人狼物語 三日月国


225 秀才ガリレオと歳星の姫

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視点:人


プロローグ

【人】 とある書物



    星々は人の思いも知らずに廻っていく。

 
(0) 2023/09/24(Sun) 3:30:13



村の設定が変更されました。

到着:教師 モモイ

到着: エウロパ

到着: ユスティ

【人】 ユスティ



   「ボクは一番の魔法使いになりたいんだ!
    そしたら誰もボクらを笑ったりできないだろ?」



(1) 2023/09/25(Mon) 0:43:52

【人】 ユスティ



     それは幼き日、青芝のような決意。



(2) 2023/09/25(Mon) 0:44:38

【人】 ユスティ



   「星巡りて天翔る万象の揺らめき
    ケプラーの涙、月の糸

       燦燦と巡る運命の流砂をこの背に────」



(3) 2023/09/25(Mon) 0:48:37

【人】 ユスティ



   優秀な魔法使いの卵たちが集う魔法学園トカリス。
   栄光の冠を擁する学舎の屋上で一人、
   新たな魔法の詠唱を試みる青年がいた。

   彼の名はユスティ・フレネル。
   トップの成績を保ちながらも
   一切の妥協を許さない学園の優等生。

   授業の中で教えられるものは当然に
   暇さえあれば独自の魔法を編み出しては試して
   今日もまた狂ったようにその成果を求めていた。


(4) 2023/09/25(Mon) 0:49:07

【人】 ユスティ




   皆はユスティをこう形容するだろう。


             「彼は天才だ!」と



   しかし彼は困ったように笑う。


             「ボクは凡人だ」と



(5) 2023/09/25(Mon) 0:50:03

【人】 ユスティ



      ……………………ダメ、か。


(6) 2023/09/25(Mon) 0:51:07

【人】 ユスティ



   本物を目の当たりにすれば
   自惚れる暇もないのだと彼は知っている。

   新たに編み出された空間転移の魔法は
   詠唱の甲斐も虚しく石ころを空へ運ぶのみ。
   これでは星空へ旅立つことなど夢のまた夢。



          夕焼け空の小隕石が
          小さくため息をついて項垂れていた。**



(7) 2023/09/25(Mon) 0:53:21

【人】 エウロパ



  「君の魔法を傍でずっと見ていたいな!
   だからね、私は君の夢を応援するよ!」


 
(8) 2023/09/25(Mon) 1:49:40

【人】 エウロパ



     君の想いを知らずに廻る星は
     ……私のこと、だったのかな。


  
(9) 2023/09/25(Mon) 1:49:54

【人】 エウロパ



  星には不思議な力がある。
  その力を授かることが出来たなら
  魔法使いとしての未来は約束される。

  だから、私の両親は輝かしい未来を願って
  星の名を私につけた。

  でも。
  私には魔力なんてない、小さい頃は
  そう思われていたから
  魔法使いになれるとは思っていなかった。 

  
(10) 2023/09/25(Mon) 1:50:20

【人】 エウロパ



   「また居残り……
    疲れたし、甘いココアが飲みたいな……」

  
(11) 2023/09/25(Mon) 1:51:12

【人】 エウロパ


  
   ここは魔法学園トカリス。
   優秀な魔法使いの卵たちが集っている
   ……はずなんだけど。

   ぜひ才能あるこの子を、と推薦されて
   入学した生徒、エウロパ・アンダーソン。
   
その子は所謂、問題児として有名だった。

   寝坊・遅刻はしょっちゅうで
   授業中も魔力の制御が出来ずに問題を起こす。

   そんな風に言われる問題児が私。
   怒られるのは慣れっこになっちゃった。
   今日だって、当たり前のように遅刻したから
   その分居残り!
   
ちょっとくらい見逃してくれてもいいのにね?


  
(12) 2023/09/25(Mon) 1:52:24

【人】 エウロパ

  

   少しは優等生のユスティを見習いなさい、
   なーんて言われたし。
   なんで天才のユスティじゃなくて
   問題児のエウロパが推薦入学したんだ、と
   疑念を向けられることも多い。

  
(13) 2023/09/25(Mon) 1:53:04

【人】 エウロパ




   皆はユスティをこう形容する。

            「彼は天才だ!」と


   でも私は少し違うと思ってる。正確には。

            「彼は努力の天才だ」と


  
(14) 2023/09/25(Mon) 1:53:35

【人】 エウロパ



   天才なんて言葉で簡単に片づけられるほど
   彼の努力は生半可なものじゃないって
   そう言いたい、でも。

   問題児が言ったところで何の説得力もないよね……。
   
いや、説得力なくても言うんだけどね!


  
(15) 2023/09/25(Mon) 1:53:59

【人】 エウロパ



   ココアのことを考えながらふと見上げると
   屋上に見える人影。>>4
   あ、ユスティだ!と確信するには
   それなりに距離があいているけれど
   私にはあの人影がユスティだとわかる。

  
(16) 2023/09/25(Mon) 1:55:01

【人】 エウロパ



   さて、ユスティにここから普通に声をかけても
   多分声は届かないんじゃないかな。

   そう思った私は、気付いてもらおうと
   手持ちの鞄からメモ帳を取り出して、一枚破る。

   せっかくだから、なにかメッセージでも書こうかな。
   さらさらとペンを走らせ、書きこみおわると
   掌にメモをのせる。

   ぱたり、ぱたりと折りたたまれていく紙は 
   数分もかからず、鳥の形になって。

  
(17) 2023/09/25(Mon) 1:55:59

【人】 エウロパ



   
   「目標地点はユスティのいる場所!

    
ほーら、とんでけー!」



  
(18) 2023/09/25(Mon) 1:56:27

【人】 エウロパ



   詠唱もせずに空に掲げれば、
   紙でできた鳥はまるで生きているかのように
   夕焼け空へと飛び立っていく。

   風に乗って飛んでいく鳥は
   無事に屋上までたどり着き。

   ユスティの肩に着地……させるはずだっただけど
   頭に乗っかっちゃった。
   
仕方ないね、これくらい誤差だよね。


   ユスティがこっちに気づいたなら
   満面の笑みを浮かべてピースサインをするけど
   どうだろう、こっち見てくれるのかな。**

  
(19) 2023/09/25(Mon) 1:56:59

【人】 ユスティ




   『偉大な人間は常に、凡人たちの
    激しい反発に遭遇してきている。』



   使い古された真理は時代を選ばない。>>13
   秘められた魔の力が全てを物語るこの世界

   努力など砂上に投げられた水滴一粒にしか値しない。
   天才の煌めきは雨となり降り注いでいく最中、
   ただ、ただ、無様に流されていくしかない。


(20) 2023/09/25(Mon) 19:38:26

【人】 ユスティ



   雨の象徴、エウロパ>>12
   水に溢れた衛星の名を冠するユスティの知人

   その姿は子鬼に金棒とも言うべきだろうか
   目を引く程のあまりにも強大な魔の力は
   小さな器から溢れることも珍しくない

   しかし扱い方を覚えれば彼女は鬼となり
   覚えきれなければ災害と化すだろう、
   それがユスティの彼女に対する評価


               つまりは劣等感の象徴だ。



(21) 2023/09/25(Mon) 19:39:19

【人】 ユスティ



   知ったような口を利くな。
   キミにボクの何が分かる。>>15


   与えられたものを行使するだけの矮小な器が
   水ひとつない銀の杯のことなど、
   何を理解した気になっているのか。

   その圧倒的な差を思い知る度に
   乾いた嫉妬心がじりじりと硫化を生む。



(22) 2023/09/25(Mon) 19:40:06

【人】 ユスティ



   項垂れていたユスティの頭に鳥がとまる。>>19
   着地地点に誤差があるなど知りもせず
   その目に映るのは高度な物体操作の実現という
   凡人には成しえない力技の成功事例のみが伝わる。

   こんな事が出来る人は、一人しかいない。>>18



(23) 2023/09/25(Mon) 19:48:16

【人】 ユスティ



     腹立たしい

     その何気ない行為ひとつ成し得るために
     血を吐く思いで身を裂く者もいるというのに



(24) 2023/09/25(Mon) 19:49:02

【人】 ユスティ



   「3秒でここまで上がってこれたらいいよ。」


(25) 2023/09/25(Mon) 19:49:31

【人】 ユスティ



   図々しい申し出には無理難題で返すのがいい。

   返事の記述と共に再び織り込まれた鳥は
   彼女の穏やかなそれとは異なり
   勢いよく直線上に飛び、地面へと刺さるだろう。*


(26) 2023/09/25(Mon) 19:51:18

【人】 エウロパ



  秀才の苦労を馬鹿にしたいわけじゃない。

  私にとっては何気ない行動一つ、
  ユスティの劣等感を煽るなんて。>>21

  
  
ただ、私は君と仲良くしたいだけなのに。
 

  
(27) 2023/09/25(Mon) 21:46:27

【人】 エウロパ



  その身が魔力で満たされていないのも。
  私は分かってる。>>22

  そうだね、だからこそ思うの。
  血のにじむような思いで努力しなければ
  本来成功なんてしないはずの魔法を
  成功させているんだ、ってこと。>>24

  魔力が強ければ力技で成功する魔法。
  それを丁寧に、機織りみたいに
  織り上げていく姿は私にはないものだ。 

  
(28) 2023/09/25(Mon) 21:47:07

【人】 エウロパ



  知ってるから、言ってるんだよ?

  知ったかぶりじゃないもん。
>>22

  君は昔から、努力を欠かさない。
  私は君以上に努力している人を知らない。
  ずっとそんな君を尊敬してるんだ。 

  
(29) 2023/09/25(Mon) 21:47:35

【人】 エウロパ



  地面へ突き刺さった鳥は、
  
もしかしていいよってことなんじゃない?

  だって、嫌なら無視すればいいもんね?
  そう思った私は上機嫌でその中身を確認する。>>25 

  
(30) 2023/09/25(Mon) 21:47:55

【人】 エウロパ



   「つまりいいってこと?!
    やったー!」


   
  なんて言ってる間に3秒経ってそうだけど
  これはノーカウントってことにしてほしいな。

  一歩二歩、と後ずさって少し距離を作ってから。 

  
(31) 2023/09/25(Mon) 21:48:23

【人】 エウロパ




  「―――――風よ、我を彼の地まで運べ
   瀑布を遡るかの如く
   天に向かって吹きすさべ…… 」



  
(32) 2023/09/25(Mon) 21:49:21

【人】 エウロパ


  
  詠唱しながら、助走をつけて。
  高く、飛び上がれば、巻き起こる上昇気流が
  私の身体を宙へと浮かす。

  でもこれだけじゃ、屋上の高さには届かない。

   
(33) 2023/09/25(Mon) 21:49:42

【人】 エウロパ




   「シルフィードの翼をこの身に宿せ
    巡りゆく因果の糸を手繰り寄せろ

    風を、空気を、我の望むままに。」
 


  
(34) 2023/09/25(Mon) 21:50:32

【人】 エウロパ



  まるで、そこに見えない階段でもあるかのように
  私は空中を駆け上がっていく。
  ふわり、ふわりと軽やかに。

  体に翼でもあるかのようなその動きは
  魔法じゃなければ成し得ない動き。 

  
(35) 2023/09/25(Mon) 21:50:50

【人】 エウロパ






                
一歩

  
(36) 2023/09/25(Mon) 21:52:15

【人】 エウロパ




         
二歩
 

                
  
(37) 2023/09/25(Mon) 21:52:41

【人】 エウロパ


   
三歩


         

                
  
(38) 2023/09/25(Mon) 21:54:15

【人】 エウロパ



   
屋上の柵の上にひらりと降り立ち。



  
(39) 2023/09/25(Mon) 21:54:42

【人】 エウロパ



   「ユスティー!みてた???

    ほら、これはもう、3秒ぴったりでしょ!

    異論は認めません!
    これで宿題手伝ってくれるんでしょ?」

  
(40) 2023/09/25(Mon) 21:55:34

【人】 エウロパ



  はしゃぎながらトン、と
  君の横へと降り立つ頃には
  巻き起こっていたはずの風は全てやんでいる。

  近くに植えてあった木の葉っぱが
  風のせいで地面に散乱しているのは
  見なかったことにしておこうかな……。 


  
(41) 2023/09/25(Mon) 21:56:02

【人】 エウロパ



   「あのねー、天文学の宿題を手伝ってほしくて!
    いいよね?そういう約束だもんね?

    ……あれ、そういえばユスティは
    ここで何してたの?
    なんか魔法使ってたみたいだけど。」


  微かに空気に残る魔力は君の物、そうでしょう?
  何してたんだろうって気になって聞いてみたけど
  答えてもらえたかな? *

  
(42) 2023/09/25(Mon) 21:56:45

【人】 ユスティ



   何が好きで手伝わなければいけないのか。
   勘弁して欲しいとユスティは苦虫を噛み潰す。

   無理難題に逆上してくれれば
   どれだけ楽なのだろうか

   残念ながらエウロパという少女は
   そう思い通りにはなってくれない>>31


(43) 2023/09/25(Mon) 23:23:41

【人】 ユスティ



   本来なら出来ないと決めつけるはずだ。
   だがしかし彼女は疑わない。

   やればできると、疑わない。

   挫折を知らないがために
   己の実力に蓋をしないからこその芸当

   無邪気な大声に心がささくれだつ様は
   ユスティ自身もまた自己嫌悪を覚えてしまう。


(44) 2023/09/25(Mon) 23:24:25

【人】 ユスティ




   「…………意地悪がすぎたかな。」


(45) 2023/09/25(Mon) 23:24:33

【人】 ユスティ



   どうせできるわけが無い。
   ユスティはその憶測を疑わない。

   エウロパが辿り着くことがないと踏み
   屋上を後にしようとその声に背を向ける。

   そもそも無言詠唱なんて普通じゃできない
   詠唱を完璧に唱えてこその魔法であると
   それこそがユスティのポリシーでもあった。


   何度も無言の芸当を見せられた側の彼には
   今更詠唱を行う姿など滑稽そのものだ。>>34

   再びため息をつくと扉に手をかけ、


(46) 2023/09/25(Mon) 23:25:18

【人】 ユスティ




     その刹那、歳星の姫が空を舞った



(47) 2023/09/25(Mon) 23:25:46

【人】 ユスティ




   突然の飛躍などないのだと
     突きつけるように空を踏みしめる。>>36>>37>>38


   それなのに凡人がようやく上り詰めた場所を
     まるで階段のように軽やかに飛び越える。>>39


    その光景はまるで女神が下界に降り立つよう。



(48) 2023/09/25(Mon) 23:27:02

【人】 ユスティ



     振り返ると彼女はもう、そこにいた。


(49) 2023/09/25(Mon) 23:28:01

【人】 ユスティ



   誰もが見惚れた姫の舞
   時間が止まったかのような錯覚さえ覚える光景は
   目に見える全てを魅了するだろう。


   しかしながら裏腹にユスティが感じるものは
   腸が焼け爛れたかのような嫉妬でしかなかった。



(50) 2023/09/25(Mon) 23:28:50

【人】 ユスティ



   「そんなに魔法の腕が立つのなら

        勉強だって一人で出来るんじゃないの?」


(51) 2023/09/25(Mon) 23:29:34

【人】 ユスティ



     風に晒された心が乾く。

     風が止まり傍へ降り立つ女神は
     今のユスティにとっては魂を削る死神に等しい。

     嫌味を吐き捨てると離れるように
     エウロパの三歩先を歩こうとして

     何をしていたのかと問われてしまえば
     一度だけ歩を止めて
     漆黒に淀んだ瞳で問いかけを返す。


(52) 2023/09/25(Mon) 23:30:26

【人】 ユスティ



   「ボクが何をしていたかなんて
    キミには分からないよ。

            ………分かられたくもない。」


(53) 2023/09/25(Mon) 23:30:51

【人】 ユスティ



   (ああ…不愉快だ。なにもかも。)



(54) 2023/09/25(Mon) 23:31:15

【人】 ユスティ



   とはいえ約束は約束だ。
   こんなくだらないイベントさっさと済ませよう

   妙な真面目ぶりを披露しながら
   ユスティの足はただ静かに図書館へ向かう。*


(55) 2023/09/25(Mon) 23:32:24

【人】 エウロパ



   本当に私の事が嫌いなら
   私が関わる隙さえ見せないはず。

   
無理難題を言うより、無視してしまえばいい。

   

   というか、条件を出してくれるってことは
   出来るって期待してくれてるってことだよね!>>43

  
(56) 2023/09/26(Tue) 1:22:29

【人】 エウロパ


   
   そこで出来ないって決めつけたくないのは
   挫折を知らないから?
   自身の実力を疑わないから…?

   
そうじゃ、ない。>>44


   諦めてしまって、
   君との繋がりが絶たれるのは嫌だから。


  
(57) 2023/09/26(Tue) 1:23:02

【人】 エウロパ



   普段から魔法の制御に難がある私が
   空を飛んで見せよう、なんて。

   失敗したら大怪我では済まないかもしれないのに?   
   私は私なりに、覚悟があるからやってるの。


  
(58) 2023/09/26(Tue) 1:23:27

【人】 エウロパ



   詠唱は……そうだね、
   普段サボってるのは否定しないかな。>>46

   ちゃんと覚えきれなくて
   かといって適当なことを言うと大惨事。
   だから、頭の中でイメージして
   無言のまま魔法を使ってしまうことが増えた。

   ……先生には悪い癖だって言われるし
   直さないといけないんだろう、とは思う。


  
(59) 2023/09/26(Tue) 1:23:48

【人】 エウロパ



   わかってる。
   制御の失敗の原因の一つは
   曖昧なイメージのまま使う
   無言詠唱のせいだってことくらい。 


          
それだけじゃ、ないけれど。


  
(60) 2023/09/26(Tue) 1:24:06

【人】 エウロパ



   空を翔るための詠唱。
   それは、授業で習ったものじゃない。
   空を飛んでみたいな、と思った私が
   図書館で何十冊何百冊と調べ、
   先人の知恵を組み合わせたもの。

   こんなことしてるから宿題が終わらないんだ。


  
(61) 2023/09/26(Tue) 1:24:23

【人】 エウロパ



   降り立ったと同時に、ユスティと目が合う。
   扉の方にいるってことは、
   こっちに来れたら、とか言ってたけど
   本当は迎えに来てくれるつもりだったのかな
   なんて、都合のいい想像がよぎる。

   
……違うんだ、ってすぐ突きつけられるんだけど。


  
(62) 2023/09/26(Tue) 1:24:53

【人】 エウロパ



   「
え、褒めてくれてるの?ありがとう!

    でもね、
    一人じゃできないから頼んでるんだよ?」

  
(63) 2023/09/26(Tue) 1:25:20

【人】 エウロパ



   距離を取られてしまうのは悲しい。
   あの時みたいに傍に居たいって
   そう思ってるのは私だけ?

   ……だったら、寂しいな。
   どうすれば、こっち向いてくれるんだろう。


   それこそ魔法じゃどうにもできないことで
   地面に少しの間、視線を落として。


  
(64) 2023/09/26(Tue) 1:25:50

【人】 エウロパ




   「分からないかどうかは
    聞いてみなきゃわかんないし


             
私は分かりたいの!」



 
(65) 2023/09/26(Tue) 1:26:18

【人】 エウロパ



   あのころとは違う、黒の混ざった瞳。
   あのころはもっと、楽しそうにみえたのに。

   私に手伝えることだったら
   喜んで手伝うのにな。

        今ならその力だってあると思ってる。


  
(66) 2023/09/26(Tue) 1:26:56

【人】 エウロパ



   君が真面目なのは知ってる。
   約束を反故にするはずないとも思ってるから
   ユスティの後ろをついていくんだ。
   
本当は並んで歩きたいのに。


   行き先が図書室だと分かれば
   やっぱり手伝ってくれるんだ、とわかって
   嬉しくなった。
   一緒に居たいだけだから
   本当は手伝ってくれなくたっていいんだ。

   
……手伝ってくれた方が助かるけど。

  
   
(67) 2023/09/26(Tue) 1:27:36

【人】 エウロパ

 

   そんなことを考えていると
   ガクン、と急に足に力が入らなくなって。

   前へと転びそうになって―――。
   縋るように前にいる君へ
   手をのばしてしまったけど
   巻き込んじゃったかな、どうだろう。


 
(68) 2023/09/26(Tue) 1:28:02

【人】 エウロパ



   
   きちんと魔力を制御できていれば
   本来ここまで疲弊することはない。
   魔力の少ない者が無理に魔法を使ったならともかく
   人より魔力の強い自覚はあるんだから。
   この程度じゃ本当は疲れるはずないんだ。

   なのに疲れてしまうってことは  
   何かが上手くいってないってこと。
   それが簡単に分かれば、苦労しないんだけど……。


   ……大成功に見えた魔法も
   実は穴だらけ、というわけ。


 
(69) 2023/09/26(Tue) 1:28:40

【人】 エウロパ


   
   「
ごめんね、ちょっと、……。


    おなかすいちゃった、のかな……。
    あ、でも宿題が先だよね!」


   ふらついてしまったことへの言い訳は
   多分かなり下手だったと思う。
   それでも、ここで離れたくない私は
   図書室へ行こうって、言うんだ。*

  
(70) 2023/09/26(Tue) 1:29:11

【人】 ユスティ




   分からない
   天才の考えることなど>>56>>57

   分かるはずだ。
   論理的な思考は秀才の十八番なのに。>>58



         見れば分かるはずだ。
         彼女の危険性も、彼女の覚悟も
         その覚悟がズレているのではないかと
         自分が言うべきことはそれだけなのに。



(71) 2023/09/26(Tue) 18:51:48

【人】 ユスティ



   分かりたくないのだ。

      凡人が「理解」など甚だ図々しいと
      本人が一番知っていることなのだから。



(72) 2023/09/26(Tue) 18:53:11

【人】 ユスティ



   想像を具現せよ。

   人々の空想や願いから
   魔法という概念は生まれる。


           誰もが初めそこに立つ。>>61
           そして当たり前の事を成し遂げる
           それが困難であると知るからこそ
           人は力を正しく使うための技を知る。


(73) 2023/09/26(Tue) 18:54:40

【人】 ユスティ




     天才に足りぬは技



              秀才に足りぬは力




(74) 2023/09/26(Tue) 18:56:23

【人】 ユスティ



        そこにないはずの差を感じる理由など……
(75) 2023/09/26(Tue) 18:57:03

【人】 ユスティ



   「一人で出来るような努力をしてから
      そういうことは言うべきなんだけどね。」>>63



(76) 2023/09/26(Tue) 18:57:37

【人】 ユスティ



   彼女の思惑を知ればそんなことも言うまい。>>67
   少し目を澄ませば分かるはずのことだろうと
   感情と身勝手な空想が全てを狂わせる。

   情緒とは力であり、力とは時に己さえ蝕む。>>69
   先人達の歴史から学ぶべきと知ってなお抗えない。
   全てが魔法使いにとって必要な性質だからだ。>>66


(77) 2023/09/26(Tue) 18:58:32

【人】 ユスティ



    「傲慢だ。
          いかにも天才キミらしい。」>>65


(78) 2023/09/26(Tue) 18:59:39

【人】 ユスティ



   微かに怒りが滲み声が震える。
   椅子から落ちたこともないだろうに
   地べたを這い蹲る者の何を知るのか

   天才に生まれた宿命に抗うことなど
   天才に憧れた男の前では火に油を注ぐだけ

   すると突然エウロパを吊るす糸が切れたように
   その身体がよろけて、ユスティへと手が伸びる。>>68


(79) 2023/09/26(Tue) 19:00:18

【人】 ユスティ



    「哀れだね。
          天才ともあろう人が。」


(80) 2023/09/26(Tue) 19:01:07

【人】 ユスティ



   とっさにエウロパの身体を支えながら
   ユスティは呆れた様子でため息をつく

   下手な言い訳をする理由もよく分からないが
   だとしてもっと上手く言って欲しい
   これではリアクションもしづらくて仕方ない。

   当のエウロパ本人は保健室に行くどころか
   図書室に行こうと頑なだ。

   その理由が宿題ではないことくらい分かる。
   と言ってもじゃあその理由はなんだと
   聞かれたところでそこまでは分からない。


(81) 2023/09/26(Tue) 19:01:49

【人】 ユスティ



   腹立たしい。
   まるで子供の相手でもしているようだ。

   なんの悪意もなく、含みもなく、
   自然のままに力を行使する。

   その結果どんなことが起こるか
   確証は得ずとも憶測はいくつか思い浮かぶ。
   いや、思い浮かべなければいけないはずだ。


            そしてそれをわざわざ
            天才になど教えてやる義理もない。



(82) 2023/09/26(Tue) 19:05:52

【人】 ユスティ



   「これで少しは気分も楽になるかい?」


(83) 2023/09/26(Tue) 19:08:38

【人】 ユスティ



   これは軽い応急処置にしかならないが
   これで何とかなったというのなら
   そのまま図書室へ行くとしよう。


         ただ今後不調を誤魔化そうものなら
         保健室に磔にでもしてやろう。*



(84) 2023/09/26(Tue) 19:11:32

【人】 エウロパ




   
「厳しいなぁ…その通りなんだけどね。」>>76



  
(85) 2023/09/27(Wed) 5:55:33

【人】 エウロパ



   努力してない?そうだね。

   私は足りないものを身に着けるための努力を
   怠っていると思う。


   
努力する気になれるはずがないでしょ?


  
(86) 2023/09/27(Wed) 5:56:28

【人】 エウロパ



   私一人が駆け上がっていったところで
   何の意味もないの。


   
ユスティと一緒に居たいから。

   私がここに入学した理由なんてそれだけなのに
   高名な魔法使いになりたいからじゃないのに。


   努力すればするほど、君から遠ざかってしまう。
   自分のもつ力を過小評価も過大評価もしない。


   
わかるよ、理屈ではなく感覚でわかる。


   
(87) 2023/09/27(Wed) 5:57:18

【人】 エウロパ



   
   
努力できないんじゃない。


   
その先に待つ未来が怖いからしない。



   
(88) 2023/09/27(Wed) 5:57:57

【人】 エウロパ




   大きな失敗をしてこの魔力を失ってしまえば
   楽なんじゃないかって思うくらいに―――。



  
(89) 2023/09/27(Wed) 6:00:06

【人】 エウロパ



   心は全てに影響する。
   魔法においても例外じゃない。 
 

   
(90) 2023/09/27(Wed) 6:00:25

【人】 エウロパ



   君の言葉から、声から
   微かに滲む怒りを感じ取ると
   目を見開いて、言葉に詰まる。

   天才じゃない、はきっと怒らせてしまう。
   天才であることに抗いたいとか
   天才が秀才を理解したいとかそんな話じゃないのに。


   
どうして、わかってもらえないんだろう。


   理解から遠い憧れの気持ちが
   ユスティの目を曇らせているとも知らない私は
   咄嗟になにかを言うことも出来ない。

  
(91) 2023/09/27(Wed) 6:01:38

【人】 エウロパ



   何も言えないままによろけてしまった私を
   君は支えてくれた。
   言葉は冷たく感じられたって
   優しい君のままなんだ。

   ……そう思っちゃ、ダメなのかな。

   ため息をつかれてごめんね、ってもう一度つぶやく。

  
(92) 2023/09/27(Wed) 6:02:26

【人】 エウロパ



   
   
こんなに疲れると思ってなかった。

   おかしいな、魔力を使い果たすほどの
   魔法じゃなかったはずなのにな。


   この身から溢れてしまう
   魔力の流れを止める術も身に着けず
   魔力の加減も出来ない魔法使いは
  
   教えてもらわない限り分からない。
   ……教えてもらっても。


   
その危険性を突きつけられるまで目を覚まさない。



  
(93) 2023/09/27(Wed) 6:03:29

【人】 エウロパ



   「そんなに傲慢、なのかな。」


   離れながら小さく言った言葉。
   遊んでほしい、って不安そうに言ったあの時と
   同じような声音で、口にしてしまった言葉。

   届かなかったはずはないと思うけれど。
   届かないふりをされてしまうなら
   今はそれ以上踏み込むことはできない。


  
(94) 2023/09/27(Wed) 6:07:02

【人】 エウロパ




   
天才が秀才を理解したいんじゃない。


   
私が君を理解したい、それだけなの。



  
(95) 2023/09/27(Wed) 6:07:48

【人】 エウロパ



   「ユスティはすごいね。
    なんか、さっきより楽になった!

    ありがとう、助けてくれて。」


 
(96) 2023/09/27(Wed) 6:08:12

【人】 エウロパ



   頬が熱いなと思いながら
   もう大丈夫、って微笑んで見せる。

        また同じように倒れそうになったら
        ユスティに助けてもらおう、なんて。
        言ったら怒られてしまうのかな。


  
(97) 2023/09/27(Wed) 6:08:37

【人】 エウロパ



   ユスティと図書室に到着する頃には
   すっかり普段通りの私に戻っていた。

  
   「実は授業中寝てて……

    ノートも見せてもらえたら
    助かるなー、嬉しいなー、なんて…」


   
(98) 2023/09/27(Wed) 6:09:17

【人】 エウロパ



   魔力の流れを制御できない弊害は
   日常生活からも垣間見えてしまう。
   不必要に魔力が溢れてしまうせいで
   疲れやすく、人より多く眠ってしまう。
   傍から見ればただの怠惰だから、
   魔力と関係があるとは疑われない。


  
(99) 2023/09/27(Wed) 6:09:47

【人】 エウロパ



   君が図々しいお願いを無視しなかった結果、
   宿題に取り掛かる所からじゃなくて
   ノートを写すところからはじまるわけだから
   君からしたら前途多難かもしれないね。

   
私、頼れる人があんまりいないんだ。

   手伝ってくれるってわかったら
   それはもう、とことん付き合ってもらうよ?

   分からない箇所は教えてーって都度質問したし
   結構手伝いは面倒だった、のかな、どうだろう。
   夕焼け空の色が変わって星空になる頃には
   ようやく、宿題も終わって。

  
(100) 2023/09/27(Wed) 6:10:43

【人】 エウロパ



   「……やっとおわった!
    ありがとう、これ実は明日までだったんだ。」


   宿題は前日の夜ぎりぎりになってやるのが
   当たり前、なんて生徒だったから
   今終わってることに実はちょっと感動してる。
   
……終わってるのが当たり前?そうだね……。


  
(101) 2023/09/27(Wed) 6:11:08

【人】 エウロパ



   「ねぇ、ユスティ。
    手伝ってもらっちゃったから
    何かお礼したいなー、何か欲しい物とか無い?
 
    それか、私に手伝えることなら
    私が何か手伝うとかでもいいよ!」
  
  
(102) 2023/09/27(Wed) 6:11:28

【人】 エウロパ


 
   「私にできることならなんでもするから。
    いつでも言ってほしいな!」



   図書室を出て、二人で歩きながら。
   お礼をしたくなった私は、軽々しく、
   WなんでもWなんて言葉を使ってしまうんだ。*

  
(103) 2023/09/27(Wed) 6:11:52

【人】 ユスティ



   努力の先に得られる対価
   そこに価値を感じなければ
   その過程は酷く虚しい。>>86>>87

   いくら正論で突き刺そうとも
   その心意気を変えることは難しいだろう。>>86>>88

   持つ者と持たざる者
   互いの心を知るためには
   言葉を交わす以外に道は無いのだと

   分かっていても出来ないのは
   ユスティもまた未熟な一人の人間であるからだ。


(104) 2023/09/27(Wed) 9:52:18

【人】 ユスティ



   虫唾が走る。


   何に対しての謝罪だというのか。>>92
   ただ魔力枯れを起こしてもたれかかった程度のこと
   本当ならそう他人の怒りを買うようなことでもない。

   エウロパはこちらの言うことを疑わないのか。
   そう思うことさえ、人間としての格の差を
   わざわざ見せつけられているようで。


(105) 2023/09/27(Wed) 9:53:05

【人】 ユスティ



     「次はもう助けないからね。」


(106) 2023/09/27(Wed) 9:58:08

【人】 ユスティ



   そう言っても結局助けることになるのは
            これで何回目のことやら。**



(107) 2023/09/27(Wed) 9:58:47

【人】 ユスティ



   時は代わって宿題の時間。
   楽しい楽しい図書室でデート。

              なんてことは有り得ない。


   授業中に寝てしまうということは
   必要な板書すら終わっていないということだ。>>100
   案の定エウロパの頼みは面の皮を更に厚くしている。

   覚えるための方法のひとつが板書であって
   板書すること自体に意味がある訳では無いのだが
   エウロパのあまりに酷すぎる現状に
   ユスティは正論で殴る気力すら奪われていた。>>98


(108) 2023/09/27(Wed) 10:00:03

【人】 ユスティ



   「あの…、この際細かいことは言わないけど
    せめて自分の名前の元になった木星のことくらい

            ちゃんと覚えておきなよ……。」


(109) 2023/09/27(Wed) 10:01:30

【人】 ユスティ



   面倒だったかと言われれば
   危うく過労で死にかけた程度だろう。

   幸い分からないところをそのままにせず
   教えれば素直に受け止め可愛げがあったから
   それが不幸中の幸いというべきか。

   軽く一、二時間で終わらせるつもりが
   想像以上に時間がかかってしまったせいで
   この地獄から開放されたのは
   ちょうど図書館の閉館が間近に迫った頃。>>101


(110) 2023/09/27(Wed) 10:02:05

【人】 ユスティ




        「…………もう二度と手伝いたくない。」

(111) 2023/09/27(Wed) 10:02:45

【人】 ユスティ



   喜ぶエウロパの横で静かにぼやく。
   ちなみに嫌味ではない。しっかりと本音だ。


   一大任務を終えて図書室を出ると
   校舎もすっかり人の気配がしなくなり、

   夕暮れに焼ける廊下を二人で歩いていると
   ふとエウロパがお礼などと口にする。
   ユスティにとってこれ程困る質問もそうはない。
   欲しい物は特にないし、手伝うと言っても
   彼女に手伝われること自体が
   ユスティからすれば自身の失敗そのものなのだ。


(112) 2023/09/27(Wed) 10:05:20

【人】 ユスティ



   「
はぁ…
……………考えとく。」


(113) 2023/09/27(Wed) 10:05:39

【人】 ユスティ



   どうせ要らないと言っても聞かないだろう。
   初めから断る選択肢など許されていない。

   返答に困ったユスティはため息混じりに
   保留という逃げの手段へと転じるしかなかった。*


(114) 2023/09/27(Wed) 10:06:14

【人】 エウロパ


   
   私たちが分かり合うには
   言葉を交わすことなのに。

   私の聞き方が悪いのか
   私の理解が足りないのか。

   言葉を交わそうとしても上手くいかない。
   君の心がわからない。
   わかりたいと思うのに。

           
わからせてほしいのに。


  
(115) 2023/09/27(Wed) 16:52:10

【人】 エウロパ



   
嫌われてないんだって思いたい。

   
でも、嫌われてるんだと思う。


   私の行動なんて全部迷惑かもしれない。
   
   本来なら怒りを買うかどうかじゃなくて
   君が今怒ってるというのなら謝らずにはいられない。
   ただ、それだけのことなんだ。


  
(116) 2023/09/27(Wed) 16:53:23

【人】 エウロパ


   
   「それ、何度も聞いたよ?

    ユスティは優しいよね、いつも。」


   
私は君のそういうところが好きなんだよ。

   微笑みながら君の言葉を流してしまう。
   もしまた、私が困ってたら
   助けてくれるはずだって、信じてるから。**

  
(117) 2023/09/27(Wed) 16:57:14

【人】 エウロパ


   ……ということがあって。
   私達は図書室にやってきた。

   私はユスティといられて楽しい。
   ……どうやら楽しいのは私だけらしいと
   ユスティの口調から伺えるけれど
   それはそれとして。
   頼みを遠慮するつもりはないんだ。

  
(118) 2023/09/27(Wed) 16:59:00

【人】 エウロパ



   「えっ、水星じゃなくて木星だったの?!」>>109

  
(119) 2023/09/27(Wed) 16:59:16

【人】 エウロパ



   自分の名前の元になった星すら怪しいなんて
   君からしたら信じられない姿かもしれないね。


  
(120) 2023/09/27(Wed) 16:59:29

【人】 エウロパ



   過労で死にかけた?
   
頭のいいユスティなら大丈夫でしょ!

   私にとってはそのくらいの感覚なもので。


   質問すれば教えてくれるし
   ノートも見せてもらったし
   ユスティは優しいね、って何度も
   教えてもらう度に口にして。
 
   時間がかかってしまったのは
   申し訳ないなって思ったけれど
   一緒に居られる時間が長くなって
   私としては願ったりかなったり。

   まあ、楽しい時間はすぐに終わってしまうんだけど。

  
(121) 2023/09/27(Wed) 17:00:13

【人】 エウロパ



   「えー、また手伝ってほしい!>>111

    ユスティの説明、
    すっごくわかりやすかったから!」


  
(122) 2023/09/27(Wed) 17:00:36

【人】 エウロパ



   心なしか、ユスティの声が
   疲れてるような気もするけど気の所為だよね!

   
   こうしてユスティに何かを教えてもらうのは
   小さい頃に戻ったみたいだな、なんて思う。

   二人で歩きながら口にしたお礼の話は
   ユスティを困らせてしまったみたい。

  
(123) 2023/09/27(Wed) 17:01:17

【人】 エウロパ


   
   「…………思いつかないの?
    本当に何でもいいのに。」


   勿論、君に断る選択肢なんてない。
   保留も本当は嫌だった。
   お礼しないまま時間が経って機会を失いそうで。


   だから、ユスティの返事に不服そうに
   唇を尖らせて、今聞きたい、と促すわけだけど。

  
(124) 2023/09/27(Wed) 17:01:46

【人】 エウロパ



   「………………。
    それとも、私が傍にいるの、嫌なの……?」


  
(125) 2023/09/27(Wed) 17:02:01

【人】 エウロパ



   ユスティの目の前に立って
   目を合わせようとする。

   これでも目を逸らされてしまうのかな。
   私、今度こそ引きたくはなかったんだけど。
 
   
…………ぐぅ、と私のお腹が鳴ってしまい。


  
(126) 2023/09/27(Wed) 17:02:25

【人】 エウロパ



   
「うぅ……。どうしてこんな時に…………。」



   困ったような顔をして目を逸らす。
   宿題も頑張ったし居残りはしていたし。
   そうじゃなくたって結構遅くなっちゃったから
   別に変ではないんだけどタイミングが悪い。

   はぁ……とため息をついてしまうのだった。*

   
(127) 2023/09/27(Wed) 17:02:52

【人】 ユスティ



     「キミ……水のある衛星は
          全部水星の群だと思ってない?」


(128) 2023/09/27(Wed) 20:25:22

【人】 ユスティ



   ユスティが言葉を失ったのは想像に難くない。
   自分のルーツくらい知っておこうとは思わないのか
   ありのまま我が道を生きる天才の感性は
   自らの常識ではやはり語れない。

   天才とは極端に興味の矛先が偏るものだと
   誰かが言っていたのだが
   エウロパにもその片鱗が見えた瞬間だった。


   思わず眉間を指で押えながら
   魔法でエウロパの持つ参考書のページを捲る。

   ページは木星群にある衛星の内容が書かれた
   場所でぴたりと止まりユスティは解説を挟む。


(129) 2023/09/27(Wed) 20:25:48

【人】 ユスティ



   「エウロパという衛星は表面が氷になっていて
    その奥にはたくさんの水があるとされるけど

    最近では生命が生き残れるだけの
    環境があるとも言われているんだ。

    遠い将来エウロパに人が移住する
    そんなことも有り得るかもしれないね。」


(130) 2023/09/27(Wed) 20:26:44

【人】 ユスティ



   試験と関係あるかも分からない
   雑学のようなものだが
   興味を引けて本人が自分で調べる気になればいい。

   後はエウロパのやる気次第だ。



   それはそれとして
   優しさにも代償があることを
   彼女は一度知るべきではないだろうか。>>121>>122



   いや、知ってるからこそのお礼なのか
   聞いてみたい反面あまり深堀もしたくない。


(131) 2023/09/27(Wed) 20:27:29

【人】 ユスティ



     ただ、それも許してはくれなさそうだ。



(132) 2023/09/27(Wed) 20:28:23

【人】 ユスティ



   「そもそも、人に頼らずして
    成し遂げるからこその成功でしょ。

    日頃やろうとしていることなのに
    キミに手伝われてたら意味が無いんだよ。」



(133) 2023/09/27(Wed) 20:29:24

【人】 ユスティ



   何もおかしなことは言っていないはず。
   だがそれで彼女を納得させられた、
   というわけでもなさそうだ。

   むしろ行くなと前に立ち塞がれるように
   物理的な逃げ場まで塞がれてしまう。


(134) 2023/09/27(Wed) 20:30:44

【人】 ユスティ




       「いや、そういうわけじゃ………………」


(135) 2023/09/27(Wed) 20:31:19

【人】 ユスティ




     それは助け舟と呼ぶには小さいけれど。
               ユスティは迷わず乗る。

(136) 2023/09/27(Wed) 20:32:37

【人】 ユスティ



   「相変わらず燃費が悪いね。
      何か食べていったらいいんじゃない?」


   そこは魔力との関係も否定できないから
   だらしないなどと言う気もなく。

   ため息をつくエウロパは流石に不憫で
   ついつい買い食いの提案をしてしまう。

   後は自分だけそそくさと帰ろうと思うのだが
   それを果たしてエウロパが許してくれるかどうか。*



(137) 2023/09/27(Wed) 20:34:28

【人】 エウロパ




   
「え、だって水星って名前だし……。」



  
(138) 2023/09/28(Thu) 21:49:54

【人】 エウロパ



   この返答では
   水星の群だと思ってました!と白状したようなもの。
   
   私の興味の矛先は君に向いている。
   勉強は正直あまり興味ない……っていうと
   君にも先生にも怒られてしまいそう。

   
   魔法で捲られるページの方へと視線を移す。
   まるでどこに何が書いてあるか覚えてるみたい。

   木製群にある衛星のページを覗き込んでいると
   ユスティが解説してくれた。

   
(139) 2023/09/28(Thu) 21:50:38

【人】 エウロパ


   
   
「……氷、かぁ。」



   何故か頭によぎるのは凍り付いた川。
   ちらつく白い雪。そして凍り付いた―――。


   
ふるふると首を振って、過去から目を逸らす。


  
(140) 2023/09/28(Thu) 21:51:03

【人】 エウロパ



   「この星以外にも、
    住めるかもしれない場所があるんだ!
    
    でも、既に誰かいるかもしれないよ?」

  
(141) 2023/09/28(Thu) 21:51:28

【人】 エウロパ



   試験には関係ないのかもしれないけれど。
   遠い将来に人が住めるかもしれないって話は
   私の興味を引くに十分で。
   
   ただ、それはユスティから聞くのが楽しいって。
   そういう気持ちも強いから
   勉強の方に身が入るかと言えば……
どうだろうね。



   優しさにも代償がある……というより
   貰った優しさになにかを返したい。
   私はそう考えてるんだ。

   
貰ってばっかりじゃ嫌なんだ。


  
(142) 2023/09/28(Thu) 21:52:20

【人】 エウロパ




   「……そういうものなの?
    だって、共同で何かを作る、とかあるでしょ?

    何かが足りないなら誰かに借りるのは 
    別に悪いことじゃないと思うんだけど……。」

 
(143) 2023/09/28(Thu) 21:52:42

【人】 エウロパ



   一人で成し遂げなければ成功じゃない、のかな。
   意味がない、のかな。

   
……そもそも、成功ってそんなに大事なのかな。


 
(144) 2023/09/28(Thu) 21:53:07

【人】 エウロパ



   多分、ユスティはおかしくないんだろうけれど
   私にはよく、分からなくて。


  
(145) 2023/09/28(Thu) 21:53:20

【人】 エウロパ



   私の傍に居たくないのかなって。
   私が、嫌われてるのかもって少し思ってた。

   でも、そういうわけじゃないのなら。>>135
   ……どうして前みたいに話せないんだろう。


 
(146) 2023/09/28(Thu) 21:53:37

【人】 エウロパ




   「
……すぐお腹すくんだ、私。

    なにか……んーー、じゃあユスティも一緒に!
    ほら、ユスティもお腹空いてるでしょ?
    もうこんな時間だし!」

 
(147) 2023/09/28(Thu) 21:53:59

【人】 エウロパ



   こんな時間まで付き合わせたのは棚に上げて
   ユスティの手を取ると
   行こう?って笑いかけるんだ。

   
え、自分だけ帰る?
帰らせないよ???



   「私はねー、ホットドッグ食べたいなー
    チーズいっぱいかかったやつ!

    ユスティは?何食べるの?」


   繋ごうとした手は
   ユスティが離さないならそのままにして。

   購買の方へと歩いていく。
   星空を見上げながら、ふと足を止める。

  
(148) 2023/09/28(Thu) 21:54:39

【人】 エウロパ



   「ユスティはさ……。

    他の女の子が今日の私みたいに
    倒れそうになったら……同じこと、する?」


  
(149) 2023/09/28(Thu) 21:55:09

【人】 エウロパ



   君は優しいから、放ってはおかないと思って。
   でも……もし今日と同じこと他の子にもするなら
   やっぱりあの時のはただの応急処置で。

   意識してたの、私だけってことになっちゃう。
   それは……いやだな…………。


   
   他の子に同じように接してる君は見たくない。
   考えると、もやもやする。


  
(150) 2023/09/28(Thu) 21:55:42

【人】 エウロパ



   返事は返ってきたかな。
   どっちにしても、また歩き出して。


   「……あ、ホットドッグ売り切れ?!?!
    えーーー……どうしよう……。

    
ツイてないな……。」



   購買に着くなりお目当ての物がないとわかると
   がっくりと肩を落として
   そのままうずくまってしまうのだった。*

 
(151) 2023/09/28(Thu) 21:56:19
村の設定が変更されました。

【人】 ユスティ



   「バ………。ゴホン。素直すぎるのも考えものだね。」

(152) 2023/09/29(Fri) 23:34:55

【人】 ユスティ



   危うく馬鹿と言いかけた。
   何とか耐えた自分を褒めてやりたいと
   ユスティは気を取り直す。

   氷になにか嫌な思い出でもあるのか。
   エウロパの表情は暗い。

   昔、森の中だけ季節が変わった
   あの時のこととなにか関係があるのだろうか。
   考えたところで仕方がないのだが。


   この勉学と魔法の技については
   エウロパという少女はまだまだ謎が深い。

   きっと未熟さの中に眠る信念のような芯を
   ユスティが知ろうともしないせいだ。


(153) 2023/09/29(Fri) 23:35:12

【人】 ユスティ



   「どうかな。

    いるかもしれないし、いないかもしれない。
    でもボクたちが真実に辿り着けるのはまだ先だ。」


(154) 2023/09/29(Fri) 23:35:27

【人】 ユスティ



   勉強範囲ではない話に食いつかれても困るのだが、
   興味を否定する行為は学びにおいては毒になる。

   本当なら歳が十になる頃には看破すべき
   ステージのはずなのだが、
   まだ到達していないのならば合わせる他ない。

   誰かの力を借りるの悪いことじゃない、などと
   救われない正論を言われて顔を顰めるのは
   エウロパのステージの話とはまた別のことだが。



(155) 2023/09/29(Fri) 23:38:14

【人】 ユスティ



   「仮に力を借りたり、助け合ったり
    そうやって大きな物事を達成する時には

    携わる人同士の力がある程度
    釣り合っていなければダメなんだ。」


(156) 2023/09/29(Fri) 23:38:35

【人】 ユスティ



   「例えばキミの力を借りて
    ボクがなにか難しい術を成功させたとしよう。

    キミとボクが同じくらいの力なら
    協力し合ったと誰が見てもわかる。

    でも今キミの力を借りるボクをみたら


          皆はボクの事をなんて言うと思う?」


(157) 2023/09/29(Fri) 23:39:36

【人】 ユスティ



   「正解はね。

         虎の威を借る狐、だ。」


(158) 2023/09/29(Fri) 23:40:14

【人】 ユスティ



     「虎のキミには分からないだろうけどね。」


(159) 2023/09/29(Fri) 23:42:03

【人】 ユスティ



   ユスティはそれ以上を語らず暗に告げる。

   エウロパとの間で協力など成立しない。
   だからキミにしてもらうことなど何も無いのだと。

   決して相入れることなどないし
   狐は狐としかつるめない。

   その国境を改めて示しながら
   どこか侘しげにため息をついた。


(160) 2023/09/29(Fri) 23:42:57

【人】 ユスティ



   突如としてユスティに電流走る。
   やはりエウロパはただで帰す気がないらしい。

   本当は自室で簡素な食事でも作ろうと
   だからエウロパの誘いには乗れないと
   そう言おうとして口篭った。

   「私もユスティのご飯食べたい!」
   と言われる未来しか見えない。

   それだけは本当に勘弁して欲しい。


   どうにかして断る理由を考えていると
   エウロパに手を取られた。

   男なら嬉しいはずの女の子からお誘い。
   だが当の本人にとってはまるで手錠だ。


(161) 2023/09/29(Fri) 23:43:59

【人】 ユスティ



    「……分かったから手を離してくれ。

           ボクはコロッケでも食べとくよ。」



(162) 2023/09/29(Fri) 23:44:37

【人】 ユスティ



   魔力の分流は肌同士の接触により起きる。
   触れれば触れるほど分流の地点は増え
   より多量の魔力を伝達できるものだ。

   しかしエウロパの量は異常であり
   手を繋ぐだけでも支障が出かねない。

   ごめんと謝りながら手を離しながら
   どうして自分が謝っているのかと戸惑っていると
   何を想ったのか、エウロパの足が止まった。



(163) 2023/09/29(Fri) 23:45:32

【人】 ユスティ



   「あそこまでするのはキミだけだが?」


(164) 2023/09/29(Fri) 23:46:04

【人】 ユスティ



   あそこまでしないと魔力を抑えられない人など
   ユスティの中ではエウロパを置いて他にはいない。



(165) 2023/09/29(Fri) 23:46:34

【人】 ユスティ



   静かに答える。しかしユスティには分からなかった。
   その質問はエウロパにとってなんの意図があるのか。
   自分が仮に他の人に同じことをしたとしても
   それが処置でエウロパも同じやり方を知っていたら
   きっと同じことをするのではないか。

   そこになんの差があるというのだろうか。


(166) 2023/09/29(Fri) 23:47:14

【人】 ユスティ



   そんな風に立ち止まったせいか
   それとたまたまか。

   お目当てのホットドックの看板には
   SOLD OUTの文字が書かれていた。


   「時間も遅かったからね。
    代わりのものでも食べればいいんじゃない?
    今日世界が終わるわけじゃないんだから。」


   しれっと最後の一個だったコロッケを買うと
   肩を落とすどころか蹲るエウロパが
   なぜかとても哀れに見えてしまった。

   まるでこの世の終わりみたいな空気を発して
   それを横目に一人だけ食べるということもできず。



(167) 2023/09/29(Fri) 23:49:51

【人】 ユスティ



      「………たべる?」


(168) 2023/09/29(Fri) 23:50:15

【人】 ユスティ



   カニクリームたっぷりのコロッケを半分に割り、
   気持ち大きい方をエウロパへと差し出した。

  
(169) 2023/09/29(Fri) 23:50:42
 




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