【人】 部隊長 シュゼット[僕へ向ける感情が、嗜虐心……!? >>173そんな言葉が聞こえて、 思わず顔も強張り耳も震える。 左手で掴んでいた、この医務室の住民を 思わずそのままぬいぐるみかのように抱きしめた。] なぁ。君も、 薬は甘い方が、いいと思うだろ [怖がって、いつも以上にもふもふの玉のようになっている そんなペンギンを味方につけるべく、聞いてみたけど。 非情にも、軍医の彼が告げるカウントダウンは 刻一刻と数字を刻んでいって。 ……聞き入れてもらえないと思っていたから、 >>174僕の意見があっさり通った時は、 驚きもしたが、一気に安心したっていうのに!] (220) 2020/05/16(Sat) 20:18:17 |
【人】 部隊長 シュゼット 甘い薬かぁ……楽しみだなぁ……、ぶっ!! げ、げほっ!!……ぅ、うぇぇ…… [一気に飲み込んだのは悪くなかった。 だってこんなの、一度味を知ってしまったら、 飲み終わるまで滅茶苦茶に苦労するやつだ。 ただ……口の中を過ぎ去って、 喉の奥まで流れていった液体の苦みは計り知れない程で。 僕はコップをサイドテーブルに置き、 口元を押さえて、布団に蹲るように突っ伏した。 痺れるような苦みとえぐみが、喉から上を攻撃してくる。 お腹の中だって、すごく辛い物を食べた時のように、 熱くなったり痛くなったり。 本当は、今すぐ吐き出したい気分なんだけど、 はた迷惑なことに、そこは良く出来ているみたいで。 患者が飲んですぐ吐かないように、 薬の作用で色んな味や症状を感じたとしても、 吐き気だけは催さないような作りになってるらしい。] (222) 2020/05/16(Sat) 20:19:28 |
【人】 部隊長 シュゼット[この体制じゃ、>>179相手の顔も見えやしない。 ただ、僕のせいで、何か怒らせてしまったみたいだ。 言葉の節々から、そんな気配を感じるような気がして。] よふ、ひほえへ、ふ…… (よく、きこえてる…) だはら、おほらないれ、かひゃむふび、は、やめへ (だから、おこらないで、かたむすびは、やめて) [上手く喋れないなりに、顔をあげて必死に伝えるさまは、 やっぱりまだ涙目で、首をふるふると震わせて。 ……>>171子供かと言われても反論できないな、と。 客観的に考えてそう思うが、 だからと言って止められるものでもない。 医者は怖いし薬は苦い。無理なものは無理なのだ。] (223) 2020/05/16(Sat) 20:20:22 |
【人】 部隊長 シュゼット[どうせ、痛いのはどうってことはない。 僕は、まだにがにがする口を半開きにして、 眉を寄せ、うえー、と舌を出した状態で。 軍服の上着を脱げば、 のそのそと、ルークの方へ背中を向けた。 上着まではあまり染みていなかったようだが、 その下に来ていたシャツの被害は深刻である。 全体的に赤がじわりと滲んでいて。 所々生地が切れていたり。 もしシャツを捲るなら、高所から背中を打ち付けて そのまま数メートル地面に擦ったのがよくわかるような、 酷い傷跡が、露わになることだろう。 ……今回のものだけじゃない。 体中のそこかしこには、もう完治した後ではあるが、 消えずに残ってしまった傷跡が至る所についていた。] (224) 2020/05/16(Sat) 20:22:19 |
【人】 部隊長 シュゼット[背中の治療が始まって少し経てば、 やっと口の中のにがにがも落ち着いてきて。 自分から喋る元気も戻ってきたところで ふと、思い出し。前を向いたままぽつりと。] そうだ……ルークは、さっき。どうだった? [語彙を持たないわけでは決してないのだが、 普段は、人と話すことにリソースをあまり割かないから 言葉数が少なく、何を聞いているのかもわかりにくい。 もし何か聞かれたなら。 質問の内容を説明するでもなく、ただ、ペンギンを撫で。 医務室の天井の方へ向けられた目は少し細くなり。 戦場の光景を思い出しながら、伝えた。] 僕は……近くに居たから。 前のより大きくて、地面の凹みも、重そうだった。 [>>178彼は怪物が見える位置にいたようだから。 きっとある程度安全な場所に居たのだろうと予想して、 どこに居たのか……というより、何を見たのかが気になった。 自分は近くに居たものだから。 他の場所から見た機械の怪物について どんなだったのか、聞いてみたくなったんだ。 ―――そんな意図では、あったのだけど。 ルークは何を見てどう思ったのだろう、と。 そこでやっと、後ろを振り返ってみた。]* (225) 2020/05/16(Sat) 20:26:28 |
部隊長 シュゼットは、メモを貼った。 (a40) 2020/05/16(Sat) 20:29:34 |
部隊長 シュゼットは、メモを貼った。 (a41) 2020/05/16(Sat) 20:46:35 |
【人】 部隊長 シュゼット[>>242僕が彼を怒らせてしまっているのかと思ってて。 だから今度はこちらがわからずに、首を傾げた。] ひはっは…?…………ん。 (ちがった?) [いつも以上に当たりが強いような気がしたのだが。 違うと言うなら、これ以上深く問うものでもないか、と。 >>243言われるがままに、無遠慮にシャツを脱ぐ。 背中からぱりぱりと聞こえる音は、 乾きかけた血液でシャツと肌がひっついてたのが 乱暴に剥げてゆく音だ。] は、剥ぐ……僕の、部下の前で、!? [言葉の鋭さに、つい、驚く声が上がる。 でもすぐに、理由がわかってしまって。 耳を揺らして、バツの悪さに下を向く。] ……え、と。ハイ。 次は怪我、すぐに言います……逃げません…。 [そうして。 普通の人なら、顔を歪めて痛みに声をあげるのだろうが。 怪我についてはけろりとした顔で、表情一つ変えずに、 僕はルークが治療を始めるのを待っていた。] (275) 2020/05/17(Sun) 0:21:29 |
【人】 部隊長 シュゼット[僕は……僕がここまで、痛みに鈍い理由がわからない。 戦闘中に傷を負っても(少し怪我をしたな)と思うぐらいで 傷に構うことなく動くことができるのは 僕としては、ありがたさしかないのだけれど。 ただ。我慢できるのは痛いことだけ。 背中に冷たい手が触れた時は、肩がびくりと持ち上がり。] つ、めた……っ!! [未だに動かない右腕はだらりと垂れ下がったまま。 目をぎゅっと瞑って冷たさに耐える。] [消毒や破片の除去には全く反応を示さないくせに それ以外のことには人並み以上の感覚を持っている。 そんな特異体質なものだから、 僕のことを不気味がる基地の者も少なくない。 第一戦闘部隊含め、兵士たちからの信頼は厚いが、 僕より上官や、研究班や医療班からの評価は、 僕が聞く限りでは、良い話ばかりではなかった。 記憶を戻すための『検査』のついでに この体質についての調査もされてるのだろうと そう、予想もつけているのだけど。 ……実際はそんなことはないのか、はたまた。 真相は僕にはわからないのだった。] (276) 2020/05/17(Sun) 0:22:35 |
【人】 部隊長 シュゼット[>>245下された判断に、「えぇ」と声が出る。 見張りは非戦闘の日常の中でも好きな仕事の一つだ。 夜中、外壁の上に据えられた見張り台から 危険な野生動物が近くに来ていないか、 天の『穴』の様子に変化がないか、見張る仕事。 夜のあの静かな空気感が、僕はとても気に入っている。] 確かに……暫く襲撃も無いとは聞いてる、けど。 でも僕、毎日東棟側の外壁から、 見張りの、仕事を任されて、て 部下の様子も、ほんとはすぐにでも、……ぅ。 [けれど。耳をじーーーと見られれば、 垂れ下がった赤い兎耳耳を左手で弄り。 ごにょごにょと、言葉にならない声を漏らした後。] 検査も……ん。わかった、よ。 [検査についても、次こそは何かわかるかと そんな期待もあったから、残念に眉を下げる。 結局。こういう時にこの軍医には敵わないのだ。 せめて早く動くようにならないかなあ、と。 左手で、銀色の右手を撫でたりして。 こりゃあ義手もまともに動くようになるのは数日後かと ようやく、己の惨状を認め、肩を竦めて 重々しいため息をついたりして。] (277) 2020/05/17(Sun) 0:25:27 |
【人】 部隊長 シュゼット[>>246>>247―――我々の技術では再現不可能。 軍医の所感は全て同意だった。] ん。……その通りだとおもう。 もっと、色々話せればいいのだけど、 戦闘中は必死だから……これ以上は僕もわからない。 [ゆっくりと頷いて。 あそこから見た戦場はどう見えるのだろうと、 一度目を閉じて、そんなことを想像してから。 髪色と同じ赤い瞳は、ルークを見据えた。] 外壁は、僕の好きな場所だ。 この基地の周りが、良く見える。 怪物もそこまでは、これからもいかないだろう。 [今までそこまで怪物が近づいたこともない。 そこで見ているなら安全だろうと、そう伝え。] 奴らのこと、少しでもわかれば…… いつか。状況を変える手だても、きっと。 [それは、皆が望むことだ。 だから、早く怪物の正体についてわかればいい。 そのためには僕が皆の力にならないといけない、 そう思うと自然と、左手はまた義手を撫でていた。 なんだろう。これで、いいはずなのに。 ]こういう時になると、僕の中から僕に向かって、 違うだろうと囁く声がする気がするのだ。 (278) 2020/05/17(Sun) 0:30:02 |
【人】 部隊長 シュゼット[解析作業には彼も加わるのだろうと知っていた。 僕に伝わってくるのは、彼らの仕事の成果だから。 背中から腹にかけてぐるぐる巻かれた包帯を 左掌でぺたぺたと触って、緩く笑った。] 解析の結果、待ってるよ。 [物の解析なんて作業に疎い僕は、 ただ、ルーク達を信じて結果を待つだけだ。 信頼を込めて、それだけを伝えると。 背中の治療が終わったら、 もう何も文句は言わずに、ベッドへと潜る。 これ以上何か言うと、彼からだけでなく、 部下達からも心配されてしまうかもしれないから。 それに、これまで僕は軍医の下す判断については いつも文句を言いつつも従って来た方なのだ。] [でも。布団に潜って彼に背中を向ける前に一言だけ] 次こそは、甘いやつがいい。 [あんな苦い薬、できればもう二度と飲みたくないから。 往生際が悪いと思われようが。 僕は何度でも、頼んでやるのだ。] (279) 2020/05/17(Sun) 0:37:23 |
【人】 部隊長 シュゼット[その後。僕は医務室から逃げ出すことはなく、 数日は大人しく医務室のベッドの中で過ごした。 定期的に与えられる薬はやっぱり苦くて、 毎回、嫌だ嫌だと文句を言って、 飲んだ後は暫くベッドの上に丸まって動かなくなり。 医務室に缶詰になっている間は 自分よりも早く回復した部下達がお見舞いに来る。 必要以上に心配して隊長のベッドに群がる者や 甘いものの差し入れをする者や、 隊長のふわふわの兎耳をふにふに触っていく者。 部下に慕われつつも遊ばれたりもしてる様子が 毎日、見られたことだろう。]** (280) 2020/05/17(Sun) 0:39:01 |
部隊長 シュゼットは、メモを貼った。 (a46) 2020/05/17(Sun) 0:41:35 |
【人】 部隊長 シュゼット― 退院前日の医務室 ― [>>305その日も、医務室には部下たちが来ていた。 ―――隊長が居ないと鍛錬にも力が入らないんですよ。 だから早く復帰して、私たちの相手をしてください! ―――今日、甘いクリームの乗ったパンが食堂で出たんです。 本当は持ってこようと思ったんですが……軍医が怖くて。 ―――今日こそは、その義手砲の出し方の秘密、 ぼくたちにも教えてください! 義手も自分で動かせるようになって もう明日には通常勤務に戻れるまで回復したからか。 最初は過保護なぐらい心配してくれた部下たちは 鍛錬や見張りや武具の手入れといった日々の業務を 疎かにしてないか不安になるぐらい、 楽しそうな報告ばかりを僕にしてくれるようになった。] 暫く怪物が来ないからって、 毎日の演習は、気を抜かないで。 秘密……は。 僕にも、研究班の人達にもわからないんだけど。 ……そうだ。持ってみる? [肘のあたりの繋ぎ目にあるロックを外して回転させると、 かちり、と音を立てて、銀色の右腕が取れる。 ―――ばちん、と。 神経を千切られるような痛みと衝撃を、 殆ど表情を変えずにやり過ごして。 それを布団の上に置いて、さあどうぞと目配せ。] (341) 2020/05/17(Sun) 16:52:00 |
【人】 部隊長 シュゼット[僕の腕が外れるのは部下の中でも見たことある者は少なく、 突然上司の右腕が肘までになって、辺りにどよめきが走る。 でも皆、"外すことができる"ことはわかっているから どよめきはすぐに、腕への興味へと変わっていった。 そうして。戦闘当日は軽い手当のみで済んだマリーベルが、 恐る恐る、僕の腕を持ち上げようとした。] [……彼女は確かに、持ち上げようとしたんだ。] 「……ううう〜〜……!!! た、隊長、これ、毎日つけてるんですか……!? こんなの……私なら、右腕が壊れちゃいそうです。」 [顔が真っ赤になるほどに力を籠めてみたけど、駄目。 (僕の見立てでは、彼女の力はそこそこあるのだけど) もっと力がある奴じゃないと駄目だ!ということになり、 若い部下たちは代わる代わる、 僕の腕を持ち上げようと頑張ったのだが……] (342) 2020/05/17(Sun) 16:53:19 |
【人】 部隊長 シュゼット ……やっぱり、重いか。 ごめんね、気に病まないで。 研究班の人にも、細身の癖に馬鹿力の怪力兎め、 ってよく言われるから。 [結局。誰も持ち上げることができないのを見て。 僕は苦笑しながら、義手を右腕に接続し直したのだった。 再接続したときも義手へ腕の神経が繋がる感覚はしたが、 流石の僕でも『痛い』と感じるそれをやり過ごして、 部下達にはただ、笑って右手を動かして見せたのだ。 皆から、尊敬の眼差しと感嘆の声が上がる。 僕は、ちょっと照れくさい気持ちになって、頬を掻いた。 違う話題に話を変えたくて、辺りを見回してみたけど あの医務室のペンギンは人が多いからか 丸いもふもふのあの姿は、どこにも見当たらなかった。] (343) 2020/05/17(Sun) 16:53:57 |
【人】 部隊長 シュゼット[過去があり、大事な家族や友人もいる。 そんな彼らが僕は大切でもあり、羨ましくもあり。 彼らが楽しそうにしているのを見るのは大好きなんだけど、 力のこととか痛みのこととか、些細なことで 僕は皆とは違うんだと痛感してしまう。 部下達には笑っていてほしい。 戦場では、なるべく傷ついてほしくない。 僕のことで、心配などかけたくはない。 彼らには、不気味な者を見る目で、僕を見て欲しくない。 義手をいつから持っていたのかも。 接続したときの痛みも、後遺症の危険性も。 僕の記憶が、ある時点を境にさっぱり無いことも。 最近見るようになった、"夢"のことも。 僕自身のことについて隠せることは極力、 彼らには、話さないまま。今に至る。] (344) 2020/05/17(Sun) 16:54:36 |
【人】 部隊長 シュゼット[義手砲の出し方の秘密についても、 これは研究班すら、なんで出せるのか不明らしくて 何度も、僕に聞かれた事だった。 でも、僕の答えはいつも同じ。 「仲間を守ろうと思ったら出せる」 研究班の人たちはそれで納得してくれたけど。 その時総司令には、推し量るような視線を向けられた。 それ以上、その時は追及されなくて本当によかったと思う。 ……実は、出せる理由が少し違うことだって。 僕は今まで、誰にも話していない。 ……いや。話せて、いないんだ。] (345) 2020/05/17(Sun) 16:55:54 |
【人】 部隊長 シュゼット[―――翌日で退院だという話だったから。 次の日、部下達もおらず部屋に軍医と二人になれば、 右腕を回したり指を動かして見せたりして。 部下が居るときにはしない話を、少し声を潜めて聞く。] ありがとう。 おかげで、もう万全だと思うよ。 あとは……『検査』は、……いつから? [今日からと言われたら、指示通り来るつもり。 まだ暫く先と言われればその通りにする。 僕は検査についてはいつでも命令通り従うのみだが 本音を言えば、薬はできれば飲みたくないし 延期でいいならそれが一番だとも思っている。] またね。次は…うん。ぶどう味かな。 [ててて、と。 遠慮がちに近寄って来たペンギンの方へ しゃがんで、もふもふの頭を撫でる。 "次"があればきっと、検査の時。 この子は何味が一番好きなのかわからないので、 これからも色んな味をあげて、反応を見るつもりだ。 苦い薬は嫌だけど、この子に会えるのは楽しみで。] (346) 2020/05/17(Sun) 16:56:13 |
【人】 部隊長 シュゼット[でもやっぱり苦い薬は……と考えて。 医務室を出る前に最後に一言。] ……確認、なんだけど。 次の検査は、注射だけ、ってわけには…… [機嫌を伺うように、彼の真っ白な狐耳を見る。 表情からあまり機微がわからないものだから せめて耳の動きで何かわからないかと思ったのだが。 そんな自分の方が、首を恐々と竦めて、 耳をぷるぷると揺らしているものだから 見た目でわかりやすいのは、どう見ても僕の方 ……というのは、僕自身では気づいていないこと。]* (347) 2020/05/17(Sun) 16:56:36 |
部隊長 シュゼットは、メモを貼った。 (a54) 2020/05/17(Sun) 17:01:33 |
【人】 部隊長 シュゼット− 退院当日の夜:外壁の見張り台 ― [こつ、こつ、と。石の階段を上っていく。 砲台が設置されている小部屋を通り過ぎて、 さらに上へと階段を上る。 外はもう夜になり、外壁内の所々に灯る明かりと、 右手に携えたランタンが頼りだった。] よい、しょっと。 [一番上に据えられた見張り台まで登ってしまえば まずはお役目。周囲をぐるりと一望。 地面や天の岩壁でぽつぽつと輝く草が、 この夜中でも動いている生き物の影を照らし出す。 僕は夜目が利く方だから、 少しの光と、後は音さえ聞こえれば見張りには十分だ。 この静かで、辺りを見渡すことができる空間が大好きで 僕は地下世界の発光植物の光が幻想的に輝く光景を、 暫くそこから、身を乗り出して外を眺めていた。 危険な生き物が近くにいないことをよく確認したら 見張り台に備え付けてある椅子に座って、 記録をつけるためにある机の、引き出しを開く。 ノートには、本日の日付と"異常なし"の言葉を書いて、 すぐにノートを仕舞い、更に奥を漁る。] (367) 2020/05/17(Sun) 19:45:40 |
【人】 部隊長 シュゼット[ここには見張りの当番が書くためのノートの他に、 個人の私物が色々入ってたりする。 誰かが吸う煙草だの、古びた双眼鏡だの。 色んなものが入っていているから、 その中になにがあっても、誰も気に留めない。 だから誰にもとられてないだろうとは思ってたけど 実際、ちゃんとここに残って居たのを見て、口元が綻ぶ。] うん。あった。 [引き出しの奥の方から取り出した、 色褪せた赤い布の袋を開ければ、 中から出てきたのは、つるりとしたディスプレイを持つ、 頑丈そうなタブレットだった。] (368) 2020/05/17(Sun) 19:46:44 |
【人】 部隊長 シュゼット[基地の者に支給されているタブレット。 世界のそこらで見つかるロストテクノロジーの産物の一つで あるとき、大量に発掘されたそれを、 司令官が「皆に配って活用しよう」と決めたのだ。 僕の黒色のそれに暗証コードを入れて起動させれば、 ノートのようにして使える機能を開いた。 ……実は、他にもいろんな機能があって、 解析班の解析が終わっていて使用許可が出ているものも この中には沢山あることを知っている。 でも、それらは大抵、調査や研究に役立つ物ばかり。 そもそも、タブレットに最近まで興味もなかった僕は、 風景を画像にして保存できる(写真というらしい)機能も 簡単な文章を手紙のように誰かと送受信できる機能も、 一度だって、使ったことが無かった。] (369) 2020/05/17(Sun) 19:48:50 |
【人】 部隊長 シュゼット["過去の記憶を思い出す前に、 今の記憶をなくしてしまうのが怖い。" また、突然記憶をなくしてしまうことがあるのでは、と それが怖くて、昔に、上官に尋ねたことがある。 そうしたら上官は、「日々の記録をつけると良い」 と言って、自分の日記帳を僕に見せてくれた。 ……とはいえ、何か書こうとしても 初めてのことであり、中々、内容に困る。 ……基地の皆と戦闘の訓練をしたこととか、 今日食べたごはんが美味しかったこととか。 そんなことは、毎日、部下と体験していることだ。 もし記憶が無くなったとしても、誰かが教えてくれる。 なら―――この、僕のタブレットには、 僕だけしか知らないことを書くべきなんじゃないか。 軍の機密のようなことを書くわけにはいかないけど 誰に話せばいいかわからないことを 後々のために、書き留めておくにはちょうどいい。 そう思い立って自分用のタブレットを引っ張り出してきたのは ごくごく最近……医務室から出てきたあたりのことだった。] (370) 2020/05/17(Sun) 19:52:30 |
【人】 部隊長 シュゼット[タップして現れたキーボードから、文字を打ち込む。 纏まりがない日記になってしまったきがするけれど 打ち終わって読み返してみれば、 達成感というか満足感というか。 やり切った気持ちが胸に沸き上がる。] ……ふふ。結構楽しいかも。 [タブレットはまた、机の奥に。 自分の部屋に置いておくのも考えたが 部屋では文字を書く気になれない気もしたし、 暗証コードもしっかり設定したから大丈夫だろう。 暗証コードは、きっとこれから先忘れることのない物。 今まで口にしたものの中で一番嫌な味を持つ『AME015』。 好きなものと嫌いなものぐらいは、 これから先も覚えてられるだろうという安直な期待と。 もし、万が一。誰かにこの中身を見られたとしても、 医務室勤務の誰かのタブレットだと思ってほしい。 ……コードには、そんな保険も込めて。] (371) 2020/05/17(Sun) 19:58:23 |
【人】 部隊長 シュゼット ……もう少し、見張りの時間はあるな。 [そうして僕は、見張りを続行する。 初めて、日記を書いてみたことで、 なんだかいつもより機嫌もいい。 次に『検査』の時の手土産にと思って手に入れた ブドウ味の飴玉を一つ、口の中へ投げ入れて。 その日自分に割り当てられた見張りの時間が終わるまで 見張り台から外の、襲撃がない平和な一日の終わりを 兎はずっと、眺めていた。]* (372) 2020/05/17(Sun) 20:01:07 |
(a56) 2020/05/17(Sun) 20:37:56 |
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