【人】 中隊長 アーサー[軍隊は実にシンプルな世界をしていた。 実力のある者はある程度まで上に上がれるが、 それ以上へはトンと道を阻まれるというシステム。 そもそもに 末端の者は通常何も考えていないし、 考えていたとしてまずは剣を揮う事しか許されない。 そういう人間しか求められない。 それ以上の事を考える奴は まず参画する場所から違う。 そしてその血を選ばれるのが通常であって。 余所者が入り込む隙など殆ど用意されてはいない。] (117) 2021/04/18(Sun) 17:18:47 |
【人】 中隊長 アーサー[それは何処の国でも変わらず。 純粋な力や知恵だけ集めた上層機関は 必ず何処かで裏切りと暗躍を生み、 内側から瓦解の一途を見せるものなのだ。 そうならないで済んだ国があると云うのなら 余程平和に恵まれた環境下での成立なのだろう。 狭い領土、競り合う隣国、個々人で武を揮う 必要の無い様な、そんな平和な… ―― ] (118) 2021/04/18(Sun) 17:19:05 |
【人】 中隊長 アーサー[そんな舞台で此処まで上り詰められたのは 確かに感心されるような出来事では あるのだろう。 関心、とも云うか。 此処までが頭打ちだったではあろうが。 以前までなら ] [一つ。 赤を湛えたグラスを傾け回して、] (119) 2021/04/18(Sun) 17:21:04 |
【人】 中隊長 アーサー[代金を多めに支払い店を出る。 外に出れば、陽が多少は傾いたのか 建物や木陰の道を多く創り始めていた。 今日は休日なのか、と聞かれたが 副官やその補佐に訓練の命令系統を任せ 王宮や街へ足を運ぶのは以前から良くやる事だった。 国の揺れる機は大概掴めているし、 諸外国からの侵攻も、数年前に勝利を収めたきり ここ最近は大人しくなってはいるので 軍が大きく動く事も薄い。 郊外の野盗を討つや市内外の騒動の鎮静、 異民族の鎮圧や反国組織の排除なりの 任務は儘ある事だが、それらは主に 小隊単位で動く様なもので。 …まあ今の時世は、 突発的な出撃や直属以外からの命で 雑兵の様に駆り出される事もあるのだが。] (142) 2021/04/18(Sun) 22:30:59 |
【人】 中隊長 アーサー[兎角、 今の治世であれば多少なりとも 自由の時間を得る事が可能な身の上ではあったのだ。 陽の傾く前には王宮内の自身の庁舎に戻ったが、 変わらず兵達は訓練を熱心に続け 甲斐甲斐しく。 副官らも慣れた素振りで報告に訪れ、 ひと時変わりの無い事を伝えると また兵達の下へと戻っていくのだった。 簿を記し書類を纏め、 上官への報告を用意し終われば外を見遣る。 朱と瑠璃とが境目を溶かして共存するその色に 時刻を知り、椅子に深く背凭れた。] (143) 2021/04/18(Sun) 22:31:18 |
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