「……どれだけ恨み買ったんです？」

思った以上に偏ってる投票を見て、思わずぽつり。

処刑室へ着けば、開口一発。



聞けばじわりと楽しくなる言葉を一つ。
でもまだ歌わない。

リクエストがあれば聞くつもりなのだ。
能力的なものでも、単に選曲としても。

「たくさん生える……人間以外に効果は出せる気がしないですね……」

植物の生育促進は専門外だ。
田植え歌リクエストされてたら歌ってたかも。

前置きして、歌い始める。田植え歌ではないが、収穫祭などで歌われる曲だ。
これを聞けば、テンションが上がる。高揚と楽しさのいいとこ取り。

レヴァティが元気になれば、恐らくいっぱい生えるだろうし。

歌う、歌う、歌っている間はずっと能力を声に流し続けている。
だから脳の働きは鈍く、全体を見てはいるのに反応はしきれない。運動神経も、よくはない。

ばら撒かれたものから棘が伸びるのも、それが自身の右足を刺し貫くのも、痛みを感じてから気がついた。

「」

ほんの一瞬の歌の途切れ。途切れた合間の笑い声。
歌を再開しながら、身体をずらして棘を引き抜く。
そして右足を上げて、左足を軸にして

この血が付着すれば、歌を上回るテンションの高まりを感じるかもしれない。

血を振り撒いた後は、変わらず歌い続けている。
今一番届けたい人に、それが届かなかったとしても。

歌うとき、男は全力だ。
だから、被弾したのが右足で良かったなんてことはまるでない。
身体を支える脚を負傷していることで、身体は時に揺らぎ、傷が乾くことはない。

足元に血溜まりが出来ていく。
それにも構わず、歌い続けている。

爆音がし、爆風荒れ狂い、倒れるものも遠巻きにしているものも見えた。
自分はと言えば、そんな中で歌う理由も無くなって、この無礼講が始まって初めて途中で歌を途切れさせた。

爆発から遠くはあったが、足はふらつく。
ただ視線だけはずっと今日の被処刑者へ。

「」

出ない声を震わせて笑いながら。

>>40　メレフ様
「」

貴方の、鎮圧という言葉に反応した。
声が届くかどうかはわからない。何しろ、ほぼ出ていないようなものなので。

「」

もし聞こえたなら、邪魔をさせたくない様子が窺えるかもしれない。

「」

鎮圧などせずとも。
メレフがどんな気持ちで自分を見ていたかなんて分かるわけもなく、もう動かないレヴァティに視線を向け直した。

同時に、自分の作った血溜まりにぺしゃりと崩れ落ちた。
いつもの疲れと、貧血だ。

「」

誰にも聞こえないかもしれない声なき声。
疲れているなぁ、痛いなぁ、とは感じているのだが。

「」

右太腿を貫かれ、傷からまだ血を垂れ流しながら。
それでも、自分が重傷か否かの判別がついていない。

>>+61　バラニ様
「」
「」

診てくれるらしい貴方に、まずは礼を。
そして、燃えるのも先に告げられればさして驚きもせず、幾らでもと言った通り笑みを絶やすこともなく治療を受けた。

>>+64　バラニ様
「」

消えるまでしっかりとそこを見つめ、もう一度礼を表すかのように頭を下げ。

「」

言いながらスッ、と立ち上がろうとしてゆっくりの動作に変えた。
びちゃ、と自分の血を踏んでゆっくり歩いて処刑室を出るだろう。

ちなみに、この血に能力は乗っていない。
片付けの際も安心だ。

「……？パン？パンですね、チョコレートの……」

マンハッタンと銘打たれた菓子パンをしげしげ眺めた。
パンは好きなので、デニッシュもマンハッタンも食べるしグレープジュースもよい。
嬉しい。

「……なんです？これ？」

でっかい胡桃みたいなものが見えたので。
なんだろうあれ。

追いかけっこは見てないので、何してんのにはならなかった。

>>+91　ミズガネさん
「あっ……なるほど、これ中身レヴァティさんなんですね」

殻の部分をちょっと撫でた。可哀想に。

これは仕方なくロビーまでウェディングケーキを運んできた男。
ガロガロガロガロ……（ワゴンを押す音）

皆でどうぞ。ちなみにホワイト。

「ありがとうございます……ありがとうございます……助かります……」

なんだかんだ食べてくれる人達にお礼。
表情は凄く悲痛。まさか出しちゃうなんて思わなかったんだ……。