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【人】 XIV『節制』 シトラ[ こうしてふたりこの場所で座っていると いよいよいつもと変わらない気がした。 世界の崩壊も、突きつけられた残酷な選択肢も すべてが悪い夢だったような気分になってくる。 けれどこうしている今も、世界のどこかで この洋館の中でも泣いているひとがいる。 他のみんなは、ヒナギクさんの元に集まっただろうか。 クロさんも広間へ向かっただろうか。 エーリクさんは、……別れ際 わたしに何か言おうとしていた気がしたけれど>>2:254 あれから誰かとお話できただろうか。 アリスさんは、クリスタベルさんは、 カルクさんは大丈夫だろうか。 少なくともチェレスタさんとフォルスさんは きっと現状に胸を傷めてるんじゃないか。 フォルスさんが悲しめば シャルレーヌさんもきっと悲しむ。 こんな状況下でもアリアちゃんは いつも通りに落ち着いて冷静に見えた。>>393 いつだって余裕のないわたしは彼女の そういうところに幾度となく救われていて、 そういうところも安らぎを覚える一因なのだと思う。 そう在るように努めてくれている、ようにも感じる。 ] (63) 2022/12/20(Tue) 15:14:13 |
【人】 XIV『節制』 シトラ……わたしさえ、わたし自身のことが 時々わからなくなってしまうのに すごいね、アリアちゃんは わたしよりも、わたしのことを よくわかってくれてる……気が、する。 [ 誰よりも一番の理解者であろうとしてくれている。 理解しようと努めてくれている。 そして、 彼女の一番の理解者でありたいと願うわたしもまた 彼女が詭弁と称するその選択を>>394 薄々予想してしまっていた。] ……………………、 ……わたし、 (64) 2022/12/20(Tue) 15:14:22 |
【人】 XIV『節制』 シトラわたしも、……アリアちゃんは アリアちゃんだけは、 きっと、わたしがどんな選択をしても そう、言って…………くれるんじゃ、ないかって 傍にいて、くれるんじゃ…………ないか、って …………思って、しまって、 ……て。 [ 世界とともに果てる運命が待ち受けているとしても 世界が存続したとして、もしも この洋館に居られなくなったとしても。 アリアちゃんだけは、きっと傍に居てくれる。 最後までわたしの傍に居てほしい。 ──……なんて。] (65) 2022/12/20(Tue) 15:14:31 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 彼女には彼女の人生があって 彼女はわたしより聡明でずっと慕われていて 彼女を失いたくないひとは他にも大勢居るはずで 誰よりわたしが彼女を失いたくない。 世界に滅んで欲しくないと語りながら あなたと終えられる世界ならきっと幸せだろうなんて、 おぞましい思考に及ぼうとするわたしが怖かった。 厳重に鍵を掛けて心の奥底にしまい込むべきだ。 声に出せば今隣にいる資格さえ失ってしまう。 そう怯えていたわたしに彼女は まるでいつものお茶会の延長線かのように さも当然とでも言うように、あっさりと口にする。] アリアちゃんはいつもわたしを 守ろうとして、くれるけど…… わたしも、……わたしだって アリアちゃんを護りたいんだよ。 (66) 2022/12/20(Tue) 15:15:00 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ そうしたいと思ってくれているのは 本当にアリアちゃんだろうか。>>3:395 彼女を苦しませたくないと、 わたしとともに居て欲しいと 願うのは『節制』じゃなくシトラだろうか。 わたしは、アリアちゃんを── そう思うわたしを、信じたい。 それは……気にするよ だって、……だって アリアちゃんまで 死んじゃうかもしれないんだよ…………! [ あなたが、わたしの希望なのに。 じわりと滲みはじめた涙を袖で拭った。 しゃきっとするって、クロさんと約束したばかりだ。] (67) 2022/12/20(Tue) 15:15:19 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 彼女の答えを聴いても、わたしの選択は変わらない。 この世界を叩き壊してまで行く箱庭に、 わたしも幸せはないと思う。 聴くだけじゃいまいち実感が湧いてこない、 そう語る彼女の気持ちもわかる。>>396 わたしの知る世界もひどく狭くて 生まれ故郷と、この洋館と 近くの街くらいしかまだ知らない。 こくん、と小さく頷いて ] あとで、……わたしも、中継機、一緒に見る。 見て気持ちの良いものでは、ぜったいに、ないけれど [ 廊下を走っている間に広間から聴こえてきた悲鳴。 それがもっと惨い形で映し出されるのかと思うと、] それでも、目を背けたくても ……背けちゃいけない、って……思う、から [ わたしたちの選択が世界の存続に関わっていて たった一票でもわたしの意志が反映されてしまうなら、 わたしは否応なしに、もう第三者では居られない。 ] (68) 2022/12/20(Tue) 15:15:31 |
【人】 XIV『節制』 シトラ…… 世界を、変えられる…………? [『ただ、』と前置く彼女の周りを 取り巻く空気の流れが変わった気がした。>>397 どういうことだろう。 続きを促せば、] 区別されない、世界………… [ 証持ちかそうでないかで区別されることのない世界。>>399 それは、わたしも常々考えてはいて かといって何か実現の為の妙案が浮かぶ訳でもなくて 誰にも話さず胸の底深くにしまっていた想いだった。] (69) 2022/12/20(Tue) 15:15:42 |
【人】 XIV『節制』 シトラ借り物…… 誰か、そう話していたひとがいる ……って、こと…………? [ 固唾を呑んで聴き入って ] ………………!! [ 弾かれたように、顔を上げた。] (70) 2022/12/20(Tue) 15:15:50 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ アリアちゃんが言った『新しい宗教』と フォルスさんに最初に興味を示した意味、 わたしの中、一本の糸でぴんと繋がる。] もしかして、もしかして 二十二人が揃っても、世界が滅びなくて 教典の内容が覆せれば 証持ちは怖い存在じゃない……って わかってもらえるかも、しれない…………!? [ すぐには難しいかもしれない。 それでも、時間が掛かっても少しづつ説いてゆければ。] すごい…… [ 世界が変えられるかもしれない。 わたしたちの生きているうちには無理だったとしても 遠い未来に、もしもまた 次の代の証持ちたちが生まれてくるのなら その子たちが生きる世界は、 今よりは優しいものになるかもしれない。 ] (71) 2022/12/20(Tue) 15:16:01 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[それは、これ以上ない希望のように思えた。 ] わたしも……この洋館での暮らしは、 すきだし すごく、感謝も……、してる、よ。 [ 清潔なベッドと着心地のいい服、広い部屋 あたたかい食事に熱いお湯、お風呂 蔑まれる恐怖に怯えずにいられる平穏な暮らし。 洋館での暮らしはそれまでに比べればずっと快適で 故郷にいた頃よりずっと自由だった。 あまりにも幸せで、 辛かった過去をも忘れてしまいそうで 決して忘れてはいけないと叫ぶように 何度も繰り返し悪夢に魘された。 守ってくれるひとたちがいて、 やりたいことを見守ってくれるひとたちがいて 学問を与えてくれるひとたちがいて 一緒に食事をしてくれるひとたちがいて、 淋しい時には、傍に居てくれるひとがいた。] (72) 2022/12/20(Tue) 15:16:40 |
【人】 XIV『節制』 シトラ……うん 今のままの世界じゃ 叶えることは、できないと……思う。 近くの街にただ、遊びに行くだけでも 細心の注意を払って、身分を、隠して 職員さんやお世話係さんにも 心配をかけないと、行けなくて…… 帰省……したく、ても わたしを、望まないひとも……いる、から そう思ったら、簡単には……帰れなくて。 お墓参りしたいだけなのに、 お手伝いに行きたいだけでも 何をするにも、証持ちだってことを 隠さなきゃいけなくて ……石や物を、投げるひとも 平気で暴言を吐くひともいて 守ろうとしてくれたひとたちにまで 悲しい想いをさせて、しまう [ 今のまま変わらないなら、わたしの夢は永遠に叶わない。 それだけははっきりしていた。>>400 ] (73) 2022/12/20(Tue) 15:16:53 |
【人】 XIV『節制』 シトラ……そうだね、 何かとお世話に、なってる。 わたしに文字や、地理や、いろんな知識を 教えてくれたのはフォルスさんだし 世界に興味を持たせてくれたのも、 主には、その二人だったから あの空の向こうには どんな世界が広がっているのかな……って。 [ 他のみんながどんな環境に置かれてきたか わたしはあまり、詳しくは知らない。 みんなの方から語られたなら聴いたけれど、 わたしの方から敢えて尋ねたことはなかった。 自分の置かれてきた環境は どちらかといえば恵まれていた方なのだと思ってきたし、 ともすれば、相手もわたしも辛い記憶を 呼び覚ましてしまうかもしれないと思ったから。 けれど全く迫害されずに生きてこられたひとは おそらく少数派、なのでしょう。 何冊かの教典を読んで、そう感じた。] (74) 2022/12/20(Tue) 15:17:33 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ ヒナギクさんだって世界を見てはいるはずで、 だからこそいま崩壊を悲しんでいるのだと思うけれど アリアちゃんは名前を挙げなかった。 きっと何か考えがあってのことだろうと思った。 笑顔で居られるときばかりではないだろう、と思う。 太陽だって時には雲に隠れるし、 日が暮れれば沈んでしまう。 笑顔で居続けられるくらい護られているか 笑顔を保ち続けられる強さがあるか 辛苦を包み隠して笑ってくれているのか わたしには判別が付かなかったけれど、 やっぱりヒナギクさんは眩しくて すごいなって、わたしは思ってしまうんだ。] (75) 2022/12/20(Tue) 15:18:25 |
【人】 XIV『節制』 シトラうん、……ふふ メルロン、美味しいよね フォルスさんの売店、すきだよ 美味しいものや、楽しいもの どきどきしたり、わくわくしたりするものが たくさん……置いて、あるもの。 [ 最初は苦みと塩味ばかり感じていたレインボードロップ。 甘みや旨味をよく感じるようになったのは いつからだったかな。 虹色に光るしゃぼん玉が綺麗で、よく遊んだ。 値札の数字を読めるようになって お金の価値がそれなり理解できるようになって それまで何気なく出されていたお茶菓子の高価さに驚いて、 わたしとしては珍しい大声を上げてしまった日もあった。 アリアちゃんが薬を売っている話を聴いていたから お手伝いの対価はアリアちゃんにと、お願いしたのだ。 本人には内緒でしたお願いを、 おそらくフォルスさんはちゃんと叶えてくれている。 けれどそれは巡り巡って、わたしの元にやってくる。] (76) 2022/12/20(Tue) 15:18:33 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ わたしの毛織物は、売り物になりますか? フォルスさんに思いきってそう尋ねられたのは、 本当につい最近のことだ。 カルクさんに振る舞う紅茶の底に ホリックゼリーを沈める案があったのを思い出した。 アリアちゃんは激辛にも平気な顔をしているけれど、 わたしは初めて引き当てた激辛が忘れられない。 万が一のことを考えて没にしたんだった。] …………、 [ お茶会で、チェレスタさんがわたしに テオブロマの作り方を教えて欲しいって>>2:239 言ってくれたのは、すごく嬉しかったな。 教わるばかりだったわたしに、 教えられる何かが出来るなんて。 うまく教えられるかはわからないけれど、頑張ります。 一緒に美味しいチョコレート、作りましょうね。って、 約束したのもついこの間のことだ。 取り留めもなく広がってゆく回想を一度、止める。 走馬灯にはまだ早い。 ] (77) 2022/12/20(Tue) 15:19:25 |
【人】 XIV『節制』 シトラ……そっか …………、 話してくれて、ありがとう アリアちゃん。 [ わたしの見える世界は、まだひどく狭い。 同じ景色を眺めていても、 フォルスさんやチェレスタさんの瞳には 違う景色が映って見えるのかもしれない。 もし世界をよく知る彼が 勝算はないと言ったらどうするんだろう。 希望はないと、言い切ったら。 それでもわたしは答えを変えることはできないし アリアちゃんも、答えを変えようとはしないのだろう。 ] …………わたし、 アリアちゃんには、幸せでいて欲しいんだ すこしでも永く、生きて欲しい わたしの我儘に巻き込みたく……、ない (78) 2022/12/20(Tue) 15:19:36 |
【人】 XIV『節制』 シトラアリアちゃんは、 わたしに付き合うんじゃ……なく、て アリアちゃん自身が、 一番良いと思う道を……選ぶべきだ、って ──そう思う、のに これから先も、ずっと わたしの傍に……居ても、 欲しくて………… [ ぱたぱたと、足元の薬草に雨が降った。 彼女にしては珍しい類の話をしたからか アリアちゃんの視線は面映ゆげに逸らされている。 それを良いことに、雨は地面を濡らしてゆく。] もし、世界が壊れることになってしまっても わたしは、この世界に残る ……よ [ 箱庭には、行けない。そうはっきりと口にする。] (79) 2022/12/20(Tue) 15:19:50 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 本当にいいの? 後悔はないの? どうしてそこまでしようとしてくれるの。 それを改めて問う勇気はわたしにはなくて わたしは臆病で、狡くて、淋しがりで ] ──最後まで 傍に居て、欲しい、の。 [ あなたを開放すべきなのに解放してあげられない。 あなたが拒まないのならば、 その手は、神様にだって譲れない。]** (80) 2022/12/20(Tue) 15:20:29 |
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。 (a21) 2022/12/20(Tue) 15:34:58 |
【人】 XIV『節制』 シトラ── 選択の時 [ どうしても寝付けずに、わたしは日記帳を取り出した。 文字と文章の練習を兼ねて書き始めた日記帳は 早数冊目になっていた。 日付が新しくなる毎に字が整い、文は長くなり アリアちゃん記録で埋め尽くされていた日記に 記されるひとの名前が増えてゆく。 編み上がったセーターを、 フォルスさんに見せに行ったときのこと。 売店奥のスペースで あまいカフェオレをいただいたこと。 タナトスさんに、字を綺麗に書くには どうすればいいか尋ねてみた日のこと。 マドカさんとユグさんに、おすすめの本を 教えてもらいに行ったときのこと。 エーリクさんに初めて会った日のこと。 キュリアさんに、編み物以外の お裁縫を教わりに行ったときのこと。 カルクさんに慰めてもらった夜のこと。] (85) 2022/12/20(Tue) 16:56:33 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 植木鉢を運ぼうとして落としてしまったこと、 包丁で手を切ってしまったこと、 クッキーを焼こうとして焦がしてしまったこと、 お皿を洗おうとして割ってしまったこと。 話そうとしてくれた誰かが居たのに、 泣き出してしまってうまく話せなかったこと。 失敗も後悔も懺悔も詰め込まれたそのノートは 同じくらい楽しかったこともすべて呑み込んでいる。 言わば成長の記録。眺めていると少し落ち着く。 不意に、窓を開けてはいないのに カーテンの裾が揺れたような気がした。 窓の外を見上げれば冴え冴えとした月が 柔らかな光を放って、こちらを照らしていた。 ……もしかしたら、誰か起きているかもしれないし この景色を見るのも最後になってしまうかもしれないし 夜の散歩に、出かけてみようかな。 そのひとの後姿を見つけたのは 廊下を歩き始めて、すぐのことだった。>>3:3] (86) 2022/12/20(Tue) 16:56:36 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 悲しむひとが少しでも少ない方がいい。 そう思った時点で、答えは出ていたのかもしれない。 わたしの選択は最初からほとんど決まっていたし 神様を前にしたいまも、答えは変わらない。 けれど、 わたしはきっと、いまから このひとを悲しませてしまう。 悲しませたくなかったはずの、このひとを。 襟を正し、長い上着の裾をぎゅっと握った。] …………、 わ わたし、 ……わたしは──── ** (87) 2022/12/20(Tue) 16:56:42 |
【人】 XIV『節制』 シトラ── 玄関ホール ぁ…………、 [ 神様に意志を告げた瞬間から、迷いはなかった。 いいえ、迷いを抱いてはいけないと思った。 わたしはわたしを貫き通すために 神様の意志に背いたのだから。 滅ぼすのはやめにする。>>3 そのひと言を耳にした瞬間、 ふっと全身の力が抜けた。 言い知れぬ激情が首を絞めた。 (106) 2022/12/20(Tue) 21:40:35 |
【人】 XIV『節制』 シトラ…………っ、 ぅ あぁあ…………っ [ 言葉にならない声が嗚咽とともに溢れ出てゆく。 誰かの声がわたしを激しく責め立てて 神様への懺悔を叫ぼうとする。 深い深い哀しみと罪悪感と後悔。 ごめんなさい。ゆるして。ゆるさないで。 何かに突き動かされるように震え出した両手が わたし自身の意志とは無関係に 衝動的な自傷行為に及ぼうとするのを感じて 強く指先を握り締めようと、したところで ] …………、 ………… ………………ぅ、……? [ まるで時が戻ったかのような錯覚を覚える 凛と涼やかな彼女の声が>>26、 濁流のような激情を堰き止めた。] (107) 2022/12/20(Tue) 21:41:04 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 彼女らしいようで、彼女らしくないような 神様を嗜め、煽り、責め立てる言葉が続く。>>27 普段の冷静沈着な彼女なら人前では 決して見せないだろう笑みを浮かべている。 妙な違和感を覚えた。けれど、 その正体が何なのか、わたしにはまだわからなくて 彼女がいつもの顔に戻ってこちらを向くまで、 呆気に取られていた。] ……アリア、ちゃん [ わたしが口を開くより先、髪に優しく手が触れた。 そのままわたしからすり抜けようとする彼女の手を わたしは、咄嗟に掴んで引き留めた。 繋ぎとめるようにしっかりと握り締めて、 ] ……待ってる から。 [ 彼女の方から解かれるなら力を緩め 解かれないならそのまま、神様の方を見つめた。] (108) 2022/12/20(Tue) 21:41:17 |
【人】 XIV『節制』 シトラかみ、さま どうして、…… わかろうとは……なさらないん、ですか わかりたく…………ない、ですか わたしも、神様が……わかり……ませ、ん 愛する、と そう仰っていた、ものを そんなに……簡単に、 いらない、と 言ってしまえる……あなたが [ どこか強がって聴こえたのは 敢えて突き放そうとするように聴こえたのは>>6 わたしがそう思いたいだけなのかもしれない。 このひとは、ただ淋しかったんじゃないか。 一緒に居てほしいと願うひとたちと離れる淋しさは 傍に居たいと願ったひとが どこか遠くへ行ってしまう哀しみは、 自分の意志だけではどうにもできない悔しさは ひとりになる怖さはわかる、から。 なんて烏滸がましいでしょうか、神様。 わたしはまだ、本当の孤独は知らない。] (109) 2022/12/20(Tue) 21:41:40 |
【人】 XIV『節制』 シトラ……これまで ありがとう……、ござい、ました 私は、あなたの 『愛する子』では……ない、ですが 『節制』は、きっと あなたの、ことを──── [ 金の睫毛が伏せられる。柔らかな金が崩れ落ちる。 エーリクさんが青年の身体を支えようとするのを>>97 落涙しながらただ、見つめていた。]* (110) 2022/12/20(Tue) 21:41:59 |
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。 (a27) 2022/12/20(Tue) 21:46:16 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ わたしはあなたの優しさに救われていた。 あなたはわたしにその荷を背負わせてはくれない。 わたしはあなたにいつも守られていた。 あなたはわたしにあなたを守らせてはくれない。 わたしはあなたに弱音を吐いてきた。 あなたはわたしを支えにしようとはしなかった。 わたしはあなたにすべてを肯定されてきた。 あなたはわたしを嗜めようとはしなかった。 わたしはあなたの好意に甘えきっていた。 あなたはわたしに歩幅を合わせてくれていた。 あなたは、わたしに 努めて 合わせようとしてくれていた。] (240) 2022/12/21(Wed) 22:42:11 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 『どうして?』 もしも彼女のこれまでの行動の水源が 彼女ではなく『隠者』の魂であったとしたら。 狂おしいほどの歓喜と後悔に震えるわたしと、 失う恐怖に怯えつづけるわたしがいた ] (241) 2022/12/21(Wed) 22:42:32 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 指先に込めた力を緩め、手を開いて、解放した。>>185 ] ……うん、 [ 神様にだって譲りたくないと 心から願った手が離れてゆく。 だんだんと温もりが遠ざかる。 だんだんと距離が遠ざかる。 だんだんと声が遠ざかる。 くるしいも、かなしいも くやしいも、ごめんねも ゆらいで、またたいて まいあがって、とけて、やがて しゃぼん玉のように はじけて、きえた。] (242) 2022/12/21(Wed) 22:43:01 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ きえて、しまった ] ────…… [ ……じゃあ いまこの両眼からとめどなく溢れ出てくるこれは いったい何だって 言うんだろう。] (243) 2022/12/21(Wed) 22:43:45 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 胸の中、つめたい風が吹き付けるような淋しさを感じた。 世界の崩壊は止められたはずなのに みんなまだすぐ近くに居るはずなのに 世界中でただひとり取り残されてしまったような そんな錯覚に陥った。 頼りなげな足取りで去ってゆくアリアちゃんを わたしは、見送ることしかできない。 見送らなければいけない。 ただ待つことしか、わたしにはできない。そう直感した。 誰より近く、長く傍に居たはずなのに、 誰より彼女を救いたいと願ってきたはずなのに、 誰より大切に想ってきたつもりでいたのに、 わたしはおそらく恵まれて生きてきた方で 知識と経験とは比べ物にならないほど別の物で わたしは、話を聴くことはできても きっと 真の意味では彼女の抱えた想いを理解しきれない。 わたしはいま、彼女の傍にいるべきじゃない。 彼女には、彼女を想ってくれるひとが ──わたしの、ほかにも。 そう思い至ってしまったら、 ]** (244) 2022/12/21(Wed) 22:43:58 |
(a55) 2022/12/21(Wed) 22:48:46 |
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