人狼物語 三日月国


181 忘却の前奏曲、消失の1ページ

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【人】 惜別ハツナ



[ 誰にも頼れない太陽の
  声にならない悲鳴は、君には届かない。 ]**


  
(79) 2022/10/27(Thu) 14:46:35

【人】 惜別ハツナ


***


[ 病院を後にした私は、
  一度、自分の家に戻った。

  流石に心配だったのか、なんなのか。
  仕事でいないはずのお母さんが家にいた。
  怪我はないから、大丈夫だから。
  それだけ言って、私は横をすり抜けようとする。 ]


   「……これ、届けてもらったから。
    だめよ、無理したら。」



[ そう言って差し出されたのは、
  あの時落とした鞄。>>0:206
  お金とかスマホとかが入ってなかったからか
  中身は盗られたりしなかったみたい。
  
君との思い出が綴られた交換日記もある。 ]


  
(80) 2022/10/27(Thu) 20:43:53

【人】 惜別ハツナ




    
……うるさい、あなたには関係ないでしょ。



  
(81) 2022/10/27(Thu) 20:44:12

【人】 惜別ハツナ



[ 鞄は受け取っても、心配の声は受け取らない。

  こんな時だけ心配されても
  信じられるわけ、ないでしょ。
  ひったくるように取った鞄を持って
  私は一度自分の部屋へといった。


  本当は私もすこし休むべきなのかもしれないけど
  君がひとりで待ってるから。休むわけにはいかない。

  でも、ここに戻ってきたからには、
  私はどうしても綴っておきたいことがあって。 ]


  
(82) 2022/10/27(Thu) 20:45:49

【人】 惜別ハツナ



[ 
交換日記は君に見せてみた方がいいのかな。

  迷ったけれど、ここに置いていくより
  持っていたかったから、また鞄にしまって。
  私は、汚れてしまった服を着替えて。
  髪を結い直してから、
  さっき受け取った鞄を手に家をでた。 ]

  
(83) 2022/10/27(Thu) 20:48:30

【人】 惜別ハツナ



[ その後の私はそう……
  君の家に、必要なものを取りに行ったんだよ。
  着替えとか、タオルとか……要るよね?
  いくら何度も来てるからって、
  関係ないものまで見ちゃいけないと思って
  出来るだけ、余計なものは見ないように。

  なんて、私が見るのに耐えられなかっただけ。
  余計なものまで見たら、
  君とここで過ごした時間を思い出して
  また、泣いてしまいそうで。 ]


  
(84) 2022/10/27(Thu) 20:48:58

【人】 惜別ハツナ



[ そうして、君の元へと荷物を届けて。
  ついでに、ささやかなお見舞いの品を君に渡すんだ。
  お見舞いっていっても
  君の好きなチョコレートと
  遠足のあの日にも一緒に食べたチョコボール。
  それだけ。本当はお花とかの方が
  いいんだろうけれど……。

  売店で見かけて、買いたくなったんだ。
  君が要らないなら私が食べればいいし。 ]

  
(85) 2022/10/27(Thu) 20:51:11

【人】 惜別ハツナ



[ 他人の私が色々する姿を見て
  君はどんなことを思ってたんだろう。
  それは言われない限りわからなかったけど…

  どんなことを思われてても、
  私はやめるつもり、なかったから。

  君の元へと通うのが
  私の新しい日課になるんだ。

  学校には行っていたよ。
  君の分のプリントも貰って届けようって
  そう思ってたし、板書だって完璧にして。

  怪我してるんだし勉強なんてしたくないかな?
  そうだとしても私は届けたけどね。 ]


  
(86) 2022/10/27(Thu) 20:52:15

【人】 惜別ハツナ



[ 事故は学校のみんなにも軽く伝わってたみたい。
  なんだか腫れ物に触るみたいに色々言われたな。
  学校のみんなのW助言Wは全部無視した。

  そこまでハツナちゃんがする必要ないとか
  なんでそこまでするんだ、とか。

  無理しちゃだめだよ、とか。

  周りの声なんてどうでもよかったし、
  私は、君のことしか考えてなかった。 ]*


  
(87) 2022/10/27(Thu) 20:54:05

【人】 惜別ハツナ


***

[ 私がついた時、君は眠っていた。
  そうだよね、疲れちゃう、よね。

  自身の身体だってもう疲れた、って
  悲鳴を上げてるのには目をそらして

  私は君の頭をそっとなでる。
  記憶が戻る日、来るのかな。

  
私が事故に遭えばよかったのに。

  そんな思いが、ぐるぐる、頭に巡っていく。
  そうしたら……君が怪我しなくて済んだのに。 ]


  
(100) 2022/10/29(Sat) 1:03:01

【人】 惜別ハツナ



[ 君が起きるまで、待ってよう。
  そう思ってたんだけど、
  気づいたら私は
  ベッドの横の椅子に座ったまま、
  眠ってしまってたんだ。

  だからそう、君が涙を流してしまっても
  きっと、気付けない。 ]



   あ、食べたんだね。
   美味しかった?


[ 私が起きたとき、
  君がもう一度寝てたりしないなら
  そうやって聞いてみたけれど。

  私は、ふたりぼっちの遠足で
  一緒にチョコボール食べたんだよ、とは
  この時は、言わないんだ。 ]**

  
(101) 2022/10/29(Sat) 1:04:36

【人】 惜別ハツナ


***


[ 私が君のもとに毎日行ってることは
  クラスメイトならみんな知ってた。
 
  それを良く思わない人たちが
  いつしか私への忠告をやめて
  ひそひそ、何かをしだしたことに
  私は気づく余裕もなくて。


  先生だって知っていたから、
  遠回しに学校に来るようにとか
  そんな伝言も頼まれたりはしたけれど
  学校にいけないから入院してるんじゃないですか?
  とか言って、先生を困らせたりもした。

  先生には先生の事情があるから
  仕方ないのも、わかってるんだけどね。 ]

  
(102) 2022/10/29(Sat) 1:05:39

【人】 惜別ハツナ



[ 行けない分届けてるから、文句ないでしょう?
  って先生を言いくるめてたから
  無くても大丈夫、って言われても
  簡単にやめるわけにもいかなかった。

  今要らなくても、後でいるかもしれないし。 ]


   私がやりたくてやってるから。
   それにね、今じゃなくても
   あとで必要になった時にないと困るでしょ?


[ そう言って、勉強しなくてもいいから
  受け取って欲しいな、って。
  私からは学校に行こうとかそんな話しなかった。
  ただ、勉強面で困っちゃいけないから
  ノートとかを渡しているだけで
  
……行きたくないなら無理することないよ。 ]


  
(103) 2022/10/29(Sat) 1:06:30

【人】 惜別ハツナ



   どんな人、か……。

            うーん……。


  
(104) 2022/10/29(Sat) 1:06:58

【人】 惜別ハツナ



[ 話題がノートの話から移って、
  私は困ったように眉下げて、言葉を濁す。

  君のことを誰より知ってるのは確かに私だね。

  でも、今聞かれてるのは学校での君。
  知ってるよ、
知ってるから言いたくない。 ]


  
(105) 2022/10/29(Sat) 1:07:52

【人】 惜別ハツナ



   …………。
ごめんね、言いたくない。


   でも、知りたいんだよね。
   だから、少しだけ、待ってもらえるかな。

  
(106) 2022/10/29(Sat) 1:08:55

【人】 惜別ハツナ



[ そう言って、鞄から取り出したのは
  いつも持ち歩いて、渡すのを迷っていた
  交換日記。
最後の1ページは破り取ったけど

  それ以外のページは今でも、読める。

  日記をぱらぱらとめくって、
  書いてない真っ白なページを開くと、
  私は、君の質問に文字で応えるために
  ベッドの横にある机を借りて
  答えを綴り始めるんだ。 ]

  
(107) 2022/10/29(Sat) 1:12:26

【人】 惜別ハツナ



[ 君が知りたいであろうことを綴ると
  私は持っていた付箋をそのページに貼って
  ノートを閉じて君に渡した。
  付箋のページに
  君が知りたいことを書いたよ、って言いながらね。

  そして、今日はそろそろ帰らないと、って
  その場を後にするんだ。

  ほら、誰かに見られながらだと
  読みづらいかもしれないし。 ]**

  
(108) 2022/10/29(Sat) 1:19:06

【人】 惜別ハツナ



[ 君の質問に言葉を濁してしまったの、
  君にとっては良くなかったのかな。

  私は言いたくなかったんだ。
  君の悪口とか、勝手なイメージとか……。

  ハツナには相応しくないって
  言われてたこととかね。


  君の記憶は戻って欲しいけれど
  それは忘れていて欲しい、なんて。 ]

  
(109) 2022/10/29(Sat) 23:23:21

【人】 惜別ハツナ



[ クラスの中には君のことを良く思わない人たちが
  いるって、私は散々言われてきたから知ってる。

  私がいない所でも君が直接言われてたことは
  聞きそびれてしまったけれど、それでも。


  君のことを嫌いな人が
  クラスに居るんだってことは知っていた。
  
  知ってたけど、私には関係ないって、
  そう思ってたんだよ。

  
君のことを真に知ってるのは私だけでいいから。 ]


 
(110) 2022/10/29(Sat) 23:24:10

【人】 惜別ハツナ



   「朝日くん、怪我しちゃったんでしょ?
    怪我が早く治るように、って
    みんなで心を込めて
    千羽鶴を折ったんだ。

    ハツナちゃん、いつもお見舞いに行ってるし
    渡してきてくれないかな?

    ね、お願い。
    ハツナちゃんにしか頼めないんだ。」


  
(111) 2022/10/29(Sat) 23:24:35

【人】 惜別ハツナ



[ そんなことを言われて、
  紙袋に入った千羽鶴を
  クラスメイトに押し付けられたとき、
  私は微かな違和感を覚えてしまったんだ。

  そうやって声をかけてきたの、
  君のことを嫌いだって思ってる人だったから。


  でも、半ば押し付けられたそれを
  私は断ることも出来ず。

  ここ最近、ずっとうまく眠れてないから
  昼間は眠くて仕方ない。
  それが断れなかった原因かも。 ]


  
(112) 2022/10/29(Sat) 23:25:40

【人】 惜別ハツナ



  
[ この鶴……なんか、変だな。 ]


  
(113) 2022/10/29(Sat) 23:27:12

【人】 惜別ハツナ



[ 病院についてから、改めて鶴を眺めていると。
  普通の鶴と同じように俯く鶴に
  胸がざわついてしまったんだ。   ]

  
(114) 2022/10/29(Sat) 23:27:30

【人】 惜別ハツナ



[ 糸を通された鶴を一羽、手に取って
  中身を開いていく。

  
嫌な予感なんて、外れててほしかったのに。 ]


  
(115) 2022/10/29(Sat) 23:28:48

【人】 惜別ハツナ



[ 
「このまま学校には来るな」


  目に映った文字に、目の前が真っ赤になった。
  これを、私に、渡させるつもりだったなんて。


  怒りに任せて、何羽か鶴をもぎとって
  乱暴に開いていった。
  鶴のお腹には君への悪口が
  それぞれ違う悪口が、書き連ねられていた。


          
息が、苦しくなっていく。 ]


  
(116) 2022/10/29(Sat) 23:29:53

【人】 惜別ハツナ



[ これは君に見せちゃいけない。
  絶対に、見せちゃだめだ。

  
はやく、捨てないと………。 ]



         
[ 捨てなきゃ、いけないのに。

           ひらり、嘲笑うように
           千代紙が手から離れた。 ]


  
(117) 2022/10/29(Sat) 23:30:40

【人】 惜別ハツナ



[ 焦りと怒りと……
  見られたらどうしようって不安からか
  それとも、他のなにかのせいなのか。
  
  上手く息が出来なくなっていく。
  息を吸っても吸っても苦しい。  ]


  
(118) 2022/10/29(Sat) 23:31:20

【人】 惜別ハツナ



[ 悪意にあてられた私は
  開いた鶴を拾うことも出来ずに。
 
  よりにもよって
  君の病室の近くで倒れてしまうんだ。 ]


  
(119) 2022/10/29(Sat) 23:31:45

【人】 惜別ハツナ



[ 勿論、ここは病院だから。
  すぐにしかるべき手当はしてもらえたけれど。


  
君にはどこまで知られてしまったんだろう。 ]*


  
(120) 2022/10/29(Sat) 23:32:15