[最初、勝負はほぼ互角に見えた。
>>291>>294 だが、突如として３体が合体し、
現れた紅晶将騎に、月の巫女は愕然とした。]



　っ　なん、だと……

　

[溶岩魔神が。あの溶岩魔神が押されている。
そして振り上げられた、紅晶将騎の長鉾。

圧倒的な質量が月の使徒へと迫り、
咄嗟に彼女は溶岩魔神に防御させる。

――――だが、防ぎきれない。]

[凄まじい衝撃と爆音。]


　――――――――……


[………煙が晴れた時には、
先代躯体は、頭部を残して四散していた。

少し遅れて、カラン、カツン――――と。
地面に、銀のカプセル状の何かが落下する。]

[光は消えていく。

消えて、消えて]

　………


　……………損傷率、98％……



　　　　嗚呼、情けない……　完敗だ。

[もはや、この損傷を修復するのは不可能。

どうやら、自分は「ここまで」らしい。
もう旧型の躯体に、動く力は残されていない。

己はヒトの持つ有限の命に価値を見出したが、
……嗚呼、死とはこんなにも恐ろしいのか。]

[電源が、切れて。]

　……………、ぁ


　………せめ、て　　あれを、彼女に……

[もう、伸ばす腕は砕けてしまったけれど。
霞み濁ったその目で、懸命に預かり物を探す。

最期の力を回し、《管理者》の捜し人を。
「不死鳥の少女」を探し出そうと。]

　……ス　キャン、　カイ始。


　解　析中…

　・析中……

　解セキ　中………


　　　　　　　　　……。

[―――――――――――――――――静寂]

　。各目標座標、特定完了。
　カプセル、中間地点に緊急射出。


　　　　　　　　　　　　　　[バシュッ…]


[次の瞬間、地面に転がり落ちたカプセルが
蒼い光を纏って、空の彼方へ飛んで行く。




だが、それでも、最後にはかならず、
《管理者》の求める正しき主へと届くと信じて。]

[後には何も残らない。

あれほど巨大だったステージも。
数多の星屑も。
スピカという電子《虚構》がいた事実も、すべて。
跡形も残らず、消え去った。]

　

　損傷率…… 99.3％
　
　……99.7％……


　全機能《イシ》停止まで、５…、４…、３…、２…、　…

　



　　　　[　月長石《ﾑｰﾝｽﾄｰﾝ》――――完全沈黙** ]



.

［煌めき消える星を見ながら。］

天使≪俺≫から見ればこの世界の全てのモンはこの世界で完結してる。
石だろうが虫だろうが人だろうが全部同じだ。

生物も無生物もそこに存在≪い≫る為には何かを犠牲にしてんだ。

でもな、それは運命≪さだめ≫られてはいないんだぜ。
自分で運命≪覚悟≫を決めるんだ。