人狼物語 三日月国


83 【R18】ラブリーナイト・りたーんず!【ペアRP】

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【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[それで彼が頷いてくれたら遠慮するのはやめたけど
 夜のお出かけについついはしゃぎそうになって。]


  アクアリウム!行きたいっ
  ふふ、デートなんて久しぶり。


[心惹かれた行き先を口にするやいなや、
 彼がスマホを持つ手と反対側へと回り込み
 答えを聞くよりはやく腕を組んでぴったり寄り添う。
 
 じゃあ行きましょ、なんてせっかちに唆して
 歩き出したら腕を掴んだ手はしれっと下の方へ。
 彼の手元に辿り着いたら、当たり前みたいに指を絡める。

 
――懐かしいってふいに思い出したのは、
深夜のドライブのことだった。
*]
(252) 2021/07/04(Sun) 0:39:12

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[愛されたくて、誰かの特別になりたくて、
 普通の、幸せな恋がしたい。それが願い。

 タイガさんの求める恋はどんなものだったか、
 でも、彼の方からデートに誘ってくれたこと。
 それは純粋に、純粋な「恋」の始まりみたいで
 どうしようもなく嬉しくなっちゃう。]


  ……ふふ、どうせならたくさん振り回してね。
  ちゆはねぇ、フラペチーノ飲みたいなあ
  アイスカフェラテでもいいんだけど、


[だから手を繋いで、「教えて」って聞かれたことが嬉しくて
 苦いのは嫌とかコンビニのレジ横のが案外おいしいとか
 ごくごく他愛ない話をしてみる。
 そうしたら普通の恋人同士にも見えるんじゃないかって
 彼とタクシーへ乗り込んだとき、
 運転手さんの視線をちらっと窺ってみたり。]
(265) 2021/07/04(Sun) 7:35:36

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  ……そういえば、タイガさんっていくつなの?  

  ちゆはね、水族館あんまり行ったことないから新鮮。
  デートはなんか、ドライブばっかりだった気がする。


[金曜日の夜か休日だけ、たいてい遠くへ出かけていった。
 もしも彼にその理由を聞かれるなら
 バレちゃダメだったからって嘘じゃない返事をした。
 「ワケあり」なことは大人の彼なら感づいてしまったかな。
 そういう火遊びするような子、幻滅しちゃうかな。

 そんな気がかりと裏腹にちゆは平然と隣を歩く。
 夜の街灯より暗く彩られた世界は幻想的で、
 すごい、って思わず溜息を漏らした。]


  ねぇ、すっごく綺麗だね!


[手は繋いだままで、彼より少し先を行く。
 水槽の薄明かりを背負って振り返り、笑った。

 きっとすれ違う誰もちゆ達のことを知らない。
 だから手を繋いで歩いていたら、恋人にだって見えるよね。
 ――今だけは恋人なんだって、幸せぶってみてもいいよね。]
(266) 2021/07/04(Sun) 7:35:54

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  えへへ、ちゃんと繋いでますよーっ


[はぐれないように、って言われたら
 繋いだ指先にほんの少し力を込めてみようか。

 ぴったり寄り添って歩いていれば
 ふと、どこかで甲高い鳴き声がした。
 次第に近づいてきたそれは子どもの泣き声だった。
 
 お母さんと、子ども。
 二人の様子を見ていればつい足が止まりそうになった。
 手にはさっきよりも力が込もるのを感じたけれど
 その瞬間は親子のやりとりに目を向けたままでいた。]
(267) 2021/07/04(Sun) 7:36:47

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[ なんで怒られてるのかな、 
          悪いことしちゃったのかな
       怒った顔のお母さん ……怖いな、

  あんなに泣いてかわいそう。
          ……かわいそう?
       お母さんとお出かけできるの羨ましい。
 
       
ちゆもあんな風にお出かけしたかった。


  ちゆだったらもっと優しくするのにな
        こんな外で大声だしたりしないのに、
          あんなに泣かせたりしないのに、

  あぁ  
      でも、
            
殺しちゃったからダメだね。


  あの人の子ども。
  あの人との子ども。
  先生と、ちゆとの子ども ……死んじゃったけど。

              あ なんか、お腹痛い。]
(268) 2021/07/04(Sun) 7:37:30

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[ずきん、ってお腹の下の方が痛んだ気がした。
 それから彼の謝る声がして顔を上げた。
 子どもが苦手――そう言った彼が眉を下げるのを見れば
 手を引いてさっさと親子の横を通り過ぎた。]


  ちゆも嫌いなんだ、子ども。


[子どもの泣き声が遠ざかって見えなくなった頃、
 へらりと笑って彼の方を向いて言い放つ。
 「苦手」じゃなくて「嫌い」
 その言葉がもつトゲに自分じゃ気付けないでいた。

      
だってしょうがないじゃん、本心だもん。
(269) 2021/07/04(Sun) 7:37:53

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[それがタイガさんにどう思われたかは知らない。
 もし軽蔑してる目をされたって、
 たぶんちゆはヘラヘラと苦笑いするだけだけど。

 静かになった館内で彼の口から聞いたのは、
 やけに弱々しい台詞だった。
 
 ずっと見て欲しい人がいるのかな。
 いるとしたら――現在進行形だよね、それは。
 彼女?それとも奥さん?
 蓋を開けたいような開けたくないような躊躇いで
 それと同時に感じたのはシンパシーだった。]


  わかんないけど、自分だけ見ててほしいのはわかるよ。
  ……ちゆならずっと、
  タイガさんのこと見てるのにね!


[一夜の関係に相応しく笑い飛ばしながら
 口にした内容は全部本心だった。
 叶うなら、ちゆはきっとそれを望む。
      
   
そしたらあの人のことも忘れられる気がした。
(270) 2021/07/04(Sun) 7:38:24

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[でも、その先の質問には答えあぐねて
 真面目くさった顔で視線を水槽に移す。]


  ……先、かぁ。


[そんなの考えたことなかった。
 普通の恋。――その先は、結婚?
 困ったな、普通のお付き合いも結婚もわかんない。
 好きな人といられたら、幸せ?
 好きな人との子どもは嬉しい?

   
あたし、あの時、逆らったら幸せになれてたの?
(271) 2021/07/04(Sun) 7:39:02

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[人並みが通り過ぎる。
 閉じ込められた金魚たちが悠々と泳ぐ。
 でも、きっとここが彼らの居場所。

 彼の方へ顔を戻せば、瞳にはちゆが映っていた。
 薄暗がりの小さな鏡に気づいて、ふっと笑った。]


  一緒にいられたら、なんでもいいかな
  結婚してもしなくてもいい。
  子どもは邪魔になるんだったらいらない。

  ずっとちゆだけ愛してくれたらいいの。


[曖昧な答えは、彼の求める答えになれたかな。
 それ以上は考えたこともないのが本音だった。
 ずっと変わらずに「恋」ができたらそれでいい。
 そしたらいつかは、きっとこんな長袖も着ずに済む。*]
(272) 2021/07/04(Sun) 7:39:58

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[彼は咎めることなくちゆの話を聞いてくれた。
 それがなんだか嬉しくて、楽しくなっちゃって
 可愛いって褒められたのは金魚じゃなくてちゆの方。
 不意打ちだったからちょっぴり驚いてしまったけど
 手を繋いで歩く時間は紛れもなく幸せなものだった。

 過ぎ去った親子のことなんか知らない、
 意外?もっと「家庭的」みたいな方が良かったかな。

 ちゆには好きな人だけ居ればいい。
 誰か一人が「愛してる」って言ってくれたらいい。
 みんなにとって、それは当たり前のことだとしても
 ちゆにとっては昔から特別なものだったから。

 嫌な顔されなくてよかった。
 子どもが得意じゃないのはお互い様かもしれないけど、
 なんにもない二人だけの未来図を認められたような
 そんなキスに胸が鳴って、ひどく安心した。]


  ちゆも、もっと早くタイガさんに会いたかったな。


[彼の瞳を見つめたまま、同じ言葉を返す。
 一番目じゃなくてもいいけど、もっと先に出会えてたら
 あの人より前に知ってたら、もっと幸せだった気がする。]
(300) 2021/07/04(Sun) 19:07:47

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[でも、今からじゃダメなのかな。
 意地悪な運命を嘆く彼は、
 今からじゃちゆを選んではくれないのかな。

 大人の狡さを知らない訳じゃない。
 むしろ痛いくらいにわかってる。
 でも、彼の秘めているかもしれない一面からは
 わざと目を逸らして、知らんぷり。

     
     気付いたら戻れないくらい虜になってるの、
         そういうのも……嫌いじゃないよ。
(301) 2021/07/04(Sun) 19:09:01

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[金魚を横目に通り過ぎていったら、
 アクアリウムは出口に差し掛かっていた。
 楽しかったね、ってありきたりな感想を口にしながら
 その実ほとんど彼しか見ていなかったのは内緒。

 そのまま二人でカフェに立ち入る。
 苦いコーヒーの香りが鼻を掠めていった。

 「これにする!」と迷わず選んだのは限定フラッペ。
 タイガさんのより高くなっちゃうから、と
 ディスプレイのレモンケーキを前に口には出さない葛藤。
 彼の顔を見て、頼んでいい?ってそろりと尋ねて
 結局は誘惑に負けてしまう。

 ミルクたっぷりのフラッペは冷たくて美味しい。
 レモンケーキを一口食べたら思わずほっぺたを押さえて
 おいしいね、って同じものを食べる彼の方を見た。
 
 向かいに置かれていたのはアイスコーヒー。
 ちゆは苦いのダメだから、すごく大人っぽく見えて
 水滴のついたグラスを持つ手も格好良くて。]
(302) 2021/07/04(Sun) 19:09:53

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  うん?


[名前を呼ばれて、フォークを置いた手に彼のが重なる。
 さっきまで普通に繋いでいたはずなのに
 その指が肌を滑る感覚にドキドキしちゃった。

 二人っきりになれる場所——、
 現代文のテストは全然ダメだったけど
 そういう台詞の意味はすぐに理解してしまう。]


  ……ふふ、いいですよぉ


[暢気な声の返事をする。
 重ねられた下でくるりと手のひらを返したら
 指先でつうっと彼の手を擽る、なんてことのない悪戯。]
(303) 2021/07/04(Sun) 19:11:19

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

 

  ちゆもタイガさんのこと、もっと教えて欲しいなぁ
  だって、……愛してくれるんですよね?


[それがただの言葉だけじゃないことなんて、
 初めからわかりきっていた。

 それなら、と、ケーキの残り一欠片を口に放り込む。
 甘酸っぱいのを噛み締めて彼の方を見れば
 「いつでも行けます!」って悪戯っぽく笑った。*]
(304) 2021/07/04(Sun) 19:13:02

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[再び手を繋いで帰る道中、
 心臓の音はずっと早く鳴っているのがわかった。
 初めて会った男の人とふたりでホテルに行くなんて
 普通の人が見たらあんまりよくないことなんだろうけど
 ちゆにとっては、ちゃんと純粋な気持ちだ。

 またエレベーターを上がって同じ部屋の前に行く。
 ドアを開けると安いラブホテルとはまるで違う景色だった。

 柔らかそうな大きいベッド、
 見慣れない豪華なインテリアにまた気分が上がるのは
 だって、珍しいんだから仕方ない。]


  ん?


[気づいたら彼の手をすり抜けて、部屋の中を見回していた。
 おしゃれなティーパックに目を奪われてたら
 名前を呼ばれてぱっと振り向く。]
(316) 2021/07/04(Sun) 22:52:23

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[なにか思いついたような、悪戯っぽい笑顔。
 そうして告げられた「ごっこ遊び」の一言で
 ただの綺麗な部屋が特別な場所になった気がした。]


  ――おかえりなさい、……あなた!


[ドラマで聞くような台詞を口にしてみたら
 やけにテンションが上がっちゃって、
 本物の「お嫁さん」みたいには言えなかったけど。

 抱きついた腕にきゃらきゃら笑って、
 そんな声は唇を重ねたらたちまち甘い囁きになって。
 こんな風に幸せな「お嫁さん」だったら憧れちゃうかも
 ……なんて、ひとりでに少し寂しくなった。]
(317) 2021/07/04(Sun) 22:52:45

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[なぞる指先もキスもくすぐったい。
 だけど心地良くて、ぎゅっと身を寄せたまま感覚に浸る。
 
 
あの人じゃない、
この人も会ったばかりの人なのに
 アプリで会った知らない人よりずっと幸せ。

 何が知りたいって、そんなの
 好きな人のことなら何でも知りたいよ。

 血液型も星座も、思い出話も、愛し方も、]


  全部って言ったら、欲張り?


[心臓の音、ちゆと同じくらい早い。
 「ほんとだ」って笑いながら胸板を撫でて下ろしたら、
 お返しに彼の――左手をとる。]
(318) 2021/07/04(Sun) 22:54:18

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  ちゆも、一緒。
  タイガさんに触れられたら
  すっごくドキドキしちゃうみたい。


[彼がしてみせたみたいに自分の胸に導いた。
 確かめてもらうように押しつけて、
 重ねた手、親指の腹が彼の薬指をなぞる。

 「もっと見せて」と、彼の言おうとすることはわかった。
 でも、名前を呼んだその声にはわざと答えてあげない。]
(319) 2021/07/04(Sun) 22:54:33

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  ちゆのこと、好き?


[無邪気な顔を装って質問を返す。
 重ねた手をそのまま持ち上げたら
 節ばった指にうっすら残る日焼けの痕に視線を落とす。]


  ちゆは好きだよ、タイガさんのこと。
  ……ねぇ、一番好きって言ったらさ
  あたしが一番だよって言ってくれる?


[多分あなたには他の――もっと大事な人がいるってこと
 分かってて「一番」を強請ってみたのはわざと。

 見上げたら被ってたフードが滑り落ちた。
 それに構わず、背伸びをしたら口付けひとつ。
 彼は頷いてくれたか、狡い大人の躱し方をしたか
 それとも強請った言葉を贈ってくれたか。]
(320) 2021/07/04(Sun) 22:55:19

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



  お風呂、いこっか


[でも、困らせてしまう前には掴んだ手を引いて
 甘えた声で足を進めようとする。*]
(321) 2021/07/04(Sun) 22:56:10

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[彼は「愛してる」を言ってくれる訳でもなく
 「一番好き」をくれる訳でもなく、
 でも、奥さんとそんなに上手くいってないってことは
 だったらちゆも——なんて余計な期待を掻き立てられる。]


  ……かわいそう。


[彼の弱音に思わずぽつりと呟いた。
 そんな顔されたら、無性に抱きしめたくなっちゃう。
 なんだろうね、この気持ちは。愛情?同情?
 とにかく放っておけなくなって、]


  大丈夫だよ、……大丈夫
  タイガさんの寂しいの、
  全部ちゆが受け止めてあげるから。


[触れ合わさった唇を柔らかく啄んで返した。
 何を言って欲しかったんだっけ、ちゆ、
 彼の顔を見たらどうでもよく思えてしまった。]
(358) 2021/07/05(Mon) 16:24:53

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[甘くて狡い言葉たちにあっけなく支配されてしまう。
 ううん、元からそこに強情さなんてなくて
 思えば始まりはいつだって単純馬鹿に流されてたっけ。

 与えられるそれが愛情めいた何かなら、期待には十分。
 ハグもキスもその先も、ちょっとおかしいことだって
 愛した人に——愛されたい人に望まれるなら
 ちゆはなんだってしてしまう。

 あなたが言うならお風呂は後でいい。
 痛いって程じゃない感触がジリ、と肌に食い込んで
 まるで指輪みたいに刻まれたのをみれば
 「いいよ」って答える以外の選択肢はないの。]


  ……わかった。
  離れないよ、タイガさんのこと、好きだから。


[「好き」って何度も言葉にしたら、
 インパクトとかそういうの薄れちゃうんだっけ。
 でも、だからって、口にせずにはいられない。
 あなたが求めてくれるから、受け止めてくれるから、

 
同じ感情が、あなたにもあるような気がしちゃうから。
(359) 2021/07/05(Mon) 16:25:47

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[「大丈夫」の言葉でどれだけ包み込めるかは知らない。
 あるいは飼い慣らされてただけなのかもしれないけれど
 そんなことには気づかない——気付かないから、
 
 彼がちゆをベッドへ運ぼうとするのなら
 「お姫様抱っこだぁ」なんて無邪気に笑ってみせる。
 
 柔らかいシーツの海に寝転がって。
 目線を彼の方へ向けたのと同時、
 ハイヒールが脱がされるのが見えた。
 
 お姫様みたい、でもその先に彼がしてみせたのは
 従順な執事だってしないようなこと。]


  ひゃッ、 んん……!
  た、タイガさん……っ 
きたないよ、



[足なんて。外を歩いたこんな夏場、
 きっと汗だってかいたのに。
 擽ったさもあるけど、恥ずかしさの方が勝る。
 反射的に彼の手から逃れようとする足は
 それでも捕らえられたならぷるぷると震えただけ。]
(360) 2021/07/05(Mon) 16:27:23

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[そのうちベッドに手をついて、上半身だけ起き上がる。
 「恥ずかしいよ」って彼をどうにか嗜めたなら
 おもむろに自分の上着へと手を掛けた。

 季節には似つかわしくない服装、
 彼は何も聞かずにいてくれたけど
 それは、まだ見せてない“そのままの”あたしだ。]


  ……ねぇ、タイガさん。
  ほんとに綺麗じゃなくても、可愛くなくても、
  ちゆの汚いところも愛してくれる?


[不安を滲ませ、尋ねる。
 そしておそるおそるパーカーを引き下ろして、
 ノースリーブから覗く肩を、二の腕を露わにして。

 ……肘から先はやっぱり躊躇う。
 知らない誰かに見せるならこんな不安もなかったのに
 彼に嫌われたくないからだって自覚する。
 でも、ちゆのこと全部知って欲しいから。]
(361) 2021/07/05(Mon) 16:28:50

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[脱ぎ捨てた上着の下にあるのは汚い傷痕だった。
 赤黒い筋が手首を通り越して、
 肌の柔らかいとこまで無数にはしった左腕。

 反対の腕はそれよりいくらかマシだったけど、
 重ねられた痕は皮膚ごと腫れ上がってしまっている。
 けして綺麗だといえない肌は、
 真新しい傷だっていくつか残してた。]

 
  ちゆ、寂しいの嫌いで……

  一人でいるとたまに消えたくなっちゃうの
  でも、痛くなって、赤いの見たら
  生きてるんだなって……死にたくないなって、思えて

         
——やっぱりダメかな、こんな女の子。



[手首を返して、自分から彼に醜い腕を見せつけて
 そのくせ彼に向ける声は泣き出しそうに震えてしまった。
 あぁ、せっかくの気分を下げちゃったかも。
 ……きっと好きじゃないよね、こういうのは。*]
(362) 2021/07/05(Mon) 16:30:34

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[絶対に足なんか綺麗じゃないのに
 彼は躊躇うことなく舌を這わせていくから
 それが擽ったくて恥ずかしくて、何も言えなくなる。]


  んっ……あ、ひゃっ……


[ちゆが小さな子どもだったら、
 大声をあげて笑っていたに違いない。
 でもこそばゆさの中に甘い熱を感じてしまって
 心の奥ごと擽られるみたいで
 ブラウスの裾をぎゅっと掴んでいた。

 恥ずかしい。恥ずかしいけど、
 ――ちゆの全部、愛されてるみたいで嬉しい。
 そんなことを思ったら、閉じた脚の内側が疼いてしまった。]
(407) 2021/07/06(Tue) 0:07:22

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[そうして耐えかねて、彼の方に手を伸ばす。
 触れた肌とちゆの手のひらと、どっちが熱かったかな。
 綺麗に引き締まった身体をつうっと指先でなぞって
 おへその辺りまで下りたら胸にキスして、離れる。

 ちゆの肌はそんなに綺麗じゃないから、
 いつもは暗い部屋でしか曝け出さない。
 でも、タイガさんなら受け止めてくれるような気がして
 ……ううん、受け止めてほしくて
 「可愛い女の子」にはありえない、汚い腕を見せてしまった。

 『意外とそういう感じ?』とか、
 『そういうのやめた方がいいよ』とか、
 明るい朝になって気づいた人には言われたっけ。

 
あの人は、あの人だけは――
初めて傷をつけてしまった日、それを面白がるように見て
『いいじゃん』って軽く笑ってたっけ。
(408) 2021/07/06(Tue) 0:07:50

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里



   え、……あぅ


[タイガさんはそのどちらでも、どれでもなかった。
 ふいに腕を取られる。それでぱっと顔をあげたら、
 熱い舌が腫れ上がった傷をなぞっていった。]


  ……、……嘘ばっかり。


[呟いた声が細く震える。
 甘いわけないって、そんなことちゆにだってわかるよ。
 ほんの少しカッターの刃でなぞったら、
 それだけで血が滲むくらいぼろぼろの肌だもん。

 ――でも、それが嘘でも冗談でも
 少し笑って、笑おうとして、泣き出しそうになる。]


  タイガさんは……、やさしいね


[腕の傷に目を落として、俯いたまま呟いて。]
(409) 2021/07/06(Tue) 0:08:29

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[「おそろい」の言葉にこくりと頷く。
 彼も同じだって思ったら、むしょうに安心してしまう。

 確かめるような舌の感覚が擽ったくて
 ふいに思い出す小さな痛みが癒やされていくみたいだった。
 それだけで、痕が消えるわけでもないけど。]


  ……ううん、大丈夫。
  タイガさんが嫌いにならないなら、平気


[頬に彼の手が触れたなら顔を上げて
 もう何度目かのキスをして。]


  全部、ちゃんと受け止めてくれる?
  可愛くないとこも、めんどくさいところも
  「寂しい」のも「いとしい」のも、


[……タイガさんの気持ちはね、ちゆは全部欲しいよ。]
(410) 2021/07/06(Tue) 0:08:59

【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里

[――なんか、懐かしい響きだ。
 聞き覚えのある台詞が、ちゆの腕を眺める彼から飛び出した。
 
 
ふいに思い出したのはあの人の顔だった。
ちゆのダメなとこ見たら楽しそうにしてたとこ、
あの人は傷口なんか絶対に触れようとはしなくて
不安がるちゆを見たらただ頭を撫でただけで、


 こんな風に言ってくれた人って、はじめてだ。]


  あのね、
  タイガさんの弱いとこもみせてね。
  ちゆが全部受け止めるから。


[目を閉じて思い出す人より今は目の前の彼を見てしまう。
 ……見ていたかった、んだと思う。
 あの人が最後までくれなかったもの、
 タイガさんならくれる気がして。*]
(468) 2021/07/06(Tue) 20:28:07