［レオくんの嬉しそうな顔が見えた！

　……かと思えば突然引かれて、
　片腕のない身体は容易にバランスを欠き
　引かれる方向にぐらりと倒れ込んだ。］



　　　うわわ……っ



［締め付けられて窮屈だけど
　あったかくて……、
　だいすきなにおいだけがする。>>3:?13］
　

　


　　　はわわわわ……っ



［レオくんに抱き締められてる……って
　気付いてしまえば、
　耳まで真っ赤に染まっていった。

　……、BのLな小説を書くのが趣味だ。

　紙の上では
　ハグもハグより先のことも
　キャラ同士で散々表現してきたけれど

　レオくんのことになると、途端にダメだ。］
　

　
［心臓が働きすぎて、しあわせすぎて、
　このまま死んじゃうんじゃないかなぁ？

　レオくんだけを残していくことは
　もうぜ……ったいにしないけど。］



　　　（あ……レオくんも、一緒だ……）



［どくんどくん。
　重なりあう胸から音が伝わってくる。

　レオくんの鼓動も僕と同じくらい速いって
　気付いて、嬉しくなってしまった。

　僕だけじゃないんだね。
　レオくん、愛おしいよ……。］
　

　
［それから、もうひとつ気づく。
　薄い腹になにか硬いものが当たってる。>>3:?14］



　　　ん……っ？　……あ、……



［一拍置いて、レオくんの……、
　もうひとりのレオくんだと気づいて。

　ますます頬の赤みが増してしまう。

　……ずっと、気になってはいたんだ。
　最初に会った時に反応していたのを知ってるから
　お見舞いで血を捧げていて平気なのかなって……。］
　

　
［レオくんが興奮してくれてたって認識した途端
　うなじの辺りからジン……と
　気持ちのいい痺れが拡がった。

　こぼす息が熱を帯びているのがわかる。

　――欲情、してしまった。］



　　　……は、ぁ……、レオくん……



［特別なひとの名を呼ぶ声は
　腕の中で思いの外切なげに響いた。

　僕、どうしたら良いんだろう……。

　僕の愚息も硬さを得て
　彼の太腿に存在を主張していた。*］
　

　
［狂喜、っていうのは
　きっと今の俺のような状態を言うんだろう。

　普通でなんか居られる筈がない。


　驚きなのか、戸惑いなのかは
　分からないけど
　かわいらしい声を上げるタロを>>?0>>?1
　慮ることもなく、
　腕の傷の手当てすらせずに　
　キツく抱きしめた。

　内側に彼の
　熱を、鼓動を、息遣いを感じながら
　惚けた脳で名前を呼び
　ただひたすら喜びに浸たる。］
　

　
［だって、そうだろう？

　俺にとってタロの存在はもう
　水とか空気とかと同じ
　無いと生きていけないものになっていて、

　好き、とか
　愛だとか恋だとか
　そういう次元を疾うに超えてる。


　死の淵ぎりぎりで
　生きることを赦された。

　彼の肯定には>>3:?11
　そのくらい大きな意味があったのだから。］
　

　


　　　　っ、……ん、？　…ぁ、あ…！



［耳元で響いた声が
　いつになく艶っぽくて、

　はっ、として腕の力を弛めると
　皮膚を透かした
　柔らかな赤が目に入った。>>?4

　出会った日にも
　こんな風に染まっていたのを思い出し
　そして、
　エレクトしまくってる自身を
　押し付けていることに漸く気づいた。］
　

　
［タロに嫌われたら、おしまいだ。
　世界の終わり。
　その先にはしかない。］
　

　
［やらかした、と
　胸中で頭を抱えかけて、
　けど…、もうひとつの存在も感じ取る。>>?4

　思わず、俯いて
　下を確認してしまった。
　己と同じように主張してくれている、モノがある。］



　　　‥‥‥タ、ロ　？



［えと、つまりは
　どういうことだろうか。

　自分の血に
　欲情する男だって分かってて
　それでも好いてくれてるってこと…？

　いや、いやいや。
　もしかしたら無意識のまま
　刺激してしまってたとかもあり得るし。
　都合の良い思い込みをしてしまうよりも…、］
　

　


　　　あのさ、　これは…　その、

　　　お前に欲情してるの　分かってて、　それでも…　？


　　　……っていうか
　　　もし、仮に　そうじゃなくても

　　　一緒に暮らすっていうのだけは
　　　どうしても、撤回して欲しくねーんだけど、

　　　もう、俺────‥‥



［声が掠れる。
　喉と唇が渇く感じがして
　さっきとは別な意味で、舌で表面をなぞってから
　もうひとこと、だけ。］
　

　


　　　タロなしじゃ、無理。　生きていけない。



［こんなこと言われたら
　優しい彼は、断れないんじゃないかって
　分かってて告げた。

　ズルいのは、百も承知だ。
　姑息だろうが、卑怯だろうが
　手放せないものは手放せないんだ。何が何でも。］*