106) 2022/11/06(Sun) 13:21:30

【人】 給仕 シロタエ

[件の客は普段はとてもいい人だ、いい人、なのだが酒癖が悪い
飲みすぎてはこうしておとなしそうな新入りの子に悪さをする
だからいつも気を付けて飲ませすぎないようにしていたのだけれど
そのことを知らなかったリーリは普通に酒を売ってしまったのだろう
それに関しては娘の落ち度でもあるから後で謝るとして]

 飲みすぎて困るのはカーヴィさんでしょうに

[そういう娘には手は出さずぶつぶつ文句を言うだけの姿にまたため息
本当に「おとなしい子」だけをねらっているんだからたちが悪い

それでも、店主とは古い仲だからと今までは大目に見てきた、けど]

 「またアンタかい、カーヴィ」

[厨房に行ったリーリから聞いたのか、いつにない険しい顔で店主が出て来た
途端に顔色が変わるんだから、やっぱり娘を甘く見ていたんだろうと思う]
(107) 2022/11/06(Sun) 13:23:46

【人】 給仕 シロタエ

 「聞いてるぞ、アンタとうとうエレのところも出禁になったそうじゃないか」

[それを聞いて「えぇ?」と思ってしまう
三軒隣のエレさんのお店はもっと静かな女性向きのお店だ……飲んで羽目を外すお店じゃないのにそこ「も」なのかぁ、と]

 「女の子と遊びたいならそういう店に行きな、飲むならもううちには入れないからな」

[「そりゃない」とか「勘弁してくれ」とかぶつぶつ言ってたけど、本気だとわかると一気に不機嫌になった
「こんな店二度と来るか」と言い残して乱暴に出て行った後で、店主と一緒に息を吐いた]

 いいんですかあれ
「構わんさ、仏の顔も何度目だと思ってやがる」
 うちまで出禁になったってなると大変でしょうけど、しょうがないですよねぇ

[
自業自得だもの

思いは一つだけうちに飲み込んで、床に落ちた食器の片づけをする**]
(108) 2022/11/06(Sun) 13:25:46
給仕 シロタエは、メモを貼った。
(a22) 2022/11/06(Sun) 13:34:06

【人】 修復師 ラシード

─ 第七キャビネット深部 ─


[その古い魔術錠───
仕組みの解明>>105が進んでいない、
旧き神秘の品とも言えるそれ。
本来であれば『コレクション側』に分類されるであろう品が
コレクションを守る道具として扱われている、その理由は。
……その錠よりも更に貴重な物品が、扉の向こうにあるからだ。

無理やりこじ開けられようとされたかのように
回路を捻じ曲げられ、傷付けられ、歪んだ錠。
精密な機構から無能な鉄塊へと貶められて、
開くことも閉じることも出来ない。

なんて荒っぽいやり口素晴らしい仕事だろう。
魔導ランプを片手に掲げ、修復師は目を細めた。
後ろではキャビネットの担当者が小さくため息をついている。]

 なんていうか……魔人の仕業じゃないですね、これは。
 知識のないまま、がむしゃらにといった感じだ。
 開かれた形跡は無いのが、まぁ、当然というか。

[ それだから良いのだ。
修理という建前があるからこそ
監視下にて堂々と鍵を分解し、
機能を確かめるという口実で扉を開閉出来る。
……拳ひとつ分の、僅かな隙間で良い。]
(109) 2022/11/06(Sun) 16:02:34

【人】 修復師 ラシード


 パーツの鋳型を取る必要とかは無さそうですね。
 多分だけど、イー時代の様式に近いものだし
 回路の再接合と熱金遡行で行けるかな。

[拡大レンズを目に掛け、
鍵の形ひとつひとつを検めながら
修復師は工具箱を片手で探って
穴の深さや回路の様式などを測っていく。
先ほどとは打って変わって真剣な瞳と声色は
違和感、というよりも職人によくある
“プライベートと仕事の境界線を越える”瞬間を彷彿とさせるものだった。]

 では、作業に入らせて頂きますね。

[言いつつ、革手袋に指を通す。
工具箱に並ぶ道具の数々は、
“人に向ける”という条件下での殺傷力が封じられた証として
白いチョークで印が付けられている。
隙間に丸められ、突っ込まれているのは
それを手入れする為の鹿革の切れ端。

    
先ほど路地で捕まえ、麻酔を打たれた鼠が───その中で死んだように、眠っている。
]*
(110) 2022/11/06(Sun) 16:03:46

【人】 隻影 ヴェレス


 
 ──── 午後;散歩道を記す

 [少年にとって、この島の外の事柄はもれなく
  『記録』であって、『体験』ではない。

  学者達は研究の為に余所の土地を訪れた際、
  何らかの形でその証を残す。
  写真とは最も実用的な手段だった。]
 
(111) 2022/11/06(Sun) 16:39:08

【人】 隻影 ヴェレス


 
 [五つ目の被写体をファインダーに収めようとした時、
  背後からよく知った声がかかった。>>87]

   ごきげんようジュード。
   あれ……もう引き継ぎの時間帯じゃなかったか。

 [彼の足元を伝う靱やかで鮮明な柄の尾>>32
  自然界における“警告色”であるという知識こそあれど
  彼以外の“実例”を知らない。

  学星院の一般学生でしかない少年が、
  実際にガライカの地を訪れた研究者のファイルに
  アクセスする事は叶わない故。

  その機密ファイルは、かつて楽園の地に
  悪意を持って踏み込んだ者の記録かも知れないし、
  フィールドワークとして訪れた探求者の
  実録であるのかも知れない。


  図書館で一般公開されている書物はと言えば、
  極僅かな図面と簡単な生態に関する手記程度のもの。]
 
(112) 2022/11/06(Sun) 16:39:26

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [父はこの時代の自然学の立役者と呼ばれたから、
  それを追うように天文学や生態学を履修した。

  発展した島に未だ残る自然とそこに棲う生物達は
  研究対象であれど、尊重すべき先住者には変わりない。]

  うん。今日は目当てがある訳ではないし、
  撮ったものを使うかどうかも未定だが……

 [かつて迷い子と見間違えられた際>>87
  その先入観を解消するのには大変難儀したことだ。
  身分も出自も悩ましいので沈黙を繰り返し、
  大まかながらも「世継ぎでない上流階級の子」の概念を
  上手く説明することが出来ただろうか。

 
二つしか歳の変わらない兄がとっくに成人している
事や
 
自身が既に少年とは呼べない年齢である
事は
  新聞記事を注意深く読んだりなどして、
  繋ぎ合わせた情報からは容易く導き出せること。]
 
(113) 2022/11/06(Sun) 16:39:39

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [彼に見せた写真はと言えば、
  現実から逸脱こそしていないが
  絶妙に事実を捻じ曲げた程度の写真ばかり。>>80

  ハチドリは青いだろうが、鳩はそうではない。
  尾の切れた蜥蜴は居ても、それは自切によるものだ。]

   何だか雑念が増えているみたいでね。
   なかなか奇妙なものが仕上がってるよ。

 [それから、快く引き受けてくれた彼に写真機を渡せば
  美術館の庭の、設立者の彫像の前で佇んでみよう。

  シャッターを切れば、世界の一部を切り取る。
  その時あなたは何を思うだろう。
  果たしてそれは現実をそのまま複製しているのか、
  何らかの思念が混ざりこんだ一枚になるのか。
  いずれにせよ────]
 
(114) 2022/11/06(Sun) 16:39:54

【人】 隻影 ヴェレス

 


 [穏やかな微小を浮かべ、写真に映る少年の姿は
  いつも、如何なる時も病的に生白い肌をしていて
  尚且つ、背丈も顔付きでさえ変化を感じられない。]

 
(115) 2022/11/06(Sun) 16:40:15

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [再び受け取った写真機から出力されたものを一瞥し、
  その出来栄えを彼にも見せる事としよう。

  カタカタと音を立てながらフィルムが焼き付く機構は
  島外の技術で辿り着くにはあと百年はかかる代物だ。]

          ・・・・・
  ふ、私ってば……最後の機会になるかも知れないのに
  毎度似た服装に、同じポーズで立っている気がする。


 [ちら、と反応を瞳だけで見遣る。
  掻い摘んで話した家庭の事情から、
  全貌を推測するのは途方もないことだというのに。

  一瞬の沈黙に続けて、薄い唇は
打算
を紡ぐ。]

 
(116) 2022/11/06(Sun) 16:40:36

【人】 隻影 ヴェレス

 


  残念だけど……家の規則がもっと厳しくなるだろう。
  外出も赦されなくなるかも知れない。

  だが、息抜きの時間は毎度有意義なものだった。
  こうして『頼み事を出来たのもあなただけだ』。


 [今朝伝えられた訃報>>15が耳に届く事があれば、
  住居内の事故や学星院の黒い噂と結び付けて
  予想を立てることは出来るだろう。……予想だけなら。]

 
(117) 2022/11/06(Sun) 16:41:02

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [苦い独白の後にはフォローをすかさず入れる。
  むしろそちらの方が本題なのだから。]

   ……だが、いつでも屋敷に遊びに来てくれ。
  私の客人と聞いて斥けようとする者はいない。

   昔のように通う事は難しくとも、
   友人で居てくれたなら嬉しく思うよ。

 [────そして、先程までの空気を一掃するように
         
それ以上の追及を赦さぬように

          明るい声色で問いかけを。]


      …………ああそうだ、お昼ご飯か。
      いつものあの食堂でどうだい? 奢るよ。


  [見目と発言内容がミスマッチなのが、玉に瑕。*]

 
(118) 2022/11/06(Sun) 16:41:17
住職 チグサ(匿名)は、メモを貼った。
2022/11/06(Sun) 16:44:56

天のお告げ(村建て人)は、メモを貼った。
2022/11/06(Sun) 17:40:30

天のお告げ(村建て人)は、メモを貼った。
2022/11/06(Sun) 17:41:57

【人】 修復師 ラシード


[ 陶器の割れる音>>106
  言い争う声、嗜めの声が漏れ聞こえたかと思えば、
  今度は乱暴に扉が鳴り>>108
  不機嫌な影帽子がひとつ離れていく。

 それにぴくりとも反応せず。
  仔狐亭の近くの薄暗い路地で、
  1人の、飲んだくれ風の獣人が腰を下ろして眠りこけている。
  小さな体躯に細い尾。帽子の中の耳を見るまでもなく
  彼は齧歯の獣人だと見てとれるだろう。
  火のついていない煙草>>4が、力の抜けた手の中から
  ぽろり、とこぼれ落ちた。 ]
 
(119) 2022/11/06(Sun) 19:28:33

【人】 修復師 ラシード


[ 彼の精神は今、修復師の膝元から
  半開きになったキャビネットの扉>>109を擦り抜けて、
  この島の隠された深部へと疾駆している。
  コーヒーカップひとつに収まるほどの矮小な体躯。
  早鐘を遥かに越えた速度の鼓動。地を這うように低い視線。
  鼠の身体>>110だ。此の島で生まれ、この島で育った
  何処にも居るような、取るにたらない鼠。
  それが今、男の精神を乗せて───
  地の底の驚異の部屋ヴンダーカンマーに向けて。

  人間に同調し、その深部を探る魔人>>43
  島に於いても信頼を預けられる医者として知られている。
  だがこれは、獣に近い遺伝子を持つアニミアだからこそ為せた技だ。
  魂の形に共通の枝を持つ根源の獣とであれば、
  魔道具の補助を得て、一時的な同調───
  それを越えた『精神交換』すらも、最先端の研究では叶えられた。]
(120) 2022/11/06(Sun) 19:30:49

【人】 修復師 ラシード


[ ……そう、最新の研究だ。
  まだ警備マニュアルには記載されちゃいない。
  そもそもキャビネットは保存上の観点から
  防虫剤、殺鼠剤の類は周囲に丹念に施されているし。
  獣を使った盗みだなんて、餌と遊び、そして躾を交えた
  『取ってこい』の半径程度のことしか出来ない、
  それが当たり前だから──

 曲がった方向、数、踏んだタイルの色と意匠を元に
  駆けた長さと目的地への距離を正確に勘定しながら
  文字通りに紛れ込んだ鼠は灯の無い、
  埃っぽく狭い廊下を駆け抜ける。

  やがて辿り着いたのは
  壁一面に小さな引き出しやガラスケースが並ぶ、
  円形の小部屋だ。
  ガラスケースの中にはねじくれた形の木片や、
  束ねられた根、樹脂のような淡色の塊が収められており
  部屋全体に漂う芳しい匂いから
  ───”香”を収めた部屋であることが理解できる。
  ……只の香であれば、このような深部に保存する必要は無いことも。]

 
(121) 2022/11/06(Sun) 19:32:12

【人】 修復師 ラシード


[ 下から8段目、左面の柱から数えて4番目。
  僅かな凹凸を足場に駆け上がった鼠は、
  その引き出しをふうじていた紙を噛み破った。
  人間であれば最後の警告めいて、
  火花のひとつで抵抗も見せただろうか。
  けれども────獣相手であれば、それは只の紙だ。
  取手を抱え込み、踏ん張るように力を込めれば
  ざりり、と小さな引き出しは音を立てて、開いた。

 収められていたのは、
三角形の練り香

  乾いた血の塊のように、赤黒いそれは
  光の届かぬ闇の中、生臭くも甘い匂いを微かに放っていた。 ]*
(122) 2022/11/06(Sun) 19:33:07
到着:娼婦 セツナ

【人】 娼婦 セツナ

 
私にはどうしてもほしいものがある。
そのためにはこの肉体を差し出しても構わない。
この魂を捧げても構わない。
どうしても。どうしても。それが欲しい。
 
 
愛しい愛しいあの人のためならば。**
 
(123) 2022/11/06(Sun) 20:22:23
娼婦 セツナは、メモを貼った。
(a23) 2022/11/06(Sun) 20:33:08

【人】 娼婦 セツナ

 
人の多く集まる島。
物が多く集まる島。
それがこの島キュラステルだ。
>>5さまざまな店が並ぶ中に仔狐亭がある一方で、人の往来が多いその辺りから程近い裏道には娼館や賭博などの欲望を吐き出す店もまた存在している。
人が多く集まれば金が動き、金が動けばさまざまな形の欲が動く。
それでも、ここで普段見る欲望は人としての理性を保っている物だ。
美味しい物が食べたい。
美しい物が観たい。
より多くの富を得たい。
良い女を抱きたい。
そんな、可愛らしいありきたりのものばかりだ。
そんな中で私も働いていた。
娼婦として。娼館の"サロン・キトゥン"の一室で、男に、時には女やその二つの性別に当てはまらないような相手にも体を売ることが私の仕事だ。
どうしてここで、こんなことを生業にしているのか。
金子が欲しい。それも確かにある。
別の仕事が適当に見つからなかったのも正直なところ。
でもそれ以上に、ここは情報の宝庫でもあった。
私が欲しいもの。
あの人の為に欲しいもの。
それがどこにあるか、だれなら持っていそうなのか、それを知りたくてここで働き糧を得て機を伺っている。
 
(124) 2022/11/06(Sun) 21:18:38

【人】 娼婦 セツナ

 
それは確かにこの島に在るようだった。
それをいつ、どのように手に入れるものか。
夜の仕事が終わり、身を清めて。
>>n5この島だからこそこんな仕事も心置きなくできるものだと、脚の合間から溢れる白を指で掻き出しながら思う。
避妊の魔具があるこの店でなければ、こんな行為を生業にするのは恐ろしい。
 
 
「はぁ〜あ…。」
 
 
明るいうちは、店は閉まる。
時折そんな時間に客を引く娘もいるようだけれど。
窓を開けて外の空気を入れる。
ラフな格好で外を眺めるのが、仕事後の気晴らしの一つだった。*
 
(125) 2022/11/06(Sun) 21:18:56

【人】 隻影 ヴェレス

 

 ──── 夕刻;終わりの始まりの、その前に

 [夕暮れの鐘が鳴る前、大通りの夕刊は
  どこの新聞社も似たような見出し記事を出している。

  写真がまだ一般的ではないこの時代において
  目を引くのは画風の異なる、同じ場面を描いた挿絵。

  添えられた文には『深窓の令息、独り遺され』等……
  即ち、今朝の葬儀を広く報じるものだった────]

 
(126) 2022/11/06(Sun) 21:34:18

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [夕暮れ以降、街中のスタンド等を通りかかった際には
  どこの記事を手に取っても、巻頭記事は同じであり。

  同時に、ある女性の死を否応なしに知る事になる。
  無作法にも画かれた、俯く少年のイラストと共に。]


    [────そして暗躍する者達がベールを纏う。
        全てに対する傍観を決め込む為の、
        壮大な脚本の冒頭を演じ始める。]


 
(127) 2022/11/06(Sun) 21:34:30

【人】 隻影 ヴェレス




  「さあ、院内伝達で全人員に伝えよ。
   これより一歩たりとも外に出てはならんとな。
   離反した者は捨て置いて構わん。」


 
(128) 2022/11/06(Sun) 21:34:41

【人】 隻影 ヴェレス



 [学星院、第三の塔。
  ラング機関に関する技術の全てを司る学派。
  その頂点に設けられた、臨時実験観測室。

  第二の塔の自然学派の協力もあり、
  技術を結集して作られた特殊な望遠鏡が
  この塔を取り囲む様にして設置されている。
  ここから街の様子が遥か遠くまで見渡せる仕組みだ。]


   
  「しかし…奥方の事は残念でした
   心よりお悔やみ申し上げる次第です」


    「あれは“想定外”の事態だったが、
     我々の悲願を諦める訳にはいかないのだよ。

     それにあの屋敷は
私の住居でなくとも

     既に守呪結界を施してある。」


(129) 2022/11/06(Sun) 21:34:54

【人】 隻影 ヴェレス



 [観測手は、我が身と所有物を礎にはしない。
  例えそれが別居しており疎遠気味の家族であれど
  体裁の為にそれらを守るのだ。

  ……何より、不慮の事故で夫人を失くした直後に
  子息の身に何か起きようものなら、
  学星院への疑惑は沸点を超えてもおかしくはない。

  巨大な記録ボードを見据え思考するブランドンの傍らに
  長子にして次期当主のジェイクが凛と立つ。

  このプロジェクトをアスター家の二人が
 
同家の次男坊に教えたことはただの一度もない。


 彼等にとっては利用価値がないのだ。]


 
(130) 2022/11/06(Sun) 21:35:06

【人】 隻影 ヴェレス



 [この日の為、準備段階から手段は問わなかった。
  管轄外の保存施設の管理状況の抜き取りから
  偽造された通行証及び営業許可証の作成、
  果ては外部からの援助と船を取り付けるまで。>>76

  近頃ずっと
船着場は貿易船で一杯だった
が、
  どれも学星院の印が付いていたのもその為である。]


  「時は近いぞ。“こと”が始まったら
   保存施設の異常を報せる警報が真っ先に届く。
   そこから先は……データの収集に専念しろ。」

 
(131) 2022/11/06(Sun) 21:35:31

【人】 隻影 ヴェレス

 


  ──── 同刻;卵にして世界、籠であり砦

“Der Vogel fliegt zu Gott. Der Gott heißt Abraxas.”

 
(132) 2022/11/06(Sun) 21:36:01

【人】 隻影 ヴェレス




           …………

        今日この日まで、私は。
   己のルーツも、神も、故郷もないままに、
    最大の犠牲を払ってまで、此処に居る。

     一体何を原動力にしてきたかさえ
         最早思いつかない。


 
(133) 2022/11/06(Sun) 21:36:23

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [少年の自室、使用人も掃除以外では立ち入らぬその部屋の
  壁に掛けられた絵画に隠されるようにして存在する、
  数々の物的証拠をつなぎ止めたコルクボード。

  そこには、彼の兄が父へ宛てて書いた手紙の写し、
       父が外部の人間と接触する現場の写真、
       実用化されていない機構の部品に至るまで。

  自ずと学星院の陰謀に辿り着けてしまうだけの材料が、
  既に侵入者の手により歯車は狂っていると
  気付けてしまうだけの物品が、揃っている。

  そして少年は、ひとつの魔道具を再生する。
  つい先程、屋敷の各所から回収した録音機を。
  それは学星院で“放送”と呼ばれる魔術的テクノロジーを
  物理的に弄り回して改造されたものだった。


    ────無用と看做すには浅はかすぎた、
        底知れぬ、執着めいた探究心。]

 
(134) 2022/11/06(Sun) 21:36:40

【人】 隻影 ヴェレス

 

 
────ﮩ٨ـﮩﮩ٨ـﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ෴ﮩ────


 [少年は、吹き込まれていた使用人達の内緒話を
  片っ端から全て聞き届ける。
  今朝の起床前と、正午に出掛けた後の会話。
  “この日の夕方”に備えて彼女らが何をしていたかを。

      最後に、ゆっくりと溜息をついた。]


 
(135) 2022/11/06(Sun) 21:37:00

【人】 隻影 ヴェレス




 ……そして私は、全てを███にする為の幕を開ける。


(136) 2022/11/06(Sun) 21:37:15
隻影 ヴェレスは、メモを貼った。
(a24) 2022/11/06(Sun) 21:59:02

【人】 修復師 ラシード



[

  っご  

     ぱき、   ん

魔術錠の修理を行う現場、
背後から現れた大柄な男>>91
水夫を、職人を騙るに十分なほど
鍛え抜かれた彼の、太い腕によって。
不意打ちの形で壁に叩き付けられた
キャビネット担当管理者の頭蓋が、
床に落ちた陶器のように、呆気なく、割れた。]
(137) 2022/11/06(Sun) 22:05:18

【人】 修復師 ラシード

[まるで何事も無かったかのように、
彼らは施設を出る。
外の警備員に会釈を残して。
宿はどちらでしたっけ、夕食のお勧めはありますか、なんて
要らないような演技もおまけにつけて。

そうやって、門を出た後に。
組合は────宿の集まる市街地とは全く異なる方角へ向かう。

     北へ、北へ。
     残りのピース、その一欠片を求め、
     計画通りに、水晶宮に向かって。 ]*
(138) 2022/11/06(Sun) 22:06:33

【人】 警備員 ジュード

 
 ── 午後:美術館にて ──

[振り返る間際にも写真機を構えていたらしい姿に>>112
あっ!邪魔しちゃいましたか!?と謝りつつも、
男は問われた話に回答する。]


 ええ、でもなかなか次の方が来なくって……。
 寝坊してるだけ!とかならいいんですが。


[その職員がどうしているかはわからないが
あまり深刻には考えていないものだから、
こまっちゃいますね〜!なんて苦笑いを。
警告色の尻尾だって、今は呑気にゆれている。


その色を持つ者たちに関する研究の記録、
…“何等かその色の主から精製した毒物”を戦時利用した結果、
広範囲に枯れ果てた地を生み出した…なんて事実は
全てから秘匿するには、些か規模が大きいものだ。

……かの国はその全てを秘匿しようとしただろうが、
そのいくらかは、機密ファイルにも収められているのだろう。
]
(139) 2022/11/06(Sun) 22:09:48

【人】 警備員 ジュード

[……そのころ、噂されている件の職員は
美術館のすぐ近くにまで来ていたものの、
道に迷ったという
赤い布
で髪を纏めた老婆に捕まって、
必死に水晶宮までの道程を説明していた。

ただ説明をするだけならすぐなのだが、
なるべく段差の無い道がいいねぇ……とか
人が多いと疲れちゃうから、静かな道がいいんだけど、とか
老婆でも歩くのに適した
……勿論、逃亡する事にも適した道を
細かく注文されるものだから。

まさか利用されているなんて思いもせずに、
善意から、必死に頭を捻っていたのだった。]
(140) 2022/11/06(Sun) 22:10:54

【人】 警備員 ジュード

[来るにはもう少し時間がかかりそうな職員は他所に。
男は写真を見せてもらうと、感嘆の声をあげる。>>114

今日の日差しの中、確かに近くに居るものたちが
そっくり紙面に映されているだけでも凄いのに、
一瞬で、しかも少し違う姿で出力するというのは
魔法よりもさらに不思議な秘儀のようだ。]


 今回も不思議に写ってますね!
 でも、庭がそっくり紙の中に入ったみたいに精密で……
 やっぱり、学星院の発明って凄いですっ!

 あれ、でも……


[青い鳥に、四葉のシロツメクサ。
二つの象徴は、幸福を示すものだった筈。

男も、彼の母の訃報は聞いていたから
しばし首を傾げていたのだが、
写真を撮ったあとに告げられた言葉>>116から、
それは感じているものではなく
求めているものなのだろうか、と推測した。]
(141) 2022/11/06(Sun) 22:12:08
村の設定が変更されました。

【人】 警備員 ジュード

 
 ……そうなんですね……

 この島では、全ては宝ともいいますのに
 経験だって、大切な宝でしょうに

 お家の方針に外から口出しするのは難しいですけど
 こうして会えなくなるかもしれないのは
 かなしいです……


[男は明らかに落ち込んだ顔をするし
尻尾の先も、沈む感情を表すように少しうねる。

男は言葉のまま”彼が出られなくなる”と事態を受け取ったが、
それだって、何かの為に仕舞いこまれた経験の少ない身には
とんでもない不自由であるように思えた。

彼のかつての説明>>113により、その血筋が
上流階級のものであるというのはわかっていたけれど…
地位のある身とは、想像以上に大変なものらしい。


いつもと同じに見える表情をする彼にだって、
思う所はあるのだろう。>>115

だからこそ、写真を撮る時に笑ってなんて言えなかったし、
嬉しいはずの『あなただけだ』>>117という
信頼さえ感じるような言葉へも、
今は、返す言葉を決めあぐねている。]
(142) 2022/11/06(Sun) 22:13:57

【人】 警備員 ジュード

[……男が正気を保つために呑む薬は、
『不安を打ち消し気を明るくする』一点のみに特化した
至って質素なものである。

ゆえに、他の高度な呪いや薬
例えば、魅了の呪いや欲望の呪い
風邪薬なんかでさえも、併用すると
大体の場合は強いものの効果に簡単に負けてしまう。

競合の程度にはムラも多いが、
もし薬の効果が推し負ければ、
男の心には、どうしようもない不安が湧き出すもので。

昼の薬の服用も遅れているなかで
魅了の血を継ぐ者>>53から信頼の言葉を受けた男は、
心を揺さぶられると同時に、その視線が少し恐ろしく。
僅かながら、背中に"嫌な汗"をかいていた。]
(143) 2022/11/06(Sun) 22:14:52

【人】 警備員 ジュード

[人知れず心配と不安を抱える中で、
明るく続けられる言葉は>>118助け船のようだった。]


 ……あっ、そう、お昼!
 俺も誘おうと思ってたんですが
 先を越されてしまいました……!

 でも、いいんですか?


[今日が最後かもしれない人に奢らせるなんて
どうにもおかしな気もしたけれど、善意を無下にするのも……
そう迷う内に男の頭にはある納得の行く答えが浮かび、
そうだっ!と手を合わせて口を開く。]


 ……じゃあ!”次”は俺が奢りますっ!
 借りっぱなしはよくないですからっ!


[いつか、彼の館を訪れる時には
島でおきた事の話とか、新しいお菓子とか
退屈しのぎになりそうなものを色々そろえて行こう。
そして、もしまた外で出会えたのなら……と、
そんな心算で、男はやや前のめりになりながら
ヴェレスへと笑顔を向けた。]
(144) 2022/11/06(Sun) 22:16:36

【人】 警備員 ジュード

[男は彼の今後を知り得ないどころか、
この島がもうじきに狂気に呑まれる事も、
彼が腕に付けた天鵞絨の意味さえも知りはしない。

男は愚者の如くに無知である。
だからこそ”次”を願い、信じていた。

そしてそれはきっと
出力される写真にも現れている。>>116

彼への疑問、そして身内を亡くす苦しみへの共感の中、
それでも沈むよりは明るく接したい、と、
光を求める男が撮った彼の写真は少し彩度が高く、
隅に写り込んだ鳩は、また青く染まっていただろう。]
(145) 2022/11/06(Sun) 22:17:54

【人】 警備員 ジュード

[……それから少し待って貰えるのなら、しばしの後。
ようやく施設について装備を終えた交代の人間は、
小走りで入口の方へ顔を出す。

男はその人へ少し不満を溢しかけるが、
ご老人に道案内をしていたと聞けば怒るに怒れず。

一度裏で勤怠処理をすませてから、
ヴェレスと共に食堂へと向かっただろうか。**]
(146) 2022/11/06(Sun) 22:18:17
警備員 ジュードは、メモを貼った。
(a25) 2022/11/06(Sun) 22:30:22

【人】 略奪者 ラシード


[奔る、奔る、奔る。
協力者が用意した、偽装済みのからくりの車。
ラング機関に大気の魔力を飲み込ませ、
己の魔力をも注ぎ込んで、奔る、奔る、奔らせる。

浅い呼吸で息を切らせながら、若き首魁は
石畳の坂道>>140を駆け上がり、北へ北へと向かう車の中で
手順を確かめるよう、教科書を誦ずるように
車輪の音にかき消されるほど小さく、ぶつぶつと呟き続けていた]


  学星院から貰った記録だと、
  此れは……まだ”未完成”の段階だ。
  材料がひとつ、足りてない。
  当時は入手が困難だった───南方の蛇の、生き血。
  死後、暫く経った遺体から絞ったものも、
  時間が経ったものも駄目、……
 
(147) 2022/11/06(Sun) 22:42:15

【人】 略奪者 ラシード


[水晶宮の門に警備員は居ない。
既に”協力者”によって排除されていたのだろう。
死んだ獣を標本や剥製にする際に使う運搬用のからくり車だ。
遠目から見れば、その光景にさほど違和感は無い。

定時連絡が途切れたことから、
事態を察知した衛士や警備員が
それを追うように駆けつけたのは、
どのくらい経った頃合いだったか。

  ────気に病む必要はない。
      彼らが悔やむ道理はない。
      間に合わないよう、仕組まれていたのだから。 ]*
(148) 2022/11/06(Sun) 22:42:52
天のお告げ(村建て人)は、メモを貼った。
2022/11/06(Sun) 22:50:09

【人】 給仕 シロタエ

―― 仔狐亭 ――
[客足が少し落ち着いたら賄いの時間だ。
と言っても混んでいる時はそんな時間も取れない
摘まめるときに摘まむ、なんてやっていたら一時ちょっとふっくら(シロタエ比)してしまったので、一応気はつけているのだけれど]

 「いや、シロタエはもうちょっとあってもいいと思うけど」
 えー、やですー、胸が増えるならいいけど

[なんていう会話も女同士ならでは、店主は味見をしながら聞かぬふり]

 さて、もうすぐ一番忙しい時間だし、外の掃除でも

[そう言って立ち上がると店主から声がかかる]

 「あぁ、それなら今のうちにちょっと配達してきてくれないかい?」
 配達?
 「ほら、あの研究熱心なケイリーさん、最近来てないだろ?」
 あー、ってことは……

[数年前に島にしかないらしい貴重な書物を求めてきた学者さんだ。
うちもご贔屓にしてもらっているのだが、たまに、いやしょっちゅう研究に没頭しすぎてご飯忘れて倒れかけることがある人なのだ
他のお店が行っていればいいけど、そうじゃなければ大変だから、と
積極的におせっかいを焼いている仔狐亭なのだった]
(149) 2022/11/06(Sun) 23:25:38

【人】 給仕 シロタエ

 わかりましたー、それじゃちょっと行って……場合によっては掃除とかしてくるかも
 「それじゃ、帰って来るまでは私たちで頑張っておきますね!」
 お願いねー、ほら、ケイリーさんとこ放っとくとほんと魔境だからー

[最初の騒動の時に見たかの家の中を思い出す……整頓しすぎるとかえってわからなくなるなんて言っていたけど、
しないにもほどがあった
]

 「はいこれ、お代はまあ600くらいでいいかな」
 そんな大将、また適当な……まあいいけど
 「まあ、間に合ってたとしても置いてきて問題ないだろうさ」

[それをちゃんと食べてくれるかは別問題。でも届けておけば万が一の時も安心だろう
何がかは置いといて
]
(150) 2022/11/06(Sun) 23:27:29

【人】 給仕 シロタエ

―― 街のどこか片隅で ――
[行ってきますと店を出て少し行くと、路地で寝ているらしい影が見えた>>119
落ちている煙草に火がついていないのを確認して、風邪ひくわよー、とだけ言い残して立ち去る
珍しいな、と思うけれど気にしすぎることでもない
誰かに迷惑さえかけていなければ娘はみんなに等しく接するのだから]

 夕方近いからか賑やかよねぇ、あっちもこっちも

[なんて言いながら裏通りに続く道に視線を向ける。
裏通りはまた違う意味で賑やかで煌びやかなところだ>>124
娼館や賭博場には縁はないけれど、裏町にしかない品物もあるから時々足を運ぶ
そんな変わった品が入ってくるのもキュラステルの特性だと思う]

 ほんと、良いところだと思うわ
 
ごく一部のロクデナシさえいなければ


[小声でぽつりと呟いてふと気づく
何やら赤い布を身に着けた人がちらほらいるようで]
(151) 2022/11/06(Sun) 23:29:21

【人】 給仕 シロタエ

 最近の流行りかな?
 そう言えば最近流行りに乗れてない気がするー
 今度のお休みは久しぶりにパーッと買い物でもしようかしら

[と言っても、おしゃれして出かけるってのもないのよねぇ、と
この年頃の娘にしては寂しいことを思いながら配達に向かう

目的の家はもうすぐそこだった*]
(152) 2022/11/06(Sun) 23:30:21
給仕 シロタエは、メモを貼った。
(a26) 2022/11/06(Sun) 23:33:26