人魚を気遣う人は、
街の中には、いなかったけどさ。
ユウ君はかわいそうって言ってあげたよね。
たぶん、この本を読んだ他の人たちも。
人魚は自分からああなりにいったんじゃない?
悲劇のヒロインぶりたいっていうか。
ひどい扱いを受けて、私平気ですっていい子ぶるのって、
ある意味、楽だもんね。
絶対に悪者にならずにすむし、
だから、人魚は報われてるんじゃないかな。
[なんだか棘を含んでしまった言葉は、数分眺めて、消した。
ユウ君の言葉
から感じた「もんにょり」も、数日後に名前を知った。
私きっと、この人魚に嫉妬したんだ。]